深夜のアプリ開発から生まれた、お絵描きAIアプリ「Artomaton」作者が語る、月々8〜10万円の安定収益を生む「写真系アプリ」運営の裏側。

2016年10月24日 |
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今回は”人工知能がお絵かきする”というアプリ「Artomaton」を取材しました。

artomaton_futurala
※個人開発者のfuturalaさん(バイク好き)

1:「Artomaton」ができるまで

「futurala」さんについておしえてください。

個人のアプリ開発者です。昼間はゲーム会社でサラリーマンをしていまして、アプリのほうは深夜にすこしずつ開発をしています。

アプリ開発は、好きでやっているというか。つくりたいからつくってみて、それが思っていた以上にダウンロードされました。

たとえるなら、夜な夜な「ギターの弾き語り」を好きでしていたら、すこしずつ観客があつまってきたような感覚です。

開発したアプリ「Artomaton」についてもおしえていただけますか?

写真をもとに「AIがお絵描きをする」というアプリです。これは「人間が絵を描く過程」を再現することを目指して開発してきました。

そのため「Artomaton」に、いまから人類が滅亡するまで、ひとつの写真から絵を描きせたとしても、まったく同じ絵が生まれないようになっています。

artomaton_paint01

「毎回、できあがる絵が変わる」というのはおもしろいですね。

これは「ゼビウス」という、昔のゲームに影響をうけています。

ゼビウスというのは「元祖縦スクロールシューティング」といっていいゲームなのですが、このゲームの特徴は「ランダムネス」がすごく強いところなんです。

具体的にいうと、あそぶたびに「敵の出現パターン」を変化させることで、毎回プレイヤーにちがった体験を与えているんですね。

その影響もあって、「Artomaton」でも完ぺきな絵が一回で出来るのではなく、「何回か描いているうちに、気に入った絵ができる」という設計にしました。

artomaton_paint02
※AIが「筆を入れる順番」も毎回変化する。

開発についてはどう進めているのですか。昼間はゲーム会社ではたらいて、夜にアプリ開発となると、けっこう大変じゃないですか?

いえ、逆に本業との「バランス」がとれている気がします。どちらかがなくなると崩れてしまうというか。

というのも、会社では「ゲームの企画」をやっているのですが、企画ってどこまで考えても「これで完璧」ということがないんですね。

そうなると、家に帰ってきてからも、ずーっと「つくりかけのゲーム」のことを考えてしまって、ぜんぜん眠れなくなってしまうことがあるんです。

なるほど。

そういうとき、夜中に眠れないままでいるくらいなら、アプリ開発に集中することにしています。すると、気分転換にもなりますし、頭が疲れて眠ることができるんですね。

「Artomaton」の開発も、そういう眠れない日の深夜にすこしずつ進めていて、約5ヶ月たったころにリリースできる形になりました。

※プログラミングは「独学」でつくりながら覚えたとのこと。

2:アプリのデータについて。

いま「Artomaton」はどのくらいダウンロードされていますか。

2013年10月にリリースして、現在76万ダウンロードされています。内訳としては、日本52%:海外48%という比率になっています。

なお、アクティブユーザー(MAU)だと4万人、アップデート数でみると、20万人近くがつかい続けてくれているようです。

artomaton_appdata
※iOSアプリのみ、海外はほとんどが中国。

いままで「大きくダウンロード増えたきっかけ」があれば教えてください。

一番インパクトがあったのは、AppStoreで「フィーチャー」されたことです。

iOS8の「フォトエクステンション」という機能に対応したときは、ストアでフィーチャーしてもらえて、デイリーで3万ダウンロード伸びました

つい最近、iOS10の「iMessageアプリ」へ対応したときも、世界中からダウンロードが増えました。

あとは、リリースして半年くらいのとき、アプリのタイトルに「キーワードを含む説明文」を入れたら、デイリーのダウンロード数が、200から400に増えたことがあります。

artomaton_dl

フィーチャーされるために、何かやったことはあったのでしょうか?

アメリカのAppStore窓口に、日本語で「おもしろいアプリをつくったから見て!」と、動画つきのメールを送っていました。

そうしたら、数週間後にApple Japanの人から連絡があって、「フォトエクステンション」への対応を提案され、フィーチャーしてもらえました。

「アプリの収益」についてはどうでしょうか。

月の売上の最高でいうと、iOS8がリリースされた翌月の45万円です。その後については、毎月8~10万円ほどで安定しています

写真系のアプリって、瞬間的な売上は高くないのですが、ずっと長くつかってもらえる分、トータルでは積み重なっていきやすいのかなと。

そこは、クチコミでバズっても、クリアしたらアンストールされてしまいやすい、ゲーム系のアプリとはちがった特性があるのかもしれません。

広告と課金だと、どちらが多いのでしょうか?

ほとんどが課金ですね。比率としては「課金90%:広告10%」です

ただ、広告収益が少ないのは「広告を控えめに出してるから」というのもあります。現在は、ユーザーが画像を「保存/シェア」したあとにだけ、広告を入れるようにしています。

artomaton_revenue
※広告はAdmobの「インタースティシャル広告」のみ。

3:アプリ開発について

「Artomaton」はデザインがシンプルで良いですね。海外アプリなのかなと思っていました。

あまり説明を多くするのが好きではないので、言葉では説明せずに「さわってみればわかる」というデザインにしています。

というのも「決められた通りにやれば、みんな同じ結果が与えられる」というのは、一見「親切」を装っているけれど、実はユーザーへの「敬意」が欠けているのではないか、と思うからです。

そういう「若干のわかりにくい要素」って、想像力をはたらかせてもらうことにつながりますし、シンプルなまま機能を増やすには、必要なことなのかなとも感じます。

ひとつのアプリを3年ほど開発されてきて、何か「長くアプリを運営するコツ」があれば、おしえていただけますか?

「感情に引っぱられないようにする」というのは、大事だと思います。

やっぱり、アプリを開発することって、体力も精神力もつかいますし、長くつくればつくるほど「思い入れ」がすごく強くなっていくんですね。

そうなってくると、何が起きるかというと「アプリと自分を同一視」してしまうことがあります。

たとえば、アプリが批判されてしまうと、自分が批判されている気になったり、逆にアプリが褒められると、自分が褒められている気になる。

そうなると、冷静な判断もできなくなるので、できるだけ感情をフラットに保ち、粛々とアップデートしていくことが必要なのかなと思います。

artomaton_creator

なるほど。

ちなみに、ポーカーの世界大会で、優勝した人の映像をみたことがあるのですが、「優勝した人の顔」って全然うれしそうじゃないんですよ。

それをみたときに「ポーカーに強くなるコツ」は、統計的な期待値よりも、自分の手札を高く見積もらない、逆に悲観的にも見積もらない、ということなんだろうなと思って。

アプリの運営においても、それと通じるところがあるんじゃないか、という気がしています。

これから「個人のアプリ開発者が生き残る」という意味では、どうしていけばいいと感じますか。

ひとつ思うのは「できるかできないかわからないモノ」をつくっていくことです。

個人アプリの強みって、つくりはじめるときに「他人に言葉で説明しなくていい」ということですよね。組織では「多くの人に言葉で説明する」というプロセスが必要ですから。

とくに関係者の人数が多いほど、誰かの「ここ大丈夫?」という懸念が、積み重なってしまって、大胆なモノづくりがしにくくなる。

そう考えると、個人って「できるかできないかわからないモノ」を圧倒的につくりやすいんです。だからこそ、それに取り組むべきなのかなと。

大きな組織からは「できるかわからないモノ」は出て来にくい。だから、実現できれば「ライバルが少ない」という状況になりやすいですし、何よりやっていておもしろいですよね。

artomaton_newidea

これから「アプリ開発をやってみたい」という人に、メッセージなどあればお願いします。

アプリ開発に興味があるなら、すぐにでもはじめてみることを、心からおすすめします。

アドバイスとしては、スタート地点として「こういうアプリをつくりたい!」という気持ちさえあれば、あとはそれが導いてくれると思うんですよ。

それをつくろうとする過程で、いろんなスキルも身につくはずです。自分でアプリをつくれるって、ある意味「無敵の力」だとも感じます。

私もアプリの開発をはじめたら、予想外のことばかりでアドリブの毎日ですが、だからこそ開発が進んだときの達成感も大きいんだと思います。

取材協力:futurala

Artomaton
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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。有料マガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。【配信提携】LINEニュース【過去連載】週アスPLUS、マックピープル。アプリの取材申請はコチラのページから。
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