3ヶ月で世界1,000万ダウンロードを突破、位置情報アプリ「whoo」が語る成長秘話。サーバーコストで倒産しかけた話、資金調達よりプロダクトを優先した理由。

2023年08月14日 |
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※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2023年5月25日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n913cb0f0292c

位置情報の共有アプリ「whoo」さんを取材しました。

株式会社LinQ(リンキュー) 代表取締役 CEO 原田 豪介さん

会社の紹介と「whoo」について教えてください。

原田:
LinQは2019年に創業して、これまでアプリを10ほどつくってきた会社です。匿名質問アプリのNinjarは、約300万ダウンロードされています。

whooは位置情報共有アプリです。2022年12月にリリースして、世界1,000万ダウンロードを突破しました。継続率も高い数値が出ています。

特徴としては、日本のユーザーが57%、海外のユーザーが43%と世界にも広まっていること。また中高生世代がユーザーの80%を占めることです。

whooに関しては、「Zenlyがサービス終了する」という大きなトレンドに、乗れたことへの手応えはもちろん感じています。

ただ、あくまでZenlyの体験が前提ですし、恥ずかしながらオリジナルの機能も入れられていないので、まだまだこれからだなと考えています。

社員は3名(+業務委託メンバー)で開発している。

位置情報アプリが「流行る国」と「流行らない国」があるのはどうしてだと思いますか?

原田:
位置情報アプリが、その国や地域で流行るかどうかは「人口が局所的に密集しているか」という要素が大きいのかなと考えています。

東京は正にそうですが、電車に乗れば友達のところに行けるし、友達が近くでアクティブになっているのが、アプリで見えるのが面白いんですね。

「あれ○○ちゃん、コンビニいるやん」みたいな。「家にいたと思ったら、ここに行ってるんだ」みたいに可視化される体験が面白い。

なので、日本の東京、台湾の台北、韓国のソウルとか、人口が多くて密集している場所のほうが、体験として面白くなって流行るのかなと。

アメリカとかだと「距離的に離れているケース」が多くて。自分はサンフランシスコで、友達はニューヨークにいて、数千キロの距離があるとか。

そうなると、離れている友達の「詳細な位置情報」って、頻繁には気にならないんですよね。なので体験としては弱くなるのかなと。

whooはどのように開発スタートしたのでしょう?

原田:
もともとは、Zenlyが終了すると発表された後に、僕らが運営する「Ninjar」というアプリのユーザーたちが、とても悲しんでいたんですよね。

ユーザーから、インスタに「次のZenlyをつくってほしい!」というDMが、もう本当に毎日100件くらい届くほどでした。

でも、僕らはZenlyをリスペクトしていたし、既に類似アプリもあったので、2ヶ月くらいの間「それはやらないよ」と回答していました。

ただ「それでも、やってほしい!」という声があまりに届くので、そこまで言ってもらえるなら…! ということで開発をスタートしたんです。

それで11月頃から開発をスタートして、2022年の12月の初旬くらいに、一部のユーザーに協力してもらって(β版のテストアプリを配布)、ひとつの課題だった「位置情報の精度」の改善に取り組みました。

ユーザーにテストに協力してもらい「家から学校にちゃんと動いてる?」と聞いたり、自分たちでも動き回って、位置情報の精度を検証しました。

いろんなロジックがあるのですが、一定の範囲内における閾値を置いたり、バッテリーの消費を抑えるための、細かい設計をしていきましたね。

例えば、アプリを開いたときに、もし友達が誰もオンラインにいなければ、正確に位置情報を更新する必要はないので、通信頻度を落とす。

また、精度が悪いからといって通信回数を増やしすぎると、バッテリー消費が激しくなるので、許容範囲はどこまでなのか考える。

開発の基準としては、コアなZenlyユーザーだった人が満足すれば「ほぼ満足してもらえる」とわかったので、その水準で意思決定をしました。

アプリを公開した日の「手応え」はどうでしたか?

原田:
公開したのは、2022年の12月15日だったので、開発期間は1.5ヶ月くらい。なので、かなり詰め込んで開発を進めていましたね。

アプリの公開日は今でも覚えています。12/15の深夜に公開ボタンを押して。CTOの武田さんと「ついに公開したね、反応はどうだろうね。」みたいに、夜中に話していたんですよ。

それで、もう寝ようかと思ったら、公開から30分後にアクティブユーザーがリアルタイムで倍々に増えはじめて。「え、これ合ってる…?」と。

データベースを叩くと「いや合ってるぞ」と。となると「このままだとサーバーがさすがにまずいぞ」と。そのまま朝まで対応が続きました。

何が起きていたかというと、テストユーザーなどには「あと3日で公開!」と伝えていたので、公開された瞬間に友達を招待してくれて、そこから倍々に広がっていったのだと思います。

中心になったのは、完全にインスタのストーリーでした。中高生のコミュニティで最も見られているのって、やっぱりストーリーなんですよ。友達ならみんな見ている場所ですし、そこで紹介されるとインパクトがある。

ストーリーには、ストアのリンクも載せられるので、そこから登録してまた友達を招待して、というサイクルが回ったのだと思います。

寝落ちして起きるとサーバーがまた落ちていたのですが、そのまま初日に国内App Storeで1位になるほどで、1日目から反響はすごかったですね。

公開後に「想定外だったこと」はありますか?

原田:
想定外だったのはサーバーコストです、これは予想を遥かに超えていて。

僕は、前職(ジラフ)で「Peing-質問箱-」の事業責任者をやっていたのですが、その規模のサービスと比べても、比較にならないレベルでした。

理由は、位置情報の共有アプリは、常にバックグラウンドで更新する必要があるためですが、その「情報を更新する頻度」がとにかく多かった。

通常のアプリは開いたときに「最新の情報」があればいい。でも位置情報のアプリは開いていなくても「位置情報」を更新しないといけません。

海外でも一気に広まったため、日本と海外でアクティブな時間帯がずれて、アクセスのピークの山が複数できたことも、コストを引き上げました。

海外にはどのように広がっていったのでしょう?

原田:
海外にはTikTokから広まりましたね。TikTokって「バズった動画に、似た動画がまたバズっていく」という特性を持つため、ユーザーの紹介動画がどんどん連鎖して生まれていったんですよ。

1人が「新しいアプリが出たぞ」とwhooを紹介してくれて、それがバズるとまた別の人が動画を出す、という流れが世界中で起きました。

当初は日本語と英語だけでしたが、いろんな国から「私たちの言語にも早く対応して!」と連絡が山のように来て、多言語対応も進めましたね。

日本と海外での違いとしては、海外のユーザーは「自分の行動」への関心が高くて、日本のユーザーは「友達の行動」への関心が高い、という傾向があるのかなと感じました。

問い合わせ内容を見ていると、海外のユーザーは「自分の位置が違います」「私は今ここじゃないですよ」というものが多いんですよ。

一方、日本では「友達が動いていない」といった問い合わせが多いんです。自分より「友達がどこにいるか」の関心が高いようです。

アプリのユーザーが増えたことで「どんな課題」が生まれてきましたか?

原田:
次に起こったのは「お金の問題」でした。会社の残キャッシュの10倍くらいのサーバーコストが掛かっていて、なんとか資金調達するしかないと。

これまで自由にやらせてくれていた株主からも「ファイナンスを最優先にしましょう」と言われていました。でも僕はプロダクトをつくらないとダメだと考えていたんです。

ユーザーがいるから、このサーバーコストが掛かっているわけで、ここで他のアプリとの競争に負けて、プロダクトが死んだら意味がないなと。

それで1ヶ月だけ待ってもらって、プロダクトの開発を進めました。例えば、Androidへの対応は一刻も早く進めないといけないものでした。

Androidを待つユーザーが沸騰寸前で。「僕だけ学校でハブられています!助けてください!」といった声もたくさん届いていたんです。

そこから1ヶ月後にファイナンスを進めて、MIXIさんから資金調達をすることができて、お金の課題はひとまず解決することができました。

プロダクトを優先した判断は「間違ってなかった」と感じますか? その理由も教えてください。

原田:
プロダクトの開発を優先した判断は、僕は間違っていなかったと思います。一番いいものを作れたからこそ、本質的なことに集中できたんです。

例えば、僕らはTikTokの広告はやっていません。他アプリはプロモーションをたくさんかけています。でも2番手3番手なら確実にやっていましたね。

やはり「プロダクトが良い」ということが起点になって、ユーザーが加速度的に増えていったのではないかと感じます。

あとは、位置情報の共有アプリって、バッテリー消費が課題になるので、複数アプリを入れるのが非現実的なんですよ。つまり基本1個しか入れない。

そして、誰かが「あのアプリに移動しよう」と言っても、高校のクラス・バイト先・塾の友達など、コミュニティが複数あると簡単に移動できません。

その友達には別の友達がいるし、その友達にもまた友達がいてと、コミュニティがいくつもあるから、全員で移動するのは不可能なんです。

結果として、「みんなwhooを使っているから、whooを使わざるを得ない」という状態をつくれたところは、完全に強みになったと思います。

—-

【取材協力】
株式会社LinQ:https://www.linq.co.jp/
whoo:App StoreGoogle Play
原田さん:@g_o_u_s_u_k_e

【告知】LinQさんでは、各職種で採用も強化中。プロダクトマネージャー(PM)やマーケターやエンジニアなど募集しているとのこと。ご興味ある方は下記のサイトよりどうぞ。
https://fallacious-ridge-38b.notion.site/LinQ-inc-whoo-7790d93a3994440981ac5eb55e50780f

※続きのマニアックな事例は5つほど、note購読者向けにまとめています。whooで効果があった成功施策、ソーシャルアプリの企画から公開までのプロセス、β版テストで抑えるポイント、などご興味あればご覧ください。
https://markelabo.com/n/n913cb0f0292c

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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