売上65億円の配信サービス「ツイキャス」成長の裏側。スマホにインカメラがついて配信がコミュニケーションツール化した話

2022年12月19日 |
0
Pocket

※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2022年8月30日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n6e72c084c70e

ライブ配信サービス「ツイキャス」さんを取材しました。


※モイ株式会社 代表取締役 赤松 洋介さん

①初期の「ツイキャス」はどのように成長したのか?

赤松:
ツイキャスは2010年にはじまりました。当時は、世界で3番目の「iPhoneでライブ配信ができるアプリ」だったので、そこそこ注目を集めていました。ちなみに、1番目がUstreamで、2番目はKnocking Live Videoでした。

当時、iPhoneの「ライブAPI」という、非公開APIを使わないとライブ配信を実装できなかったのですが、Appleさんから特別に「ライブ配信アプリ」には審査を通すという案内が出て、駆け込みで審査に出しましたね。

ツイキャスがこだわったのは、配信UIを「縦画面」にしたことでした。配信をコミュニケーションとして捉えるなら、横画面の配信だと両手が塞がってしまうので、縦画面にしないといけないなと。

配信者層の変化としては、初期は「配信好きな男性ユーザー」が多かったのですが、iPhone4からフロントカメラがついたことで「お話が好きな女性ユーザー」も増えていきました。

配信の内容にも変化がありました。初期は、アウトカメラで何かを映す配信が多かったのですが、インカメラがついたことで、おしゃべりやメイク配信が増えていったんですね。

つまり、フロントカメラがついて、スマホに向かって話しかけられるようになったことで、配信がコミュニケーションに広がっていったんです。

②配信者の増加に貢献したのは「コラボ機能」

赤松:
一番のターニングポイントは、2014年に「コラボ機能」がついたことです。これも配信のコミュニケーションツール化を加速させました。

当時、コラボの機能はなかったのに、スカイプをつかって「コラボ配信」をされている方がいたのを見て、公式機能としてつくってみようと。すると、多くの方がコラボするようになり、配信をはじめる方も増えました。

コラボにあがると「配信を半分体験」することができます。それが配信者への「ステップアップ装置」として機能したんですね。

またその前年くらいに、ツイッターに爆発的に「中高生が増えてきたこと」も掛け合わさって、ユーザーの基盤がつくられていきました。

ツイキャスには「オンツイ機能」という、配信でコメントするとツイッターにも投稿される機能が、当時はデフォルトで「オン」になっていたため、コメントを起点に、ツイッターから人が入ってくる流れができました。

当時のツイッターは、今よりもリアルタイム性が高く、ツイートが時系列で表示されていたため、生配信との相性も良かったと感じます。

③ユーザーの高齢化が進むとサービスが廃れる

赤松:
コミュニティサービスで、最大レベルに危険だと思うことは、サービスの運営歴が10年経ったときに、ユーザーの平均年齢も10歳上がることです。

古参ユーザーの方に、長く使っていただくのは良いことですが、新しい若い層が入ってこなくなって、文化が固定されるのは良くないんですね。

サービスが陳腐化しないように、いろいろな層の方がいらっしゃりつつも、若い方が中心となるように、設計することを意識しています。

④「配信サービスの運営」で大事にしていること。

赤松:
今まで誰とも繋がれなかった時間に、ツイキャスが人と人を繋げることで、新しいコミュニケーションが生まれる。これを一番目指しています。

例えば、ツイキャスには「1枠30分」の枠がありますが、これは配信者にとっても「配信を切るタイミング」をつくるほうが気楽だと考えました。

いきなり「1枠だけ30分やるね」とはじめて、それで「もう枠が終わるから切るね」と、スッとやめられるのも良いところかなと。

配信の上限時間(雑談は4時間)は、配信者が疲れすぎないように、また4時間まで完走することの「充実感」を得られやすいようにしました。

コメントするまでもないけど、反応できる仕組み(スタンプやアイテム)を用意することで、コミュニケーションのハードルも下げています。

⑤有料の配信サービスが売上成長につながった。

赤松:
2020年3月に「プレミア配信」という、有料配信ができるサービスを公開したところ、本当にたくさんの方に使っていただけました。

みなさんお家にいて「人との交流」が取りにくかった部分が、コミュニケーションプラットフォームに、うまくマッチングしたのが大きいです。

コロナ禍に入り、コミュニケーションに対して「より対価を払っても良い」と感じられる方が多くなってきた、というのは事実だと思います。

プレミア配信をはじめたことで、ライブコンサートや落語やプロレスなど、色々な方が入ってきてくれて、ユーザー層の裾野が広がりました。


—–

【取材協力】
モイ株式会社:https://about.moi.st/ja/
ツイキャス:https://twitcasting.tv

【告知】モイさんでは、各職種で採用も強化中。エンジニアやマーケターなど、募集しているそうです。ご興味ある方は下記サイトよりどうぞ。
https://about.moi.st/ja/career/

※続きのマニアックな事例は3つほど、note購読者向けにまとめています。初期のグロースに貢献した施策、機能改善をするときに意識していること、などご興味あればご覧ください。
https://markelabo.com/n/n6e72c084c70e

0
Pocket

アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
スポンサーリンク
広告掲載
btn_fb btn_tw btn_rss

Latest stories

Related stories