サイトの「安定化・高速化」で月300万円の売上の改善に。SUZURIが語る「年間流通額20億円」までの成長の裏側と、売上急増につながった「夏のセール」伸ばす3つの工夫

2021年01月25日 |
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※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです。
https://markelabo.com/n/nceba7e39248f

オリジナルグッズがつくれる「SUZURI」さんをインタビューしました。


※ GMOペパボ株式会社 SUZURI事業部 部長 安宅 啓さん、プロダクトチーム マネージャー 吉田 真世登さん、ディレクター 牧山ミルテさん

SUZURI(スズリ)について教えてください

安宅:
SUZURIは、オリジナルアイテムを作成・販売できるサービスです。現時点のユーザー数は68万人、登録クリエイター数は38万人となっています。

クリエイターさんは「イラストやロゴ等」でオリジナルグッズをつくって、自由に販売することができます。

2020年は「年間流通額で20億円」を超える規模になっていて、1〜9月の流通額だと前年比で3倍に成長している状況です。


※ アプリ版もあるが、利用者の多さは「スマホのブラウザ版」がメイン。

SUZURIはどのように成長してきたのか?

SUZURIはどのように始まったのでしょうか?

安宅:
最初は、GMOペパボの新規事業として、4人で小さくはじめました。自分も含めて他の部署と兼任している人もいましたね。

はじまりは、GMOペパボ社長の佐藤が「誰でも売りたいものを簡単に作って売れるサービスが流行る」みたいな話をしていて。

実際に、ネットショップ作成サービスのお客さんからも「ネットショップをやりたいが売るものがない」という声が挙がっていました。

そこで、提携してくれる工場をネット検索で探して、サイトを開発して、2014年にSUZURIを公開しました。

ただ、2014〜2015年はあまり使われずでした。無料でモノをつくって届ける仕組みも、そこまで理解されませんでしたね。

2017年にSNSで「サコッシュ」がトレンド入り

安宅:
2016〜2017年は、月の売上が1,000〜2,000万円の時期が長かったですね。

ひとつ印象的だったのは、2017年の10月に「サコッシュ」というアイテムを追加したところ、ツイッターで大きく話題になったこと。

それまでSUZURIでは、Tシャツやマグカップなど「普通に便利なモノ」が中心だったので、サコッシュは初めての挑戦でした。

しかし、僕たちが「きっとみんな喜んでくれるはず」と思うものを追加した結果、SNSで話題にしてもらうことができました。

安宅:
その時は本当に売れすぎてしまって。当時は在庫管理も十分ではなく、在庫が足りなくなってしまったほどでした。

同じメーカーが出している、元になる「サコッシュ」を渋谷で探してきて、在庫をかき集めたりもしましたね。

その頃から「SNSで影響力のある人」に使ってもらえることも増えてきて、SNSで良い流れがつくれることにも気付きました。

2018〜2020年にサービスが成長した

安宅:
2018年には、SUZURIをもっと伸ばしていこうと、SUZURIを事業部化して、社内的にも投資を進めていきました。

2018年は、10アイテムくらい積極的に追加していって、月売上も4,000万円ほどまで成長することができました。

そこから、2019年の8月は売上が9,900万円に。2020年には53人の組織になり、6月には売上3億円まで到達できました。


※ 流通額=(SUZURI側の利益+工場への支払い原価)+トリブン、売上=(SUZURI側の利益+工場への支払い原価)

売上成長の起点になった「夏のセール」

SUZURIの「売上の成長」につながった施策があれば教えてください。

安宅:
2017年から実施している「夏のセール」が一つのきっかけになって、流通額を大きく伸ばすことができました。

ここ数年の「夏のセール」の流通額は、前年比で2〜3倍に伸び続けていて、セールを起点に口コミが広がる流れがつくれています。

セールを盛り上げる工夫①「買う理由をつくる」

牧山:
セールの力ってすごく強くて。とくに「お祭り感」をどれだけ出せるかで、大きく盛り上がりが変わってきます。

例えば、セール直前にTシャツのカラーバリエーションを増やすと「新色も出たからセールの時に見てみてね」と告知しやすくなる。

ただ、値段を安くするだけではなくて、セールで買う理由を増やすことで、SNSでも口コミが広まりやすくなります。

セールを盛り上げる工夫②「告知画像を用意する」

牧山:
あとは「セールの告知画像」を運営で用意することで、クリエイターさんがSNSでの告知をしやすくなるように工夫しています。

クリエイターさんって「自分で何かつくること」に積極的な人たちなので、こうした画像を配布すると喜んでもらえますね。

セール中はツイッターでの「SUZURIの言及数」は10倍になるので、告知の促進には力を入れています。

セールを盛り上げる工夫③「サイトの安定化・高速化」

安宅:
2020年は、SUZURIのサービスの「安定化・高速化」に力を入れました。

以前は、セールが「トレンド入り」するくらい話題になると、サービスが落ちてしまう瞬間があったり、重くなることがありました。

そこで、サイト負荷対策を実施したのと、売上に直結するページ(TOPページ、商品詳細ページ等)を、1秒以上高速化しました。

その結果、月300万円以上の売上改善につながりました。年間だと数千万円は売上を伸ばせたという試算になります。

セールで流通額が伸びるのは納得ですが、サービスとして利益は出ているのでしょうか?

安宅:
はい。1点ごとの利益率は下がりますが、注文数自体が大きく伸びるので、セールをしたほうが利益も伸びる、と考えていますね。

セールで口コミが増えると、セール後に自然流入する利用者数のベースが、グッと1段階上がる効果もあって、それも期待しています。

SUZURIで見ている指標は、クリエイターさんの利用者数、アイテムの追加数、購入者のUUなどで、そうした数値にも良い影響が出ます。


SNSを盛り上げる工夫「プレビュー画像をつくる」

安宅:
SUZURIでは、画像をアップするだけで、本当にグッズがそこにあるようなプレビュー画像が、生成されるようになっています。

プレビュー画像があれば、モノがなくても「商品を販売スタートしました」と、SNSで告知することもできますよね。

購入側も利用イメージがわきますし、新規クリエイターさんが見たときに、グッズをつくりたくなる効果もあると思います。

吉田:
ロングのTシャツなどでは「モデルさんの着用画像」が生成されます。

個々のクリエイターさんが、モデルさんに服を着てもらって撮影する、というのはやはり大変ですよね。

Tシャツは皺もリアルに見えるようこだわっています。ステッカーなどは、どこかに貼られた合成画像が生成されます。

SUZURIの運営を振り返ると「この判断は分岐点だった」と思えることってありますか?

安宅:
必要以上に「安売り」に走らずに、利益が出る体質をつくれたことです。

SUZURIのTシャツって、2,000円くらいから作れるのですが、今って1,000円でTシャツが買えるって、当たり前の時代じゃないですか。

「もっと値下げすべき」という議論は社内でもあって。これは何度も考えたのですけど、結果的に「安売り」はしなかったんですね。

これにより、適切な価格で良いものを提供し、利益をプロダクトの改善やサービスの品質を高める活動に、投資することができました。

結果、ユーザーさんへの付加価値も高められたと思うので、当時の判断は間違っていなかったと考えています。

SUZURI:https://suzuri.jp/
公式ツイッター:https://twitter.com/suzurijp

【告知】SUZURIさんでは、各職種で採用募集中とのことで、ご興味ある方は下記サイトよりどうぞ。エンジニア、ディレクター、デザイナーなど。
https://recruit.pepabo.com/info/career/

※続きは、マニアックな話をnote購読者向けにまとめています。シェア文言変更でクリック率2倍、リマインドメールの改善で流通額+月3桁万円UP、などご興味あればぜひご覧ください。
https://markelabo.com/n/nceba7e39248f

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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