今年、若いスマホユーザーを中心にインタビューをして、印象的だったユーザー行動やトレンドなどを9つまとめました。
※全体を正確に調査したものではありません、あくまで参考までにご覧ください。
<目次>
1、若者が「インスタで検索」している3つの理由。
2、スマホで「文字を読まない」若いユーザー。
3、音声検索は「キッズ」と「シニア」に浸透中?
4、日本のソシャゲユーザー(100万借金ガチャ夫、廃課金ヘソクリ主婦)
5、早送りレシピ動画は「時短・邪道・受け身」がウケている。
6、なんでも「スクショ」してシェアされる時代(LINEでの悪口や失言も)
7、スマホ時代の「テレビ視聴」について。
8、写真加工で「セミプロ化」するインスタ女子。
9、SNSの普及により「ハプニング/サプライズ」の価値が上がった。
1、若者が「インスタで検索」をする3つの理由。
インスタで「検索」する人を、想像以上にたくさん見かけました。なお、女子大生100人に聞いてみたところ、49%が「インスタ検索している」という結果に。
では、どうして「インスタ検索」なんてつかうのでしょう? なにが便利なのでしょうか。グーグル検索じゃダメなのでしょうか…。
そこで、いろいろな人に話を聞いて、内容をまとめてみたのですが、おおよそ以下3つの理由に、分類することができるように思いました。
・ホントのことを知りたいから(プロの「宣伝写真」より、素人の「リアルな写真」が真実)
・写真は文字よりも直感的だから(スクショしてシェアもしやすい)
・そもそも「何が知りたいのか?」を知るため(その後、改めて「グーグル検索」する)
それぞれ簡単に、具体例を紹介したいと思います。
ホントのことを知りたいから。
とある大学生の方は、インスタ検索で「焼肉店にいった人の写真」をチェックして、「ホントに肉質が良いか?」を検証するそうです。
つまり、お店のホームページの写真では「すごくおいしそう!」であっても、実際のところは「写真ではよく見せているだけではないか?」と、疑われているわけですね。
とくに、いまの若い女性は「自撮りを加工する」のも当たり前ですし、お店の写真が「盛ってあるかどうか」も、敏感に分かってしまうのかも。
女子大生:焼肉にいくときは、インスタで検索して「肉の厚さ」まで、きびしくチェックします。笑
だって、お店の宣伝写真って、信用ならないじゃないですか。写真を盛っているからです。女の子が「自撮り」を盛るのと一緒で。
「写真検索」は「文字検索」よりも直感的だから。
ふたつめは「文字よりも写真のほうがいい」という意見。「グーグル検索」は文字ばかりで疲れてしまう、とまでいう方もいました。
また「写真はスクショして送れるから、情報と感情をシェアしやすい」という利便性もあるようです。
女子大生:グーグルの検索ってめんどくさくないですか? 検索すると「うわぁ〜っ」って、文字ばっかり出てきて。それが、疲れるんですよね。
しかも、いちいちタップしないと、自分の欲しい情報なのかがわからないし。インスタなら写真なので、すぐに「これ良いじゃん!」ってなりやすいんです。
ひとつ、補足しておきたいのは、これは「グーグル離れ」が起きているというより、用途による「検索のつかい分け」がはじまっているのでは、ということ。
実際に「スマホ検索」について、アンケートをしてみたのですが、スマホにおいても「検索エンジン」は、頻繁につかわれているようです。
そもそも「何が知りたいのか?」を知るため。
三つめが、そもそも自分が「何を知りたいのか?」を知るために、インスタで検索するという行動です。
たとえば、クレープのレシピをしらべたいときに、インスタで「つくりたいクレープ」のイメージを膨らませてから、クックパッドで「レシピをキーワード検索する」という方がいました。
テキストでの「キーワード検索」をするために、その前にインスタで「インスピレーション」を得るための検索をしている、という感じでしょうか。
女子大生:このまえ、おうちでクレープつくりたくなって、インスタで「手作りクレープ」や「お家クレープ」と検索しました。
それを見て「こんなのつくれるんだ!」と参考にしてから、詳しいレシピは「クックパッド」で検索しました。
2、スマホで「文字を読まない」若いユーザー
SNS育ちには「短くてわかりやすい」がスタンダードである。
今年、スマホで「文字を読みたくない」という人に、たくさん出会いました。中でも、アメリカの女子大生の意見は、とても参考になります。
女子大生:私たちにとっては「短くてわかりやすいもの」がスタンダード。SNSで育ってきたので。文字ばかりだと、読む気がなくなります。
Facebookは文字が多くてつかれちゃう。政治や時事ニュースの「長文ポスト」なんて読みたくない。大人って長文でも気にしないですよね。新聞で「文面でニュースを読むこと」に慣れているから。
「メールなんて読んでいない」という若者
また、すこし関連する話で「メールなんて読まない」という意見も印象的でした。
女子大生:メールは文字がめんどくさい。あと、すぐどっかいっちゃうし。スクショで保存しておいたほうがいいです。
大学からくるメールも、友達から『こんなのきてるよ』ってスクショで送られてきます。
女子大生:迷惑メールが毎日100件くらいくる。ブロックするのもめんどくさいし、やり方もよくわからない。だから”未読 何万”のまま放置してる。
おそらくですが、若いユーザーたちはスマホを「長文を読む端末」だと認識していない、ということなのかなという気もします。
たとえば、大人の例でいうと、テレビのニュース番組がはじまって、画面いっぱいに文字がでてきたら、「うわっ、読むのめんどくさい」と感じるのではないでしょうか。
そういう、「ビジュアルでみることが前提」のメディアにおいて(とくに受け身のとき)、文字が出てくると「めんどくさいなあ」と思ってしまうのかも。
3、音声検索は「キッズ」と「シニア」に浸透中
スマホの「音声検索」なんて、日本だとあまりつかわれてない、そんな印象がありますが、うまくハマっている意外なユーザーも見かけました。
YouTubeで「音声検索」をつかう子ども。
まず、文字が読めない「小さな子ども」のみなさん。子どもには「YouTubeで好きな動画を検索したい」という切実なニーズがあります。
文字が読めない子どもにとって「音声検索」は革命的です。ただ「アンパンマン」としゃべるだけで、欲しい動画がでてくるわけですから。
主婦:うちの子は「音声検索」をよくやります。マイクを押してしゃべると、子どものふにゃふにゃした発音でも認識してくれる。
検索は「虫眼鏡マーク」だし、音声検索は「マイク」だし、アイコンがあれば、文字が読めない子どもでも、「音声検索」がちゃんとつかえます。
夫が「音声検索」をやる人なんですよ。それを見て、真似して遊んでいるうちに、覚えちゃった感じでしたね。
スマホ操作に「音声検索」をつかうシニア。
そして、もうひとつは「シニア」に音声検索がウケているようであること。理由としては「スマホの操作方法」を覚えなくていいから。
こちらについては、大阪でスマホを売っている家電店員さんに、聞いた話が参考になるかと思います。
家電店員:お年寄りの「音声検索」への食いつきは、めちゃくちゃ半端ないです。グーグルの音声検索で「美空ひばり」と言ってもらって、動画がでてくると、みんな「うおぉ!」ってなりますよ。
あと「音声検索」ならスマホの操作を覚えなくてもいい。ガラケーの「ポチポチ入力」から、「フリック入力」にいくのって、大変じゃないですか。
お年寄りは「スマホを開く」のも、めんどくさいらしいんですね。だから、若い人が思うよりも、ずっと便利に感じるようです。
4、日本のソーシャルゲームユーザーたち
今年、いろいろな「ソシャゲユーザー」に聞いたお話のなかから、印象的だったエピソードを、いくつかピックアップしてご紹介します。
「黒猫のウィズ」で愛を深めて結婚した主婦
主婦:遠距離恋愛だったので、パソコンでスカイプをつなぎながら、「黒猫のウィズ」を一緒にやっていました。
とくに「ガチャ」は、二人のほうがはかどります。自分の引きが悪いときは「悔しい!わたしもう一回引く!」となりますし。笑
主人は口数がすくない方ですし、スマホゲームがなかったら、結婚してなかったと思います。男の人って「自分の好きなこと」だと饒舌になりますよね。
100万円を借金してまで「ガチャ」を回したかった二児の父
会社員:いままで、累計100万円ちょい(「DQM SL」70万円、「星ドラ」30万円)つかいました。会社でガチャ引くと、みんな喜ぶんですよね。「話題づくり」というか、その場のノリみたいなもんです。
イベントの軍資金として、借金もしてしまいました。銀行から50万円、消費者金融から50万円。利子は9%でしたが、ボーナスで返せば良いやって。
「ストレス発散」っすね。平日はずーっと会社で仕事して、土日も自分の時間がとれなくて。気持ち的に追い詰められて。
「ログレス」に200万円を課金した主婦。
主婦:(ログレスに)トータル200万円は課金しました。最高だと月100万円です。結婚前に貯めていた「ヘソクリ」をつかいました。
とくに「上位のプレイヤー」とパーティを組むようになってくると、張り合っちゃうんですよね。レベルに付いていけないと、誘ってもらえなくなる。それが怖くて、課金してしまうというか。
あと、ずっと女の子だと思っていたら、突然チャットで「おれ」って言い出して、「実はおじさんだった」ということもありました。
サバイバル型の「イケメン課金システム」にハマった女性
フリーター女性:一番ハマったのは「私のホストちゃん」という恋愛ゲームです。これはガラケーのamebaゲーム(現在は終了)でした。
中でも「ランキング制度」のせいで、めっちゃ課金しました。これは「ゲームに張りついてる時間」と「つかった課金額」で、ユーザーのランキングが決まるんです。
フリーター女性:あとメインのイケメンが6人いるんですけど、そのキャラごとにも「人気ランキング」があって。たしか、全ユーザーの課金額によって「ランキング」が決まる。「AKBの総選挙」みたいな。
それで、ビリになったキャラは、ゲームから抹消されて、新しいイケメンに入れ替わる。もう会えなくなっちゃう。だから「サバイバル」なんですよ。ファンにとっては。
5、レシピ動画は「時短・邪道・受け身」がウケてる
Facebookなどで見かける、オシャレな「早回しレシピ動画」。これは「時短・受け身・邪道」の3点がウケているようです。
時短:動画を見ただけで「何切りにする」「こうコネる」とわかるのが良い。
邪道:フライパンだけでつくる「ギョウザもどき」など、ササッとできる「邪道っぽさ」が良い。
受け身:Facebookに流れてくる動画を見て、冷蔵庫に材料があったらつくる。
そして、クックパッドなどの、従来型「レシピサイト」と「早回しレシピ動画」では、かなり用途がちがっている、という意見も参考になります。
この2つは「競合するのでは」と考えていたのですが、実際は「役割が大きく異なっている」というのが、正しい認識なのかもしれません。
6、なんでも「スクショ」してシェアされる時代。
「スクショ」は誰かにシェアするもの。
スマホになって「スクショ」がとても普及しました。女子大生に「スクショ」について、アンケートをとってみた結果がこちらです。
ポイントとしてはこの2つでしょうか。
・スクショを多くの人が「シェア」していること(100人中81人)
・シェアする先としては「LINE」がメインになっていること(81人中66人)
LINEでの悪口も「スクショ記録」が当たり前。
たとえば、LINEで「おもしろ発言や悪口」を発見したら、「アイツ、あんなこと言ったんだよ」と、ほかの人にスクショで送るのも、当たり前のことになっていると。
女子大生:LINEで「恥ずかしいこと」をいうのは、ほんとに信頼してる人だけ。告白もLINEですると、下手したら一生さらされる可能性がある
7、スマホ時代の「テレビ視聴」について
スマホ時代になって「テレビ視聴」に変化は起きているのか。以下は、女子大生に「テレビとスマホ」について、聞いたときにでてきた意見。
一瞬でも「つまらない」になると、スマホが時間をうばいにくる。
テレビがつまらないシーンに突入すると、スマホがその「スキマ時間」に入り込んで、テレビから時間をうばってしまうことも。
女子大生:最近、テレビが最後まで見きれないんです。たとえば、ドラマなんて1時間も見れません。
見はじめたとしても、途中で「ダレるシーン」になった瞬間に、スマホが気になりはじめるんですよ。
「LINEきてないかな」とか「ライフたまったからゲーム」とか。それで、そのままスマホに没頭しちゃう。
LINE通話をつなぎっぱにして「一緒にテレビを見る」
また、LINEを「つなぎっぱ」にして、友だちと一緒にテレビをみると、より「テレビ視聴がたのしくなるよね」という意見もありました。
女子大生:友だちと「LINE通話」をつなげっぱなしにして、サッカー観戦するとたのしいです。たとえば「いまのはファインプレイ、なぜかというと…」みたいに解説してくれたり。
そうすると、一人で見るより楽しめるし、一緒に試合を見ているような感覚になります。
8、写真加工で「セミプロ化」するインスタ女子
インスタグラムなどの影響なのか、女性を中心に「写真加工スキル」というのが、すごく高まっているように感じました。
「おじさんのキス顔」もキレイに加工されてしまう。
こちらは「汚めなおじさんのキス顔」を、なんとかして「オシャレっぽい写真」に変えてくださいと、実験的に大学生に依頼したものです。
結果、さまざまな加工アプリで改造され、「韓国のイケメン風にしました」と戻ってきたのですが、ホントにオシャレっぽくなっていました。
ただのおじさんの写真が、「美白アプリ」でヒゲを塗りつぶされ、「ヘアアプリ」で髪の毛は増毛されて、「フィルター」をかけられ、オシャレ写真化してしまったのです。
スマホで「背景の加工」も消してしまう。
また、加工されているのは「自撮り写真」ばかりではありません。
たとえば、みんなで雨の日に写真をとったとき、足元に置いた「カサ」がうつってしまったら、それを加工で「消してしまう」なんてこともできるそうです。
9、SNSの普及により「ハプニング/サプライズ」の価値が上がった。
SNSが普及したことで、みんな心のどこかで「ハプニング/サプライズ」が起こることを、求めるようになっているのではないか、と感じます。
なぜなら、SNS上でたくさんの「シェア/いいね」を集めることができるため。「体験のレアリティ」にレバレッジがかかりやすくなった、というか。
インスタで「サプライズボックス」が人気である理由
インスタでは「サプライズボックス」という、プレゼント箱のような形の、手づくりのメッセージボックスが流行っているそうです。
これは、プレゼントした相手の「感動している様子」を撮影できて、その動画をインスタにアップして、「自分がほめられること」も含めて人気になっているとか。
※箱を開けると、飛び出す絵本のような仕掛けで、中から手紙や写真がでてくる。
いいねが欲しいばかりに「ネタ画像」をとってしまう。
ツイッターで注目を集めるために、「ネタ画像」をとっているという大学生。
まず、友達にエキストラとして協力してもらい、わざわざ学校の教室で「授業中」のような演技をしてもらって、その中でふざけたポーズをとる。
すると、ツイッターで「授業中になにやってんのwww」的なリアクションとともに拡散されていくと。
アメリカには「いいね交換アプリ」も出現。
アメリカでは、インスタで「いいね」を交換するアプリも出現。まったく「いいね」がつかないよりは、無理にでも増やしたほうが、幸せな気持ちになれるという意見も。
アメリカの大学生:インスタにアップするアカペラ動画に、たくさん「LIKE」が欲しいです。幸せな気分になるから。
知らない人からの「LIKE」でも、完璧ではないですが、気分は良くなりますよ。笑
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