※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2022年6月27日)数値などは取材当時のものです。
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見積もり依頼プラットフォームの「ミツモア」を取材しました。
※株式会社ミツモア 代表取締役CEO 石川 彩子さん、取締役CTO 柄澤 史也さん
「ミツモア」について教えてください。
石川:
ミツモアは「くらしからビジネスまで」プロに見積もり依頼できるプラットフォームです。最大5件の見積もりを、最短1分で取得できます。
2022年6月時点で、累計依頼数は180万件を突破していて、売上もここ数年は「毎年2倍」ほどに成長しています。社員は250名ほどで運営しています。
最初の1年半は売上が伸びずに、銀行残高が数百万円、月の赤字も数百万円という状況で、1ヶ月後には「会社が潰れるかも」という瞬間もありましたが、なんとか資金調達ができて、現在では安定して成長も続けられています。
初期のミツモアはどのように事業者を集めたか
転換点になった「Aiによる見積もり自動化」の機能
これまでにミツモアを運営してきて「転換点になったこと」があれば教えてください。
石川:
ミツモアの転換点になったのは、見積もりの手間をゼロにするために、事前に設定をすると、見積もりが自動算出される仕組みをつくったことです。
もともとは、ユーザーから「見積もり依頼」が来たら、事業者さんが手動でそのときそのときで見積もりを送る、という仕組みだったんですね。
それだと、忙しくて対応できなかったりと「見積もりの手間」が事業者さんにかかってしまうので、AIマッチした事業者さんの見積もりを自動算出するシステムをつくって、この問題を解決しようと考えました。
※自動見積もりへの転換時に、事業者への課金モデルも「応募課金」→「成約課金」に変更した。
柄澤:
この転換によって、事業者さんから「見積もりがくる数」の平均も2〜3倍になりました。時間が取れなくても、見積もりを送れるようになるからです。ユーザーからすると「速さ」も大事ですが「多く届く」ことも大事です。
前は1日たって「見積もりが届く」こともありましたが、今は10分ほどで届くため、待ち時間も短くなりました。すると、温度感が高いうちに比較できますし、依頼者の体験も全く違ったものになります。
結果としては、ユーザーのCVR(成約率)が3倍ほどになって、依頼あたりの売上も大きく上昇しました。これは大きな転換点になりました。
石川:
ミツモアのKPIは「GMV(流通総額)」です。GMVとは「依頼数 × 成約率 × 成約単価」で決まりますが、成約単価って努力では改善しにくいので、依頼を増やして成約率を上げることが大事。成約率を上げる一番の要素は、ちゃんと「良いプロ」が応募してくれるかどうかなんですね。
真実を知るには「一次情報に当たれ」
石川:
先ほどの「自動見積もり」の機能は、はじめは税理士さんの「確定申告」のカテゴリから実験的にスタートしました。
この機能を考えていたとき、実は周りの人や業界人から「税理士は自動化を嫌がるはず。こんなのは使わないよ」と100回くらい言われていました。
理由は、「税理士は”先生意識”が高くて権威性を重視する」「ヒアリングして見積もりを出す”一種の不透明さ”で食べている」といった意見でした。
しかし、実際に試してみるとそんな事実はなくて、若い税理士さんはとくに「仕事が取れるなら使いますよ」と、見積もり自動化という合理的な仕組みを喜んで受け入れてくれました。
ここから学べたのは、一次情報に当たることの大切さと、事業者の労働生産性の向上を突き詰めることが大切だった、ということです。
業界の知識人のお話というのは、鵜呑みにしないほうがいいと思いました。究極テストするまではわからないから、自分が「こうだ!」と信じたらテストすべきだと思います。
成約率の改善につながった3つのABテスト施策
施策① AIが「見積もり」を届けるスピードのABテスト
石川:
見積もり依頼をユーザーが送ると、AIが最適な事業者を選んで「最大5つの見積もり」を返すのですが、その見積もりの届き方のスピードをテストしたことがあります。
例えば、直後にバーっと見積もりが届くよりも、多少は時間差を設けて徐々に見積もりが届くようにしたほうが、CVR(成約率)が改善しました。
自動返信にも「時間差」をつけて順々に情報を届けたほうが、ユーザーにとっては見積もりを比較しやすく、人間が一生懸命に書いている「手作業感」も出るため、体験が良くなったのかなと考えています。
施策② サイトの「キャラ」を変えると成約率も変わる
石川:
ミツモアのサイト上に登場する「キャラのデザイン」をテストしたところ、シカのキャラが一番CVR(成約率)が高い、という結果になりました。
「税理士」といった堅めのカテゴリでも、シカちゃんの数値が一番良かったので、結論としては「かわいいは正義だね」となりました。
ちなみに「人間の写真」と「キャラ」でも比較したのですが、動物キャラを使用したほうが、CVR(成約率)が20%くらい高かったです。
施策③ シカを「ウィンク」させるかで成約率が変わる。視線誘導のデザインも大切。
石川:
見積もりの依頼ページで、シカちゃんに「ウィンク」させるアニメーションを入れると、これだけでCVR(成約率)が高くなりました。
ABテストをしていると、ほんの少し動きやアニメーションをつけるだけで、数値が大きく改善されることもよくあるんです。
ほかには、見積もり時の「選択肢」を、時間差でふわっと表示すると、自然に視線が動くようになるからか、CVR(成約率)が改善しました。
時間差をつくって視線を自然に誘導する、動きをつけて視線をうまく運んでもらう、こうした工夫はわりと効果が出やすいですね。
ミツモアのABテストって、8割は「負け or 変わらない」で終わって、2割は「勝ち」で数値が伸びます。精度を上げるには「過去の負け」を積み重ねることで、それができると施策の勝率が上がっていきますね。
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【取材協力】
株式会社ミツモア:https://meetsmore.com/company
ミツモア:https://meetsmore.com/
【告知】ミツモアさんでは、各職種で採用も強化中。マーケター、PM、エンジニアなど募集しているそう。ご興味のある方は下記サイトよりどうぞ。
https://meetsmore.com/company/recruit?
※続きのマニアックな事例は5つほど、note購読者向けにまとめています。月売上に数百万円以上(当時)インパクトのでたABテスト、待ち時間の工夫で滞在時間が改善したABテスト、などご興味あればご覧ください。
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