スマホゲーに「レア」がでてくる理由と、人間が「課金したゲーム」を消せない心理。海外コンサルが教える、ゲームに使われている7つの心理テクニック。

2015年12月09日 |
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今回は、ゲームコンサルタントのドリーさんによる「スマホゲームでつかわれている心理テクニック」の解説をまとめました。(資料等はドリーさんから翻訳許可をいただき掲載しています)

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※ゲームコンサルタントのDori Adar(ドリー・エイダー)さん

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うまく出来ているスマホゲームでは、ユーザーが思わずアクション、課金してしまうような、心理的なテクニックがつかわれています。

もちろん、ゲーム開発者の中には、そういう「テクニック」が好きじゃない人もいると思うけれど、現実にそうなっていることは、認めざるを得ません。

今回の資料では、最近のカジュアルゲームでつかわれている、7つの心理テクニックを紹介していきたいと思います。

心理1「損失を回避したい」

まず一つ目は「損失を回避したい」という心理です。人間というのは「なるべく、痛み(苦しみ)から逃れよう」とする生き物なんですね。だから、ゲームであっても損失はだしたくない。

ちなみに、人間は「もらえそうだった利益が手に入る」よりも、「もらえるはずだった利益がなくなった」というほうが、2倍も強く「痛み」を感じます。

それをゲームに応用したのが「損失回避のトラップ」です。たとえば、ゲームオーバーになったとき、ユーザーはその1プレイで手に入れたアイテムを失いたくない。だから、コンティニュー課金をしてしまう。

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ユーザーの決断を急がせるため「タイマー」をつかうケースもあります。タイマーがゼロになったところで、何も起きないんですけどね。これは緊張感を演出している。

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Tinder(デートアプリ)では、気に入った女の子が見つかったけれど、間違って「×」を押しちゃったときに、課金すると「元に戻す」ことができます。

ここで課金してしまうのは、ユーザー心理としては当然なんです。人は「損失を回避」するために、お金を払うんですから。

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補足:「損失の回避」日本でいうとこんな感じ?
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心理2「進歩している感を与える」

ゴールに向けて「進歩しているぞ」と感じた人は、より熱心にゴールを目指すようになります。

そのため、ゲームにおけるレベルシステムは、ユーザーに「進歩」を与えることを、目的につくられています。最初のプレイの直後には、ちゃんと「進歩」が用意されている。

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タイマーゲージをつかって、「進行状況」をあらわすゲームがよくありますよね?

これは「ココまで来たからには、ゲージを満タンにしないと!」と、心理的に感じさせる仕掛けになっているんです。(つまり、途中でやめにくい)

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それと、途中途中に「ご褒美(アイテムやコイン)」がもらえるタイプの、進歩ゲージを見たことがあると思いますが、これも実際ウソみたいに効果があります。

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あとは、材料を集めていくタイプのゲームで、最初から「必要な素材」を、いくつか持っていることってありますよね。つまりこれも、そういうことなんです。

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シンプルに、はっきりと「ゴールまでの距離」を示す。たったこれだけで、ユーザーはゲームを遊び続けてくれます。本当、びっくりするくらいに。

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心理3「嫉妬と恥」

他人が「すごい才能」「すばらしい成績」「立派なモノ」を、持っているのを目にしたとき、人は「嫉妬と恥」を感じてしまうものです。

よく「街づくり」をするタイプのゲームを遊んでいると、(自分より進んでいる)他プレイヤーの街を、目にすることがありますよね。

もちろん、これは意図的に見せているわけです。「嫉妬と恥」を感じさせて、ユーザーをゲームに引き込むために。

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最初のチュートリアルのときには、わざと「良い装備」でプレイさせて、その後に改めて「レベル1」からスタートするゲームもありますよね。(強くなったときの「気持ち良さ」をはじめに体験させる)

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あと「他人の進行状況」と並べることで、プレイヤーに「自分は遅れている」と意識させる手法もあります。メッセージアプリの中で、自分の下手っぴなスコアが表示されると、すごく恥ずかしいです。

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補足:「嫉妬と恥」日本でいうとこんな感じ?
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心理4「返報性の原理(もらったら返したくなる)」

人からポジティブな対応をされたら「自分もポジティブに反応したい」と思うものです。たとえば、誰かに何かもらったときには「ちゃんと、お返ししなくちゃ」と感じますよね。

「キャンディクラッシュ」で友だちからライフをもらったとします。すると、その友だちが困ったときには、助けてあげたくなる。ゲーム内でも「恩返し」は高い確率で起こるんですね。

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「King of Thieves」には、プレイヤーが宝石を盗まれたとき、友だちがそれを「取り戻す」ことができるシステムがあります。これも助けてもらったら「いつか恩返しをしなくては」という心理になる。

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心理5「欠乏効果」(レアなものが欲しくなる)

人は「めったにないもの」や「珍しいもの」を、無意識に「欲しい」と考えてしまうものです。

ゲームの世界には、たくさんの「レア」なアイテムがありますよね。これは単純にそうすることで、それをプレイヤーが欲しくなるからです。

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「さあ期間限定、今だけのスペシャルオファーだよ!」といわれると、なんだか特別に感じませんか。ある意味、これって「人工的につくられた欠乏感」というわけです。

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「人工欠乏感」と「損失の回避」、2つの心理テクニックを組み合わせるとこうなります。

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「いまから1時間39分の間だけ、超強い武器がつかえます!」そんなこと言われたら、しばらくゲームを続けざるを得ないですよね。

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心理6「トリガー効果」

「プレイヤーが欲しいモノ」と引き換えにして、運営側が「プレイヤーにしてほしいアクション」を提示すると、ユーザーにアクションしてもらえやすい。

例えば、Facebookに「いいね」してくれたら、カギがもらえる。
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インスタでフォローしてくれたら、ジェムがもらえる。
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動画広告をみてくれたら、カギがもらえる。
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心理7「もったいない心理(授かり効果)」

人は「自分の持っているモノ」を高く評価してしまいます。たくさん課金したゲームをやめるのはとても難しいんです。なぜなら「手放すのはもったいない」と感じてしまうから。

「キャンディクラッシュ」では、難しいステージをクリアするたびに、実はゲームをやめるのも難しくなっていくわけです。

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がんばってがんばって、「ヘイデイ」ですごく立派な農場をつくった。この状態でアプリをアンインストールなんて出来ないですよね。

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苦労して集めたキャラを消してしまうのは、恐ろしく「もったいないこと」のように感じてしまいます。

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補足:「もったいない心理」日本でいうとこんな感じ?
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おさらい

さて、最後におさらいも兼ねて、ここでちょっとしたクイズを出してみますね。

以下のゲーム画面でつかわれている「心理テクニック」はなんでしょうか? 答えは・・・「進歩している感を与える」と「トリガー効果」です。

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これはどうでしょう? 答えは・・・「進歩している感を与える」と「損失の回避」ですね!

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これでおしまいです、ユーザーの行動についてもっと知りたい人は、ぜひDoriAdar.comもご覧ください!

協力:Dori Adarさん
参考サイト:DoriAdar.com7 Psychological Tactics Used in Games

まとめ

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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