縦型ショート動画はクオリティより素人感。ほぼ無風だったアプリ「PLUG」がTikTokでのチャネル発掘をキッカケにMAU12万人まで急成長した方法。

2023年06月05日 |
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※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2023年3月24日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/nc5bb54320fa4

ショッピングアシストアプリの「PLUG」さんを取材しました。


※株式会社STRACT 代表取締役 伊藤 輝さん

「PLUG」について教えてください。

伊藤:
ECサイトを訪れたユーザーに対して、最安値情報・キャッシュバック・クーポンを届けるアプリです。2022年に正式リリースをしました。

現在は約25万ダウンロードに到達していて、月間のアクティブユーザー(MAU)は約12万人、月間流通総額(GMV)は約1億円となっています。※

仕組みとしては、Safariのブラウザ拡張機能をベースに、個人情報を取得しない形でURL情報から価格比較やキャッシュバックなどを提供します。

※ 価格比較やキャッシュバック経由でユーザーがECで購入すると、成果報酬(アフィリエイト)で収益が入るモデル(購入総額がGMV)


※伊藤さん自身がエンジニアだったため、Safariの拡張機能が公開されたときに、Apple公式のドキュメントや動画を見ながら開発スタート。数ヶ月でベータ版が完成した。

適切なチャネル発掘がプロダクトを成長させる

アプリ公開時の「初期の手応え」と、どうプロダクトが成長していったのかを教えてください。

伊藤:
2021年11月にβ版を出したときはあまりにも無風でしたね。公開したらバズるかもとすこし期待したのですが、本当に何も起こらなくて…。

それでユーザーを集めようと、1月頃にインスタに広告を出すと、1DLあたりの獲得コストが約1,000円という結果になったんですね。

いや、これはさすがにこれは高すぎるぞと。このまま広告でユーザーを拡大しても回収できないはず。何か良い方法はないだろうか…。

結局、最初の数ヶ月間(2022年の3月まで)は、ほぼユーザー数が伸びないという状況が続きました。

ただ諦めかけていたときに、取締役の大川が、スマホで撮った動画を、スマホで編集して、約1時間でつくった動画をTikTokの広告に出したんですね。

すると、その広告がすごく上手くいって。インスタで約1,000円だった1DLあたりのコストが、TikTokでは2桁円になったんですよ。

つまり、広告コストが1/10以下になって、広告の効率が10倍になった。広告からダウンロードした人も、離脱せずにアプリをつかってくれました。

β版では「維持率」を検証していて。ブラウザ拡張を「オフ」にされずにつかわれ続けるかをみると、維持率が非常に高いこともわかりました。

つまり、PLUGというアプリは「縦型のショート動画広告」と相性がめちゃくちゃ良いということが発覚して、そこから流れが変わったんです。

結果としては、約25万ダウンロードに到達するまでは、縦型ショート動画広告を中心に集めることができました。もしここに気づけなかったら、今頃PLUGはなかったかもしれません。

縦型ショート動画はクオリティより「素人感」

どうして「縦型のショート動画」とここまで相性が良かったのだと思いますか?

伊藤:
なぜ良かったかというと、縦型ショート動画って「最初の5秒」が勝負なんですよね。そこがPLUGとすごくマッチしていたからです。

Amazonの画面を出して「最安値が見つかりました!」と、クラッカーを鳴らすと「最初の5秒」で価値をわかってもらえたんですね。

最初に「なんだこれ?」と引き込み「そういうことか!」と5秒で伝える。この要素との相性がとんでもなく良かったわけです。

同じTikTokでも、インフルエンサーさんを起用した動画は全然伸びなくて、画面をただ写したような広告がすごく伸びた。

反応が良かった広告は、スマホの画面を録画して、無料アプリで編集して、自分でアフレコして喋る、本当にただそれだけのもの。

つまり、自信を持って言えることとしては、縦型ショート動画というのは、クオリティじゃなくて「素人感こそが大事だ」ということなんですよ。

とくにTikTokって、ユーザーが投稿する「CGM型のメディア」なので、間違いなく素人感があったほうがハマりやすいのだなと。

PLUGの立ち上げの経験談から「教訓」としては、どんなことが言えると思いますか?

伊藤:
最初の一歩目は「色々なチャネルを試すべきだった」と言えると思います。ひとつのチャネルでダメだったからといって、ユーザーに刺さっていないというわけではないということです。

ツイートが全然バズらなかった、プレスリリースに反応がなかった、そこは気にする必要はなくて、「当たる人に当たっていないだけだ」と考える。

人だけではなくて「場所や伝え方」という要素もあります。インスタとTikTokにいる人って、そこまで大きな差はないと思うんですよ。

でも、フォーマットが縦型動画になったことで「伝わるベネフィットの量」が全然違ってきて、ユーザーの反応も全く変わってきた。

モノは良いけれどユーザーに刺さっていないのだと思っていましたが、実際はチャネルも伝え方も悪くて、僕らがやり切れていないだけだった。

PLUGは「その商品は何なのか」を5秒でわかる形で、縦型動画でキャッチーに訴求したことで、プロダクトの成長がはじまったんです。

プロダクトの指標を改善できた3つの施策

改善施策① ローディングUIで離脱者が9割減

伊藤:
PLUGの価格比較の機能で、ユーザーに価格比較を待ってもらうときの、ローディングのデザインを変更すると、離脱率が大きく下がりました。

具体的には、ぐるぐる回るだけの「スピナー型」から、進捗を伝える「プログレスサークル型」に変更したところ、離脱者が90%減になりました。

スピナー型だと「読み込み中」だとわかるだけでいつ終わるかわからない。3秒待っても終わらなかったら「固まっているかも…」と思われて、離脱するユーザーも出てきてしまう。

それを「プログレスサークル型」に変えると、今どれくらいの状況なのかがわかるようになって、みんな待ってくれるようになった。

待ち時間が早いか遅いかよりも、現在地がどこかを伝えたほうが、人間心理的には「待ってくれやすくなる」のだなと実感しました。

改善施策② 不満をぶつけるクッションを置いたらストアの評価が改善

伊藤:
価格比較の結果の画面に、フィードバックを受け止める仕組みを入れたところ、アプリストアの評価が改善されました。

なぜかというと、価格比較に不満が出てしまったときに、それをぶつける場所がないと、ユーザーはストアに低評価をつけてしまうためです。

具体的には、価格比較は検索エンジンなので「間違ったらごめんなさい」と言い訳をしつつ、不満点をアプリ内でぶつけてもらうようにしました。

すると、ストアにわざわざ評価として書かなくなるため、低評価が増えてしまう影響を最小限に抑えることができました。

どうしても不満が出やすいポイントには、意見をぶつけるクッションのようなものを置いて、その場で発散してもらうと良いかもしれません。

施策③ オンボーディングの工夫で有効化率改善

伊藤:
初期のPLUGでは、拡張機能を有効にするまでの手順がちょっと複雑だったため、当初は有効化率が20%くらいだったんですよね。

しかし、オンボーディングに色々な工夫を入れることで、有効化率を約70%ほどまで引き上げることができました。

例えば、有効化までのステップは動画で説明するよりも「3ステップ表記」にしたほうが有効化率が上がりましたね。

また、オンボーディング中に有効になっているかを「チェッカー機能」で、確認できるようにしたのも効果がありました。

つかいはじめるまでに「タイムラグ」があるケースも多いため、オンボーディング中に確認してもらう方がよかったですね。

PLUGのデータを分析して「わかったこと」はありますか?

伊藤:
PLUGを入れた後に、ずっと高い頻度でユーザーがつかってくれることです。実際に離脱率から計算すると拡張機能の維持期間は平均26ヶ月ほど。

20万ダウンロード以上という状況でも、高い数値を維持できているので、どんどんサービスの価値が積み上がることが期待できます。

ユーザーの約60%が「週1回以上」は機能をつかっていて、既存ユーザーからの売上が当月の8割以上を占める、というデータも出ています。

ECサイト側で面白い結果になっているのは、PLUGと提携したECサイトは、平均でCVRが約1.5倍、リピート率が約1.3倍になっていることです。

お得感にユーザーの気持ちが後押しされることで「お得になるなら今買おうかな」となりやすいのだと思います。

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【取材協力】
株式会社STRACT:https://stract.co.jp/
PLUG:https://lp.plugapp.jp/
伊藤さん:@hkrit0

【告知】STRACTさんでは、各職種で採用も強化中。とくにプロダクトマネージャー(PdM)などを募集しているそうです。ご興味のある方は下記サイトよりどうぞ。
https://career.stract.co.jp/

※続きのマニアックな事例は5つほど、note購読者向けにまとめています。プッシュ通知の許諾率を80%以上にした事例、キャッシュバックの利用率を改善した工夫、PLUGの運営で見る指標、などご興味あればご覧ください。
https://markelabo.com/n/nc5bb54320fa4

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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