「デザインがかっこよすぎて80%が離脱」サイバーエージェントのお料理日記アプリ「ペコリ」がハマった意外な落とし穴。

2014年10月29日 |
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サイバーエージェントさんのお料理コミュニティアプリ「ペコリ」についてプロデューサーの野口さんにお話を伺いました。

pecolly_noguchi
※株式会社サイバーエージェント「ペコリ」プロデューサー野口さくらさん。

「ペコリ」をつくった理由。

「ペコリ」について教えてください。

野口:
ペコリは手作り料理に特化した「お料理コミュニティアプリ」です。約2年前にリリースして20人ほどで運営しています。(プランナーが2人で、残りはエンジニアとデザイナー)

アプリは約70万ダウンロードで、WEBもあわせると月間200-250万人の利用者が使ってくれています。ユーザーとしては90%以上が女性で、20-40代の料理好きな主婦がほとんどですね。

アプリはiOSとAndroidだとどちらが多いでしょうか?

野口:
iOSのほうが多いですね。(iOS50万ダウンロード、Android20万ダウンロード)

AppStoreの「フードカテゴリ」でランキング10位前後をキープ出来ているので、ダウンロード数はiOSのほうが高いです。

pecolly_userdata

どうしてペコリをつくったのでしょうか?

野口:
まず「お料理のコミュニティって良いな」って思ったんですよね。

スマホで料理の写真を撮ったりするけれど溜まっていく一方ですし、かといってFacebookに料理の写真をあげると「うわ、料理自慢で良い女アピールかよ」って思われそうで、なんとなく嫌じゃないですか。笑

だから、「料理の写真を投稿する場所が欲しい」というニーズはあるんじゃないかと思ったんです。

実際amebaでもお料理ブロガーはたくさんいましたし、当時mixiの一番大きいコミュニティだった「手作り料理」には60万人も参加者がいたんですよね。

なるほど、「料理を気軽に投稿できる場所」が実はなかったと。

野口:
はい。そこから、お料理好きな人に話を聞いてリサーチもしてみたんです、そしたらお料理を「作業的」に感じている主婦の方がすごく多かった

つまり、朝ごはんが終わったら昼ごはんのこと考えないといけないし、その次はまたすぐ夜ごはんや、子どものお弁当が待っている・・・。

しかも料理って日常化しているから、がんばって料理をつくっても、旦那さんからも褒めてもらえない。

なんなら、子どもからは「これまずい!」とか言われることもあるわけです。そりゃ楽しくならないですよね。

だからペコリを「報われる場所」にしたかった。ペコリで褒められて、自己顕示欲が満たされて、お料理が頑張れる場所にするというのはコンセプトとして大切にしました。

さっきペコリに登録してトムヤムクンの写真(フリー素材)を投稿したら「ペコリ」が40くらいついた。こんなにリアクションがあるものですか?

野口:
初投稿も含めて、1投稿あたりに平均111くらい「ペコリ※」されるんです。

「新着」というところに載るので、そこからペコリしてくれる人が多いと思います。(※ペコリ=「いいね」的なこと)

「あ、こんなに褒められるんだ」ってちょっとびっくりするじゃないですか。すると、二回目も投稿してもらえやすいんですよね。

データ上も1回投稿した人の90%以上の人が二回目の投稿をしてくれていて、良いループが出来ているかなと思います。

pecolly_like
※結局、トムヤムクンの画像(初投稿)は「75ペコリ」まで伸びた、初回からこんなにリアクションされると嬉しい。

みんな、褒められるのが嬉しいってことですかね。

野口:
そうですね。実際ユーザーアンケートをとってみたこともあるのですが、「自分の投稿に対してリアクションが欲しい」っていうユーザーは90%いたんですね。

やっぱり「誰かに反応して欲しい」「誰かに褒めて欲しい」というニーズはすごく強いんだと思います。

デザインはかっこよすぎてもいけない。

開発時にこだわったのはどこですか?

野口:
極限まで簡単にしたことですね、写真の投稿自体がめんどうだとやっぱり続かないと思うので。

インスタグラムみたいな感じで、おしゃれで、料理がおいしそうに見えて、っていう価値はぶらさないよう気をつけました。

カメラのフィルターはどうでしょうか?

野口:
カメラのフィルターもこだわりましたね。数は今でも最低限にしていますが、最初は「カメラ研究家」の人に聞きにいったり、何度も何度も写真を撮りまくって試しました。

「手作り料理の写真」って、家庭の蛍光灯の下でもおいしそうに見えるかがカギだったりする。「光の種類×食材」に応じた、おいしそうに見えるフィルターづくりにはかなりこだわりましたね。

リリース当初で課題だったことは?

野口:
実はリリース当初、新規登録ユーザーの80%が7日後には離脱してしまっていた。つまり、7日後に再来訪してくれるユーザーが20%程度と、とても低かったんです。

これはなぜかというと、デザインをかっこよくしすぎてしまったから。

え、デザインがかっこよすぎるとダメなんでしょうか?

野口:
よくいうとスタイリッシュなのですが、テキストの量が圧倒的に少なくて、あまり説明をしないデザインになっていた。

主婦の方々に「私のくるところじゃないな」って思われてしまったんです。それに気づいて、「WEBサービスっぽいデザイン」につくりなおしたところ、再来訪率を10%以上も改善させることが出来ました。

つまり、「当時(2012年頃)の主婦の方のスマホリテラシーにあったデザインになっていなかった」ということですよね。

今はスマホが当たり前になって、皆さんの感覚も変わってきているので、それに合わせてデザインも変えていっています。

pecolly_design
※左がリリース当初の「80%が離脱してしまった」という旧デザイン。ピンタレストっぽくて左のほうが今風に感じる。

「投稿してくれるユーザー」を育てることに注力し、数字が伸びた。

ペコリのユーザーデータで特徴的なものはありますか?

野口:
ペコリは他のサービスと違っておもしろいのが、初めて「投稿」をするまでに(新規登録から)1ヶ月以上かかる人が約50%いるんですよね。

どういうことかというと、最初1ヶ月は人の料理に「ペコリ」したり、「真似したい」(※レシピをブックマークすること)を押して、楽しんでいる人が多い。

そして継続的に使っていくうちに「自分でもやってみようかな」となって、投稿してくれるパターンが多いです。

ユーザーが大きく伸びたタイミングはありますか?

ペコリをリリースして間もない頃に、初めて「ダカイ」をしたタイミングです。

「ダカイ」という言葉はサイバーエージェント用語で、「短期的には数字は下がるかも知れないけれど、大きく成長させる為に抜本的な策を投下する」という意味です。

cyberagent_dakainoma
※サイバーエージェントには「打開の間」という部屋もあるらしい。

どんな策を投下したんでしょうか?

野口:
「参加型ユーザーを育てる」という方向に舵を切りなおしたんです。

コンテンツが少ないうちは、ペコリに投稿をしてくれる「参加型ユーザー」を育てて、世界観をつくっていかないといけない。

当初「見るだけのユーザー」に向けた、「レシピ」などのコンテンツも充実させようとしてしまっていたんです。

そこを方向転換することで、うまくユーザーや数値が伸びはじめました。7日以内のユーザー再訪問率も、10~15%程度改善できました。

今後の展開について教えてください。

野口:
もっとペコリの楽しさを広めて行きたいと考えています。ユーザー自身がつい口コミしたくなってしまうような、仕組みを考えていきたいですね。

また、あまりマネタイズが出来ていない状況なので(現状、少しだけ広告を入れている)、今後はタイムラインにネイティブアドを入れたり、企業タイアップのプレゼントキャンペーンなど、試していきたいと考えています。

取材協力:株式会社サイバーエージェント

ペコリ
pecolly_icon

編集後記

デザインの話おもしろいですよね。「かっこよすぎてもいけない」というよりは、「ユーザー層にあったデザインにしましょう」ということですかね、なかなか珍しいケースだと思う。

Facebookに料理の写真をあげるのは「料理自慢で良い女アピール」というのもなんか深い。見る側は特に思わないけど、投稿するほうが気にしちゃうという、日本人っぽい現象な気がします。

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。有料マガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。【配信提携】LINEニュース【過去連載】週アスPLUS、マックピープル。アプリの取材申請はコチラのページから。
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