3年のソシャゲ企業生活からの「独立と怒り」が生んだアプリ「TIME LOCKER」が世界70万DL。作者が語る日米でのウケ方が「狙いと真逆」になった理由

2017年01月23日 |
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AppStore「Best of 2016」にも選ばれた、時間を操るシューティング「TIME LOCKER」の開発者さんにお話を聞きました。


※個人開発者の大塚(Sotaro Otsuka)さん

「TIME LOCKER」ができるまで

「TIME LOCKER」をつくりはじめたときのことを教えてください。

もともと「TIME LOCKER」をつくりはじめたときは、ソーシャルゲームの会社で働いていたのですが、自分にとって、おもしろいゲームがつくれる環境ではありませんでした。

3年間も自分を殺していたので、ものすごい「怒り」みたいなものが、溜まっていたんですよ。「自分がつくりたいものはこれじゃない」って。

それで、独立することに決めました。そして、その「怒り」をエネルギーに点火して、つくったのが「TIME LOCKER」でした。


※ゲームシステムは、「SHOOTY SKIES」を参考しつつ、そこに「SUPER HOT」の時間凍結システムを組み合わせた。

「TIME LOCKER」が売れる保証もないのに、独立したのは怖くなかったですか?

独立するのは怖かったですし、今でも怖いですよ。

どうなるかわかりませんでしたが、「失敗したら、再就職して…」というのは、頭の中にはありませんでした。絶対そうはならないぞ、という気持ちでした。

あと、怖い気持ちもありましたけど、逆に「やっと自分の好きなモノがつくれる」という喜びもありました。だから、毎日の作業もたのしかったですね。

「TIME LOCKER」をつくるときにこだわったところはどこですか。

いちばんは「操作感」です、触り心地に繋がるところにはこだわりました。

とくに、タッチパネル上で「指をスライドする速さ」に応じて、ゲーム内の速度が変化していく操作性は、なかなか良く出来たと思っています。

あと気をつけたことは、暴力が嫌いな人が多いから、できるだけ「暴力的な表現」にならないよう、血が飛び散ったりしないようにしました。

それと、ゲーム中の効果音を、基本「ポ」とか「パ」の単音にしました。これは「音」を長くしてしまうと、時間の流れが変化したときに、違和感がでてしまうためです。

「TIME LOCKER」ユーザーのデータ

いま「TOME LOCKER」のダウンロード数はどのくらいですか。

ダウンロード数は、70万ダウンロード(iOS 50:Android 20)に届いたところです。国別でいうと日本のユーザーが一番多いですね。

最近、ダウンロード数が大きく伸びたのは、AppStoreの「Best of 2016」に選ばれて、12月にストアトップでフィーチャーされたときです。

あとは、Android版を出してから、アメリカと韓国でのダウンロード数が、12月にグワーッと伸びました。理由はよくわかりません。

国によって「ユーザーデータ」に傾向がでているところはありますか?

ユーザーの残り方には、かなり差が出ています。とくに、韓国は「アンインストール率」がすごく高くて、すぐにアプリが消されてしまいます

韓国では、計6万ダウンロードされているのですが、もう1万人しか残っていません。残りの5万人はすでにアプリを消してしまったんです。

逆に、日本とアメリカは、なかなかアプリを消しません。この2つの国では、いまでも全ダウンロード数の、約半数のユーザーが残っています。

想定外だった「日本と海外ユーザー」のウケ方

「TIME LOCKER」を出してみて、意外だったことはありますか?

実は、日本でウケたのがとても意外でした。もともと、海外向けのつもりだったんです。日本人はこのゲームは好きじゃないだろう、とさえ思っていました。

それが結果としては、アメリカ人にはあまり理解されず、逆に日本人にはおもしろがってもらえる、そんなゲームになりました。

どうして「予想と真逆の結果」になったんでしょうか?

おそらく「ゲームがストイックすぎた」というのが理由です。

やっぱり、欧米人って「おれにルールを合わせてこい」なんですよ。なので、欧米であそばれるには、もっと「カジュアルさ」が必要だった。

逆に、日本人(アジア人)は忍耐強いんですよね。だから、与えられたルールが難しくても、自分から努力して「環境」に適応していける。

日本で複雑なソーシャルゲームが成立するのもそう。みんな努力してすぐに学習してしまうから。逆に、それをアメリカで出すと「わけがわからない」と言われてしまう。

なるほど。

もともと、僕は「カジュアルなゲーム」をつくろうとしていて。だから「TIME LOCKER」からもパラメーターを排除するようにしていました。

いちいち「数値」を確認してやるゲームって複雑ですよね。個人的にも「これはドンと爆発するから強い!」とか、それくらいの感覚が好きなんです。

ただ、カジュアルすぎてもつまらないから「サイレントのパラメーター」をつけることにした。つまり、キャラや武器に裏側でパラメーターをつけたわけです。

そうしたら、いつの間にか「複雑なゲーム」に寄ってしまって。結果的に、カジュアルと複雑なゲームの、ちょうど「中間ポジション」のゲームになりました。

もし「リリース前」に戻れるとしたら、変えたいところはありますか?

いまの「キャラの消費制」はやめて、手に入れたキャラをずっとつかえるようにします。

実際、アメリカではその「消費制」が不評なんですよ。たぶん「クロッシーロード型」のゲームが浸透していて、キャラが「自分のモノになる」のが当たり前だから。

僕としては「キャラの性能」が変わる以上は、キャラクターは「消費制」にしないと、みんな同じキャラばかりつかってしまう、と考えていたんですけど。

でも、欧米人的にはそれは好きじゃないみたいだった。おそらく「そこまでゲームをやりこむ気がないから」という理由もあると思います。

マーケティングや収益について

「ダウンロードを伸ばす」という意味で、何かやったことはありますか?

アプリを公開したあと、海外メディアにプレスリリースを送りました。ほぼスルーだったのですが、「Touch Arcade」と「ゲームキャスト」だけは即座に反応してくれて。

初期のころに、AppStoreの8カ国くらいでフィーチャーされたのも、タイミング的にその2つのメディアが、キッカケだったのではと思っています。

ゲーム終了後の「スコア画像のシェア」はうまくいっていますか。

そこそこ「画像のシェア」はされている気がします。つけて良かったと思えるくらいは。

その話でいうと、マーケティングとして感じたのは、やっぱり「白い背景」は良くなかったなあと。なぜなら「スクショ」で切り取ったときに映えないからです。

ツイッターなどでシェアされたとき、メディアで記事をかいてもらったとき、パッと「スクショ」でみたときに、魅力的にみえないんですよ。

だから、どこの瞬間を切りとったときにでも「おもしろそうな画」になるというのは、とても重要なことなんだなと思いました。


※それもあって、ストアのスクショは「ぱっと見」で賑やかに見えるようにしている。

アプリの収益的にはどうでしょうか。

収入でいうと「普通に働いてる人」と同じくらいです。開発費は取り戻して、今年1年はゲームをつくっていく活動費が確保できた、という感じ。

売上の比率は「広告85%:課金15%」というところです。広告は動画リワードだけ。バナーやインタースティシャルは好きじゃないので。

印象に残っている「ユーザーからの感想」はありますか?

嬉しかったのは「ハマって徹夜した」という感想です。逆に、心にズキっときたのは「SUPERHOTのパクリだ」と言われたことです。

自分では「これはインスパイアだ」と自信を持っていましたが、実際に「パクリだ」と言われると、自分は悪いことしてる罪人なんじゃないか、という気になってしまいました。

でも、最近はもう慣れてきました。初期のころは鬱になってしまい、寝込みかけたこともありましたが。

これから「ゲーム開発者」になりたい人に、アドバイスするとしたら何かありますか?

そうですね…「本当に自信がある方」だけやったほうがいいと思います。もう「自分がやらなきゃ」という使命感を持っているくらいに。

それくらいでないと「人から認められるモノ」ってつくれないと思うんです。たぶん「アプリで一儲けしよう」「なんか楽しそう」という根性だと、成功しないんじゃないでしょうか。

あと「最初のモック」は大事です。モックに時間をかけて「これが完成したら超おもしろい」というものができたら、最後まで続けられるので。「TIME LOCKER」もそうでした。

中途半端に「ディテール」から入ってしまうと、頓挫してしまいやすいんです。だから、まずは「超おもしろいモック」をつくることが重要です。

取材協力:Sotaro Otsuka

TIME LOCKER(iOS/Android

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編集後記

「TIME LOCKER」開発者さんのツイッターを見てると、ゲームづくりを楽しんでいるのがとても伝わってきます。

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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