広告収入5,000万円超え・・!?中毒ゲーアプリ「白いとこ歩いたら死亡」作者が語るアメリカンドリーム。

2014年08月19日 |
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本日は愛知でアプリ開発をしている「field Walking」さんのインタビュー記事をお送りします。今年アメリカのAppStoreで総合2位を獲得し、業界で話題になった中毒ゲー「白いとこ歩いたら死亡」の開発者さんです。一体どのくらいのダウンロード数&収益額だったのか・・・貴重な話が盛りだくさんです。

fieldwalking_kinoshita01
※field Walking代表の木下さん。とても温厚な方。

「白いとこ歩いたら死亡」について。

「field Walking」について教えてください。

木下:
愛知県の豊橋で2012年から自社アプリをつくって活動しています、2014年の4月に法人化しました。メンバーは私がプログラミング、グラフィックデザイナー、広報の3人です。

元々はパソコンのゲーム(仲間うちで遊ぶレベル)をつくっていたのですが、「どうせならアプリとして出したほうが面白いのでは」と考えアプリ開発をはじめました。

一番ヒットしたアプリはなんでしょうか?

木下:
圧倒的に「白いとこ歩いたら死亡」のダウンロード数が多いです。

最初はAndroid版が日本で2012年にヒットして、気が緩んで半年くらい遊んでいたんです。そのあと2013年の12月にiPhone版をだしたところ、今年に入ってなぜかアメリカですごくヒットしました。

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「白いとこ歩いたら死亡」のダウンロード数はどのくらいなんですか?

木下:
iOSが600万ダウンロード、Androidは400万ダウンロード、累計で1,000万ダウンロードは突破しています。国でいうと、日本とアメリカで半々くらい(米国のほうがちょっと多い)という状況です。日本と米国以外はまったくでしたね。

アメリカのAppStoreでは最高何位までいきましたか、1日のマックスのダウンロード数は?

木下:
アメリカでは総合2位が最高順位でした。その日は米国のみで1日17万ダウンロードくらいされましたね。日米あわせてダウンロードがマックスになった日は、26万ダウンロードです。

あと感じたことは、米国AppStoreのユーザーレビューは、日本よりも良心的なレビューが多い。「中毒になった!」「ハマった!」みたいな褒めコメントが、多めだったとおもいます。

最初の企画はどんな感じで出来たのですか。

木下:
当時は大学生だったのですが、電車の中でふと思いついた感じだったかと思います。言うまでもなく「子どもがタイルを歩きながらする妄想遊び」をゲーム化したものですね。

最初は仲間うちで遊んでいて、予想外に盛り上がったのでアプリとしてリリースしました、開発期間は3日くらいですね。「白いところを踏んでしまうとサメに噛まれる」というのは、僕の地元のローカルルールがそれだったからです。

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※これが「白いとこ歩いたら死亡」の企画時の1枚のメモ。割と今のままだ。

「白いとこ歩いたら死亡」はアメリカでどうして大ヒットしたのでしょうか?

木下:
うーん、それがまったくわからないんですよね、結構一気に火がついた感じでした。幸い、英語のローカライズ(翻訳)に関しては、当初からやっていました。
※英語タイトルは”Don’t step the white tile”

海外のヒカキン的な有名Youtuberの方に紹介してもらったというのはあるのですが、実はそれもダウンロードが伸びだした後なので、本当の要因ではないと感じます。

よく周りの人に言われるのは「Flappy Bird」がストアから消えたタイミングだったので、ちょうど「第二のFlappyを探せ!」という雰囲気があり、中毒性の高いゲームに注目が集まっていたということです。

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※↑「Flappy Bird」は世界中でヒットした中毒ゲーアプリ。「一日500万円の広告収入がある」と話題になった。

「白いとこ歩いたら死亡」の収益性は、1ダウンロードあたりどのくらいなんですか?

木下:
収益性は1ダウンロードあたり5-7円くらいです。(※課金はないので広告収益のみ)「全画面広告を入れたら?」などとよく言われるのですが、広告はそこまで多く入れていません。

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※「白いとこ歩いたら死亡」の米国でのランキング推移。

クローンにパクり、一瞬で増えた「子孫」たち

米国でヒットした時に、やったことはありますか?

木下:
広告を差し替えました。元々AdLantisをつかっていたのですが、米国の広告の表示率がそこまで良くなかったので、iADに変更しました。iADにした理由は特にないです、なんとなくアメリカが強そうだったので。笑

日本と比べてもアメリカの広告単価は、そこまで極端には違わなかったですね、日本よりちょっと劣るというレベルでした。

海外の人たちもこのゲームの設定ってわかるんですか?

木下:
あ、それは理解しているみたいですよ。海外のタイルみたいな場所の写真をアップしている人も見ましたし、この遊びは世界共通なのかもしれません。

「白いとこ歩いたら死亡」がアメリカでヒットした後、パクり(クローン)アプリが一杯でてきましたよね。

木下:
たくさん出てきましたね、もちろん嫌ですし複雑な気持ちではありますけど、1日もあればコピーできるシンプルなゲームなので、どうしようもないなと・・・。ちなみに、海外では勝手に「White Tile 2 – Don’t Tap and Step The White Tile」という続編(?)もでています。笑

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※「白いとこ歩いたら死亡」の海外の子孫たち。ほぼコピーの第一世代、ルールなどがアレンジされた第二世代も登場した。

こうした中毒性の高いゲームアプリだと、すぐ飽きて消してしまう人も多い?

木下:
はい、細かくデータをとっているわけではないのですが、1回遊んですぐアンインストールしてしまう人と、中毒になってずっと遊び続ける人の、2パターンに分かれるとは感じます。

ただ、やはりカジュアルゲームの寿命は短いので、3ヶ月も経てば、アクティブユーザーはかなり減ってしまいます。なので、例え1,000万ダウンロードされたとしても、半年もたってしまうと、売上は当てにならないレベルにまで落ちてしまうと思います。

「白いとこ歩いたら死亡」がヒットしたことでどんなことが起きましたか?

木下:
英語のメールがすごくたくさん届きましたが、ほぼ迷惑メールフォルダに振り分けられました、そして英語が読めないので、実はほとんどメールを読んでいないので内容はわからないです・・笑

それと、僕はヒットがでるとダラダラしちゃう、そこはデメリットかもしれません。やっぱり追い込まれた方が、開発スピードなどは確実に上がりますね。

他につくっているアプリで、開発者の参考になりそうなエピソードはありますか?

木下:
懐中電灯のアプリをつくっているのですけれど、AppStoreで累計17回リジェクトされてしまいました。めげずに審査をだしていたところ、最終的にAppleから電話がかかってきて「残念だが、このフラッシュライトアプリが審査に通過することはないよ(いい加減にしてね)」という感じで電話をもらいました。

懐中電灯アプリと、効果音を鳴らすだけのサウンドアプリは、AppStoreにあふれすぎているのか、余程オリジナルなアプリでないと審査が通らないようですね。つまり「平凡なアプリはだしちゃダメ」ということですね。これは、Appleのガイドラインにもかいてあることですが。

これからアプリ開発者をはじめたいという人にアドバイスするとしたら?

木下:
難しいですね・・・「白いとこ歩いたら死亡」のように何がヒットするかわからない世界ですし、「いいんじゃない、やってみたら?」と言うことしか出来ないですね。

ありのままの自分の感想を話すと、アプリをつくっている時は、やっぱりすごく楽しいです。ただ、安定がない世界なので常に将来が心配ではあります。

取材協力:field Walking

白いとこ歩いたら死亡(iOSAndroid
whitetile_icon

編集後記

それにしてもすごい話だ、1DLの収益性5-7円で1000万ダウンロードなので、単純計算で推定5,000万-7,000万円の広告収益ということ。

たぶん日本のアプリ(カジュアルゲーム)でアメリカでここまでダウンロードされたアプリってないですよね。ココッパでも累計2,500万ダウンロードで、米国比率が30%くらいなので、800万ダウンロードくらいかな。

こういう実例を見ると、英語のローカライズくらいはやっておいたほうが良いよなあと感じます。さすがにこのパターンは誰にも予想できない。アプリを英語対応していないばかりに、ものすごい大きなチャンスを逃す可能性は0ではない。

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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