ずっと4年間「診断アプリ」をつくり続けて、累計800万ダウンロードを突破したという、個人開発者さんにお話を聞きました。
※個人開発者Testiiの粟田誠一さん
簡単に自己紹介をお願いします。
個人でアプリを開発しています。もともとは、大学に通ったり休学したりしつつ、アプリをつくっていたのですが、今年から専業になりました。
そこから、ずっと「診断アプリ」に特化してきていて、これまで90アプリ以上つくってきています。いま今年で4年目というところです。
ダウンロード数としては、累計で820万ダウンロードです。10万ダウンロードを超えた診断アプリも、10タイトル以上は出てきています。
※ダウンロード数の90%をAndroidが占める(今年からiOSでもつくりはじめた)
はじめの頃から「診断アプリ」は順調だったのでしょうか?
いえ、最初は全然ダメだったんですよ。半年くらいは「これはやばいな…」という状況がつづいて。
でも、アプリをつくり続けるうちに、ユーザーがアプリ間を循環するようになってきて。だんだん新着ランキングにも載るようになりました。
やっぱり継続ですね。少しずつ少しずつ。ユーザーを増やしながら体制を整えて。診断をつくるための「文章を書くスピード」を上げたりもそう。
イラストは外注しているのですが、プログラミングや診断の文章作成などは、すべて一人でつくっているのでうまく効率化するようにしています。
どうやって「アプリのユーザー」を集客しているのでしょう?
例えば、ひとつは「アプリ間での送客」です。新作アプリを出したときには、全アプリで「新作アプリが出たよ」と宣伝するようにしています。
あとは「診断をつくれるサイト」をつくって、ユーザーが診断を作成できるようにして、それが各アプリ上でも遊べるようにしています。
WEBサイト版を用意することで、グーグル検索にも「診断ページ」がひっかかりますし、ツイッターでもシェアされやすくなると考えています。
そういったエコシステムというか、ユーザーが蓄積される仕組みづくりが、重要なのかなと思っています。
いま「アプリの収益」はどのような感じでしょうか。
アプリの収益は、累計で2,000万円を超えています。過去最高でいうと、月160万円でしょうか。
調子の良いアプリでいうと、「付き合える度診断」が400万円くらい、「動物キャラ診断」と「戦闘力診断」が400〜600万円くらいです。
これまでの、4年間の推移をみると、月単位では上がったり下がったりしながら、少しずつ収益の基盤が積み上がってきています。
ただ、うまくいくアプリは2割くらいで、残り8割のアプリはそこまで収益につながりません。
診断アプリは「1ダウンロードの収益性」だと、どのくらいになりますか?
最近の収益性でいうと、1ダウンロードあたり5〜10円ですね。なので「ダウンロード数×5円」で掛け算すると、大体の収益額が計算できます。
いまのところ、広告マネタイズのみです。一番収益になっているのは「診断結果を表示する前」にでてくる動画インタースティシャル広告です。
あとは、診断の結果ページにレクタングル広告を置いたり、たまにインタースティシャル広告を挟むことで、マネタイズしています。
※診断結果が表示される前の「待ち時間」に入れている、動画インタースティシャル広告が、広告収益の約50%を占めているそう。
診断アプリをつくるときに、重要だと思うところはありますか?
どんなに嫌な結果であっても、プラスに感じるように表現すること。イヤな結果の文章を「いかに良い要素に変換するか」が大事だと思います。
例えば「ネガティブ」だったら、良くいえば「慎重」と言い換えられますよね。そういう風に「プラスの意味」にとってもらえるよう意識していますね。
「うまくいかなかったアプリ」についても教えてもらえますか?
感覚的には、1年以内に1万ダウンロードを超えなかったものは、超失敗してしまったアプリです。
それに当てはまるのが「ロマンチスト診断」というアプリです。これはレビューに「絵がうざい」と書かれてしまって不評でした。笑
結局、5,000ダウンロードまでしか伸びなくて、ものすごく滑ってしまいましたね。
もうひとつは「ワイルド診断」です。診断アプリって、女性ユーザーの方がずっと多いので、そもそもワイルドなんて求められていなかった。
これも2,800ダウンロードくらいでした。今年出したけど全然ウケなかったアプリです。
うまくいく「診断アプリ」と、うまくいかない「診断アプリ」では、何がちがうのでしょう?
長い間、インストール数が維持されやすいものは「一般性の高いテーマ」なんですよ。例えば「精神年齢診断」とかって、誰でもできるから一般性が高いんですね。
逆に、ダメだった例でいうと「完璧主義診断」でしょうか。自分が「完璧主義かどうか」を知りたい人って、結構ニッチだと思うんです。
わざわざ、アプリを入れてまで知りたいと思わないというか。なので、あまりにテーマを絞ってしまうと、インストールしてもらいにくい。
ほかにも「流されやすさ診断」とか「面食い度診断」あたりも、アプリのテーマが狭すぎて伸びなかったのかなと感じています。
本当に「アプリのテーマ」次第で、インストール数は決まってしまいやすいですね。
開発者の粟田さんのツイッター
いまは大阪で「個人アプリ開発者」として活動されているそうです。
どんなに優れたアプリも、単体では認知されにくいから、数を出して間口を広げる必要がある。宣伝力のある大企業はまた別だが。
— Saaay✳︎個人でアプリ開発 (@pompompomer) 2017年7月2日
持続率の低いアプリの収益を増やす方法は、
1. どうにか持続率を改善する
2. 短い利用時間で確実に収益あげれるようにするの2択。1が可能か否かは、アプリの「質」はもちろんだけど、「種類」にも依存するはず。今、この瞬間だけ必要とされるアプリには、2の徹底が大切に思う。
— Saaay@個人でアプリ開発 (@pompompomer) December 4, 2017
診断アプリの文章執筆ツール。質問検索やらjsonとかpdfの出力やら、執筆に必要な機能を詰め込んで、どんどん効率化されてきた。綺麗でかつ楽しい文章が書けると良いな〜 pic.twitter.com/vNoX34vS3V
— Saaay@個人でアプリ開発 (@pompompomer) December 7, 2017