中国アプリ市場「トップ50で月商1億円くらい。あえて『有料アプリ』として出す戦略もアリ」メタップスが語る中華圏へのアプリ展開10のポイント

2015年07月07日 |
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メタップスさん主催「Smartphone Game Conference Vol.2」より、「8,000億円のスマホゲーム大国 ~中華圏モバイルゲーム市場の分析と打ち手~」の講演まとめをお届けします。

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前半:中華圏(中国本土と台湾)のアプリ市場について。

1、中国はアプリ市場で「世界3位」

現在、中国は「iOS市場だけ」でも世界3位のアプリ市場。中国のAndroid市場については、iOSの1.5〜2倍の大きさに成長している。

なお、中国にはGooglePlayは存在するが課金ができないため、サードパーティのアプリストアがメイン。台湾はAndroidだけで見ると世界5〜6位の市場、香港は台湾の30%くらいの大きさ。

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2、中国のスマホゲーム市場は「日本と同規模」

中国のスマホゲームの市場規模(2014年)は5,520億円。(日本のスマホゲーム市場とほぼ同じくらいの大きさ)。今年、2015年には8,000億円を突破する見込み。

既に中国は「ゲーム市場(PCゲームなども含)」で見ると世界一。そして、2018年頃には「スマホゲーム市場」としても、世界一の市場になると予測されている。

ちなみに、台湾のスマホゲーム市場は700〜800億円くらい。

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3、中国の売上ランキングと月商(月商iOS+Android)

中国本土では50位以内に入ってくると月商が1億円を超えてくる。50〜100位くらいで、月商がおおよそ数千万円〜1億円くらい。iOSだけで考えると、この数字を「半分に割る」ことで、大体の規模感がわかる。

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※上図を「1ドル=100円」で変換してみたグラフ。

4、中国のトップランキングは競争が激しい。

中国のトップゲームの競争も激しくなっている。2014年には年収200億円を超えるタイトルが2つも出てきている。(2013年は1本もなかった)

トップ20のタイトルが市場の60%を占めている。中国で「日本のゲームタイトル」が50位以内に入るのは本当に珍しいこと。

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5、中国では「ゲームのライフタイム」が短い。

トップ50タイトルの「リリースからの期間」を調べたもの。日本では「リリースから1年以上のタイトル」が半分以上を占め、「半年以内にリリースされたタイトル」は8本のみ。

一方、「中国では「半年以内にリリースされたタイトル」が40%を占める。ちなみに、台湾では「半年以内にリリースされたタイトル」が52%。(中国よりも入れ替わりが激しい)

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6、台湾のランキングには「日本のゲーム」がいっぱい。

台湾のGooglePlayを見ると、1〜75位にLINEのタイトルが9つ(カジュアルゲーム中心)入っている。

LINEを除くと70〜80%は中国本土からきたタイトル。海外タイトル(中華圏の外からのタイトル)23のうち、日本発のゲームが13タイトルもランクインしている。

・台湾で1〜75位にランクインした日本のアプリ:
パズドラ・モンスト・白猫プロジェクト・ケリ姫スイーツ・黒猫のウィズ・DQMSL・チェインクロニクルなど。

・台湾で75〜150位にランクインした日本のアプリ:
ラブライブ・テラバトルなど。

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前半まとめ

・中国のスマホゲーム市場は大きく成長している。
・台湾市場は700-1,000億円に成長、日本タイトルへの愛着がつよい。
・中国では競争が激しい。(リリースされるゲーム数も多く、プロモーションも大規模)

後半:中国圏市場でのプロモーション手法

7、中華圏のプロモーションは「ほぼ日本と一緒」

中華圏のプロモーションは日本とほぼ同じ。最初はコアユーザー(イノベーター、アーリーアダプター)にフォーカスして集客をしていく。

台湾でのプロモーションについては、「運用重視型」と「一気勝負型」があるが、「運用重視型」が個人的にはオススメ。半年かけて、売上ランキングの10位以内まで上げていく。

台湾版の「モンスト」も、2014年11月にリリースして、最近やっとトップ10に入ってきている。

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8、まずは「市場理解」からはじめること。

中国本土で「日本のタイトル」がすぐに大勝負をかけるのは難しいため、まずは「市場理解」からはじめたほうが良い。

つまり、自社のターゲットユーザーが誰で、どこに集まっていて、その人達がどんな媒体を見ているのか、などを理解していくこと。

そして、全部自社でやるのは厳しいので、中国展開するときのパートナー(誰が信頼できて、どの部分でお互い協力できるのか)についての理解も深めること。

そのためには、まず自社でiOSアプリを1〜2本だしてみて、500〜1,000万円レベルのテストマーケティングを実施する。コアユーザーに向けてのプロモーションをやってみる。

そして、Android版については、パートナーを探しつつ交渉してみる。(レベニューシェアにするか、ミニマムギャランティー制度にするかなども)

レベニューシェアでやるのであれば「日本のゲームの理解度」「ローカライズ」「どんなプロモーションをするのか」などのスキルをみたほうが良い。

大規模な投資をする場合は、中国の場合は都市単位で攻めるべき(中国の4大都市「北京」「上海」「深セン」「広州」)。「都市を制覇するイメージ」で認知度を上げていく。

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9、中華圏では「有料アプリとしてリリース」という戦略が有効。

特筆すべきは「(一時的に)有料アプリとしてリリースする」という方法をとったほうが良いということ。(「有名IPなのか」「事前にコアユーザーを集めているか」等にもよる)

中国で小予算でゲームを出すときには、まずは「有料アプリ」としてリリースし、数千人のコアユーザーを数百万円かけて集めて、「さらに投資すべきか」を判断する方法が一般的。

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10、日本発のゲームタイトルの「成功パターン」

日本のゲームと相性が良いのは「日本が好き」「日本のゲームを遊んだことがある」「日本のゲームの世界観を理解している」というユーザー層。彼らがどこにいるのか考えること。

プロモーションの手順としては、リリース前からゲーム媒体などで露出をしていき、リリース後の1〜2週間は「有料アプリ」として提供、その後「無料アプリ」に切り替えていく。

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後半のまとめ。

・中国市場においてはコアユーザーから攻めていくことが大事。
・台湾市場はマジョリティ層でも日本のゲームをよく遊ぶ。
・中国で日本のゲームを遊ぶユーザーは「コアユーザー」。(母数は大きいので「日本の戦国モノ」でも数万〜数十万人が遊んでいる)

ランキングで見る、中国での日本アプリのプロモ事例5

クロスゲート

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聖闘士星矢

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ワンピース

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モンスト

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白猫プロジェクト

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取材協力:株式会社メタップス

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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