【書評】無料アプリ×広告-成功する24の法則からわかるアプリヒットノウハウ

2013年05月06日 |
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無料アプリ×広告-成功する24の法則
新城健一

無料アプリ×広告-成功する24の法則という本を読んだので、ポイントだけまとめたものをつくりました。

著者は「AppLiya studio」というサービスを通じて、500タイトル以上のアプリをリリースしてきた経験豊富な方。

人気アプリ開発者への取材を通じた成功のコツと、著者のtipsを24項目にまとめた内容になっています。

人気アプリの成功事例に学ぶヒント

・Touch thenumbers

500万DLで毎月数百万円の広告収益。有料版よりも無料版の広告収益のほうが上回った。タッチしたときのレスポンス改善を10回もバージョンアップした。

・乗り換え案内ジョルダン

iphoneとandroid併せて600万DL、PC版と比べてアプリ版は機能を大幅に削って(84%削減)シンプルに。入力項目も極力少なくし、1秒でも早く検索できるようにした。

無料だったので途中から広告をいれたが、ユーザーから不評だった。乗り換えルートを表示した後に広告の読み込みを開始する仕様に。広告挿入位置もできるだけ邪魔にならない位置に。

・角栓にゅるっの野田さん

角栓にゅるっをはじめ6タイトルで350万DL、広告収益2500万以上。広告を組み込んだ34アプリのうち、稼いでいるのは上位10アプリ、それ以外はまったく稼げていないアプリ。

広告位置は画面下部にしている、上部は片手でスマホもっているとクリックしづらいから。先に広告位置を決めてデザインしている。

アプリが立ち上がってから、広告を読み込むようにしている。(アプリが立ち上がる前に広告が表示されるとユーザーは不快)

スコアはインフレさせる、数百点より数百万点のほうが気持ちが盛り上がる。アップルのGamecenterでも差が出やすい。

Gamecenterを活用すると、アプリのアクティブ率もわかる。

成功するための24tips

1、ダウンロード数は有料の数十倍。無料アプリから始める。

半数以上のユーザーがアプリ内の広告を閲覧しているというデータもある。

2、広告との親和性が高いandroidは特に狙い目

大ヒットアプリ「Angry birds」もGoogleplayでは有料モデルが成立せず、無料モデルにした。無料アプリにおいて、androidではiphoneよりも広告のクリック率が高いというデータも。

3、アドネットワークの役割を知り、実際に登録してみる。

グローバル展開なら手間のすくないPaypal決済がおすすめ。1か月あたりの収益が500万以上になったら銀行振り込みも検討の余地あり。

4、広告初心者なら「バナー広告」から始めよう

クリック課金型のバナー広告からはじめるのが無難。

5、自分のアプリに向くアドネットワークを見極める

可能な限り様々なアドネットワークを組み込み、最適なものを見つけること。取材をしたスタープレイヤーたちが口をそろえて言っている。

6、掲載広告がないときに備え、自社広告の設定する

アドネットワークで広告が出ないときの、自社アプリの相互広告などの設定は、お金もかからないしやるべき。

7、ユーザー動向調査ツールやSSPを活用する。

「dodaii」や「Google analytics」を使う。ユーザー行動を把握し、滞留率をあげていくこと。

8、地元のアプリが支持される、まずは日本市場から狙おう

日本は世界一のモバイル広告市場であり、今後も伸びる市場。現在も携帯電話の新規契約の50%はスマホ。

現在はスマホの普及率は20%ほどだが、2016年には80%まで普及する予測もでている。

9、競争と魅力が多い北米市場Admobから始めるのがおすすめ

北米のアプリ広告市場はとても規模も大きく、今後の拡大も期待できるので魅力的。

アドネットワークでおすすめはAdmob。日本語サイトで登録できるし、androidとiphoneの両方で広告配信できる。

10、ブルーオーシャンなら富裕層がいる新興国

新興国だから広告クリック単価が低いということでもない。スマホをもっている層は富裕層であることも多いから。

・inmobiが発表した国ごとのスマホ広告クリック単価
北米 7.2円
ヨーロッパ 10.4円
アジア 9.6円
ラテンアメリカ 4円
アフリカ 14.4円
中東 8円

アフリカやインドは今後急成長する。インドやシンガポールは英語圏なので、国ごとにカスタマイズしなくてよい。

アドネットワークは現地の会社よりも、Admobやアジアに強いInmobiなどのグローバル展開しているところが良い。シンガポールであれば現地Buzz Cityと提携しているMediba。

11、自信があればゲームに挑戦、ユーテリティもおすすめ

日本ではゲームとエンターテインメントが2強。圧倒的に人気なのはゲーム、挑戦したいならゲーム。

ユーテリティはブルーオーシャン気味、生活の中の不便なことをうまくアプリ化できれば、チャンスがあるジャンル。

12、隙間時間にこまめにたちあげたくなるアプリにする

広告収益をあげているアプリは、ユーザーの隙間時間にうまく入り込んでいるアプリ。短時間起動で起動回数が多いアプリを目指すこと。

13、「疑似体験」と「あったらいいな」バイラル効果でユーザー数を増やす

ドラゴンボールのスカウターのアプリなど疑似体験を提供するアプリは口コミされやすい。妄想電話なども他人と共有したい気持ちになるアプリ。人がドヤ顔で紹介したくなるアプリにすることが大事。ゲーム終了時のスコア画面にツイートボタンをおくこともおすすめ。

14、気になって仕方がない機能で起動回数を増やす

一定時間経過しないと次の動作ができなかったりするアプリ。いくらアプリの起動回数が増えても、広告がタップされる状況にないと意味がない。また起動回数を増やせそうな場合は、同じ広告が表示されないように工夫する。

15、ユーザーをイライラさせず、楽しい画面切り替えで広告表示

画面切り替えのレスポンスはモバイルではとても重要。ユーザーに「広告が邪魔」「うっとうしい」というイメージをもたれないようにすること。

16、「ながら」利用のアプリを目指す。ずっと起動させておくアプリに

スマホアプリの特徴は「短時間でさくっと」美人時計のように、長時間起動してもらえるうえに、何度も見てしまうような仕組みを作れると良い。

17、バージョンアップうまく使う。機能と同時に広告の改善を狙う。

アプリの生存率はそこまで高くない、すぐ消されてしまう。有名なカメラアプリでは90%以上のものもあるが、あるキャラクター系アプリでは30%程度のものも。

休眠ユーザーをバージョンアップで掘り起こせる可能性がある。

ユーザーはアプリのバージョンアップを肯定的にとらえているので、ユーザーの声を反映して改善していくべき。

バージョンアップはAppstoreの低い評価をリセットできるという効果もある。

18、使うほど手放せない、消せなくなるアプリを作る

お小遣い帳アプリや、天気アプリのように定番が変わりにくいアプリは、入り込めれば大きなチャンスになるが、クオリティ勝負になるので、そこで勝てないと別のアプリにユーザーが移行してしまう。

19、広告を見る余裕を作る、息抜き時間をあえて入れる

アプリの起動画面、ステージ選択画面、画面切り替え時など、プレイ前、プレイ間、プレイ後に広告を入れていくようにする。

アプリに夢中になっている時に広告を表示しても、クリックしてもらえない。

20、目立つけれど、邪魔ではない。間違いタップを防ぐ。

ユーザーの目的を邪魔するような広告配置、ミスタップを誘発するような広告配置。

邪魔にならないけれど目立つ、押し間違えないけれども押しやすい、配置にする。先に広告配置を決めてからデザインをすると良い。

21、リワード広告のニーズは増加、とにかくアイデアを絞る。

売上トップクラスのアプリはアプリ内課金を導入している。アプリ内でどうしても欲しいと思ってもらうことができれば、ユーザーはお金を払ってくれる。

サーバーエラーなどのお詫びによる、
仮想通貨のインフレーションは、アプリ内課金率のモチベーションを下げてしまう。

22、ソーシャルネットでのクチコミ、自社広告でアピールする。

アプリを知ってもらうためにはプロモーションをする必要がある。
・twitter、Facebookなどとソーシャル連携をする。(ユーザーがソーシャルに投稿する意義をもたせないとダメ)
・アプリレビューサイトへ申請する。
・自分のアプリ内のアドネットワークで自社アプリの広告を掲載する。

23、効果大のランキングとメディア、人脈を築いてアピールする

2010年初頭に世界各国で話題になったAppstoreのランキングアルゴリズム。
ランキング=[(その日の売上)×8]+[(前日の売上)×5]+[(2日前の売上)×5]+[(3日前の売上)×2]

かなり変更は加えられているが、今も基本的にはこのような、イメージで算出されているようだ。

MMD研究所調べの、iphoneアプリをダウンロードするときに、どの情報を参考にするか?という調査では、
・WEBのニュースサイトやアプリ紹介サイトのレビューがトップで67%
・Appstoreのランキング 53%
・友人・知人のクチコミ 44%

となっていて、メディアの力はとても大きいことがわかるため、プレスリリースは実施すべき。

24、アプリのファンを作る、巻き込み力でヒットを狙う

βテストを募集して、事前にファンをつくるというのも有効。アプリをリリースしたときに、「これおれが関わったアプリなんだ」というふうにクチコミしてくれる可能性も高い。

本記事でまとめている内容は、一部にすぎません。人気アプリの広告収益など、かなり具体的に公開されている情報も多く、さらにグローバル展開も踏まえた構成となっています。

ぜひ興味がわいた方は、本著を手に取ってみてください。

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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