11/5に東京(渋谷)で開催された、
サイバーエージェントさん主催のセミナー「世界のアプリ市場の動向と、戦国炎舞 -KIZNA-のマーケティングが成功したわけ」に参加しました。
本記事では参考になったポイントをまとめたいと思います。
グローバルでアプリの市場調査などを行っているDISTIMO社の、
日本総代理店を行っているインターアローズさんより、
最近のグローバルのアプリ市場の動向をご説明いただきました。
DISTIMOについて
全てのアプリの国別のDL数や収益(アプリ内課金)を調べられるツールを提供している。
無料のアナリティクス(アプリのアクセス解析ツール)を提供して、その代わりアプリの売上データなどを得ている。
DISTIMOのアナリティクスを導入していないアプリもあるが、予測値で集計している。(1位と3位がわかれば2位のデータもわかる)
LINEはアジア受けしている。
LINEはアプリ内でスタンプを販売しているが、
1位は日本だが、二番目は台湾・タイ。アメリカは4位。
スタンプのテイスト的に欧米受けはしていなく、
アジアで売れるテイストだということがわかる。
今後は「海外でどんなアプリが上位に来ているのか?」などを
感覚ではなく数字として分析しながらアプリをつくっていかないといけない。
スマホの最新の普及率(2013年8月)
日本では地方や全年齢で見るとスマホ普及率は約40%。
グローバルのシェア率から考えても、
今後1000〜2000万人スマホユーザーが増えて、アプリ市場も拡大すると予測。
タブレットの最新の普及率(2013年8月)
各国での「携帯を持っている人」のタブレットの所有率。
日本はタブレット所有率10%ほど。
アメリカのiPad市場はとても大きいが、
そこに入っていっている日本の会社は少ない。もったいないと感じる。
OSのシェア(2013年8月)
全世界的に見れば圧倒的にandroidが優勢。
スペインは全携帯の55%はandroid。
アメリカ・イギリス・カナダはiPhoneシェアが高く、アプリマーケットも大きい。
日本でもandroidユーザーはiPhoneユーザーの倍。
各国のアプリ市場売上規模(2013年9月)
iPhone、iPad、Android別に、
売上トップ400のアプリの売上をグラフにしたもの。
市場規模がどのくらいあるかがわかる。
日本のGooglePlay市場は世界一。211億円くらい。
アメリカのiPad市場はiPhone市場と同じくらい大きい。
iPad所有者は所得も高く、課金額の平均値も高くなる傾向。
日本のデベロッパーはipadにほとんど出してなくもったいない。
韓国のGooglePlay市場は急成長中、アメリカのGooglePlay市場よりも大きい。
韓国はカカオが非常に強いので、そこにどう入っていくかは課題。
中国はDL数は圧倒的だが、売上はたってない。
iPhoneのマーケットが伸びていて、イギリスよりも大きい市場に。
オーストラリア、ドイツ、フランスなどは、思ったほど課金されていない。
特にGooglePlayユーザーはお金払わない。
背景としては、iPhoneは欧米では高くて買えない。
そういう人がandroidに流れているので、課金額が高くない。
インドネシアやインドなどは市場規模的にはまだまだ小さい。
アプリ市場、ここ1年の各国の成長率
売上トップ400のアプリの売上を元に、
2012年9月と2013年9月の増加率を比較しグラフにしたもの。
増加率で伸びている国は韓国800%成長、次が中国500%成長、
日本も400%成長、欧米も200%と伸びてはいる。
Googleplay市場、ここ1年の各国の成長率
GooglePlay売上トップ400のアプリの売上を元に、
2012年9月と2013年9月の増加率を比較しグラフにしたもの。
ここ1年でGoogleplayが伸びている国、
日本は900%、韓国1100%、アメリカ300%、
市場規模自体は大きくないがドイツ600%、イギリス450%と大きく伸びている。
日本のアプリ市場の成長率
日本のiOSとGoogleplayの市場を時系列に並べたもの。
Googleplayが大きく伸びている。
日本のAppStoreのカテゴリ別のシェア率
AppStoreでは特に圧倒的にゲーム。
ダウンロードシェアでいうと36%だが、売上シェアは86%
売上でいうとゲーム以外は儲かっていない。
アメリカのAppStoreのカテゴリ別のシェア率
アメリカも売上の70%はゲーム。
ダウンロードシェアは32%。
ゲームをやっているのはどんなユーザー?(日本とアメリカ比較)
アメリカと日本を比較したデータ。
日本では「スマホ所有者で毎日ゲームやっている人」の53.9%は女性。
若い男性が多いと思いきや、スマホのゲームユーザーは女性のほうが多い。
年齢層は25-34歳の女性。時間がある主婦が多い。
アメリカは「スマホ所有者で毎日ゲームやっている人」の56%が女性。
年齢層は25-34歳の女性。
ここをうまく狙っているのが「candy crash saga」
女性ターゲットに幅広く誰でも出来るゲームを提供している。
ゲームにお金を払っているのはどんなユーザー?(日本とアメリカ比較)
スマホユーザーで月1,000円以上ゲームにお金払っている人。
「ゲームにお金を払っている」というという視点でみると、
男性ユーザーのほうが比率が大きくなる。
日本は男性54%、女性45%。
アメリカは男性65%、女性34%。
日本でもアメリカでも年齢層は男性25-34歳一番多い。
日本19%、アメリカ25%
女性25-34歳も日本13%、アメリカ14%と決して小さくはない。
ゲームにおいて女性ユーザーは無視できない。
ゲームのカテゴリ別金額シェア(ios日本とアメリカ比較)
ゲームアプリの市場は、
アメリカは79億円、日本は80億円くらいの市場規模があるが、
カテゴリで分けたときにどうなるのかをグラフにした。
青がアメリカの金額シェア
オレンジが日本の金額シェア
日本はRPGカテゴリが金額シェアで50%以上、
アメリカではRPGは約20%とそこまで高くない。
日本的なRPGをそのままアメリカにもっていってもどうなのか?
という予測が立てられる。
アメリカはカテゴリでいうと、
ストラテジー、シュミレーション、ファミリー、カジノなどが強い。
ゲームのカテゴリ別金額シェア(GooglePLay日本とアメリカ比較)
アメリカは「アーケード&アクション」がトップ。
日本は「カジュアル」がトップ。
アメリカはカジノ関連が大きい、日本はパズルが大きい。
各国の売上トップ10のアイコン(ios)
左が欧米系の国、右がアジア系の国。
欧米のトップ10には日本のタイトルが入っていない。
入っているのは、アメリカでのモバゲーのマーベルのゲームのみ。
欧米テイストにつくられているゲーム。
欧米は単一マーケット、
どこの国でもランキングがそれほど変わらない。
逆にアジアマーケットはテイスト的に似ている。
日本のアプリもトップ10に入っている。
韓国ではパズドラ4位、拡散性ミリオンアーサー6位。
タイはLINE関連のゲームが入っている。
アジアはローカル色が強い。
韓国はカカオ、中国は地元の中国系企業など、
日本がオリジナルのアプリの類似系アプリも多く出ている。
各国の売上トップ10のアイコン(GooglePlay)
iOSとほぼ似たような感じ。
欧米で頑張っている日本の企業も多いが、
共通していえるのは欧米テイストじゃないとなかなか難しいということ。
成功しているアプリのデータ(candy crush saga)
赤がiOSで青がGooglaPlay、
一日あたりのダウンロード数が75〜100万DLと驚異的。
売上は一日1億円以上。
全世界的に受けている。ゲームバランスが良いのが特徴。
国別にみるとアメリカが圧倒的、続いてイギリス、日本。
累計売上はアメリカ100億円、イギリス27億円、日本18億円。
グローバルで売上を積み重ねて大きなビジネスになっている。
成功しているアプリのデータ(神撃のバハムート)
神撃のバハムートの発売から現時点までのデータ。
いまのところ日本のアプリで欧米で一番成功しているアプリ。
日本のアプリで優れているのが、
欧米系のアプリよりもアクティブ率が高く、課金率も高いのが特徴。
国別の課金データ。
アメリカで32億円くらい稼いでいる。
アメリカで成功するとノンプロモーションで広まる、
イギリス・カナダ・オーストラリアなどに波及する。
グローバル市場のポイント
戦略が大事。
どのマーケットに、どのタイミングで、どのカテゴリにどんなゲームを出すのか?
今まで「国内でそこそこ売れたからこれを英語に直せば売れるだろう」
という感覚の会社が多かったが、ほとんどうまくいかなかった。
作品が大事。
良いものをつくらないとダメ。
カルチャライゼ―ションが大事
ローカライズの一歩先。
日本のゲームは、日本人が日本のユーザーに日本語につくっている。
これを正直に英語に直しても伝わらない、伝わるようにつくることが必要。
ゲームの操作に関しても、日本人と海外では感覚が違う。
通信環境も違う。日本は定額制が当たり前だが海外ではそうではない場合もある。
プロモーションが大事。
総合20位以内に入らなかったら「ゾンビ」になる可能性がある。
20位以内になるにはどのくらいのDLが必要なのか。
他社を見た上でどういうプロモーションを行うか。
パートナーシップ。
ガンホーとスーパーセルのようにお互いゲームを紹介しあう、
スクエニの「拡散性ミリオンアーサー」は海外では自社でリリースせず、
中国は中国のパートナーと、韓国は韓国のパートナーと組むという方法をとっている。
プロモーションに関してもパートナーに行ってもらう。
やっぱり日本とアメリカはぶっちぎりで市場が大きいと改めて感じた。日本に入ってきたい海外の会社はかなり多いんじゃないかなと思う。日本のゲーム会社もどんどんアプリだしているし、来年はもっと競争が激しくなっていきそうだ。
戦国炎舞 -KIZNA-について
戦国系のリアルタイムバトル
Appstoreで1位、トップセールス3位を獲得。
開発期間:半年
DL数:90万DL
ユーザー比率:男性80%、女性20%
勝ちクリエイティブをつくる
左の2つは効果が低い、右の2つは効果が高かった。
結果的に、クリエイティブでCPI300~400円改善出来た。
テストマーケティング時の広告効果
ユーザーの質:自然流入>ブースト>アドネットワーク
ブーストは2回目以降に繰り返すと効果が悪くなるので、
アドネットワークを中心にやっていった。
ちょいちょいブースト
ずっと10位以内をキープするような動きをするアプリを発見、
あえてこうしているのかと思い、テスト的にやってみた。
1週間で35,000件くらいで、一日おきにブーストしていく。
結果的には、獲得効率はアドネットワークと一緒くらい。(7日後のユーザーのアクティブ率で測定)
獲得ボリュームはブーストのほうが多い。
効率的には上位を狙うブーストよりも。
10位前後を滞留させるブーストのほうが効果がよかった。
(他のタイトルだと別の結果になるかもしれない。)
Androidのプランニング
「新着無料」に最初の1ヶ月間で入ることが大事。
7~8万DLでランキングのファーストビューに入ることが出来る。
アルゴリズムの変更によるブースト開始時間の調整
8月のアルゴリズム変更でランキングの集計時間が変わった。
【変更前】17時にブースト実施し19時にランクイン
【変更後】16時にブースト実施し19時にランクイン
と、一時間早めることで対応しうまくいった。
ソーシャルゲームはブースト必須、中小にはなかなか厳しい。「公開できる範囲で全てをお話しします」と聞いていたので期待していたが、個人的にはもうちょっと深い話も聞きたかった。緻密なようで意外にざっくりという印象。でもとても勉強になりました。