※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2021年10月25日)数値などは取材当時のものです。
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家計簿プリカ&アプリの「B/43」さんを取材しました。
※株式会社スマートバンク CEO 堀井 翔太 さん、CXO takejune さん
B/43(ビーヨンサン)について教えてください。
堀井:
チャージして支払うだけで、予算管理ができる「家計簿プリカ」です。今はユーザー層としては、10〜30代が85%を占めています。
用途としては、例えば「今月は食費を○万円以内にしたい」という感じで、特定の支出が予算以内になるように、管理している方が多いです。
ペア口座もつくれるため、夫婦やパートナーで「共有で支出管理をしたい」といった使い方も増えてきていますね。
どうして「B/43」をつくろうと考えたのですか?
堀井:
ひとつは「未来からの逆算」です。イギリスのように、キャッシュレス化が順調にすごく進んで、日本でも現金の流通量が減ってきたとします。
すると、もう現金での管理って出来なくなるので、そこからデジタルに移行するための、なにか「置き換える手段」が必要になるだろうなと。
あと、世の中には「家計簿アプリ」などがたくさんあるのに、それでも課題解決されていなかったり、難しくて使うのを断念した人たちが、とても多いということに気づいたからです。
takejune:
例えば、支出の「袋分け管理」というのも根強くて、封筒に「食費いくら」「交通費いくら」と現金で分けて、生活している人も多いですね。
最近インスタやTikTokでも、無印のパスポートケースや100均のクリアケースに現金を入れて、管理する方法が話題になっています。
それを、デジタルに置き換えられないかと、B/43には「ポケット」という、お金を「使う目的」ごとに分けて管理する機能も入れました。
B/43をつくるときに、イギリスへ調査にいったそうですが、そこで気づいたことを教えてください。
堀井:
イギリスでは、キャッシュレス決済の比率が60%を超えていて、現金をほぼ使わなくても生活できるような状況でしたね。
また、チャレンジャーバンクと呼ばれる、新しい銀行のようなサービスが、すごく伸びていたので、それについても現地で調べました。
ひとつわかったのは、メインバンクからチャレンジャーバンクの口座に、生活用の資金を移して、生活している若い人が多かったことです。
給与が振り込まれたメイン口座から、「予算管理」のために生活予算だけを移して、キャッシュレスで決済したり、個人間送金をしていたんです。
きっと、日本でも同じようなことが起きるだろうと感じました。
人の課題を見つける「ユーザーインタビューのコツ」
B/43はユーザーインタビューを繰り返して、開発を進めたそうですが、どのようにインタビュー相手を見つけていますか?
堀井:
人を探すときは、フェーズでも変わるのですが、課題を抱えていそうな人がいるところを特定して、DMを送ることが多いですね。
例えば、インスタのタグで検索して、封筒で家計管理してる人を探したり、ツイッターで検索して、家計簿アプリを辞めた人にDMします。
実際に「困りごと」を抱えている人に、話を聞くイメージです。フリマアプリをつくったときは、mixiで服を売ってる人に話を聞きました。
インタビューのときは、質問集はつくるんですけど、あまり一問一答みたいにはしていなくて、質問して深ぼっていくことが多いです。
解決すべき課題って、その人にとって「独特な状況」で発生することが多いので、「どんなシーンで発生してるか」を聞くのは心がけています。
※堀井さんのインタビューメモ。どんなサービスをなぜつかうのか、特定のシーンまで含めて記録している。それをnotionに議事録としてまとめる。
1人の意見にもいろいろあります。「評価すべき1人の意見」なのかを判断するときに、みるべきシグナルはありますか?
堀井:
僕が意識しているのは、その人に課題があったときに、代替手段をつかっているかどうか、そして「代替手段がなにか」を見ることです。
なぜかというと、課題があったとしても、代替手段をつかってない場合は、その人にとってさしたる課題ではないと思うから。
つまり、課題を抱えつつもそれを採用する人と、課題解決のために代替手段をつかう人がいて、後者はより課題に対して深刻だということです。
とくに、代替手段を特定したときに、それが「不合理な方法」だった場合、これは僕らのサービスで解決できそうだ、と嬉しくなります。
例えば「不合理な方法」というのは、どういうものですか?
堀井:
フリマアプリをつくったときは、読者モデルの人が、ブログで服を売ってたんですよね。ヤフオクもあるのに。それって不合理じゃないですか。
ブログにそんな機能ないのに、コメントでメアドを交換して、振り込みしてもらって服を送る、わざわざそんなことをしていました。
でも、古着屋さんに持っていけば、半額以下になってしまうし、服って値上がりしにくいものなので、オークションでは売りにくかった。
だからこそ、不合理に見える代替手段として、ブログをつかって読者に服を売っていたんですよね。それで、フリマアプリが求められていた。
そのように、ユーザーの行動から、インサイトを発掘して、実際にサービスに落とし込んでいく、ということをやっている感じです。
※フリマアプリ「フリル」の初期のLP
※フリマアプリ「フリル」の初期のUI
課題を「どう特定するのか」はわかったのですが、それが「大きな市場」になるかはどう判定しますか?
どうしてここまで、「たった1人の意見」を聞いて、プロダクトを開発していく文化が、浸透していったのでしょう?
堀井:
かなり昔の話ですが、僕とtakejuneとうちの兄(CTO 堀井雄太さん)って、新卒で入った会社が一緒だったんですよね。
それで、休日にプロダクトをつくったら、全然ヒットしなかったんですよ。もう瞬間だけつかわれて終わり。全然ダメでしたね。
そこから起業をして、フリマアプリを「ブログで服を売ってる人」とかに、ちゃんと話を聞いてつくったら、成功したという体験があって。
やっぱり思い込みだったり、海外で流行ってるからという理由でつくると、課題を考えずにつくるから、うまくいかなかったのかなと。
takejune:
そうですね。僕たちは「ふつうの人」に、使ってもらえなかった失敗の体験があって、それが今でも「怖いことだ」と認識しているんです。
人につかってもらうって、そんなに簡単なことじゃないぞと。だから、1人の意見を大事にしているところは、あるのかもしれません。
プロダクトの「こだわり」と「失敗した施策」
B/43のカードのデザインで「こだわったところ」があれば、教えていただけますか?
takejune:
デザイン的な視点では、番号などを裏面にのせることで、台紙にのってカードが届いたときに、写真を撮ってSNSにのせやすくしました。
この色の感じは「MONZO」というイギリスのカードが、30メートル先で落としてもわかるような色になっていて、そこから着想を得ています。
それと、人間の目線は「左上から右下」に移行するので、サービス名をまず一番に見てほしいという意図で、サービスロゴを左上にしました。
あと、シンプルな「ロゴ+無地」のカードって、最近増えてきているので、かっこいいけどコモディティ化するなと予測していて。それでスラッシュを斜めに入れて、ツートンカラーにしています。
これまでで「印象的な結果になった施策」はありますか?
堀井:
初期にやった「招待キャンペーン」は、ものすごく登録は伸びたのですが、うまくいきませんでしたね。
なぜなら、「ポイントがほしい人」ばかり集まってしまって、ほとんど継続してプロダクトを使ってもらえなかったからです。
もともとは、招待でお互いにポイントが「300〜500円分」もらえるようにして、1人が招待できる上限を「2人まで」にしていました。
そこから、もっと使われるようにと「上限を解放」したら、すごい勢いで1,000人くらい登録されたんですよ。でも、継続はされませんでした。
takejune:
お金で来た人は、お金をあげている間はいてくれるのですが、お金を配らなくなった瞬間にいなくなるので、お金で繋がるのは難しかったです。
ちゃんと「利便性」で繋がらないといけないですね。お金で入ってきて、利便性で残ってくれる、というのはあるとは思うんですけど。
UXライティングにおける工夫
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【取材協力】
株式会社スマートバンク:https://smartbank.co.jp/
B/43:https://b43.jp/
CEO 堀井さん:@shota
CXO takejuneさん:@takejune
【告知】スマートバンクさんでは採用も募集中。エンジニア、マーケター、UXリサーチャー、広報など募集しているそう。ご興味のある方は下記サイトよりどうぞ。
https://smartbank.co.jp/positions
※続きは、マニアックな事例を5つほどnote 購読者向けにまとめています。FAQのUXライティング、オンボーディングの離脱率を改善した施策、PMFサーベイの手法、などご興味あればご覧ください
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