「バナー広告から直接アプリストアに飛ばさない」Antennaがユーザー継続率を1.6倍にしたプロモーション事例。

2015年02月09日 |
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昨年11月に開催されたメタップスさん主催「Web × アプリ企業に聞く成功秘訣、顧客資産化の方法」より、キュレーションマガジンAntenna[アンテナ]さんの講演をダイジェストでお届けします。

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登壇者:
株式会社グライダーアソシエイツ 石田宗隆さん

Antenna(アンテナ)について

Antennaってどんなサービス。

様々なメディアの記事を集約してユーザーへと届けるキュレーションサービス。徹底してビジュアル(画像)中心で伝えているのが特長。

ユーザー数は400万人を突破、都市部中心の20代〜30代のスマホ世代が多いメディア。

提携メディアは300以上(契約書を結んで提携している)、広告主はナショナルクライアントを中心に400社以上の出稿実績がある。

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※データは2014年11月時点のものです

ユーザー構成について。

男女比率は約半々、年齢層は20代〜40代で80%を占める。デバイスはほとんどがスマホ。

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※データは2014年11月時点のものです

アクセス解析

アクセスの時間帯は「午前中の9〜12時」「夜の21時」がピークになるようプッシュ通知で調整している。

ユーザーの生活スタイルの中で「リラックスしたい」というタイミングで使ってもらえるよう心がけている。平日と休日のアクセス数はほぼ変わらない。

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Antennaのユーザー価値

ユーザーの生活がもっと楽しくなるようにと、「効率」ではなく「共感」を大事にしている。

ユーザーが感じる価値として「検索では出会えない情報と出会える」「様々なジャンルを一度にチェックできる」「自分の興味範囲が広がる」の3つを大事にしている。

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ユーザー資産化戦略1「イメージ戦略」

多くの方にサービスを知ってもらう、認知を上げるためのイメージ戦略。

キーワードは「おしゃれ」

「おしゃれ」というキーワードを大事にしている。「Antennaって、なんとなくおしゃれ」と、「使っていることがステータス」と感じてもらえれば、長く使ってくれるはず。

2014年の5月〜7月上旬にかけてテレビCMを実施、ラジオ広告は2年間継続中。その他、新聞雑誌・交通広告・アプリ・スマホブラウザへの広告出稿などを実施している。

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テレビCMはブランディングに特化

AntennaのテレビCMはブランディングに特化し「できるだけおしゃれな雰囲気を出す」というところにこだわった。CM内にはアイコンもでなければ、「アプリ」という言葉さえでてこない。

CM内容は、ローラさんがAntennaで「青い池」をみつけて、「実際の風景」と「Antennaでみた写真」を見比べてみるというストーリーになっている。

これは「Antennaを通じて、リアルな世界でアクションを起こしてほしい」という趣旨を込めている。実際Antennaの配信コンテンツも、地方の情報などを増やしている。

また、日曜日の20時から「Antenna Travelling Without Moving」というアンテナブランドのラジオ番組(J-WAVE)を放送している。30代に刺さりそうな大人のトーンで音楽を紹介し、旅にでかけたくなるような番組を企画。

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ユーザー資産化戦略2「興味喚起」

「興味喚起」Antennaのよさを伝えるための戦略。「なんとなくAntennaを知っている人」に興味をもってもらう。

事例1:アプリストアにいきなり飛ばさない。

一般的なプロモーションだと、「広告バナーをタップ」→「AppStoreやGooglePlayに飛ぶ」→「アプリをインストールしてもらう」という流れだが、

Antennaの場合は「広告バナー」を押すと、ブラウザ版の「クリップブック※」というページに飛ぶようになっている。(※自分の好きな記事をまとめられるAntennaの機能)

例:「ヘアアレンジまとめ」という広告バナーを押したら、ヘアアレンジの記事がまとめてある「クリップブック」に飛ぶ。

意図としては、アプリをダウンロードする前に「Antennaには自分の好きな情報がある」と理解してもらうため。

実際に「バナーから直接アプリストアへ飛ばす」よりも「クリップブックを一旦経由させて、アプリストアへ飛ばす」のほうが、獲得ユーザーの継続率が1.6倍も高くなった。

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事例2:Youtuberにアプリを宣伝してもらう。

メイク動画などを発信しているYoutuberに、Antennaのプロモーションを目的とした動画をつくってもらった。

動画内容としては、「Antennaで見つけたメイク記事」をもとに、実際にメイクをしてもらって、Antennaの便利さを伝えてもらうなど。

実際このYoutuberは、Antennaのヘビーユーザーでもあり、お願いをしなくても自然にTwitterでつぶやいてくれる。(そこからの流入も非常に多い)

また、Youtubeの動画ページに「わたしのオススメのAntennaつかってね」とURLを貼ってもらっているが、そこからくるユーザーの継続率は1.5倍※くらい高い。(※通常のバナー広告との比較)

継続率がアップする理由は、ユーザーから見た時に「あこがれの人がオススメしているサービス」になるから。また、動画を見てからアプリをダウンロードするので「アプリの使い方」が理解できているため。

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ユーザー資産化戦略3「獲得戦略」

「獲得」実際にユーザーを獲得していくための戦略。

CPIだけを見ない。

ユーザー獲得に関しては、アプリのインストール単価ではなくて、アプリインストール後のアクション(ECで決済をした、クリップブックをつくったなど)を指標にして獲得単価を計算している。

「Antennaの長期的な成長につながるのか?」が大事で、CPIというのは極論「どうでもいい」と考えている。

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Antennaが考える「ウェブとアプリの違い」

アプリの特徴

獲得単価が安い、1ダウンロードあたり安くて100〜300円で獲得できる。そしてスマホは常に持ち歩くデバイスなので、ユーザーとの接触回数が高い。

ブラウザの特徴

SEOなどで自然流入を獲得できたり、「お金をかけずにユーザー獲得できる手段」がアプリよりも多い。そして動画など興味喚起につかえる手段も多い。

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Antennaユーザーの「シェアの違い」

Antenna内からの「シェアはどのようにされているか?」を調べたところ、TwitterはPCから一番シェアされていた

Facebookは、Androidユーザーがシェアをする割合が高い。(なお、iPhoneユーザーは偏りなくバランスがとれている)。アプリはOSによってユーザーアクションが異なるケースがある。

AntennaではEvernoteやPocketのように「あとで読み返そう」という「保存が目的のシェア」が多い。

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まとめ

・「認知」「興味喚起」「獲得」の3つのフローを最適化すると、ユーザーの継続率が上がり、ユーザーを資産化できると考えている。

・ウェブとアプリのユーザーは特徴が異なるため、違いを認識して施策を立てることが重要。

取材協力:株式会社グライダーアソシエイツ、株式会社メタップス

編集後記

「アプリストアに飛ばす前に、クリップブックを見せたほうが継続率が高い」というのは面白い。獲得単価だけ見ているとこういう施策は出来ない。

↓そういえばこんな調査結果もありましたね。

・9,000アプリを調査した結果、実はCPI指標でのユーザー獲得の効率は最悪。
https://note.mu/marketing/n/n960d950c7b1a

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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