累計100万フォロワーのandがインスタで「売れるリール動画」をつくるためのコンテンツ戦略を語る。選択型ギフティングでECの売上を伸ばせたワケ。

2022年12月22日 |
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※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2022年9月29日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n77a70d7e5e36

メディアコマースの「and」さんを取材しました。


※株式会社and 代表取締役 CEO 平 貴衣さん、COO 佐藤 真緒さん


※フォロワー数はインスタだけで約100万人。各SNSを含めると100万人超。約13名で運営している(業務委託やインターンも含む)

初期はどのようにアカウントを立ち上げたのでしょう。

平:
最初は貯金を切り崩して、マーケティングの受託業務で食いつなぎながら、インスタメディアの「make my room」を育てていきました。

make my roomは、もともと「主婦・家族向け」で考えていたのですが、1人暮らしっぽい投稿をしたところ、ものすごく反応があったんです。

1投稿で1,000人フォロワーが増えて。それで「1人暮らしのお部屋」の写真にはニーズがあるんだと気づいて、そこに絞ることに決めました。

インスタメディア成長につながった3つの指標変化

グロース期①:初期は「インタビュー型のリポスト」でフォロワーが増加 (〜数万フォロワー)

平:
SNSメディアって、フェーズで「成長要素のセンターピン」が変わるので、それを見極めて「指標を変化させること」が大切でした。

初期に成功したのは、お部屋の写真を「リポスト」(許諾を得て転載する)するだけではなく、インタビューと一緒に「リポスト」したことでした。

これは、特別感があるため「インタビューされました!」と紹介されたインフルエンサーさん側が、毎回ストーリーで共有してくれます。

すると、ストーリー起点で「いいね・新規フォロー」がグッと増えるので、初速の反応数も伸びて「おすすめ」に載りやすくなりました。


※取材はDMで簡単に「お部屋のテーマなんですか?」「参考にしてる人はいますか?」など聞いて投稿の説明文にインタビューとして掲載した。


※2019年に最初の「小さなオフィス」でインスタを運用している様子。

グロース期②:滞在時間と保存数を伸ばす「雑誌風のコンテンツ」でアカウント成長(〜50万フォロワー)

佐藤:
フォロワー数10万人以降は、雑誌のような「文字入りの特集コンテンツ」をつくることが、アカウントの差別化になりました。

とくに「保存数や滞在時間」が評価される時期だったので、じっくり読んでもらえること、見返したくなる要素が成長につながりました。

だんだん投稿が見られるようになると「この商品って買えないんですか?」とフォロワーさんに言われることが多くなってきて。

それで、2019年にはじめたのが、EC+メディアの「Little Rooms」でした。セレクト商品・オリジナル商品を、少しずつ増やしていきました。

グロース期③:ショート動画「リール」に注力した

平:
2022年からは、ショート動画の「リール」が伸びやすく力を入れています。

背景としては、これまではフォローフォロワーの概念が強くて、フォローされている人に「刺さる投稿」をつくれば、伸びていきました。

でも、最近ではアルゴリズムがタイムラインに介入してきて、フォロワー数や「投稿者の影響力」も以前より重要ではなくなっています。

つまり、以前はフォローすると「良い情報」が得られることがアカウントの価値だったけど、アルゴリズムがその役割を果たすようになった。

そうなると「コンテンツ良ければ全て良し」になる。リポストも元の投稿とコンテンツは変わらないので、影響力が落ちているなと。

インスタからECへ「売れるリール」をつくるコツ

最近インスタを運営して感じる「コンテンツトレンド」というのは何かありますか?

平:
回転寿司で例えると、コンテンツの「マグロ化」が進んでいると思います。一瞬で判断されることもあって「人気のネタ」が支持を得やすい。

みんなが好きな「マグロ」はバンと伸びる。だからみんなそれをつくるし、評価されるマグロばかりがタイムライン(レーン)に流れてくる。

言い換えると、実はおいしい「通なネタ」を流しても、みんなが取ってくれないので、ニッチなコンテンツとのタッチポイントが減っている。

なので、いかにレーンに乗るような「マスの文脈」に当てはめつつ、細かな商品やニーズに問いかけていくかが、すごく大事になっているなと。

その状況も踏まえて、「リール」のショート動画などは、何を意識してつくると良いでしょうか?

平:
商品を売るための「リール」であれば、「可愛い!見た目が気持ちいい!」だけの動画って伸びても売れにくくなっている。

要素としては、プロモーショナル、エデュケーショナル、インスピレーショナル、エンターテインメント、この4軸のうち2つを掛け合わせると良くて。

売れるにはプロモーショナル。その商品の「推しポイント」を伝えられるかも必要で、2軸で抑えると伸びつつ売れやすいです。

※左はリーチは伸びたが売れなかった動画、右はリーチは少ないが売れた動画

佐藤:
あとショート動画って「起承転結」の結がくると離脱してしまうので、それを「起承転転結」という構成にできると、最後まで見てもらえます。

例えば、「おしゃれな部屋5選」と情報を並列で出すよりも、「おしゃれな部屋にするコツって?」からはじめて、最後まで見ないとわからない「起承転転結」にするほうが反応は良いですね。

視聴開始ポイント、視聴継続ポイント。この2軸は意識します。興味のあるテーマの切り出し方と、最後まで見てもらえるかです。

投稿率や熱量を高めた「選択型のギフティング」

ECの運営で「成功した施策」があれば教えてください。

平:
インスタのギフティング(商品を無料提供する)は、複数商品から選んでもらうようにすると、承諾率が2倍以上になって、投稿率も上がりました。

意図としては、商品をばら撒くと「タダでもらえるなら」と欲しくなくてももらうという人も多いので「本当に欲しいもの」を提供しようと。

欲しいものを提供できれば、そのインフルエンサーの「お部屋の一等地」にずっとおいてもらえるため、何度も紹介され続ける。するとギフティングの投資対効果も大きく上がります。施策のコスパが良くなるんです。

ラグを3枚持っている方だと、インスタに登場する確率は33%だけど、ラグを1枚しか持っていない人なら、登場確率が100%になります。

実際に商品の「欲しい度合い」によって、投稿時の熱量もめっちゃ変わる。「私の部屋にこれなくてめちゃ困ってた」とか「こういうの欲しかった!」など語り口調も変わりますし、継続的な投稿回数も変わってきます。

インスタアカウントの運営で「大切にしていること」を教えてください。

平:
プロセスを開示することを大事にしています。ユーザーに何も言わないまま突然大きな意思決定はしない。これ意外と大切だと思うんですよ。

仲の良い友達がいたとして、彼氏がいたことも知らなかったのに、突然「結婚しました」と言われたら、微妙じゃないですか。笑

もっと「こんな彼氏がいて、こう悩んでて、結婚も迷ってる」と悩みを聞いた上で「結婚した」だったら、すごく嬉しいし「おめでとう」となる。

なので、いきなり結婚報告はしない。ステッカーをつくるなら「ステッカーってどう思う?」とフォロワーの方に相談してから発表します。

ただ、全員が「仲の良い友達」ではないので、鍵付きの「公式の裏アカ」をつくって、そこで濃い話をしていますね。

すると、事前に声を拾いやすくなりますし、そういうコミュニケーションを続けると、よりエンゲージメントが高まります。


—–

【取材協力】
株式会社and:https://and-inc.co.jp/
Little Rooms :https://littlerooms.jp/
CEOの平さん:@_____on9
COOの佐藤さん:@_satomao

【告知】andさんでは採用も強化中。マーケティングやSNS運用担当など、募集しているそうです。ご興味ある方は下記サイトよりどうぞ。
https://www.wantedly.com/companies/company_6418236

※続きのマニアックな事例は5つほど、note購読者向けにまとめています。ギフティング施策の「投資対効果」を高めるコツ、ECサイトの購入単価や売上を改善した施策、などご興味あればご覧ください。
https://markelabo.com/n/n77a70d7e5e36

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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