サイバーエージェント主催の「AES(アドエンジニアリングサミット)」から、
本記事では世界規模のアドネットワークAdcolonyのCEOウィル・カッソイさんの講演をお届けします。
動画広告の市場について理解を深めることができる内容です。
Adcolonyについて&会場からの質問
Adcolony(アドコロニー)について
2011年に創業した動画広告のアドネットワーク、0.1秒で動画広告の再生をスタートさせるなども強み。
(Adcolony調査では、モバイル動画の再生までの読み込み時間は、世界中で6.5年以上(20億秒以上)の時間が毎日浪費されているとのこと)
アメリカのトップ100の75%のアプリで導入されている。Hasoffersの発表では、アドネットワーク375社中3位、動画アドネットワークでは1位にランク付けされた。(規模だけでなく収益性なども指標になっている)
※日本やアジアの広告主もたくさんいるとのこと。
アドコロニーの動画広告は、広告主は1再生あたり平均いくらぐらい払うのか?アプリ開発者に還元されるのはいくら?
例えば、仮にコカ・コーラが広告主だったとしましょう、この場合コカコーラは1回の動画再生あたり2-7セント(約2-7円)の広告費を支払います。CPM(広告1000回表示あたりのコスト)でいうと20~70ドルですね。
それで、その広告予算の平均60%がアプリ開発者に還元されます、アドコロニーとアプリ開発者で40:60で収益を分けるということです。条件によって多少前後はしますけど。
アドコロニーの場合、ユーザーが動画を最後まで見終わってはじめて課金していまして、これをCost Per Completed Videoview(動画視聴完了あたりのコスト)と呼んでいますが、動画広告をユーザーが最後まで試聴する率は95%にも及びます。
一般的な単価感(相場)でいうと1回の動画視聴あたりのコストとしては、スマホの場合は2-4セント(約2-7円)、タブレットの場合3-6セント(約3-6円)くらいでしょうか、ターゲティングを絞るともう少し高くなったりもします。
※編集部作成、お金の流れイメージ図。
アドコロニーの動画広告でつかう動画素材というのは、お客さんがそれぞれつくっているんでしょうか?それともアドコロニーがつくっている?
ケースバイケースです。ソニー、ホンダ、コカ・コーラのような大きなブランドは自社でつくった動画をもっている場合が多い。
アプリの広告主の場合は、我々が動画を制作することも多い、1日1本くらいはうちでつくっているかな。
動画広告の長さは15秒程度がベスト
動画広告の長さについて、我々のネットワーク上の全てのビデオの長さについて分析を行ったところ、11~20秒が最も高い視聴率を得られる動画広告の長さということが判明した。
なので我々は動画をつくるときには、最高の結果を得られるように15秒程度の長さで動画をつくっている。
最近キャンディークラッシュのキングが日本に拠点を置いたが、アメリカのアプリパブリッシャーたちは日本市場に興味をもっている?
もちろん。スーパーセルも興味を持っているように、日本での成功に強い関心をもっているパブリッシャーはたくさん見てきているし、
実際日本はゲームに関して多くの遺産があるパワフルな市場だ。
中には、「アメリカ市場(英語圏)のみにお金をつぎこむべきだ」という人もいるが、それは怠慢だ。賢い開発者はグローバルに目を向けて計画を立てて動いている。
我々アドコロニーも、日本・韓国・タイなど、クオリティの高いコンテンツを求めるユーザーがいる世界の各地域で、開発者を成功させられるようにチャレンジしていたい。
アメリカの動画広告マーケット
モバイルデバイスの普及率
アメリカではタブレットは47%、スマホは51%の普及率で、スマホやタブレットで動画をみるユーザーは2億人以上いる、54-77%のモバイルユーザーは最低月1で動画を視聴している。
ユーザーはスマホをいじっている時間の80%もの時間をアプリに費やしていることからもわかるように、アプリは非常に重要なポジションにある。
動画広告市場は世界100億円規模に。
アメリカのモバイル動画広告市場は急速に成長中。市場規模は2013⇒2014年で2倍に伸びていて、広告分野では一番ハイスピードな成長。
2014年の時点で市場規模は1400万ドル(約14億円)、さらに今後4年で5000万ドル(約50億円)に成長し、世界規模では1億ドル(約100億円)まで成長すると言われている。
経営者やマーケターからの注目度も高い。
アドコロニーのパートナーや広告主に「2014年に最も注目するユーザー獲得チャネルはどれ?」とアンケートをとったところ、1位は動画(39%)で、2位はソーシャルメディア(31%)だった。アメリカではモバイル動画とソーシャルメディア分野が非常に注目を集めている。
動画広告に移行するアプリ開発者も。
最近アプリパブリッシャーを見ていて感じるトレンドは、オファーウォール型広告のマネタイズの調子が落ちてきていること、理由は効果が薄いから。
私が知っているパブリッシャーの中にはユーザーエクスペリエンスを良くするために、バナー広告ではなく動画広告のみでマネタイズした結果、バナー広告と同様以上の収益額を稼いでいる人もいる。
日本でも動画はホットになる。
日本でのスマホの浸透率はアメリカより高く、2014年で普及率59%と予想されている。つまり日本には6400万人のスマホユーザーがいて、日々数百万人もの人たちが動画を見ているということ。
アメリカではテレビのようなコンテンツがネイティブアプリ上でもたらされている。HuluやNetFlixなどもそうだが、TV番組をモバイルで視聴するようになっている。ますます動画にはチャンスがあるし、日本においてもそうなってくるはず。
取材協力:株式会社サイバーエージェント、Adcolony
編集後記
Adcolonyの動画広告がVIMEOにあったので張っておきます。テレビCMっぽい感じで流れて、最後にDLなり、サイトへのアクセスなりに誘導できる。
上記の動画広告の結果がAdcolonyのサイトで公開されていた。
84万再生で8900人が「アプリDL」か「DVDを買う」のボタンをクリックしたとのこと。
ひとつ気になる点としては、Adcolonyの動画広告ってユーザーにアプリ内通貨をあげて、動画広告を再生してもらう形だと思うけれど(そうではない形式もあるようだが)
いま各所で話題になっているように、「Appleがユーザーインセンティブ渡すような仕組み(リワード)はリジェクト」という部分は問題ないのだろうか。
一応アメリカのTwitterなどで検索しても、そういったクチコミや記事は出てこなかったのですが。