「ボケがおもしろくないと広告効果0」それでもボケてのコラボ広告への依頼が絶えない理由。

2014年06月12日 |
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本日はボケてのインタビュー記事をお送りします。「実はメンバーが集まることは少ない」という運営の裏側、ユニークなコラボ広告でのマネタイズ、など興味深い話が聞けました。

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(ボケてコラボ委員会の皆さん。左から、イセさん、ボケイヌ、新甚さん、平山さん)

それでは以下よりインタビューです。

ボケてについて

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ボケてはどのくらいのユーザーが使っている?

イセ:
いま、アプリのダウンロード数は350万DLです。お題が月3万件、ボケの数で言うと月120万件くらい投稿されています。

PVでいうと、アプリとWEBあわせて月間2億PV以上で、実はアプリからの利用が9割という状況です。

男女比は6:4で、意外に女性ユーザーも多い。2chまとめって女の子も普通にみるじゃないですか、それと同じでアプリが出てから「見るだけ」という女性ユーザーが増えてきた。

ソーシャルでのシェアで広がることも多い?

イセ:
そうですね、特にLINEでのシェアが過半数と多いです。グループに投稿している人が多いのかも。昨年のデータですが、デイリーのシェア数でTwitter2,500、Facebook2,500、LINE5,000くらい。

ただ、どのソーシャルでシェアされやすいかはサービスによりますね。30代以上が使うサービスだったら、Facebookのほうが多くなると思うし。

最初はWEBサービスだったんですよね?

イセ:
はい、2008年からPCではじめたサービスですが、2012年の5月くらいに、NAVERまとめでまとめられたりしてブレイクしました。

そこからアプリが出来て、yahooやグノシーに記事を提供したり、文化庁のメディア芸術祭でエンタメ部門を受賞させてもらったり。

ボケてで「ヒット作を生み出す人」って割ときまっているんですか?

イセ:
ヘビーユーザーは有利ということもなく、平等に評価をしあえるシステムにしていますので、そこまで偏りはないです。

ボケの生存率でいうと実は1%以下ですね。一日40,000ボケあって「注目」に入るのが200~300くらい、なかなか厳しい世界です。

ソーシャル連携もつけてないので「フォロワーが多い」などもないですし平等。あと、TwitterとかFacebookのアカウントと連携させたりすると、会社の上司のつまらないボケにお世辞で”いいね”つけたりとか、つまらないですよね。

マネタイズ・コラボ広告について

ビジネスモデルは、バナー広告と企業コラボでの収益ですか?

イセ:
そうですね、課金は入れてないので、収益源はバナー広告と企業コラボでの収入です。

笑いのサービスですし、まずユーザーが楽しめるというところを大切にして、マネタイズはゆるめにやっています。

このコラボ広告って見ている限りは、ユーザーが嫌がっている感じがないですよね。

新甚:
ボケが人気にならないとコラボ広告がタイムラインに流れてこないのと、広告が出過ぎないように割合調整しているからというのもあるかもしれません。

「ユーザーメリットとマネタイズの両立」がコラボ委員会のテーマでもあるので、楽しんでやってもらえていると嬉しいです。広告主様にとってはシビアな環境ですが(笑)

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(※企業コラボのボケ画像のしたにはバナー広告がでる。ヒットボケがでるとバナーの露出がUPするので、「広告効果はユーザーのセンス次第」というユニークな仕組み)

企業コラボはどんなところとやっているの?

新甚:
アドビさん、中古車のガリバーさん、キリンさん、リクルートさん、日清さんなど、いろんなお客さんとやらせていただいています。

ボケてコラボ委員会のホームページに直接、お問い合わせをいただくこともありますが、過去のコラボ事例を見て「ああいうことがやれないか」と紹介などで興味をもってくれる方も多い。

ボケてらしい笑いを絡めたり、ボケ職人(ユーザー)の創造性を生かせるタイアップにならないと意味がないと思うので、獲得コストの数字ばかり見られるケース等は、お断りすることも頻繁にあります。

イセ:
クライアントには恵まれていますね、やっぱり、自然に問い合わせが来るっていうのが理想です。営業を頑張らないといけないということは、あんまり商品がよくない可能性がありますから。

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コラボはどのくらいの値段で出来るの、固定料金?

新甚:
これまでは一件一件カスタマイズ対応してきたのですが、6月からタイアップメニュー化してリリースしています。コラボの料金目安は、ざっくり500万円~ですね。

それとは別に、例えば漫画家さん、キャラクターの版元、テレビ局など、権利を持っている人とのコラボは積極的にやっていきたいです。

コラボ広告って珍しいと思うけど、企業はどういうことを考えて広告だそうと思っているの?

新甚:
やっぱりボケてのコラボの場合は、ユーザーが参加して新しい広告コンテンツが生まれるという特徴があるので、例えば、消費者に「あ、こういう面白いことやる会社なんだ」と親近感をもってもらうためだったり、あとはボケ作品が創作物として残るので、それをソーシャルメディア等で利用できるのも特徴。

メディアへのプレスリリースなど、広報と絡めてもおもしろいです、パチンコのサンヨーさんの「アタックナンバー1でボケて」は、業界内でかなり話題になっていたみたい、アドビさんの企画もけっこうメディアに取り上げられていたり。

宮崎の日南市のコラボ企画もおもしろいですね。

新甚:
ありがとうございます、市役所のマーケティング推進室からお声掛けいただいて実現しました。市のPRで、観光と物産のアピールをされたいと。

日南市は理解があって、ボケての新しいチャレンジとして取り組めました。市長さんに表敬訪問したのですが「僕の写真の素材をお題に使っていいよ」と言ってくれたり。

広告というか、一緒にコンテンツをつくるのに近いとおもうんですね。ボケが1-2万あつまったりするので、それをクライアントがFacebookページでつかったり。

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行政がこれやるのすごいですね、どんなテンションでやっているんだろう。

新甚:
あ、日南市の方からのコメント見ますか?結構、喜んでいただけたみたいですよ。

▼﨑田恭平 日南市長 談
今回の企画を通じ「何かやってる日南」「おもしろい日南」のイメージを発信することができ、日南市民はもちろんのこと、全国の方々から反響をいただくことができました。ご支援いただきましたボケて実行委員会の皆さまをはじめユーザーの方々に心から感謝申し上げます。

▼宮崎県日南市役所 産業経済部 商工観光課 マーケティング専門官 田鹿倫基 談
ボケてさんと日南市のコラボページに日南市公式ECサイト「みやざき日南物屋」へのリンクを貼っていたのですが、ボケに☆が着いたときは、アクセス数は10倍、売上は3倍まで伸びました。

表向きにはTwitterやFacebookで話題になった、という見られ方をしているのですが、
実際、地域の特産品の販売促進にもつながり、非常に良かったです。

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こういう「コラボ広告でのマネタイズ」って他のアプリでも出来ると思いますか?

新甚:
出来るサービスと、そうじゃないサービスがありますからね、アイディアとサービスの対象によってでしょうか。

「消費者のファン化」という意味だとどのアプリでも共通してできることですよね、ユーザーが欲しがって、自分が参加したいから来てくれるという風にしようと。

「参加型の愛される広告」をつくっていくことは、もっといろんなサービスで、努力して追求すべきところなのかもしれないです。

イセ:
せっかく広告やるなら、おもしろいことやりたいですね、ぼくは広告業界にいたので、コンテンツと広告の距離をもうちょっと近づけたいです。

アプリの運営についてどうやっている?

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※とりあえず、ボケての皆さんはすごい楽しそうにやっているなと感じた。

顔文字アプリの「カオコレ」では渋谷センター街で女子高生にアンケートやったらしいですが、ボケてでもやってる?

イセ:
ユーザーアンケートは、サービスにより使い分けていますね。カオコレの場合は、女子高生のことがわからないのでリサーチしなきゃいけないんですけど、ボケてに関しては、僕ら自身がユーザーなのであまりやらなくてすんでいる。

マーケティングで考えるというよりは思想ベースで判断しています、ぼくらが「こっちのほうが良い」とおもっているからこうする、みたいな。

その話でいうと、ユーザーインタビューって下手したら「すごい薄まったもの」ができるじゃないですか、みんなが良いと思っているもの。それ、やっちゃだめなんですよ。

LINEくらいユーザーがいるサービスだったらいいけど、100万ユーザーくらいで、それやっちゃうとつまんないものができる。

そういう意味では、僕らが意識しているのは「疑ってかかる」ということですね、世に言われている正攻法を「ほんとにそうなのか?」と疑ってみる。そうでないとおもしろいものは出来ないと感じる。

新しい企画などを判断するときは、どのように決めている?

イセ:
オモロキでは2人体制できめています、メンバー6人のうち2人がGOならいく、みんなで決めると時間がかかるしエッジがなくなるので。

ボケてって3社で共同運営しているんですけど、チームが完全フラットなおかげで、良い感じにスピードが出るというのはあるかな。

今日は取材なので集まっていますが、実は、なかなかこのチームが1個の会社に集まることはなかったりします。

ほかのアプリとか見ていて、足りないと思うことありますか?

イセ:
もっと自分のやりたいことを出しても良いんじゃないか、と思ったりはしますね。お利口すぎるのかな、しっかりスクールで勉強したことをやっている感じ、それだと同じものが出来るだけかなあと。

それから、ぼくが新卒のとき習ったのが「気ちがいを大事にしろ」笑気ちがいの友達がいたら、そいつがすごいことやるかもしれないからやさしくしろと。

逆に、自分が気ちがいの人は自信をもってOK、やっぱりエッジをたたせないとだめ。

ソーシャル拡散の仕方とか上手だと思いますが、何か参考にしているサービスはありますか?

イセ:
けっこう参考にすることありますよ、海外のサービスが多いですかね。例えば、ドロップボックスとかインスタグラムとかすごいうまい。

ただ参考にするのって、意外とアプリじゃなくてもいいんですよね。クックパッドやiQONなどのグロースハックしている人たちは、スーパー優秀ですよね。

アプリを立ち上げる時「これが大事だよ」ということありますか?

イセ:
タイミングかな、みんなが考えていることってそんな変わらないはずなんですよ。タイミングだけは人によるセンスの差がある気がしていて、

僕は2008年に起業したんですけど、その頃ってiPhoneがでたばかりだったので絶対アプリで食えなかったんですね。

「チャンスが来たときに準備しておく」ってサッカーの本田圭佑がよくいうじゃないですか、それと同じでまずは準備しておくことですかね。それで迷ったら「リトル本田」に聞くっていう。笑

ソフトバンクの孫さんはゴール・目標を決めてがーっと向かうじゃないですか、あれが出来る人って超少ないですよね、普通の人にはキツすぎるとおもうんです。

ボケては0からのサービスで今は結果もだしていますが、これからアプリのサービスで成功したいですって人がいたらどんなアドバイスをしますか?

イセ:
成功したいというのはあくまで結果なので、大事なのは「どういうものをつくりたいか」だと思いますね、

ボケてをやってみて学んだことでもあるんですけど、結果的にそっちのほうがうまくいくと思う。

最初にぼくが6年前に会社つくったときには「3年で会社を上場させよう」と意気込んでいたのですが、そういうモチベーションだけだと、あんまり人って動かないんですよね。

例えば、ボケてだったら「みんなが心から笑って楽しめるサービスつくりたい」とか、つくりたいものがあるやつは強いと思いますよ。

今後は海外も挑戦する予定ですか?

平山:
海外もやろうと思っていますよ。もちろん、事業として成功させたいというのもあるが、「各国での笑い」がどういうものなのか知りたいという好奇心が強い。

「エジプトでなぜかボケてが大ヒット」とかあるかもしれない、今も海外サイトで翻訳されたりすることもあるので、日本のボケがそのままウケるケースもあるんでしょうね。いろいろ実験しながらやっていきたいとおもいます。

最後に告知などがあればお願いします。

イセ:
メンバーも募集していますので、ボケての運営も含めてスマホのメディア、アプリづくりがおもしろそうだなと思った方はぜひ見てみてください。
http://www.halo-web.com/recruit/

ボケてのコラボに興味もった企業さんがいらっしゃいましたら、こちらからお問い合わせくださいませ。
http://omoroki.com/bokete-collabo/

取材協力:ボケてコラボ委員会(株式会社キャッチボール、株式会社ハロ、株式会社オモロキ)

ボケて(iOSAndroid
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編集後記

ボケてのコラボ広告はやはりユニークだった。というか、日南市(行政)がやっているのがうける。「おもしろいボケが生まれないと、まったくPRにならない」っていうシステムも良いとおもう。

ボケてに限らず、ソーシャルの時代だから、おもしろい話題をつくってくのは大事だよね。ユーザーに「クソワロタwww」って言わせると。モバゲーの和田アキ子×進撃の巨人コラボの「現実の巨人」とかおもしろいよなあ、ああいうのやってみたい。

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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