ブースト広告費も大きく回収、1,000万円稼いだ放置系アプリ「小学生あるある」の裏側。

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本日はコワーキングスペースで活動しているアプリ開発チーム「株式会社grape(グレープ)」のみなさんにお話を伺いました。放置系ゲームの高収益性、ブースト広告の実例など興味深いお話も。

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(※写真は左からgrapeの白川さん、黒澤さん、イカさん)

謎のゲームアプリ「精子vs卵子」について

このアプリ開発チームは、何の集まりですか?

白川:
「タネマキ」という横浜のコワーキングスペースに入っている3人で、去年の11月にチームを組んでアプリ開発をはじめました。いまは株式会社grapeとして活動しています。

企画、イラストデザイナー、開発と、それぞれ役割分担している感じです。

最初にうまくいったアプリは?

白川:
ダウンロード数で言うと「精子vs卵子」ですね。
ダウンロード数は70万強くらい、AppStore総合10位、カテゴリでは1位までいけました。

「精子vs卵子」はどういう風に企画ができたんですか?

白川:
まず真ん中に主人公がいて、敵が四方八方からやってくるっていうゲームシステムだけあって、そのまま出しても流行らないだろうということで、後付けで「精子vs卵子」の設定にしました。

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※敵をよけながらアイテムを回収するゲーム。「アプリ開発の練習も兼ねて出した」とのこと。

際どい気もしますが、審査は問題なくとおったんですね。

白川:
通りましたね・・・内心ドキドキしていたのですけどね。
ゲーム性は問題ないですし、ちゃんと中を見て判断してくれたということかと思います。

1ダウンロードあたりの収益性ってどのくらいなんですか?

白川:
「精子vs卵子」は1ダウンロードあたり1-2円の収益です。リリースして2か月で100万円以上の収益にはなっていました。(※課金はないので広告収益のみ)

ダウンロードを伸ばすためにやったことは?

白川:
特にやっていなくて、知り合いに「アプリ出したよ」って言ったくらいですね。

アプリメディアへのプレスリリースは送りましたが反応はなかったです、やばいアプリだと思われたのかもしれません。笑

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(※「ツイートでモード解放」などソーシャルシェアの機能は盛り込まれていた。)

何がきっかけでランキングが伸びたんですか?

イカ:
最初は、ネイバーで誰かがまとめてくれたのをキッカケにTwitterでバズったんです。それでAppStoreランキングが上がって、後からメディアが取り上げてくれるという流れでした。

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(※NAVERまとめは82万ビューもあって、Twitterでめちゃバズった形跡がある。)

ランキングの推移みるとブーストやってるっぽいですね?

白川:
「精子vs卵子」はネットでバズった後に一回ブーストしたんですよね。約100万円の予算で、数万ダウンロードをブーストしましたが回収できませんでした、ほろにがい思い出です。

イカ:
全然回収できませんでした、他のアクションゲームでやってもたぶんダメなんでしょうね。実はブーストやってみたのは「小学生あるある」で収益がでたので、それで試しにやってみようという感じだったんです。

(※補足:「1ダウンロード1円の収益性で回収できるわけないだろ!」というツッコミもあると思うが、それは承知の上で「カジュアルゲームはホントにブーストで広告費のペイはできないのか?」を一回実証してみたかったとのこと。)

「小学生あるある」について

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※小学生時代のなつかしいあるあるネタをアプリ化したもの。

「小学生あるある」が出たのはいつでしたっけ。

白川:
今年の3月ですね。「放置系ゲームは収益性がいい」という話があったのでそれでつくってみようとなりました、

ツイッターで流行っていた「くそ女のあるあるネタ」からヒントを得ました。それでちょうど僕が「あるあるネタのユーザー投稿サイト」を運営していて、その中で一番人気のスレが「小学生あるある」だったんですね。その中から人気のネタを全部で90こイラスト化してアプリをつくりました。

↓ヒントになったという「くそ女あるある」
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クソ女処刑botより。

リリース当初は調子はどうでしたか?

白川:
今の「小学生あるある」のダウンロード数は26万を超えたところですが、初速はよくなかったんです。

ただ「間違ってるのかな?」ってくらい異様に収益性が良かった。なので「これブーストすれば、絶対元取れるでしょ」ということでブーストしたんですよ。

ブーストしてランキングが上がるといろんな人の目に触れたのか、ねとらぼやロケットニュースなどでも取り上げてくれてネットでバズりました。

ブーストにどのくらい予算かけたんですか?

白川:
GAMEFEATさんの1ダウンロード20円のブーストをつかいました。20-30万円の予算で1万ダウンロード分くらい、AppStoreの総合50位を目指してブースト実施して。

結果としては余裕で広告費の20-30万円分は回収できましたね、なので今度2回目もやります。

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「小学生あるある」は1ダウンロードあたりの収益は公開できますか?

白川:
「小学生あるある」の収益性は1ダウンロード40円ぐらいです、累計で約1,000万円の収益がでました。(※26万ダウンロード×40円=1040万円)

広告収益のバランスは?

白川:
CPIのアイコン広告はGAMEFEAT、CPCのバナー広告はAdmobです。なぜか他より1.5倍くらい収益性がよかったのでAdmobつかっています。バランス的にはCPI60%:CPC40%という感じです。アプリ内課金はいれていません。

(※CPI=広告経由でアプリがインストールされると収益が入ってくる広告、CPC=クリックされると収益が入ってくる広告)

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放置系アプリをつくった人がブースト広告をやる時にアドバイスできることは?

白川:
うーん、そのアプリが流行るかによって全然結果が違うので、まずはアプリ次第だとおもいます。あとはアイコンと名前を工夫してからやるべきですかね。ブーストでランキングが上昇した時に、どのくらいユーザーを取り込めるかの勝負なので。

僕らはアイコンとアプリ名が目立つようにするのはスゴくこだわっていて、仮想AppStoreのビューアーアプリを作って、そこにアイコンとアプリ名をはめこんで目立つかチェックしています。

「小学生あるある」はユーザーがツイートする時の文章も工夫していますね。ツイート文章はサーバー側からいつでも変えられるようにしていて、バズり具合を見て随時変更しています。

↓「仮想AppStoreアプリ」のスクリーンショット。
これをつかって事前にアイコンとアプリ名を並べてみると。
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他にこだわったところありますか?

白川:
放置のレベルアップのバランスは何度も調節しました、他の放置ゲームも結構さわってみたりして。

でも正直「小学生あるある」を出す前は「これ大丈夫かな、ダメかもな」って思ってましたね。放置系って自分の中ではネタばれしてる状態でテストプレイをしなきゃいけないし、つくってるときは面白く感じなかったんですよね。

出してみたらレビューも★5ばかりついていて、やっぱり大丈夫だったんだって。自分のつくってるものを客観的に見るのは難しいですね。

告知したいことなどあればどうぞ。

白川:
今後はもっと工数をかけて「本当の面白いゲーム」をつくろうと考えています、もし一緒に手伝ってくれる(社員ではなくて)プロジェクトに参加してくれる仲間がいたら、声かけてもらえたらうれしいです。デザインでも開発でも歓迎です。(連絡先はこちら

取材協力:株式会社grape

小学生あるある(iOS
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編集後記

割と外部要因でヒットにつながっているので、「精子vs卵子」も「小学生あるある」もまったくヒットしませんでした、という結果であってもおかしくないとおもう。(もちろん「ネタ選びの勝利である」ともいえる)

つまり「放置系ゲームをつくったらなんでも儲かるか?」というとそうではないし運もあると思う。(実際「放置系ゲームの死骸」はAppStoreにはゴロゴロ転がっている)

ブーストの踏み切り方とかは、割と行き当たりばったり感もあって「思い切ったなー」という感じですが、結果だしたのはすごいw つぎにつくる予定の「本当の面白いゲーム」でどんなゲームがでてくるかで、周りの評価が変わりそうな開発者さんです。

「コワーキングスペースでアプリ開発チームつくる」⇒「うまくいって法人化」っていう流れはおもしろいですよね、頑張って欲しい!

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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