8/28に東京(汐留)で開催された、
D2CRさん主催のセミナーに参加してきました。
本記事では第二部の「ブレイブフロンティア成功までの軌跡とこれから」について、
参考になったポイントをまとめたいと思います。
(第一部の「最新アプリビジネス動向 by AppAnnie」についてはこちら)
Alimについて
Alimは、B Dash Ventures・gumi ventures・フジ・スタートアップ・ベンチャーズの、
3社により出資されて設立された会社。
gumiの西新宿オフィスで居候する形で27名で活動している。
ブレイブフロンティアプロジェクト
早貸久敏(総監督)、高橋英士(プロデューサー/ディレクター)、杉山浩(チーフエンジニア)
の3名にて立ち上げられたプロジェクト。
開発体制
2012年の秋くらいまで(1年弱くらい)は5人体制。
そこから半年くらいが13名体制。
リリース以降は24名体制。
ブレイブフロンティアについて
特徴
・オーソドックスな横画面のRPGバトル。
・昔懐かしいドットグラフィックス。
・厨二病的なストーリー。
企画立ち上げ時の構想
2011年末からどんなものをつくるか話し始めた。
即決決定していたこと
・ファンタジーRPGにしよう
・ドットキャラクターをしよう
・フルネイティブでつくろう
2012年1月〜2月に企画の骨組みを話し合った。
その時には、
・ダンジョンを歩かせたい。
・装備箇所は4箇所くらい。
・バトルは横画面でコマンド形式がいいかな。
など普通のRPGをつくろうとしていた。
パズドラショックとの戦い!
2012年2月に「パズドラショック」が起きた。
パズドラは面白いし、よく出来ていると誰もが思った。
パズドラに影響されて、
スロットありかなと考えたり、
ソリティアいけると思って缶詰会議したり、
当初の仕様まで疑いはじめてしまった。
その後、本来自分たちがやりたかったことを思い出して、
立ち直ることが出来た。
パズドラの素晴らしいところは、
うまく自分たちのゲームに取り入れようとした。
気持ち良い操作感はやってみないとわからない。
スマホで遊ぶRPGってなんだろうと、
この辺りから考え始めた。
・HPをキャラクターごとに持たせる。(パズドラは総合HP制)
・RPGだからバトル中にアイテムを使えて戦略性を持たせる。(パズドラはない)
・アイテムを生産する楽しみ。設備・採集できる冒険者の村を設置。
パズドラとブレイブフロンティアが、
一番違うのはバトル部分。
いろいろ悩んだ。
基本操作はタッチパネルで遊べるというのが前提。
タップしたキャラが攻撃するというのは早めに考えていたが、
毎ターン6体のキャラをタップするのは、
めんどくさいのではと思った。
しかし、試作版をつくってみたところ大丈夫だった。
作りながら考えていった。
「スパーク」(キャラ同士の攻撃がかちあう瞬間にダメージ1.5倍というシステム)
も試したところ良かったので採用。
気持ちの良い操作は、机上の設計で考えてはダメ。
ひとつずつ手に取って進めるしか無く、
ダメならつくりなおすしかないという覚悟が必要。
総監督はこだわりまくり
結果的に「こだわり」がユーザーに刺さった感触を、
得ることがたくさんあった。
プロモーションについて
配信前〜リリース
・事前登録
・ファミ通アップ記事広告
だけ。
事前登録は1ヶ月と1週間くらいの期間で8500のシリアルコードを発行、
実際のユニークは半分以下くらい。(※実数は約4000人程という意味)
リリース〜1か月
・ファミ通Appの記事広告
・D2CRに依頼しアドネットワークに出稿
予算は、ここまででトータル4ケタ万円(≒1000万円)使っていないくらいで、
30万インストール獲得できた。
今後のプロモーション
信念をもったモノづくりが、
メディアを動かしていく。
前2社(ファミ通アップ、Appbank)は前々から話していたが、
後2社(アプリゲット・アプリソムリエ)リリース後に自主的にプレイ日記を書いてくれた。
こだわってつくった結果が、
メディアにも刺さっていた。
こうしたこだわりが口コミを産んで、
少しの仕掛けでも数十万DLのユーザーを集められるのではと感じた。
アプリレビューサイトは連載記事を書いておくとPV集まりそう。
ブレイブフロンティアの内部データ
USER数:40万超
MAU :30万超
DAU :12万超
課金率 :10%前後
ARPPU :4000円以上
※リリースから1ヶ月半(8/28)時点での数字。
DAUは安定的に12万超え。
ARPPUは4000円だいぶ超えていて、4000円後半ぐらい。
「無料トップ」のランキング推移
おおよそ100位以内
8月に入ってからリワード2回くらいやっている。
「トップセールス」のランキング推移
10〜20位前後をキープ。
20位以内のコンテンツはだいたい月商1億超えている。
ガチャを追加したタイミングでトップセールス3位まで上がったことがあるが、
上位5位は本当に強いなという金額感。
まさかのサービス中断、ユーザーの励ましに涙
7/3にリリースし
7/8にサービス中断(1週間メンテナンス)
中断理由は、
リリース後すぐ無料トップに入ってしまって、
2〜3日で数万DLいってしまった。
想定以上のインストールとアクティブ率で、
アクセスが想像を超えていた。
負荷がかかったときに、
システム上の不都合もあったため、
思い切って長期メンテナンスをして、
一気に直そうとおもった。
このときユーザーから、
「ブレイブフロンティア終わった」と言われて、
この1週間は寿命が縮む思いで辛かった。
メンテナンス中は、
毎日ツイッターでメンテナンスの状況報告をした。
皆様には大変ご迷惑をおかけしておりまして申し訳ございません。本日も不具合修正・データ調査を進めております。サービス再開に向けて、開発陣一同注力いたしておりますので、今しばらくお待ちいただけますよう、お願い申し上げます。
— 株式会社エイリム (@alim_pr) July 9, 2013
皆様にはご迷惑をおかけしておりまして大変申し訳ございません。本日も引き続き、不具合修正およびデータ補正など、サービス再開に向けての作業を順次進めております。今しばらくお待ちいただけますよう、お願い申し上げます。
— 株式会社エイリム (@alim_pr) July 10, 2013
本日も引き続き、不具合修正およびデータ補正作業を継続し、サービス再開に向けて進行しております。プレイを心待ちにして下さっている皆様、誠にありがとうございます。ご迷惑をおかけいたしますが、今しばらくお待ちいただけますよう、お願い申し上げます。
— 株式会社エイリム (@alim_pr) July 11, 2013
ツイートすると数秒で、
「待ってますよ頑張ってください」
「1週間後にまた遊びます」
ユーザーから励ましの言葉をたくさんもらった。
メッチャ頑張ってはる^_^ “@alim_pr: 皆様には大変ご迷惑をおかけしておりまして申し訳ございません。本日も不具合修正・データ調査を進めております。サービス再開に向けて、開発陣一同注力いたしておりますので、今しばらくお待ちいただけますよう、お願い申し上げます。”
— kazukiφως και σκιά (@kazuki_puzdora) July 9, 2013
@alim_pr 楽しみに待ってます
— 高山 英明 (@hideaking1119) July 9, 2013
@alim_pr お忙しいとは思いますが、頑張ってください\(//∇//)\ 絶対人気になるゲームだと思うのでとっても応援してます!!! ブレイブフロンティア 応援サイト
— ブレイブフロンティア@応援団長 (@bravefannet) July 9, 2013
開発陣は帰り際に、
実際(嬉しくて)泣いていたりもして。
なんとか頑張ることができた。
本記事にては良いツイートを引用しましたが、けっこう厳しいツイートも多かった。
これはなかなか辛かったはず。
サービス再開とともにユーザーも戻ってきた!
7/16にサービス再開した。
再開24時間以内には、
売上的にもメンテナンス前の数値に戻った。
このとき7〜8万ユーザーがいたが、
ほとんどのユーザーが離脱せず待っていてくれた。
再開!!! “@alim_pr: 皆様、大変長らくお待たせいたしました。ブレイブフロンティアのサービスを再開させて頂きました。この度は、皆様に多大なご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。今後とも、ブレイブフロンティアを何卒よろしくお願い申し上げます。”
— Kunitaka Endo /遠藤 国忠 (@kunichan0402) July 16, 2013
スマホゲーマーの求めるレベルが上がっている。
この1ヶ月半運営してきて感じたことは、
スマホゲーマーのレベルが上がっていること。
「詫び石」「新エリア」など要求が高いし多い。
生半可なゲームを出しても上位に入れないし、
入ったとしても維持するのは相当困難。
「パズドラの時はこのくらいの期間かけてやっていたよね」
みたいなことも今では通用しない。
2倍・3倍速でやっていかないと、もはや遅いと言われる。
ブレイブフロンティアの今後の展開について
全体構想のうちの完成度は30%程度。
これから本領発揮していく。
・9月アップデート
-新マップ追加
-新イベント(チャレンジ型イベント)
・10月アップデート
-メインクエスト追加
-レイドバトル
・android版
-2013年夏予定、いまテスト中の段階なのでもうすぐの予定。
・海外展開
北米・ヨーロッパ・中国・韓国を予定。
※翻訳など準備中
まとめ
信念をもってつくるのが一番大事。
webかネイティブかは、ユーザーにとってはどうでもいい。
ユーザーに伝わるのは、コンテンツづくりへの想いと愛。
自分が好きなもの、
遊びたいものをつくるしかない。
そうでないとユーザーの心には刺さらない。
自分の好きでないものをつくって売れることができるなら天才。
今後のスマホゲームは、
本格的なゲームがどんどん出てくる。
タッチパネルの最適化は重要で、
受け入れられる文化も多様化・高度化する。
質疑応答
※会場ではかなり面白い質問・回答が飛び交っていました、
たくさんあったので一部をご紹介。
デイリーの売上は最高どれくらいいきましたか?
⇒4ケタ万円は当然いく感じです。(具体的には秘密)
課金率とARPPUの数字はデイリーの数値?
⇒マンスリーです。
一番見ているKPIは?
⇒DAU。毎日遊んでいる人がいれば、
その先の施策でやれることが多くなる。
KPIはDAUとのことだが。継続率はどうか?
⇒継続率はざっくりいうと
1日後:60〜70%
1,2週間後:40〜50%
1ヶ月:30〜40%
海外展開の際に海外パブリッシャーと手を組むか、自社でやるか?
⇒中国は外からいくと厳しいので外部と組んで、
それ以外は直接やろうかと、検討中。
広報の「かおりんご」さんは今後盛り上げていきますか?
⇒「かおりんご」と「ゆきレモン」というキャラクターがいます。
7〜8割のユーザーは男性かなと思っていたが、
操作自体は簡単なゲームのため、割と女性ユーザーも多い。
今後も女性ユーザーを盛り上げていきたい。
メタルパレードはどのくらいの頻度で実施?アクセスはどの程度増える?
⇒週に2日、1日1時間を2回の頻度。
アクセスに関しては1時間あたりのアクセスは2〜3倍にはなっている。
「ダイヤ」の消費の内訳はどんな感じ?
⇒基本的に召還(ガチャ)が多い。
続いて体力回復、コンティニュー。
「うまくいった話」だけじゃないというのがとても良かった。
カンブリア宮殿とかもそうだと思うけど、開発の裏話を聞くとなぜか興味を持ってしまう。
マーケティングにはストーリーが大事とはよく言うけど、このことだと思った。