「アプリがヒットするか予想できる?」「クチコミはインフルエンザに似ている」ヒットゲームアプリ開発者が語る、アプリの広め方とマネタイズ裏話。

2015年01月26日 |
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12月に開催した「AID×アプリマーケティング研究所 アプリ勉強会」より、ゲームアプリ開発者と、アドネットワークのトークセッションをお届けします。

1:ヒットゲームデベロッパーによるトークセッション

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(撮影:TechBuzz)

登壇者:
株式会社SELECT BUTTON 代表取締役 中畑虎也さん
株式会社サイバーゲート プロデューサー 横山佳史さん
グッディア株式会社 代表取締役 深野 真人

アプリをつくっている段階でヒットするか予測できますか?今までたくさんのアプリをつくってきて、予想と結果のズレ、自分の勘をどのくらい信じているかなど、教えてください。

深野(Goodia):
Goodiaの場合は、ある程度は予想できていますね。というのも、うちの場合は大ヒットの「ホームラン狙い」ではなくて、「ヒットやバントで当てに行く」というイメージに近いからです。

2014年に一番収益をあげた「激ムズ迷路」(※100万DL、広告収益1,000万円以上)も、予想以上の結果ではあったけれど、ヒットはするだろうなとは思っていました。

横山(Cybergate):
弊社の初ヒットアプリは「ピンポンダッシュ」というアプリでした。出す前はうちの代表が「これはないかな」と言っていたけど、結果としてはヒットしました。

あと「Fusumas」「Toilets」などの脱出ゲームも予想外に結果がよくて、シリーズ化している。なので結論としては「自分の勘はあてにならないな」というのが実感です。

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※広告収入1,000万円超えのアプリをいくつもリリースしている。他にも「100 Fusumas」というアプリは累計100万DL、1ダウンロードあたりの収益性が15円程度とのこと。

Goodiaさんって「ボツ」にしてるアプリってどのぐらいあるんですか?

深野(Goodia):
2割ぐらいボツにしていますね。2014年は200アプリ程だしたので、ボツは40くらいあったのかな。アルファ版のアプリをつくってみて「これはいまいちだな」という時にはボツにします。

アクションゲームって企画時点では「おもしろそうだな」と思っても、実際つくってプレイしてみないと「本当のおもしろさ」がわからないことが多いんですよね。

中畑(SELECT BUTTON):
「ヒットが予測できるか?」については「5~10万ダウンロードは突破できるだろう」というくらいであれば予測できるかなと考えています。

セレクトボタンでアプリを企画するときは「(社内で作成した)アプリ企画のチェックリスト」をつかっているのですが、それに当てはめてアプリをつくると、10万ダウンロードぐらいは超えられると考えています。

ただそれ以上は、「時の運」もありますし、どこまでいけるかわからないですよね。

ここに「一見そうは見えないけど、爆発的にヒットしたアプリ」を3つあげてみたのですが、この3アプリの「ヒット要素」についてどう感じますか?

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※ヒットアプリのダウンロード数と広告収益。

中畑(SELECT BUTTON):
僕はこの3つのアプリがヒットしたのは、すごく納得できます。具体的には「1つめのアプリである」ということと「人に言いたくなる」という要素が共通していると思います。

たとえばフラッピーバードの場合は「激ムズ」という要素がすごくポイントになっていて。今では「激ムズ系アプリ」って増えていますけど、海外でほとんどなかったんですよね。これが「1つめのアプリである」ということです。

そして、「スコアがここまで出せた!」と友だちにしゃべりたくなるところ、「口コミするきっかけが、ゲームシステムに組み込まれている」というのが強いと感じます。

次に収益化について。広告の配置などで「こうしたら、うまくいったよ」という具体例などがあれば教えてもらえますか?

深野(Goodia):
ゲームジャンルと広告フォーマットの相性は考えたほうがいいとは思います。たとえば「放置系ゲーム+アイコン広告」、「棒人間アクション+インタースティシャル広告」は良い相性だったりします。

なので、「ゲームジャンル+どの広告を置くか=収益性が高くなる」というのを模索していくのが現実的にベストかなと思います。

「どのアドネットワークをつかうか?」については、昔に比べるとそこまで収益性に大差がでないんじゃないかなという印象があります。

中畑(SELECT BUTTON):
「生きろ!マンボウ」をだしてみて、収益の話での発見が2つありました。

1つは「インタースティシャル広告っていいよ」とよく聞くじゃないですか。これ試したらほんとに収益性が良かったんですよ。「生きろ!マンボウ」でもバナーとインタースティシャルの売上比率は50:50くらいになっています。

そして2つめが「いろんな会社のアドネットワークを入れる」ということです。最初はnendさんしか入れていなかったのですけど、いまはいろんなアドネットワークを入れて、「どのアドネットワークも最低5%は表示する」というふうに運用しています。

すると、各社さんと仲良くできますし、やっぱりアドネットワークごとのタイミングで入ってくる「良い広告案件(単価の高い広告)」を配信してもらえやすい。ということで、これもやってみて良かったです。

ただ、これはリリース済アプリが1つで、かつ、そのアプリのimpが多かったため「手動チューニングの費用対効果が高い」という話なので、今後アプリが増えたら、SSPで運用を自動化しようと考えています。

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マンボウの日本版やっていると、インタースティシャル広告の表示頻度がわりと高い印象を受けます。このバランスってギリギリを攻めているイメージですか?

中畑(SELECT BUTTON):
はい、けっこうギリギリのラインかなとは思いますね。表示頻度についてはユーザーの継続率を見て調整しています。

「メディアの反響」についてです、「テレビでアプリが紹介されて、ダウンロードが爆増しました」など景気のいい話があれば教えてください。

横山(Cybergate):
2014年9月に「王様のブランチ」で「チャレンジ!脳トレ」というアプリが紹介されたのですが、結果として4,000ダウンロード増えました。(なお「チャレンジ!脳トレ2」も2,000ダウンロード増えた)

あと、有名なアプリレビューサイトさんで紹介されると、総合ランキングの150位に食い込めるくらいのインパクトはあるなと思っています。

深野(Goodia):
うちも「王様のブランチ」かな。ダウンロード数というより、マギーちゃんが「鬼蹴り」というGoodiaのゲームを紹介してくれたことが純粋に嬉しかったです。笑

会場の参加者さんで、大きいメディアでアプリが紹介されて、ダウンロードが伸びた方っていらっしゃいますか?

ゲスト(Nagisa横山さん):
Nagisaの横山です。「中居正広のミになる図書館」っていう番組に、僕自身が出演して「49人目の少女」の話をしてきたことがありまして。

その番組は23時頃の時間帯で、紹介された尺が10分ほどだったのですけど、結果としては2,000ダウンロードくらい伸びていました。

やっぱり「単純にテレビで放送された」というだけだと影響は小さいと感じましたね。テレビとはいえ、ちゃんとそのアプリをダウンロードするような文脈やストーリーがないと。

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カジュアルゲームがクチコミで広がっていることを実感する瞬間ってありますか?ちなみに、ネット上の口コミってたった7%でしかないらしいんです、つまり9割以上がリアルクチコミだと。

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中畑(SELECT BUTTON):
クチコミですごく意識しているのは、「濃いコミュニティ」に情報を投下することです。「クチコミって、インフルエンザに似てるな」ってすごい思ってまして、密度が高いと爆発的に広まっていく。

「濃いコミュニティ」っていうのは2つあって。1つは、インフルエンザと一緒で「地域で密集しているところ」に投下すると広まっていくと。一番わかりやすいのが「学校の教室」だと思うんですね。

マンボウも調べていくと東京からどんどん情報が広まっているのがわかった。だから、「東京の学校の教室で話題になりそうなものを投下する」というようなことが大事。

もう1つは、「ネットワークの密度」です。マンボウでいうと「2ちゃんねらーから流行る」みたいな話で「特定のキーワードで結びついた人たち」に情報を投下すると強烈に広まっていく

逆に考えると「濃いコミュニティが反応するようなキーワード」でアプリをつくることが出来れば、拡散されやすいのかなとすごく感じます。

海外、韓国でヒットしたのも「韓国の2ちゃんねらー」からはじまっていったので、そういう濃くて人が多そうなところを狙うといいのかもしれない。

「アプリのダウンロードが伸びない」という悩みよく聞きます、「ダウンロード数を伸ばすコツやヒント」があれば、教えてください。

深野(Goodia):
むずかしいですね・・・「これ!」っていうものはないかな。最近Goodiaで感じていることとしては、「ブーストをかけて10位に入っても、収益があがらないと意味が無い」ということ。

どういうことかというと、「継続率の低いゲームが10位に入る」よりも「継続率の高いゲームが50位に入る」ほうが収益的に成功する可能性が高いんですよね。

そういう意味では、「ゲームとしてのおもしろさ」や「いかに継続してもらえるゲームをつくれるか」というほうを追求していくのが大事。

中畑(SELECT BUTTON):
お金をかけられないのであれば、やっぱりクチコミを狙うしかないかなと思います。カジュアルゲームは特にクチコミで広まるための「ネタ性」が絶対必須だと思いますね。

【会場からの質問】2015年に当社(楽天)で「第三のAndroidアプリマーケット」をオープンする予定なのですが、みなさんからみて「理想のアプリストア」を教えていただけますか?

中畑(SELECT BUTTON):
2つあります。1つは、「課金慣れしているユーザー」が多くいることですね。モバゲー、GREEなどが正にそうだったと思っています。

2つ目は「強力な誘導枠」があることです。これもモバゲーやGREEと一緒。この2つが揃っていたとしたら「第三のアプリストアにもアプリを公開しよう!」と思えますね。

深野(Goodia):
たしかに、リリース時に「アプリの露出ができる仕組み」があると良いですよね、例えば「カジュアルゲームに特化したランキング」があるとか。

「広告モデルのカジュアルゲーム」と「課金モデルのソーシャルゲーム」が同じ面で勝負するのは、けっこう厳しいものがあるので、そういうところも考慮されていると嬉しいです。

2:アドネットワーク運営企業によるトークセッション

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登壇者:
ライヴエイド福島さん(AIDスルーパス運営)
Nagisa吉丸さん(ParadoxPOPAD運営)
ファンコミュニケーションズ渡邉さん(nend運営)

各アドネットワーク導入アプリで「今年一番稼いだアプリ」はどんなアプリだったか教えていただけますか?

渡邉(nend):
上位アプリのトップ10を見てみると、実は「今年リリースしたアプリ」は1つも入っていません。

つまり、2014年の累計で広告収益を大きくあげたのは「数年間運営されていて、ユーザーを囲っているアプリ」ばかりということです。

ジャンルでいうと「まとめ系」「ゲーム」「音楽系」などですね。1位のアプリは年間の広告収益は(nendだけで)1億円を超えています。

ちなみに、アプリストアのランキング1位2位に数日間いるようなアプリの収益性を見てみると、1か月半で450万円ぐらい(広告で)売上を上げているアプリもけっこうあります。

吉丸(Paradox):
アドネットワークはまだはじめたばかりなので、Nagisaのアプリでいうと2014年で一番収益をあげたのは「Romly」という2ちゃんまとめアプリですね。

福島(AID):
AIDで2014年一番稼いだのは「音楽系のアプリ」です。ライフスタイルに結びついているアプリはユーザー数が伸ばしやすく、毎日のように使ってもらえる。

注目されていないけど「実はけっこう稼いでいる」というアプリジャンルがあれば教えてください。

渡邉(nend):
「ゲーム攻略系」のアプリですね。というのも、アドネットワーク会社に出稿される広告の半分以上がゲームの広告なので、やはりそこと相性がいいという話です。

1つのアプリで広告収益1,000万円以上あげているゲーム攻略アプリは日本に10こくらいはあると感じます。

福島(AID):
AIDで意外に稼いでいるのは「ジャンル特化型のニュースアプリ」です。例えばサッカーニュースをひたすら配信しているアプリなどです。

アプリがあるジャンルに特化していることで、ターゲティングされた濃いユーザーが長くつかってくれるので、収益性も高く出るという実感がありますね。

取材協力:サイバーゲート、グッディア、SELECT BUTTON、ライブエイド、ファンコミュニケーションズ、Nagisa

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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