12月に開催した「AID×アプリマーケティング研究所 アプリ勉強会」より、グッディアさんの講演をお届けします。カジュアルゲームをつくっている方は、マネタイズのヒントがあるかもしれません。
※グッディア株式会社 マーケティング部 木下知寛さん(撮影:TechBuzz)
Goodia(グッディア)について
Goodiaの紹介
木下:
設立が2011年(今4期目)のアプリをつくっている会社です。制作拠点は名古屋とベトナム、マーケティング部は2014年から東京オフィスに移りました。スタッフは約50名です。
2013年までは80〜90%は「棒人間系」と呼ばれるアクションゲームをつくっていたのですが、2014年は「脱出」「店舗経営」など、ちょっと手の込んだゲームにもチャレンジしました。
今回は、Goodiaでリリースしたゲームの、実際のデータなどを中心に、2014年のアプリ市場を振り返ったお話ができればと思っています。
Goodiaゲーム全体のデータ
木下:
こちらが、今までGoodiaでつくってきたゲーム全体のデータです。OS別のダウンロード数の比率でみると、iOSが67%、Androidが33%となっています。
ユーザー層としては「若い子」も多いですが「お母さん層」も多いと感じます。
どういうことかというと、小学生くらいのお子さんが「お母さんのスマホ」でゲームを遊んでいるんですね。実際にそういうシーンをたびたび見かけています。
今までリリースしてきたタイトルの本数としては累計337本。ダウンロード数でいうと累計3,500万ダウンロードを突破しています。
2014年にリリースしたアプリの本数
木下:
Goodiaの全タイトル337本のうち、約200タイトルが今期(2014年度)リリースされたアプリです。月ごとの本数で見ると、2014年は平均で月16.75本のアプリをリリースしました。少ない時(4月)が8本で、一番多い時(9月)で23本です。
7-9月が多くなっているのは、夏休みに集中的にリリースしようという戦略です。ユーザーに「学生」や「小っちゃい子」が多いので、6月くらいまではアプリを貯めておいて、夏休みシーズンに寄せてリリースするようにしています。
Goodiaの売上構成
木下:
こちらがGoodia全体の売上構成です。バナー広告が36.7%、インタースティシャルが32.6%、アイコン広告が21.6%、ウォール広告が8.3%、最近ちょっと始めているリワードと課金が1.1%という構成です。
初月の売上が高かったアプリベスト3(2014)
3位:魔王があと5日で世界征服するってよ
木下:2014年にだしたアプリで「リリース初月の売上が高かったアプリ」を3つ紹介します。3位が「魔王があと5日で世界征服するってよ-魔王復活-」(iOS/Android)というゲームです。
ジャンルとしては「クリッカーゲーム」と呼ばれているもので、クリックして経験値を貯めて、その貯めた経験値で仲間やスキルを買って「5日のうちに魔王を倒す」という内容。
男女比率と収益性
木下:男女比率としては男性65%、女性35%でした。見た目の予想通り、男性比率が多くなった印象です。1DAUあたりの収益の平均は20.05円と、かなり高くなっています。(※DAU=デイリー・アクティブ・ユーザー)
収益構成
木下:収益構成としては、アイコン広告が38%で一番多い。なぜかというとクリックで経験値をためる画面にアイコン広告を上下2つ設置しているからです。つまりメイン画面のimpの高さに比例して収益が多く上がっているということですね。
2位:超高速ジェットコースター
木下:2位が「超高速ジェットコースター」(iOS/Android)という、棒人間系のアクションゲームです。所謂「死にゲー」とよばれる「すぐ死ぬ→リトライ」を繰り返しながら、うまくなっていくタイプのゲームです。
男女比率と収益性
木下:男女比率は男性56%、女性44%。1DAU当たりの収益が7.4円で、かなり低く感じると思うのですけど、棒人間系ゲームの中では平均〜少し高いくらいの数字になっています。
収益構成
木下:収益構成としてはバナー広告が14.9%、アイコン広告が20.1%、インタースティシャル広告が60.6%、ウォール広告が4.4%。インタースティシャルが全体の6割をマークしています。
理由としては「何度もリトライするから」ですね。リトライを繰り返す人が多かったため、インタースティシャル広告の収益性が高まっていると。
Goodiaの棒人間ゲームでは、ゲーム終了画面に到達したときに「4回に1回」インタースティシャル広告を表示しています。
「4回に1回」という頻度にしている理由は、いろいろ試してみた結果で、収益性が高く維持できて、ストアのレビューに「広告うざい」と書かれにくいという、最適なバランスだと判断したからです。
1位:激ムズ迷路100
木下:続いて1位が「激ムズ迷路100」(iOS/Android)というアプリです。内容としてはスティックを操作して、100ステージの迷路をクリアしていくゲームで、1ユーザーあたりのプレイ時間がとても長いのが特徴です。
男女比率と収益性
木下:男女比率は男性51%、女性49%と他のゲームよりは女性比率が高い。1DAUあたりの収益平均は3.6円という結果でした。
このアプリはAppStoreの総合無料で2位までいったのですが、やはり「激ムズ」「迷路」というキーワードのキャッチーさがウケたという印象が強いですね。
1DAUあたりの収益性は低かったにも関わらず、ダウンロード数が大きく伸びたため、初月の収益がよかったというアプリです。
収益構成
木下:収益構成としてはバナー広告が53%、アイコン広告17%、インタースティシャル広告15%、ウォール広告15%となっています。
バナー広告の割合が50%を占めているのは、メインの迷路画面のフッターにバナーを設置していたからです。「迷路に迷ってしまった人」の視線が広告にいきやすかったというのもあるかもしれません。
Goodiaでたくさんゲームをだして得られたノウハウ
木下:2014年もGoodiaでは、いろいろな種類のアプリを出してきたのですけど、そこで得られた4つのノウハウを最後にご紹介します。
1、「カジュアルゲーム」はボリュームが大事
木下:
1つ目は、カジュアルゲームというものは「やっぱり、ボリュームが大事だ」(多くのユーザーに遊んでもらえないと成立しにくい)ということを再認識しました。
そういう意味では「AppStoreでいかに目を引くか」という勝負にもなってくるので、アプリ名とアイコンデザインもすごく重要ですよね。
2、「クリッカー系ゲーム」は収益性が高い
木下:
2つ目は「クリッカー系ゲームは収益性が高い」ということです。「魔王があと5日で世界征服するってよ」も1DAUあたりの収益性が20円を超えていました。
「クリッカー系ゲーム」はゲームシステムと収益性についてはうまく成立しているので、そこにウケる企画をはめこむことができれば、収益インパクトの大きいゲームができる可能性が高い。
イグニスさんの「ネズミだくだく」のような同ジャンルのゲームも、同じくらいの高い収益性がでているのではと感じます。
※日本でも人気アプリがいくつか出ているが、海外でもクリッカー系ゲームがヒットしはじめている。(図:編集部作成)
3、「脱出ゲーム」の収益化は難しい
木下:
3つ目は「脱出ゲームの収益化が難しい」ということです。
Goodiaでは2014年に「名探偵ビリー」という初の脱出ゲームを出しました。デザイン・ストーリー・謎解きなどこだわってつくっています。
その結果「名探偵ビリー」はシリーズで5作ほどだしたのですが、ダウンロード数も好調、ファンの熱中度も高くて、すごく人気がでたんですね。
ただ、実は収益性のところだけがあまり芳しくなくてですね…。そこだけは、すこし考えないといけないなという結論になっています。
※「名探偵ビリー」シリーズは人気があるが(広告モデルと相性が良くないため)採算がとりづらいとのこと。(図:編集部作成)
4、「シンプルデザインのゲーム」は日本でウケなかった。
木下:
4つ目が「シンプルデザインのゲームは日本では微妙」ということです。海外、特にアメリカのAppStoreを見ていると、シンプルデザインのゲームが常にランキングの50位内に入っているんですね。
それを見て「これは日本でもいけるし、海外でも人気がでる可能性がある」と思ったのですけど、実際に試してみたところ「日本ではあまり好まれなかった」というのが感想です。
英語のローカライズにも挑戦したのですが、やはり日本と海外でプロモーション方法が違うというところで、集客の部分がなかなかうまくいきませんでした。
※アメリカを中心に海外でヒットしているシンプルデザインのゲーム(上)、Goodiaで2014年にリリースしたシンプルデザインゲーム(下)。(図:編集部作成)
以上です、皆さんのお役に立てれば嬉しく思います。
取材協力:グッディア株式会社
編集後記
平均で月16.75本のゲームアプリつくっている会社は、世界でみてもほとんどなさそう。ある意味Goodiaさんのゲームをずっとウォッチしていれば、市場の流れがなんとなく読めそうでもある。
グッディアさんでは「マーケティング総合職」「プロデューサー」(東京勤務)など、人材をすごく募集している(Goodia採用ページ)とのことです。ゲームアプリをたくさんつくりたい方など、ご興味があればどうぞ。