本日はD2CRさん主催「iPhone 6発売記念!アプリビジネス・マーケティングの今後予測!」にて登壇された、AppAnnieさんの講演(後編)をお届けします。
【前編はこちら】⇒「全世界アプリの売上92%がフリーミアム」アプリストア9つのトレンド
日本のアプリは海外でヒットしているのか。
日本のパブリッシャーはどの国で成功しているか?
桑水:
日本のパブリッシャーが成功している国を調べてみると、ダウンロードと売上ともに2位・3位にタイと台湾がランクインしている。
理由としては「LINE」や「LINEゲーム」が今年4月ごろからダウンロード・売上を伸ばしていることが影響として大きい。
中国が入っていないのは現地パートナーと組んでいるためで、実質は台湾・タイの上あたりに入ってくる。(中国で結果が出ていないわけではない)
※日本企業が海外のどの国で活躍しているか?(左:ダウンロードベース、右:売上ベース)
海外で活躍する日本企業トップ10
桑水:
純粋に海外での売上・ダウンロード数(日本の数字は除く)でだしたランキング。特に海外で大きく売上を伸ばしているパブリッシャーはLINEとgumi。
※海外で活躍している日本企業。(左:ダウンロード数ベース、右:売上ベース)
海外でヒットしている日本のゲームは?
桑水:
ダウンロードベースでみるとLINE、GREE、DeNAの3社が強い。アプリ単位でみた売上ランキング(2014年7月)では、ブレイブフロンティア、LINEレンジャー、パズドラがトップ3。
※なお「ブレイブフロンティア」は開発がエイリムで、パブリッシュ(販売)がgumi。このランキングは「単月の売上」なので今後変動する可能性も有。
※海外でヒットしている日本のアプリ(左:ダウンロードベース、右:売上ベース)
世界各国のアプリランキング
アプリダウンロード数が多い国トップ10
桑水:
アプリのダウンロード数が大きい国トップ10と、AppStoreとGooglePlayの比率をみていきますと、AppStoreのダウンロード数は、アメリカと中国だけで全体の45%を占める。
中国のGooglePlayは計測外(中国にはGooglaPlayがない)、中国では「Baidu系」「Alibaba系」「Wandoujia(ソフトバンク系)」「360」「Tencent」の5つのサードパーティーAndroidストアが大きい。
※中国はAppStoreのダウンロード数だけで2位にランクイン。
世界のアプリダウンロード数トップ10(2014年8月)
1位)アメリカ(iOS>Android)
2位)中国(iOS?Android)
3位)ブラジル(iOS<Android)
4位)ロシア(iOS<Android)
5位)日本(iOS>Android)
6位)インド(iOS<Android)
7位)韓国(iOS<Android)
8位)メキシコ(iOS<Android)
9位)イギリス(iOS>Android)
10位)トルコ(iOS<Android)
アプリの市場規模が大きい国トップ10
桑水:
GooglePlay市場はアメリカ・韓国・日本の3カ国でGooglePlay世界市場の2/3を占める。台湾のGooglePlay市場は6月にキャリア決済がスタートしてから大きく伸びている。
GooglePlayは新興国を中心にダウンロード数が伸びているが、iOSのほうが市場は大きい。日本・韓国・ドイツ・台湾以外はiOSのほうがマネタイズしやすい。
世界のアプリ市場トップ10(2014年8月)
1位)日本(iOS≒Android)
2位)アメリカ(iOS>Android)
3位)韓国(iOS<Android)
4位)中国(iOS?Android)
5位)イギリス(iOS>Android)
6位)ドイツ(iOS>Android)
7位)オーストラリア(iOS>Android)
8位)フランス(iOS>Android)
9位)カナダ(iOS>Android)
10位)台湾(iOS<Android)
AppStore(iOS)が強い国トップ10
桑水:
AppStoreが強い国としてはダウンロード数でみるとアメリカ・中国が強い。売上でみると、アメリカ・日本・中国が強い。
ブラジルのダウンロードが大きく伸びている。2014年初めにブラジルでAppStoreがオープンし、3G・4Gのインフラへの投資も盛ん。
※(左)AppStoreダウンロード数ランキング、(右)AppStore売上ランキング
GooglePlay(Android)が強い国トップ10
桑水:
GooglePlayは急速に伸びている国が多い(ラテンアメリカ、東南アジアなど)、ブラジルがインドを抜いて2位に浮上。市場規模としては日本・アメリカ・韓国が圧倒的。
※(左)GooglePlayダウンロード数ランキング、(右)GooglePlay売上ランキング
国別トレンドまとめ
桑水:
<各国のローンチ戦略>
・日本とアメリカは、iOS/GooglePlayどちらも必要。
・中国はiOS+ローカルAndroidストアを使う必要がある。
・その他の国では、iOSのほうがGooglePlayよりもマネタイズしやすい。
<急成長している国>
・ブラジルがiOS、GooglePlayともにダウンロード数で「3位」と急成長。
・台湾、中国のiOS市場も成長している。
・メキシコ、トルコ、インドネシアのGooglePlayダウンロード数が成長。
・ドイツのGoogle Playの売上が成長。
iPhoneとiPad、世界各国ではどのくらいの比率で使われている?
iPhoneアプリとiPadアプリの割合(ダウンロード数)
桑水:
iPhoneとiPadのアプリダウンロード数で見てみると、AppStore上での全アプリダウンロードの20%がiPadからのダウンロード。世界基準でみると日本のiPadアプリの利用率はまだまだ小さい。
※iPhoneとiPadのアプリダウンロード比率。
iPhoneアプリとiPadアプリの割合(収益)
桑水:
iPhoneとiPadのアプリを売上で見ていくと、AppStore全体の1/3がiPadからの売上となる。1ダウンロードあたりの売上もiPadのほうが高い。
ロシアはiPhoneとiPadの市場サイズがほぼ同じ、アメリカは40%ぐらいがiPadからの売上。
日本もけっこうiPad市場が大きいように見えるが、iPhone市場の大きい割にはiPad市場がまだまだ小さい。
これは、日本にはiPad特化のコンテンツが少ないのが理由のひとつ。海外ではストリーミングアプリは40%がiPadから利用されていたりする。
日本でもiPad特化コンテンツが増えてくると、もっとiPadアプリ市場が大きくなるかもしれない。
※iPhoneとiPadのアプリ売上比率。
伸びているアプリジャンルは?
AppStoreのカテゴリトレンド(グローバル)
桑水:
AppStoreをカテゴリ別に見てみると、ダウンロード数では「ソーシャルネットワーク」が順位上昇。
売上でみると「教育」が2つランクアップした。(「教育」アプリは、現在は有料アプリが多い)
※AppStoreで盛り上がっているアプリカテゴリ(左:ダウンロード数ベース、右:売上ベース)
GooglePlayのカテゴリトレンド(グローバル)
桑水:
GooglePlayをカテゴリ別に見てみると、ダウンロード数では「写真・コラージュ」が3ランクアップ。売上3位の「ソーシャル」は出会い系も含んでいる。
音楽系サービス(「Pandora」や「Spotify」など)もマネタイズに成功しているカテゴリ、「Spotify」は7月からアプリ内課金ができるようになり、売上ランキングが好調。
※GooglePlayで盛り上がっているアプリカテゴリ(左:ダウンロード数ベース、右:売上ベース)
カテゴリ別のトレンドまとめ
桑水:
・「ゲーム」はiOS、GooglePlay両方にとって重要。
・「ソーシャルネットワーク」はメッセージ(Facebookメッセンジャーなど)によりダウンロード急増。
・「写真」は、加工やコラージュのアプリが人気で、ダウンロードが伸びた。
・「教育」は収益ランキングで成長、特に「外国語習得アプリ」が人気。
取材協力:App Annie Japan、株式会社D2CR
編集後記・まとめ
iOS市場はマネタイズで優れているが、Androidが新興国で一気に普及して来ていて水面下で追い上げているという構図ということですね。
ブレイブフロンティアとLINEレンジャーがパズドラより海外で売上あげている(単月ではありますが)のは知らなかった。
AppAnnieさん(東京オフィス)では積極採用中とのこと、ご興味有る方は見てみてください。