「Facebook広告がめちゃくちゃシェアされる」台湾NO.1のアドネットワーク「Vpon」が語る、台湾でアプリのダウンロードを増やすために知っておくべきこと。

2014年11月25日 |
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台湾でシェアナンバー1のアドネットワーク「Vpon」(Forbesの「潜在力のある企業100」にも選ばれている)の日本法人「Vpon Japan」が出来たとのことで、台湾のアプリ市場について教えてもらいました。

vpon_shinohara
※VponJapan 代表の篠原 好孝さん。

台湾のアプリ市場について

台湾のスマホ市場について教えてください。

篠原:
現在の台湾は「スマホ大国」になっています。人口でいうと2,350万人なのですが、スマホの普及率は60%近くに到達していて、1人で2-3台スマホを持っている人もいます。

そして、台湾人は世界で一番スマホをいじる国民というデータも出ています、ある調査では「台湾人は1日にスマホを200分以上使う」という結果になっていました。(ちなみに日本は1日120分ぐらい)

あと、何より台湾人は日本のコンテンツが大好き。「日本のアプリが勝手に台湾で人気になった」という話は、数えきれないくらいありますよね。

taiwan_market

iOSとAndroidの比率はどうでしょう?

篠原:
大体iOSとAndroidが2:8と「Androidの国」ですね。端末はSamsungやHTCのスマホが人気があります。ただ直近はiPhone6の登場もあり、iOSのシェアも増え始めています。

また、非常に課金にためらいのない国で市場も大きい。AppAnnieさんのデータによると、台湾はGooglePlay世界5位の市場にまで成長しています。

決済手段については、プリペイド決済をつかっている人が多いのが特徴です。

taiwan_iosandroid

台湾の人はスマホで何をしているんですか?

篠原:
もう「すべてスマホ」って感じなんでしょうね。まずソーシャルでいうとLINEとFacebookの普及率がすごく高い。

そして「シェア文化」が日本よりも強くて、Facebook広告でさえめちゃくちゃシェアされる。そのおかげで、Facebook広告は安くユーザーが獲得できるので、鉄板のアプリプロモーション手法になっています。

sns_penetration_japantaiwan
※日本と台湾のソーシャル普及率の比較(あくまで「人口÷ユーザー数」の数値)なお、日本のFacebookユーザーはMAUのみしか公開されていないため、MAUで計算している点もご留意ください。

<詳細データ>
LINE台湾 1700万ユーザー/人口2300万人 (普及率73%)
LINE日本 5400万ユーザー/人口1億2700万人(普及率42%)
FB台湾  1500万ユーザーくらい/人口 2300万人(普及率65%)
FB日本  2300万MAU/人口1億2700万人(普及率18%)

台湾ならではのスマホトレンドって何かありますか?

篠原:
ひとつ顕著なトレンドがあって、台湾では少し大きめのスマホ「ファブレット」(5〜6.9インチのスマホ)がすごく伸びています

実際、台湾で街を歩いていても、でっかいスマホを持っている人が非常に多いんですよね。

taiwan_phablet
※Vponで持っている2,000万ユーザーの台湾のトラフィックデータ(7-9月)ファブレットのシェアが高まっている。

なんで彼らは、大きいスマホを好むんですかね?

篠原:
台湾の人ってスマホですごく動画を見るんですよ。特に「韓流ドラマ」が好きで、YouTube視聴アプリやhuluみたいなアプリで視聴している。

ちなみに日本のドラマは「HERO」とかは人気なのですが、法律ものや事件ものが多くわかりにくいせいか、そこまで人気がないみたいですね。

あと、台湾はネットワーク環境も意外に良くて、Wi-Fiが色んな所で拾えるし、動画も快適に見られます。僕も台湾に行った時、日本からWi-Fルーターを持って行きましたが、現地のWi-Fiで問題ありませんでした。

台湾で人気のアプリのジャンルはありますか?

篠原:
台湾人って「自撮り(セルフィー)」が大好きなのでカメラアプリが人気。

みんな自分のことが大好きで「自撮りに使う棒」を、けっこうみんな持ち歩いていますし、Facebookを見ると自撮りの投稿が多いんです。笑

日本のアプリでいうと「snapeee(スナッピー)」という写真共有アプリは、台湾の若い女子に大人気で150万ダウンロードまで伸びています。台湾は「カワイイ」というキーワードが刺さる国ですよね。

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※台湾では「自撮り棒(セルフィースティック)」が人気で1,000円~2,000円くらいで販売されているんだとか。画像は台北ナビより。

ゲームではどんなアプリが人気ですか?

篠原:
短時間で遊べるカジュアルゲーム、例えば「キャンディークラッシュ」「LINEレンジャー」などのキュートなアプリは、台湾のユーザーを引きつけています。

また、パズドラなどのパズルRPGもとても人気で、Mad head社の「神魔之塔(Tower of Saviors)」は台湾の国民的なゲームになっています。

「日本と台湾の文化は似ている」と良く聞くのですが、細かい違いは気にする必要があるんでしょうか?

篠原:
もちろんあると思いますが、たぶんアプリを出してみるのが一番早いと思います。

例えば、モンストも今年の5月に台湾に進出したそうですが、「協力プレイ」って日本の文化ということに気づいたんだそうです。mixiの社長の森田さんが講演で言っていました。

理由は、日本ではゲームボーイやDSで「対戦・協力」が当たり前になっているから。台湾だとその文化がまだ根付いていなく、すこし勝手が違うという話をされていました。

台湾でのアプリプロモーションについて

台湾でプロモーションをする時は、どんな手順でやるべき?

篠原:
王道のやり方としては、CPI広告(LINEやMycard)⇒Facebook広告/Googleディスプレイネットワーク/Vponという流れが大枠ですかね。

「TVCMも同時にうつとオンライン広告のパフォーマンスが2〜5割増加する」と言われていて、TVCMを併用するケースも多い。あとは、日本以上に駅やバスなどでアプリの交通広告も見ますね。

taiwan_app_promotion

台湾にもブースト(リワード)ってあるんですか?

篠原:
はい、台湾ではブーストがまだまだ有効で、ゲーム企業は3〜5割の予算をCPIメディアに投下しています。特に週末は効果が良くなるのでオススメです。

もちろんリワードで獲得したユーザーは、継続率でいうと10%程度しか残らないのですが、ブーストを実施することで自然流入が大きく獲得できます。状況としては、2〜3年前の日本に似ていますよね。

台湾でブーストをやりたいときは、どんなサービスが主流なんですか?

篠原:
台湾でブーストを行う時には、GooglePlayの場合「LINEフリーコイン」と「Mycard(マイカード)」という2つのサービスが定番です。iOSであればアドウェイズさんの「Appdriver」でしょうか。

特にここ1年で「マイカード」の名前をよく聞くようになりましたね。低単価で使いやすいサービスなので、クチコミで広がっているようです。

台湾のマネタイズやローカライズ

ようやく今年にはいって台湾市場が伸びてきたと思うのですが、いまは参入タイミングとしてはどうでしょう?

篠原:
いま狙い時だとおもいますよ。LINEゲームは何本も上位ランキングに入っているし、モンストも5月に台湾進出して継続的に上位にいますよね。

他にも、JOEさんの「ようとん場」も勢いがあるし、パペルックさんの写真コラージュアプリ「papelook」もノンプロモーションで55万ダウンロードまで伸びています。

もう少しすると、北米などからの進出も増えて、今の日本のようにさらに競争が激しくなる可能性が高いのではないでしょうか。

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※台湾で人気がある日本のアプリ一例。

日本のアプリを台湾でだすときは、中国語にローカライズした方がいいんですか?

篠原:
中国語にローカライズできればベストですね。それが難しければ英語でリリースするのがベターだと思います。

ただ、ジャンルによっては日本語のままでもいける場合もあります。台湾は日本語が読める人も多いし、日本特有のアニメ・萌えキャラへの抵抗もない。

日本語でそのままいけるってすごいですね。

篠原:
極端なケースでは、中国語よりも日本語のバナー広告のほうがクリック率が高いことさえあるんです。

日本人が英語に対してなんか変な憧れがあるように、台湾人からすると日本語はかっこ良く見えているようです。実際、台湾の同僚はそう言っていました。

そういう意味では、「台湾はいちばん海外進出しやすい国」といっても過言ではない。

東南アジアや中国に進出したいとき「テストとして台湾にアプリを出してみる」というのもありでしょうか?

篠原:
そうですね。台湾・香港・タイ・インドネシアのアプリストアのランキングは連動しているので、その考え方もありです。(※仕組みとして連動しているのではなく、波及しやすいという意味)

あと、中国と台湾はマーケットとしてはまったく別物ではあるのですが、「コンテンツがそもそも中華圏で受けるのか」という判断は出来ます。

なので「台湾にコンテンツをだしてみて、手応えがあったら中国本土に進出する」というのも、最近は一つの流れになってきていると感じますね。

クラッシュ・オブ・クランのスーパーセルでは、カナダでテストマーケティングをやってから米国に進出しているそうですが、それに近いかもしれません。

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※日本のアプリは「一旦台湾を経由して中国へ進出」というのが、流れとしてスムーズかもしれないと。

日本のアプリデベロッパーが台湾でマネタイズしたいときは、日本のアドネットワークを使うより「Vpon」など現地のネットワークを入れるべきなんですか?

篠原:
日本のアプリデベロッパーが海外でマネタイズをするとき、AdMobやInMobiなどグローバルネットワークを選択されている方が多数だと思います。

台湾や香港においては、そこにVponも併用するというのが一番オススメです。Vpon(本体)は台湾現地の広告主が獲得できているので、台湾の高単価な広告を配信できるのがメリット。

実際、「Vponを使っている台湾の現地デベロッパー」の80%以上が、Admobのメディエーションツールをつかって、VponとAdmobを併用しています。

台湾のアドネットワークのシェアってどんな感じなんですか?

篠原:
台湾のアドネットワークのシェアは、Vponが5割弱、Adomb(Google)が4割以上、残りがその他ローカルネットワーク2~3社とInMobiなどグローバルネットワークという状況です。

日本のアプリ企業から「台湾でマネタイズしたい」という問い合わせは増えていますか?

篠原:
ありがたいことに、自然に台湾で人気がでる日本のアプリが増えているため、「台湾でマネタイズしたい」という問い合わせもすごく増えています。

いまVpon Japanは少人数ということもありますが、お恥ずかしい話、対応が追いついていないくらいです。

とにかく、日本のアプリにとってチャンスがある市場だと感じるので、成功事例を増やしていきたいなあと思っています。

Vpon JAPANについて

Vponが日本に会社をつくったのは、どういう理由があるんですか?

篠原:
やっぱり日本と台湾の「コンテンツ親和性の高さ」に確信があるから。

そして市場規模です、日本を見ずしてアジアは語れない。CyberZさんのデータを見ても、東アジアのスマホゲーム市場の9,000億円のうち、50%以上は日本なんです。

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※日本のスマホゲーム市場はとても大きい。データ参照:CyberZより。

「台湾進出に興味がある」という場合に「とりあえずVponに一回話を聞きたい」ということも可能なんですか?

篠原:
はい、もちろんです。Vpon Japanとしては「台湾で成功する日本のアプリ」をどんどん増やしていきたいと考えているので、もし台湾に興味がありましたらぜひ一度ご相談いただければ。

最後に告知などがあればどうぞ。

篠原:
Vponの話は抜きにしても「台湾は熱い!」ということをお伝えしたいですね、日本のアプリはすごくチャンスがあります。

また、Vpon では年明け1月に台湾で開催される「Taipei Game Show 2015」にブースを出展します。台湾、香港、中国のアプリデベロッパーやビジネス支援の企業がたくさん集まると思います。

もし日本から参加される予定の会社さんがいらっしゃれば、現地でおつなぎ出来たりするかもしれないので、ぜひお気軽にお声がけください!

取材協力:Vpon Japan株式会社(http://www.vpon.com/ja-jp/

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※オフィス内の写真、どうやらオレンジが好きらしい。

編集後記

なおVponJAPANさんでは広告プランナーの求人(Wantedlyリンク)も募集されているそうなので、興味がある人はぜひ。

実際、台湾のAppStoreのランキングをウォッチしていると、日本アプリの出現率高いですよね。今後も勝手に台湾でダウンロードが伸びるアプリも出続けるのだろう。

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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