「トルコ人女性の7割はゲーマー」「インド人がガチャを回さない理由」アナリストが教える新興国のゲーム市場。

2014年06月04日 |
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IGDA日本主催の「GDC2014ローカリゼーションサミット報告会」より、メディアクリエイトさんの講演をピックアップ。

なかなか聞く機会のないインド洋の海外ゲーム市場の概要がわかる内容になっています。
「ゲームアプリをグローバルで展開したい」という方は目を通しておくと良いと思います。

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「インド洋新興国のゲーム市場産業」株式会社メディアクリエイト アナリスト 佐藤翔さん


<目次>
1、東南アジア(ベトナム、タイ、マレーシアなど)のゲーム市場
2、中東、北アフリカ(イラン、トルコなど)のゲーム市場
3、南アジア(インドなど)のゲーム市場
4、サハラ以南アフリカ(南アフリカ、ナイジェリアなど)のゲーム市場

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1、東南アジアのゲーム市場

スマホがよく伸びていて、モバイルゲームが成長セクターになっている。しかし、国によっては依然PCゲームの存在感が大きい。

市場規模

東南アジア全体で1,500-2,000億円の市場、インドネシアはモバイルゲームの伸びが大きく、一番注目が集まっている。

・ベトナム  ・・・200-300億円
・タイ    ・・・200-300億円
・マレーシア ・・・100億円
・インドネシア・・・300億円

市場と産業というのは東南アジアでは必ずしも一致しない。例えば、フィリピンはゲーム市場は大きくないが、欧米の下請けを中心に約60社ゲーム企業があり、売上の9割は国外。

シンガポールは人件費が高いため、ゲームのローカライズなど、新興国の統括の拠点として利用されている。

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東南アジアのゲーム業界の動向

近年はスマホゲームでグローバル市場をターゲットにしたスタートアップ企業が多数登場。ベトナム発のフラッピーバードの成功例もあり、ゲーム開発に注目が集まっている。

しかし、資金調達に苦戦する現地企業も多く、スケールアウトに成功したのはインドネシアのAgate(社員70人)くらい。

インドネシアのホラーゲーム「Dread Out」は、Indiegogo(米クラウドファンディングサイト)で29,000ドル獲得。

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2、中東、北アフリカのゲーム市場

ゲーム市場概要

2013年の北アフリカ(アラブ、イラン、トルコ、アラブ諸国全体)のゲーム市場は推定2,200億円。イラン約400億円、トルコ約500億円と、この2国が大きめ。

Peakgamesという会社が圧倒的な存在感。zyngaやkingに次いで、3位のゲームユーザー数をもっている会社で、ずっとブラウザゲーム中心だったが、最近はネイティブアプリにシフトしている。

多くの企業が、UAEなどの湾岸諸国で外国ゲームを買い付け、人件費が安くIT人材の豊富なヨルダンやレバノンでゲーム開発をしている。

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中東では女性のゲーマーが増加

サウジアラビアやトルコなど、中東で女性ゲーマーが増加している。

ドイツ企業が発表したデータによると、35-44歳のトルコ人の女性は70%以上がオンラインゲームをする。これはヘタすると日本よりも高いレベル。

欧米に留学した学生が流行のリーダーに

中東のアラブ諸国では「どんな国民でも1学位までは留学費用を、国が全額負担」という制度があり、ものすごく欧米へ留学する学生が多い。

欧米の統計機関のデータでは、アメリカへ留学するサウジアラビア人は4万5,000人いる(日本人は2万人、カナダは3万人)さらに毎年30%ぐらいの勢いで伸びている。

欧米留学したサウジアラビアの学生が、自国にアメリカやヨーロッパの流行を持って帰ってくる。彼らが流行の担い手になっていると考えている。

pou(プー)が人気

レバノンのゲーム会社「Zakeh(ザケー)」がだした、「pou(プー)」(日本語名「プーチッチ」)が凄まじい人気。「たまごっち2.0」とも呼ばれる育成ゲームで、2013-2014年の中東北アフリカで大ヒット。

また欧米でも、アメリカAppStoreのキッズカテゴリでは1位に、ドイツ、イタリアでも10位に入る程で、キャラクターグッズの販売もスタートしている。

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3、南アジア(インド)のゲーム市場

インドゲーム市場の概要

NASSCOM(IT業界団体)の統計では、インドのゲーム市場は2014年で約180億円、2015年には約250億円。

これは東南アジア1国分程度の市場で、インドの人口(12億4000万人)で考えると小さい。

ゲームに人気がないわけではなく、インドのデリーやムンバイでは「GAME 4U」などのゲーム専門店も登場。FIFA13を買うためにファンがショップに行列をつくった。

課題はエンタメ単価の安さ。

モバイルの利用は非常に進んでいて、スマホのトラフィック数はインパクトがある。しかし、エンターテインメントの単価が安い。

例えば映画料金、日本では1,500円、欧州1,000円、アメリカ600円、東南アジア500円だが、ユネスコの統計では、インドの映画チケット料金は平均30円。

インドではA席〜D席で料金が違っていて、一番高い席は1,500円、立ち見席は10円で見れてしまう。

この状況でスマホゲームの100円ガチャを回してくれるとは思えない。スマホゲーム市場拡大にはまだ時間がかかる、インドではアプリ内課金よりも広告収益を狙う方が現実的。

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インドではゲーム産業が盛り上がっている

India’s Game Studio Directoryによると、2012年時点でインドのゲーム会社の数は125。(28社がスタッフ100人以上)

何をやっているかというと、北米ゲーム企業(マイクロソフト、ディズニー、Zyngaなど)の下請け。インドのゲーム会社は国内ではなく、グローバルの市場をターゲットにしている。

IT人材が非常に豊富で、ビザをとってアメリカで働いているインド人も多いが、最近はビザ取得が厳しくなり「インド国内で起業したほうがいいよね」という流れに。実際インディーのモバイルゲーム企業もたくさん出てきている。

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インドのゲーム会社紹介「Lakshya Digital」

Lakshya Digital(2004年設立)というゲーム会社、
インド、シンガポールにスタジオがあり200名以上のスタッフがいる。

SCE(ソニー)・マイクロソフトの認定開発パートナーで、実はXboxライブアバターの95%以上をつくっている。「アンチャーテッド2」「Disney Epic Mickey」などの下請けもやっている。

4、サハラ以南アフリカ(南アフリカ、ナイジェリア)ゲーム市場

南アフリカのゲーム市場

ゲーム市場として成り立っているのは南アフリカだけ。PWCの推計では、市場規模は約250億円(2012年)。

MCVの記事によれば南アフリカ市場は、ファミリー向けよりコアゲームが多く、西ヨーロッパ(特にイギリス)にすごい近い。

アフリカ全土では通信インフラの発達が進んでいて、例えば、M-PESA(エムペサ)というケニア発のモバイルサービスも登場。

ケニアではクレジットカードはもちろん、銀行口座を持ってる人はほとんどいない、しかし実はモバイル決済口座を持っている人は全体の3分の1存在する。

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(M-PESAの画面:PaymentMagnatesより)

ナイジェリアのゲーム市場

ノリウッド映画やIT産業にスポットが当たっているアフリカの経済大国、ナイジェリア。

「Gaming in West Africa」という、ナイジェリアでゲームを遊んでる人の写真を撮っているエッセイがあり、それを見ると色々わかっておもしろい。

例えば、アメリカの会社の「ゲームトラック・ナイジェリア」というサービス。これは結婚式やパーティーの主催者がお金を払って、ゲームトラック(モニターとプレステ3をいくつか詰んでいる)を呼ぶ。(トラックは50台くらいあるらしい)

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(画像:GAME TRUCKより)

ナイジェリア映画の本数はアメリカより多い。

映画産業がすごく伸びている、実はナイジェリアの映画ってすごく多い。ノリウッドとも呼ばれている。(=「ハリウッド」+「Nigeria」の造語らしい)

ユネスコのデータをみると、年間でインド映画は1,000本、ナイジェリア映画は800本、アメリカは500本。ナイジェリアは数は多いが、超低予算でつくられている映画が大半。

こういったところに、将来のゲーム産業発達の可能性がある。実際、英米のファンドはかなりナイジェリアへの投資に注目している。

まとめと展望

2019年の各国のゲーム市場を推計したもの。
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新興国のモバイルゲーム市場は、Googleウォレットのような決済インフラが普及すれば飛躍的に成長する可能性がある。

家庭用ゲームやモバイルゲームは、市場の成長のスピードって年に20-30%程度だが、キャリア決済が出てくると数倍に伸びるケースがある。

取材協力:IGDA日本、株式会社メディアクリエイト

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