「週5日つかうユーザーが70~80%」DeNAのオタク選抜がつくったニュースアプリ「ハッカドール」が驚異的なアクティブ率を保てる理由。

2015年04月06日 |
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今回はアニメ・マンガなどの情報を届けてくれるニュースアプリ「ハッカドール」さんにお話を聞いてきました。なにげに「驚異のアクティブ率」が出ているアプリの裏側の仕組みとは?

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※株式会社ディー・エヌ・エー ハッカドール プロデューサー 岩朝暁彦さん

「ハッカドール」が出来た経緯とユーザーデータ

「ハッカドール」はどのような経緯で出来たのでしょうか。

岩朝:
元々DeNAの「美少女Mobageチーム」の立ち上げからはじまった企画で、このチームは社内のアニメ・漫画好きのエンジニアを集めてつくった「DeNAのオタク選抜」なんです。

そして、ハッカドールの企画は「自分たちがユーザーとして困っていることは何か?」から考えました。

例えば、「あるアイドルアニメ」が大好きだったとします。アニメも、ライブも、ゲームの情報も知りたいんだけど、それを「横断的に集める手段」ってあまりなくて。

そこで、「その人が欲しい情報」だけを自動的にオススメしてくれて、「使えば使うほど精度が高まる」という仕組みがあると良いなと考えました。

それを、エンジニアに説明したら「やれやれ、また魔法のようなことを・・・」と言われたのですけど、なんとか形にして、4ヶ月くらいでアプリを開発しました。

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ハッカドールのダウンロード数はどのくらいでしょうか?

岩朝:
現在60万ダウンロード、月間PVでいうと6,000万PVです。ただ、ダウンロード数よりも「ユーザーに継続して使ってもらう」というところに重点を置いています。

例えば「継続率」、ハッカドールでは「週に5日以上使っているヘビーユーザー」が7〜8割いるのですが、この比率はどんどん高まっていっています。

ユーザー数を伸ばすのはもちろんですが、「濃い人たちに、濃い情報を届けて、ユーザーが超満足する」という「濃さ」が薄まらないようにしていきたいなと。

男女のバランスはどうですか。

岩朝:
8:2ぐらいで男性が多いですね。なぜなら「女性向けのコンテンツ」ってすごく難しいんですよ。「食い合わせ」も色々あって「混ぜると危険」なものもあるんです。

ちなみに、女性向けで熱いジャンルって「BL」なんですけど、残念ながらアプリストアの規約上取り扱えないものなどもあって…。ニーズからすると色々やりたいんですけどね。

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時間帯はいつ使われていますか?例えば、スマートニュースは隙間時間、グノシーはプッシュ通知の時間に「アクセスの山」が出来ているようなのですが。

岩朝:
ハッカドールも「朝・昼・晩」で3回プッシュ配信するので、ある程度は山ができますね。

朝8時に一回グッと上がって、昼と夜は12時と20時が中心の裾野が広い山が出来るイメージです。ちなみに、平日の方がアクティブ率は高いですね、土日は皆忙しいみたい。

ダウンロード数が伸びたのは?

「ダウンロード数がすごい伸びたタイミング」ってありますか。

岩朝:
AppStoreでフィーチャーされた時と、メディアで紹介された時は、やはりダウンロードが伸びました。あと「ハッカドールならでは」という意味では、ほかに3つあります。

ぜひ、お聞きしたいです。

岩朝:
まずひとつ目は「ハッカトーク」というミニゲーム。

これは「ハッカドール」におまけでつけている、キャラクターと会話するミニゲーム(フルボイス)なのですが、新バージョンを公開するとユーザーが伸びます。

なぜかというと「クチコミ」が発生するから。少し恥ずかしいのですが、スタッフの趣味が全開ということもあって「これ超変態じゃんw」みたいにクチコミされるわけです。笑

それで、クチコミからゲームに入ってきたユーザーが「これ、ニュースアプリとしても意外に使える」と、アプリを使い続けてくれる。これは、完全に想定外の効果でしたよね。

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二つめはなんでしょうか?

岩朝:
二つ目は「コラボ」です。他社さんのゲームに「ハッカドール」のキャラを登場させてもらう代わりに、ハッカドールでもそのゲームをプッシュしています。

基本的にお金のやりとりはないのですが、相互送客ですごくインストールが伸びます。なので、ゲーム会社さんからコラボの話をもらえるとうれしいですね。

「ハッカドール」のユーザーってオタクな人たちで、消費志向が高かったり、発信力が高い人が多いので、ゲームコンテンツとも相性が良いんだと思います。

最後の3つ目は何でしょうか?

岩朝:
最後はニコ生でやっている「ハッカちゃんねる」という番組です。

これはハッカドール公式キャラクターの声優さんたちが出演するバラエティ番組なのですが、毎回3万人ぐらい見てくれるんですね。

それでビックリしたのが、そこから毎回数千人がアプリを落としてくれるんですよ、とくにハッカドールの紹介はしないんですけど。

変でしょ。あり得ないんだけど、でもこれ8回やって8回そうなんです。なぜかというと、Twitterで皆実況ツイートするから、「目で見える視聴者数」以上に影響力があるということ。

ニコ生は「やる!」っていった時、全員に止められたんですけど、やって良かったです。撮影も10時間以上かかりますし、台本をつくるの大変なんですけどね。

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※放送時間は1時間で、同時間帯での視聴者数ナンバー1にもなっているという。

「キャラクター」をつくったことが、色々メリットにつながっているんですね。

岩朝:
結果としてはよかったですね。もともと「ニュース8割、おまけでキャラクター」という感じでしたが、3/28から開始したマンガ連載やキャラクターソング等、キャラありきの企画も増えていて嬉しい誤算です。

そういう意味では、チョコがメインと思いきや、いつのまにかおまけのシールがメインになってしまった「ビックリマンチョコ」のような状態です。

広告とクリエイティブの話

プロモーションも、ある程度やり続けている感じなんですか。

岩朝:
そうですね。ここ数ヶ月は、アドネットワークを中心にやっていて、DeNAの中でも「すごい優秀」と言われるくらい上手くいっています。最近はTwitter広告なんかも順調です。

プロモがうまくいってるのは「セグメントがわかりやすいから」なんですかね。

岩朝:
それもそうですし、うちのチームって「自分たちがターゲットユーザー」なので、「どういうメッセージが、ユーザーの心に響くのか」を知ってるのが強いですね。

クリエイティブも「広告専用のバナー」を1つ1つ愛情をもって手づくりしていて、いまバリエーションも、40種類くらいあります。

40種類ものクリエイティブのアイディアは、どうやって出しているんですか?

岩朝:
チーム内で「俺が考えた最強の、ハッカドールがダウンロードしたくなる瞬間ベスト3」みたいなことを発表しあっています。

例えば、あるスタッフが「僕の脳内のハッカドールは、美少女に朝起こしてもらって『はい、これニュース』って届けてもらうイメージ。実際に絵にしてみました」とか、

一方で「いや、おれの中のハッカドールは超ドSキャラ。『ほら、お前にぴったりのやつを持ってきてやったぞ、ありがたく受け取れ』って渡されるのが良いんだ」とか。

そういう議論をしながら「わかる」とか「それないわ」と言いながら、クリエイティブをつくっています。

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※WEB上で見つけた「ハッカドール」の広告クリエイティブ例。

拡散するための仕組み

ソーシャルシェアの「ネタコメント」は、どういう考えでつけたんですか?

岩朝:
ツイッターで記事のシェアをするとき「URLがあるだけ」だと、なんとなく無味乾燥としてしまうんですよね。

「なぜ、人はツイッターでシェアするのか、この本質って何だろう?」と考えた時「フォロワーからのアテンション(注目)を集めるため」だと思いまして。

そこから「コメントを入れると、アテンションが集まりやすいはず」というところから、「面白いコメントを、自動的に入れてみたらどうか?」という発想になりました。

それで、記事内から「一番重要なキーワード」を解析して、それをテンプレワードにはめ込んでツイートする機能を実装した、という経緯です。

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※この機能は、特許も申請中とのこと。

記事に点数をつけて評価する「星3つ」のような機能は、どうしてつけたんですか?

岩朝:
これは、ツイッターで記事の感想を述べるとき、「これダメだね」ってシェアもあれば、「これは良い、お前ら全員読めよ」という意味のシェアもありますよね。

「それが1タップでできたら便利では?」ということで、「簡易的に感想を述べられる機能」を実装しました。 結果としては、実際のツイート数もぐっと伸びましたね。

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※記事を最後までスクロールしたときにだけでてくる。

キュレーションとレコメンド

「要る」「要らない」などの学習を繰り返していくと「ユーザーのアクティブ率」もどんどん上がっていくのでしょうか。

岩朝:
実は「アクティブ率」との相関は微小なんですけど、「記事の開封率」については上がっていきますね。

特におもしろいのは「ユーザーの無意識なアクションから学習する」という部分です。例えば「記事を読まずにスルーした」という場合は「この人はコレ嫌いかもしれない」と学習します。

一方で「記事を開いて読んだ」にもいろいろあって、読んだ秒数から「チラ見」「がっつり読んだ」「本文まで飛んだのか」などを判断して学習しています。

その学習に応じて、今度はアプリ側で予測をたてるんですね。「この記事を出したら、たぶん読むだろう」「たぶんスルーするだろう」って。

その「答え合わせ」を繰り返して、精度を上げていくと、「記事の開封率」が上がって、最終的にリターンレート(継続率)にも効いてくるという感じです。

なるほど。「この人、これがすごい大好きなんだな」っていうユーザーアクションって何になるんですか。

岩朝:
これは掛け算なのですが、記事をまず開いて、読む時間が長い。さらに「ほしい!」を押した上でソーシャルでシェアする。これは「めちゃ大好きやねん」ですよね。

すると「お前これ系が好きなんやね」と学習して、それに似たような記事をがっつりもってくるわけです。

レコメンドって2種類ありますよね。例えば「アニメAが好きな人」にそのアニメAの情報を直接あてる。もうひとつは「それが好きなら、こっちも好きでしょ?」と類似作品を当てる方法。これはどちらもあるんでしょうか?

岩朝:
両方やっていますね。実は、後者のレコメンドについては、敢えて開封率が上がらないようにニュースを流しています

例えば、女性向けイケメンアニメ「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズが好きな人に「アイドルマスターSideM」をオススメすると、たぶん最終的にはすごく気に入っていただけると思ってます。

ところが、ハッカドール上で見る限りでは、最初は「拒否反応」があるんですね。なんですけど、あら不思議。出してるうちに「興味がある」という反応に変わっていくんです。だんだんと慣れていく感じですね。

この現象を「アプリが記事を届け続けることで、ユーザーの趣向が広がる」と捉えているんですけど、そこはこだわりを持って根強くやるようにしています。

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※「最終的に好きになる作品」も最初は「拒否反応」があるため、まずは開封率が上がらないようニュースを流す。(図はイメージ)

「良い記事」と「悪い記事」を判定するアルゴリズム

記事を集める時「良い文章」と「悪い文章」の判別って、どんなことを指標にしているんでしょうか?

岩朝:
「機械(AI)がどう判断したか?」は正確にわからないので、自分が「こういうことかな?」と考えていることを、ひとつお話しますと、

記事を自然言語解析すると、通称「ダメ記事フラグ」というものがみつかるんですよ。そういう記事は、はじくようにしています。

例えば「ハッカドールがマンガ化した」という記事があるとして、表現を変えて同じ内容を繰り返すと「単語数が貧弱なのに長文」になります。これは「ダメ記事フラグ」なんです。

あともう一つは「感想ばっかり」です。「すげえ、超すげえ、まじすげえ!」ってずーっと言ってるような記事は「ダメ記事フラグ」がたちますし、実際にそうなってると感じます。

なるほど、面白い。Googleがやっていることに近いかもしれませんね。

岩朝:
そうですね、ただ「何を以て“ダメ”とするか」は、けっこう難しいので、どちらかというと「良い記事を拾う」ということに注力しています。

「良い記事」って人によっても変わるんです。たとえば「評論好き」には評論系がいっぱいくるようにして、「事実ベース」の情報がほしい人は、それがくるようにしたり。

よく「ハッカドールって、ただのまとめサイトだと思ってました」って言われるんですけど、裏側の技術については、かなり真面目に取り組んでいますね。

今後について教えてください、考えているマネタイズなどはありますか?

岩朝:
マネタイズは「ハッカドールでユーザーが新しいコンテンツを知る、ユーザーはメーカーにお金を払う、我々はメーカーからお金をいただく」という仕組みにしたいです。

あとは、我々も「コンテンツを応援したい」という気持ちが強いので、面白いコンテンツが育っていく「発射台」のような役割が担えれば嬉しい。

例えば、今のアニメって採算が合いづらく、どうしても売るために「ヒット作の続編」「売れた原作をアニメ化」というパターンが多くなっているのは課題です。

自分は過去に、そうした数値を予測して、IPのゲーム化を提案する仕事もやっていたのですが、大体「売れ線」って予測できるんですよね。

例えば「何年以内にこの作品はアニメ化する」「アニメ化すると何人客が入るはず」とか。

やっぱり数字ありきでロジカルにつくる作品が多くて、「尖った作品」が生まれにくいのは、それはそれでつまらないかなとは思います。

ということもあり、ハッカドールで「尖ったコンテンツ」「売れるかわからないけど、どこかにファンがいるコンテンツ」がユーザーに届く仕組みをつくりたいんですよね。

そういう意味でも「市場を傷つけず、適切な対価がもらえるビジネスモデル」を、育てていけたらと考えています。

取材協力:株式会社ディー・エヌ・エー

ハッカドール
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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。有料マガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。【配信提携】LINEニュース【過去連載】週アスPLUS、マックピープル。アプリの取材申請はコチラのページから。
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