「これならアプリで食っていける」世界2300万ダウンロードの脱出ゲーム「DOOORS」作者がデザイナーからアプリ開発者へ転身したワケ。

2015年04月20日 |
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今回は脱出ゲームアプリ「DOOORS」シリーズの開発者「58works」さんにお話を伺いました。脱出ゲームアプリの先駆者に聞く、脱出ゲームのつくりかた。

58works_photo2
※「58works」の野々山さん。

「DOOORS(ドアーズ)」がヒットするまで。

「58works」さんは、元々どうしてアプリをつくりはじめたんでしょうか?

野々山:
元々はデザインの仕事をしていたんですね。いま15期目で、僕ひとりではあるのですがデザイン会社をやっていまして。

それで、その仕事のかたわら、アプリをつくりはじめたのが、そもそものきっかけでした。今はアプリブランド「58WORKS」として、自社アプリ1本で仕事をしています。

代表作の「DOOORS」をだしたのはいつ頃ですか?

野々山:
「DOOORS」をリリースしたのは、2011年の12月です。3作目にだした、初の脱出ゲームアプリが「DOOORS」でした。

初期バージョンの開発期間は1ヶ月くらい。最初は25ステージだけつくって、それから追加ステージをアップデートしていきました。

dooors_ss

最初はどのように人気がでたのでしょうか?

野々山:
最初は日本国内で人気がでました。とくにプロモーションはしなかったんですけど、自然にAppStoreの無料総合2位まで上がりました。

それで、日本である程度の収益がでたので、それを海外の広告出稿に回してみたんですよね。Flashで脱出ゲームを作っていた時に「海外のニーズもあるな」と思っていたので。

具体的には、AdMobを使って北米とヨーロッパを中心に、バナー広告を出稿しました。金額でいうと120万円くらい投下したと思います。

海外での反応はどうでしたか?

野々山:
なかなか良かったです。広告効果で多少ランキングが底上げされて、そこからは、クチコミと自然流入で、ランキングが伸びていきました。

当時は、広告でダウンロードを多少伸ばせば、ランキングにも影響がでたんですよね。今と比べるとAppStoreの市場規模が小さかったのかなと思います。

そして結果としては、世界20か国ほどのAppStoreで1位になることが出来ました。一番のピーク時は、1日で20〜30万ダウンロードされるほどの勢いでした。

いまのダウンロード数は、どのくらいになっていますか?

野々山:
初代「DOOORS」は現時点で2,300万ダウンロードくらいです。内訳としてはiOSが1,600万ダウンロード、Androidが770万ダウンロード。

国別で見ると、日本が一番多く、30%ぐらいは日本です。次いでアメリカ(北米)が28%、ヨーロッパが27%とつづく感じですね。

あと、北米、とくにアメリカは、iPadからのダウンロードが3割くらいあります、けっこう多いですよね。日本国内はほとんどないんですけど。

dooors_data

海外版のローカライズはしていたんでしょうか?

野々山:
ストアのページを、8か国語で用意していたくらいです。

アプリ内は単純に「ローカライズがめんどくさい」ということもあって、そもそもローカライズの必要のない「言葉がなくても楽しめるゲーム」にしていました。

脱出の「謎解き」も含めて「世界中の人が遊べるように」とは、意識してたんです。

いきなりこのレベルでヒットすると、びっくりしませんでした?

野々山:
びっくりしましたね。それまでは、本業のデザインの仕事のかたわらに、「趣味の延長」でアプリをつくっていた感じだったので。

そのときに「これならアプリで食っていけるかも」と確信がもてたことで、完全にアプリ1本にシフトする決断ができました。

「脱出ゲーム」のつくりかた。

「脱出ゲーム」をつくるときに、一番大変なことってなんですか?

野々山:
「謎解き」のアイデアを考えるのが大変です。実は、謎解きも半分くらいはボツにしてしまうので、ステージが25個あったら、実際は50くらい考えないといけない。

グラフィックやプログラミングはそうでもないですね、単純作業に近いので。

「DOOORS」って、だんだん難しくなっていくじゃないですか。これは最初に全ステージつくり終えてから、難易度順に並べかえているんですか?

野々山:
いえ「まずは簡単なステージを5個つくろう」という感じで、「5ステージを1セット」でつくっていっています。それをどんどん継ぎ足していくイメージです。

難易度の話でいうと、なるべく多くの世代・国の方にクリアしてもらいたいので、最近はちょっと低めにするようにしています。

イメージとしては「小学校卒業程度の知識」でもクリアできるくらい

「謎解きのネタ」っていつもどんな風に考えているんでしょうか?

野々山:
意外に、ぼんやりしているときにネタを思いつきます。お風呂に入っているときだったり、運転中などが多いでしょうか。

なので「よし、アイデアを考えよう!」とやっているわけではなくて、ふと何か思いつくたびに、iPadのメモアプリにメモをとっている感じです。

あと、ホームセンターに行くと「謎解き」が思い浮かびやすいです。いろんな工具とかが置いてあるじゃないですか、それを見て「ああ、これなんかに使えそう」とか。

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※こちらが企画メモのひとつ、iPadのアプリでネタを書き込んでいる。

DOOORS1、2、3みたいに続編を出してくほうが、アップデートでステージをどんどん追加していくよりも良いんですか?

野々山:
続編を出していったほうが「集客性」は良いと思いますね。

当初は「100ステージくらいまで、アップデートしようかな」と思っていたんですけど、それだとやっぱり「新規ユーザーの獲得」には、あまりつながらないんですよ。

アップデート数が伸びても、あまりランキングが上がらないですし、それなら新しいアプリを出して、ランキングに影響があるほうが、新規ユーザーの獲得につながるのかなと。

DOOORSで「良いな」と思うのは、ゲームが「コマ切れ」になっているところ。1問1答みたいな軽さで遊べるのは、スマホにあってると感じます。

野々山:
もともと「スマホに特化した脱出ゲームをつくりたい」と思っていたんです。そうなると、短時間で完結する必要があるので、ステージ制を採用しました。

あとは、せっかくスマホ自体に、「加速度センサー」とか、色んなセンサーがついてるので、「センサーを使って解く謎解き」を取り入れてみました。

当時、脱出ゲームって何本かはあったんですけど、ステージ制のものはなかったり、センサーを使ったものもほとんどなかったので、その「目新しさ」がうけたのかなと思っています。

最近「DOOORSのダウンロードが伸びるとき」って、どんなタイミングがありますか?

野々山:
おもしろいのが、他の「脱出ゲーム」の人気がでて、ランキングが上がってくると、それにつられてちょっとダウンロードが伸びたりします。

たぶん「脱出ゲーム」のユーザーって、クリアしたら「他の脱出ゲーム」を探すと思うんです。なので「ユーザーの取り合い」というよりは、ユーザーが回遊している感じ。

変な話ですけど、脱出ゲームのヒット作がどんどん出ると、つられて伸びていくのかなと思います。

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※「脱出ゲーム」を遊んだユーザーは、「他の脱出ゲーム」も探して遊ぶ人が多い(イラストはイメージ)

広告マネタイズ

海外ではどんな広告で収益化しているんですか?

野々山:
海外はほとんどAdMobですね。いろいろ試してみた結果、どんな地域でも広告が出て、単価もそこそこ良いという意味ではAdMobが強い。

インタースティシャル広告(全画面にでる広告)は、チャートブーストも併用して使っています。タイミングとしては「起動時に1回」とか「ゲームクリアしてタイトルに戻る時」に表示したり。

ちなみに、海外は日本に比べると収益性が低いです。単純に「1ダウンロードあたりの収益性」で言うと、海外は日本の1/3~1/2ぐらいでしょうか。

日本と海外で、広告会社などは変えていますか?

野々山:
国内はSSPの「アドフリくん」をつかって運用しています。

変えているところとしては、日本ではインタースティシャル広告が、ほぼ出ないようにしています。全画面に大きくでる広告に、抵抗がある人が多いのかなと。

日本版のアプリに表示している広告は、基本的に「フッターのバナー広告」だけですね。アイコンとウォール広告は、リジェクトのリスクがあるので、今は控えています。

初代「DOOORS」は、1ダウンロードでいうと、どのくらいの収益性がありますか?

野々山:
収益性については、1ダウンロード5円ぐらいでしょうか。iOSのほうが単価はよくて6~7円で、Androidが4~5円くらいです。

日本と海外の収益比率でいうと「日本4:海外6」という感じです。半分以上の収益は海外ということで、いつも海外ユーザーは意識してつくるようにしています。

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「DOOORS」の続編もだされていますが、どのくらいダウンロードがありますか?

野々山:
「DOOORS2」が410万ダウンロード、「DOOORS3」が230万ダウンロード、「DOOORS4」で130万ダウンロードちょっとです。

いずれも国内と海外のユーザー比率は半々くらい。やっぱりシリーズものはだんだんダウンロードが落ちますね。未だに初代「DOOORS」の新規ダウンロード数が一番多いです。

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ここまでヒットすると、世界中から連絡がくると思うんですけど、どういうものがありますか?

野々山:
「DOOORS」がヒットしたときは、海外の開発者さんから「お前一体どんなことやってランキング上げたんだ?教えてくれ」みたいなメールは、割といただきました。笑

あと「中国のAndroid版は、オレに任せろ!」という連絡もきましたね。たくさん来すぎて、あんまり返答もできなかったんですけどね。

スマホ以外に、例えば「オキュラスリフトで脱出ゲームをつくろう」などと、考えることはありますか?

野々山:
つくってみたいですね。オキュラスはデベロッパーキットを買って、実際ちょっとつくってみたのですが、脱出ゲームは「操作」がむずかしいと感じましたね。

VRで「部屋の中に閉じ込められてる」という没入感は、すごく出ると思うんですけど、そこから謎解きを、どうアクションさせていくかが課題だなと。すごく興味はありますね。

まとめ。「個人には厳しいがチャンスはある」

「今からアプリ開発はじめたい」という人に、アドバイスをするとしたら?

野々山:
現状、仕事があるのでしたら「まずは片手間にやってみる」のが良いんじゃないかと。最近感じるのは「個人が戦うには厳しくなってきてる」ということです。

数年前は「しょうもないネタアプリ」がポンとヒットすることも多かったけれど、最近は「企業が本腰を入れたアプリ」や「定番アプリ」がランキングを独占しちゃってる。

僕の場合も、早くから参入して、早い時期にヒット作に恵まれたことで、今もやってこれていると思うんです。

例えば、たまに息抜きも兼ねて、「DaiPyooon」という大根のゲームをつくったり、他のジャンルのゲームも作っているのですが、脱出ゲーム以外はそこまで売れていないんですよ。

ただ、そうは言っても、今でもポツポツと個人のヒットアプリも出てくるので、「チャンスがない市場」だとはまったく思わないです。

最後に、告知や実現したら嬉しいことなどがあればお願いします。

野々山:
ひとつは、テーマパークに「リアルDOOORS」を監修してつくってみたいです。「どこかから、お声がかからないかなあ」と、ずっと待ってはいるのですけど。笑

あと、ジャンプの作者コメント欄で、ワンピースの尾田栄一郎さんが「DOOORSみんなもやってみて」みたいに、書いてくれたことがあって。

ワンピースだったら最高ですけど、マンガやキャラとコラボできたら嬉しいですね。

取材協力:58works

DOOORS
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編集後記

「シリーズ4作連続で100万ダウンロード超え」の開発者さんでも、「脱出ゲーム以外はそこまで売れてない」という事実は、いまのアプリ市場の、競争の激しさを象徴してるように感じた。

あと、「DOOORS」くらいユーザー抱えているアプリでも、コラボの話って意外にこないものなんですね。そこはちょっと意外でした。(「ソシャゲ×ソシャゲ」のコラボはよく見ますが)

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。有料マガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。【配信提携】LINEニュース【過去連載】週アスPLUS、マックピープル。アプリの取材申請はコチラのページから。
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