スタートアップ必見!クックパッド&Zaimで効果を上げたお金をかけずに出来るグロースハック事例-D2CRアプリセミナー

2014年01月23日 |
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昨年に東京(汐留)で開催された、D2CRさん主催のセミナー「ゲーム以外で!事業として成功させるアプリビジネス最前線!第2回目!」のレポートです。

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本記事ではクックパッドさんの講演と講演者のパネルディスカッションについて、まとめていきたいと思います。

「クックパッド流。成果に導くためのGrowth hackな考え方」 クックパッド株式会社 プレミアム会員事業部 事業部長 加藤恭輔さん

クックパッドについて

クックパッド(http://cookpad.com/)は1997年に創業、社員138人。(2013年10月末時点)

月間2000万人以上のユーザー(ユニークブラウザ数は月間3,500万以上)、レシピ数は150万品を超える。20~30代の女性の8〜9割が利用。

有料会員(月額294円)は110万人を超えている。
今後3年でこのプレミアムサービスを、500万人に使っていただけるようなサービスにしていきたい。

ユーザーを有料会員化していくプロセス

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クックパッドはWEB・アプリ両方で使える。検索エンジンで「鶏肉」「チャーハン」などで検索するとヒットする、何度もクックパッドに来ていると「ブックマークしよう」「アプリをDLしよう」という導線が目に触れるようになってくる。

実際にブックマーク・アプリのDLを行うと、「料理をするときはクックパッドを見る」という行動が自然になってくる。そうなるとさらに利用頻度が高くなり、そのタイミングで有料会員化していくという流れを設計している。

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月間ユーザー数は既に2,000万人以上いるので、このユーザーにいかに価値を感じてもらい、有料会員になってもらえるかが重要。

有料会員化にあたって何個か方法があるが、まずは決済情報を入力しなくても無料で使えるようにしている。その後、有料登録を促すのだが、その際に「有料会員登録したらさらに一定期間は(有料機能を)無料でつかえます」という二段階の設計にしている。

サイト内からの流入

クックパッドのプレミアムサービス(有料会員)は機能が10以上と多いので、有料機能の無料おためし時、有料会員登録時に、「あなたはどういうタイプですか?」を選んでもらい(「一人暮らしの人」「ママの人」など)、タイプごとに厳選したおすすめの有料機能を促している。

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実際に7日間の体験が終了すると、「有料会員登録するともっと試せなかった機能をつかえますよ」と表示している。有料会員に登録いただくと、キャリア決済(※docomo、auのみ対象)であればさらに登録後7日間無料、クレジットカード決済なら初月無料にしている。

この「タイプ別の機能おすすめ」の施策に関しては、入会を促進するという観点では当初の想定に比べ効果が薄いのが現状である。さらに、すぐ申し込みをしようとした人が「お試し」をしてそのまま離脱してしまう可能性があるので慎重に運用している。

一方で、(同様の仕組みを転用し)既に有料会員になった人に向けて自分に合った有料機能が分かるようにしたが、こちらは有料会員の満足度を引き上げ退会を抑止する効果に繋がっているものと考えている。

今後は、「登録ページを数秒見ていたが登録しなかった」という人に関しては「『タイプ別のおすすめ機能』が分かる導線を設置して、まずは無料で体験してもらうようにする」など、ユーザーごとの温度感にあわせたサービス提供をしていきたいと考えている。

サイト外からの流入

外部サービスの会員限定で無料クーポンを付与

「外部サービスの会員限定で無料クーポンを付与する」ということをやっている。無料期間が終わる頃に「今有料登録すると、来月の末日分までご利用料金がかかりません!」と訴求している。(※同施策はクレジットカード決済で登録した方に限り適用)

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無料クーポンを提供して、「無料で試せるので使ってみて下さい!」という施策は、ここ2年くらい色々なパターンで試している。他にもamazonクーポンや家電のプレゼントキャンペーンで登録を促すような企画も試みたが、無料クーポンの提供の方が訴求力が高いという結果が出た。

前期は個別に対応・実装していたため機動性が低く効率が良くなかった。そこで、今年は先行投資をして全部自動化して、PDCAのサイクルを高速で回せるようにした。大きく成功した施策、1人も動かないような失敗策と数多く実行できた結果、知見がたまってきて相性が良い施策の特徴や傾向が分かってきた。

またこれらの施策は、すぐには有料会員登録につながらなくても、「プレミアムサービスというものがある」ということが認知されることに貢献している。

クレジットカード情報の登録を促進している。クレカは決済手段の中でLTVが最も高く、決済手数料が最も低い。

その他の施策

「誕生日の人にクーポンを送る」という施策⇒1日の登録数が倍になった。

9月9日を「クックの日」と名付けて、「サイトに来てくれたユーザー全員に2ヶ月無料クーポンをプレゼントする企画」を実施した所、1日に最終的に有料会員として残ってくれたユーザー数が倍になった。

その他「友人招待」(有料会員の友だちの招待で、招待された側が2ヶ月無料になる施策)も実施している。こちらは今のところ導線の露出数が少ないことや、インセンティブプランや口コミで広がる仕組みを入れられておらず、全体設計の一部しか公開できていないといった課題もあったため、現時点では登録にほぼ寄与していない。

今後はそういったところへの施策も準備した上でリニューアルし公開していく予定。

ABテストを大量に実行

有料会員化・継続利用のところにおいて、登録導線のABテストを大量にやっている。メルマガ上のテストはどんどん試せるのでたくさん試しクリック・CVRを集計する。

メルマガのPR枠で大量にABテスト

良かった文言、相性のいい文言をスクリーニング

スマホ(WEB)の登録ページでABテストを実施

良かったものを(ABテストのしづらい)アプリにも導入

みなさんがクックパッドの登録ページを見たときに恐らく隣の人と見せ合ったら誰一人かぶらないだろうと思う。2013/11/28時点では12パターンのABテストが走っている。

スマホでの導線設計において大事な3つの要素。

1、シンプルであろう

シンプルなほどCVRが高くなる。ひとつ画面遷移を追加するだけでCVRが10%落ちるということもざらにある。

2、スムーズである

スムーズに登録が完了できる。少しでも分からない言葉や要素を入れるとCVRは下がる。

3、早さ

サクサク動いてすぐ登録できる。表示速度の遅れがそのまま離脱に繋がる。PCよりもその要求度合いが高い印象。

3つ全てに共通しているのは「ストレスフリーであれ」ということ。ストレスを感じずに登録完了までいけるかが肝心。スマホではPCよりもはるかに要素を落として、デザインを削っていく。

ひたすら地味である一方、着実に成果がでるが、ただCVRは最適化が進むと成長が鈍化していくので、ある程度のところで見極めが必要。

クックパッド内での検索結果

次にクックパッド内での検索結果。かつてはクックパッドで「鶏肉」などで検索すると、下の方に有料機能(例えば「スピード(10分以内でつくれる)」「専門家がおすすめ」「つくれぽが多い」など、検索キーワードに関連して絞り込める機能)をすべて表示させていた。

しかし、テストをした結果、有料機能は全部だしてしまうよりも一部の機能を厳選表示した方が入会人数を最大化できるということが分かった。結局残したのは「殿堂入り」「専門家厳選レシピ」の2つだけ。他の機能は離脱が多く、逆に全体の登録数が低くなってしまった。

LTV(ライフ・タイム・バリュー)の最適化

月額課金サービスの最大のポイントは「LTV(ライフ・タイム・バリュー)の最適化」つまり退会率を抑えること。LTVを上げられればCPA(※会員獲得1件あたりにかけるコスト)を上げても良いので、思い切ってお金をかけることが可能。

「無料クーポンをだす」という施策は、「会員数に対する月間の退会率」が20%~30%のサービスだと難しいが、クックパッドの場合、退会率がものすごく低い(一ケタ前半で推移する)ためLTVも非常に高く、打ち手が増える。

外部からのアフィリエイトもやっているが、アフィリエイトは通常の導線経由の流入に比べると退会率が比較的高い。

ただアフィリエイトはボリュームを稼げるという利点があるので、退会率を下げるような施策を非常に細かく打ちながら継続的に実施している。

アフィリエイトは基本代理店に依頼していて、代理店間で競争関係をつくったり個店レベルまで細分化して数字管理をして、出稿単価の調整をするということをやっている。

加えて、実際に説明する店舗の方が実感を込めてサービスの説明ができるように、店舗の方向けにも無料クーポンを発行するなどして普及に努めている。

無料クーポンの登録直後にはとにかくサービスをつかってもらって「出来ることを理解してもらう」ことに重点を置いている。「属性別におすすめ機能を出す」というのは有料会員向けには相性が良かったので、これを応用して進めていこうと考えている。

補足:
クックパッドさんの場合は携帯ショップ等での店頭アフィリエイトが主で、アフィリエイト経由のユーザーアンケートの反応も良好らしい。一般的なWEBアフィリエイトで多い、ポイントサイト上で「ポイントをあげるから無料体験申込みしてね」というインセンティブありきで獲得する定着率の低いアフィリエイトはあまり実施していないとのこと。

有料会員の最大化の3つのポイント

1、全体像を見て施策を最適化する

登録にいたる段階的な設計をする、全体像を俯瞰し段階ごとにどういった施策を打つかという施策図をつくることがひとつ。

2、大量にテストをする基盤をつくる

大量にテストができる基盤をつくる。大量テストが出来れば、打ち手を広げられるようになるので知見を溜めることが出来る。

3、地味でも効果があることをやり続ける

「マーケティング」と聞くと派手なイメージがあると思うが、WEBのマーケティング・グロースハックにおいては地味か派手かはまったく関係なく重要なのは効くかどうか。クソ地味でも効果があるのであれば、それを愚直にやり続けるのが有料会員の登録・スマホでのサービスには効く。

聞いてみて感想:
クックパッドさんのプレミアム会員事業部では、企画・開発のディレクターを募集されているそうです。もし興味がある方は問い合わせ(問い合わせはコチラ)をしてみてください。現在たくさんの企画を仕込み中とのことなので、良い経験が積めるのではと思います。

「Zaimのグロースハックについて」 クックパッド株式会社 プレミアム会員事業部 事業部長 加藤恭輔さん

※クックパッドの加藤さんは、クックパッドが出資をしている株式会社Zaimのアドバイザーをしている。

Zaimについて

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100万人以上にダウンロードされている家計簿アプリ(http://zaim.net/)。2013/11/23時点ではファイナンス部門で1位。レシート入力できてグラフも見やすい、クックパッドとも連携していて特売情報が見れる。

アンケートをとったところ、過去に家計簿の挫折経験のある84%が「Zaimなら続けられる」と回答しているくらい圧倒的に使いやすいサービス。

Zaimは(クックパッドとは異なり今は有料機能を入れていないため)施策ポイントとしては、「無料で使ってもらう人たちがどれだけ多くなるか」というところを意識している。DL、ユーザー登録、継続的な利用をしてもらうという3段階。

アプリのダウンロードについて

取材

外部で取材を受けたりいろいろやったがテレビが圧倒的に効果がある。新聞・ラジオも追随して一定の効果が見込めている。最近は「消費税増税」の大きなトピックスがあるので、その話題に対してうまく当てていけるようにしたい。

アプリストアページ

画面キャプチャをAppStoreとGooglePlayで変えて、それぞれのストアに最適化している。また、ストア内の紹介文言はとても大事なので、こちらもタイトル含めて最適化している。利用者から何というキーワードで検索されるかということが大事。

画面キャプチャは、iOSだと大きめにでるので1枚で1メッセージにしている。従来は訴求要素をたくさん盛り込んでいたがシンプルにした。

Androidは大きめの画像をつかって横1本で訴求する。AppStoreと同じキャプチャをいれると、とても見にくいページになるので、Google Playに最適なページにしていくのが大事。

ユーザー登録について

登録項目を減らす

登録項目を減らした結果、登録率が上がった。ユーザーIDは登録後に自分で決められるようにしてIDは省略。

サービスの特徴を説明

アプリを起動した最初の画面で「サービスの特徴」を説明することで登録率があがった。今までは最初に「登録ページ」を表示していたが「Zaimだとこんなことができます」という説明ページを加えてから登録を促すようにした。

説明ページはフリック形式にした。最後のページまで読みたい人は少ないので最初のページが肝心。実際にZaimに登録する人は、最初のページで登録している人が多い。

FaceBookログインでは登録率は伸びない

(Zaimの場合)FaceBookログインを導入したが登録率は伸びなかった。家計簿アプリなので自分のお金の情報が勝手にシェアされちゃうという不安があるのだろうという予想をしている。

クックパッドでもFaceBookログインを導入しているが効果は薄い。要因としてはサービスの相性の問題、シェアを前提としているサービスはFaceBookログインとの相性が良いのではないか。

お問い合わせを元に機能を改善

「お問い合わせ駆動開発」ということをやっている。これまでに20,000件以上の問い合わせがあったが、それを全部見て100個以上の機能改善を実施。オフライン入力・レシート撮影入力を可能にするなどして継続率を伸ばしている。機能改善にあたっての問い合わせには、Zaim代表の閑歳が全件目を通している。

プッシュ通知を通じたブランディング

一定期間家計簿の入力がない人に「今週はお金使いましたか?」というようなプッシュ通知を期間ごとに送っている。プッシュ通知自体が継続率に影響するような効果は出ていないが、メッセージを工夫することでZaimに対して親しみを持ってもらうことができている。

ファンづくりがカギ

共通をして意識していることは「ファンをつくりたい」ということ。一言でいうとシンプルだが難しい。

Zaimは継続的に利用者と(オンライン上で)コミュニケーションをとっている。お問い合わせへの対応を真摯にやっていくことで、DLを100万以上に伸ばしている。

グロースハックとはマインドセット

「63024円」

これはZaimが100万DL達成までにつかったお金。(広告費・告知費用など)お金をつかわなくても100万人以上が手に取ってくれるサービスをつくれる。これがグロースハックの醍醐味。

グロースハックとは何かというと、ツールがどうテクニックがどうなど、今日の話がそのまま横展開できるということではなくて、どういうマインドをもってやるかということ。

目標を定め、その実現において決め手となる指標を決め、その指標を伸ばすために必要な施策をユーザー行動の解析を元に因数分解して洗い出し、優先度と想定工数でマッピングして、サービスそのものの構造や設計に手を加えながら高速でPDCAを回していく。その進め方におけるマインドの話であってテクニックの話ではない。

サービスを伸ばしていくことに関して、自分たちで設計をして考えて成長させていくというのがグロースハック。

以下の書籍「グロースハッカー」の中の解説にて講演で話せなかったことも書いている。ぜひ興味あれば読んでみてください。

聞いてみて感想:
「ユーザー登録時の項目を減らす」とかはほんと地味だけど、ECのフォームでもそれだけで120%の結果になったりする。そういう最適化を突き詰めてやっていくのがアプリでも今後ますます重要になっていくのでは。短いスパンでは大した差にならないが、積み上げていくと大きな差になるはず。

人気アプリ運営者によるパネルディスカッション SmartNews・クックパッド・ドリコム・AppAnnie

主催者や会場からの気になる質問に回答

Q、iOS、androidはどちらを先に出すべき?

浜本(SmartNews):
iOSのほうが短期間の注目を集めるのに向いている。初動で頑張りたいならiOSのほうがやりやすいのではないか。SmartNewsの場合サクサク動くというのを推したかったので、iOSからはじめたのは理にかなっていたと思う。

Q、皆さんが展開するアプリの目標KPIは何か?

浜本(SmartNews):
3日後の継続率、DAU、DAUあたりの一日のPV(SmartNews内で何個の記事を読んだのか)。
最初の3日で抜けたユーザーは本当にもったいない。その離脱を抑えられると、その後のDAUに上乗せが期待出来るので大きく影響する。

石井(ドリコム):
大事にするのは継続率、他の教育アプリと違うのはDAU。他の教育アプリは月額アプリのため「月をまたげるかどうか」に目が行きがちなのでMAUを見るかもしれないが、ドリコムでは「反復学習をどれだけやってもらえるか」なのでDAU。

学習の問題数。英語の成長力がどう変わっているかの経過観察、どういう人が熱量が高いのかなどを見ている。

加藤(クックパッド):
アプリ全体としては何個かあるが、ボクは有料会員の事業をしているので、CVR(成約率)・興味が有る人を登録までいかせるということ。次に継続率・LTV、どれだけ残ってくれるのか。

Q、面白いと思うアプリのカテゴリ・ジャンルは?その理由と見解も。

桑水(AppAnnie):
「新しいものとの出会い」が一番感動する。それをアルゴリズム、コミュニティ、キュレーションでどう出会わせるのか。

音楽アプリでは出来上がっているなと思っていて、ニュースアプリでも、スマートニュースのように綺麗に選ばれたアプリもあるし、アルゴリズムで選ぶようなアプリもある。

ジャンルというよりは、「どういう形で新しいものと出会わせるか」ということを行っているアプリ。

加藤(クックパッド):
音楽とライフログ。ライフベアというアプリを使っている。スマホで音楽をきけるようになって、元々iPodを使っていたが持ち歩かなくなった。

「アプリ上で新しい音楽に出会って聞く」という風になってきていて、スマホひとつで完結する時代だと感じる。

浜本(SmartNews):
iOS7からついたバックグラウンド動作。SmartNewsでもこれに対応していてニュースの読み込み時間が半分くらいになった。

バックグラウンド動作によって「今まで読み込み時間が必要だったものが0になる」ということが可能になる。そういった体験が革命的になる可能性があると感じている。

Q、注目しているプロモーション手法は?

浜本(SmartNews):
(最近プロモーションやりはじめたので)正直わかっていない。Facebookのモバイルインストール広告は出た当初はよかったが今は優位性がなくなってきている。逆にD2CRさんに教えて欲しいくらいです。

加藤(クックパッド):
最近「クックパッドニュース」という、料理に関するニュースの配信サービスをはじめた。更新性の高いコンテンツをストック化して、ユーザーに毎日来てもらいたくなることを目指している。

有料会員登録という観点では、先ほど説明した数々のグロースハック施策がメインとなるが、お金をかけて獲得するプロモーションもセットで行っている。お金をかける場合は1獲得あたりいくら、というアフィリエイト方式で実施しており、携帯販売ショップやウェブ上で展開している。impベースやアプリのダウンロードに応じた広告出稿はほぼ0に近い。

加えて、今後は友人招待の施策を凝っていきたい。エコシステムを設計して「ユーザーがユーザーを呼ぶ」という形をつくりたい。

Q、「アフィリエイトでとったら退会率高い」などがあると思うが、会員データベースにどういう経路で獲得したユーザーかなどは記録している?

加藤(クックパッド):
アフィリエイトについては代理店別に退会率を毎月追っている。WEBも含めて「どういう決済で入った人がどのくらいやめるか」などは分析している。

決済手段によって退会率が変わる。クックパッドの場合クレカが一番LTVが高い。携帯キャリア決済だと携帯解約で終わってしまうがクレカの場合はそれがない。

ただクレカは16ケタの番号入力等が手間なので登録時の離脱が多い、1/3~1/2くらい他のチャネルに比べて登録率が低くなる。そういう意味でも大きく差が出るので、「退会率」「登録率」「登録数」のバランスを意識して追っている。

Q、有料アプリの可能性についてどう思いますか?

加藤(クックパッド):
実験はしていきたいと思うが、「ワンショットのみの買い切り形式で事業を大きくできるのか?」というのは個人的には疑問に思う。個人でアプリを出して稼ぐのであれば別だと思うが。

「毎月お金がもらえるサービス」や、有料アプリであっても、その後追加で都度課金ができるような仕組みがないと、事業としてきつい。

広告で稼ぐのはスマホではPCよりも難しいので、やるのであれば都度課金がしっかりできるようにしてARPUをどんどん上げていくか、もしくは継続課金にするかではないかなと思います。

Q、SmartNewsはどういうビジネスモデルなのでしょうか?

浜本(SmartNews):
SmartNewsは(現段階では)収益化してない。ユーザーが伸びているのでまずはそこに注力している。マネタイズについては社内で議論やシミュレーションをしている。今の段階ではまだ未定。

Q、スマホユーザー特有の傾向として感じることはありますか?

加藤(クックパッド):
PCに比べてシンプルに設計する。サクサクと動くことが大事。「スマホっていうのはそもそもなんだ?」という話を社内でしていたときに、ある役員が「結局はリモコンなんじゃないの」と言っていた。

スマホは「何かの目的があってアプリを使ってその目的が達成されたらすぐ終わる」
この使い方はPCとは違う。

PCはポータルサイトとかを作りやすかったが、スマホは画面が小さい上に目的特化の思考が強いので、シンプルに切り出してサービス展開していくのが大事じゃないかと思う。

石井(ドリコム):
ユーザーエクスペリエンス(UX)を大事にしている。学習でいうとサクサク集中して学習してもらえるか。「学習した成果をフィードバックする」「褒める・応援してあげることのバランス」についても大事にしている。

浜本(SmartNews):
傾向として感じるのは「基本デフォルトで使う」ということ。カスタマイズ設定可能にしておいても使ってくれない。

デフォルトをどのように設定しておくかは大事。何かの機能をデフォルトでオンにするのかオフにするのか。

SmartNewsの場合、標準で「チャンネル」という設定がオンになっている。その理由はそのままで使う人が大半なので、デフォルトオフにしてしまうと、一度もスポーツやエンタメの記事を見ないまま使い終えてしまうユーザーが続出してしまって大変な機会損失になる。

なるべく魅力として訴求できる部分はデフォルトでオンにしている。

Q、SmartNewsさんへ、コンテンツ(ユーザーに届けるニュース)とUIはどちらが大事か?

浜本(SmartNews):
私は会社を辞めてから、Twitterの解析エンジンを3年くらいかけてつくっていた、その目的は「どのようにすれば良いコンテンツを機械が見つけられるのか」ということ。

かけた時間の長さで言うと中身(コンテンツ)のほうがものすごく多い。ただそれだけではユーザーには届かないというのも、Crowsnestという以前のサービスを作ってみてよくわかったので、フロントエンドも妥協はできない。もちろんどちらも大事だと思っている。

Q、手作業で時間が取られてしまっていて「世の中の動きを見る」ということまで回らない。チーム体制などでアドバイスいただきたい。

浜本(SmartNews):
SmartNewsでは会議を禁止している。会議は「100回つくって100回壊す」という方針に合わない。

その代わりに雑談はOKにしている、何か思いついたら2~3人で話し合って良いアイディアが出たらすぐやっちゃう。朝会みたいなのはあるが進捗報告くらいにとどめている。

マンガ「シンプルなほどCVRが高くなる。ひとつ画面遷移を追加するだけでCVRが10%落ちる」
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※イラストはイメージです。

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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