「渋谷で数人でつくったゲーム」が世界150カ国で1,000万ダウンロード。脳トレ対戦アプリ「BrainWars」創業者がソシャゲじゃなく教育ゲームをつくった理由。

2015年01月15日 |
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リリースから8ヶ月で世界1,000万ダウンロードを達成した「BrainWars」のトランスリミットさんにお話を伺いました。どうして世界150カ国のユーザーにつかわれるアプリをつくることが出来たのか?

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※株式会社トランスリミットCEO 高場 大樹さんとスタッフのみなさん。

なぜBrainWarsが生まれたのか?

BrainWars(ブレインウォーズ)について教えてください。

高場:
BrainWarsは世界中のプレイヤーとリアルタイムで対戦できる脳トレゲームアプリです。ダウンロード数としては、2014年5月にリリースしてこれまでに約1,000万ダウンロードされています。

特徴としては海外のユーザーが95%を占めているところ。国別で一番多いのはアメリカの25.4%(約250万DL)、続いて中国(約67万DL)や台湾(約42万DL)です。日本のユーザーは全体の約4%(約43万DL)しかいないんです。

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※国別のダウンロード比率、世界150カ国以上でダウンロードされている。

いまどのくらいの人数で運営しているんでしょうか?

高場:
いまは全部で10名(社員7人、アルバイト3人)で開発・運営しています。その内訳は、エンジニアが8人、デザイナー1人、翻訳兼デザイナーが1人です。

翻訳については、現在8言語にローカライズが完了していて、これは「話者の多い言語」から対応を進めていっています。

BrainWarsはどのようにして、出来たんでしょうか?

高場:
元々僕は独立する前、サイバーエージェントでエンジニアとして働いていました。ダークファンタジー系のソーシャルゲーム、ガールフレンド(仮)、海外版アメーバピグなどに関わっていて。

それで、エンジニアとしてゲームをたくさんつくっていたわけですけど、「これはいかんな」って思ったんですよね。

えっ、どういうことですか?

高場:
ソシャゲって自分のスキルやテクニックは関係なくても、お金を払えば払うだけ強くなれるじゃないですか。そこが、あまり良くないなって。運営側としても「ガチャをどう引かせるか」とか考えていたりして。

なので、やればやるだけ自分のスキルが上がって、努力しないと強くなれない「教育要素のあるゲーム」をつくりたいと考えていた。これがBrainWarsの発想の原点です。

そこから、どのように「脳トレ対戦ゲーム」になったんでしょうか?

高場:
2014年1月に独立したとき、アメリカで「QuizUp」というクイズ対戦アプリがヒットしていました。

僕はそれをやってみて「対戦要素はすごく面白いな」と感じたんですが、「クイズって文化や言語にかなり依存してしまうんだな」と感じたんです。

つまり、クイズというのは「知識の有無による対戦」だから、国によって有利・不利がでてしまう。

例えば、僕ら日本人はアメリカの一般常識をほとんど知らないし、クイズの出題文が英語だと問題を理解するのにも苦労してしまいます。

なるほど。

高場:
そんなとき、(QuizUpで)「1+1=」のような簡単な計算問題がでてきたのを見て「これなら誰でもできそうだな」と感じたんですよね。

それで「クイズ」ではなくて、文化や知識に依存しない「脳トレ」をテーマにすることにしました。

こうして出来たのが、言語や知識、文化に依存しない「BrainWars」というゲームです。当時はエンジニア2人、デザイナー1人で4ヶ月かけて開発しました。

brainwars_app

ダウンロードが爆発的に伸びたワケ。

リリース当初は、どのようにダウンロードが伸びていったのでしょうか?

高場:
最初は、日本語と英語でリリースしました。リリース直後にマックスむらいさんがYoutubeで紹介してくれたりして、すぐ2万ダウンロードくらいまでいきましたね。

海外も含めて一番大きかったのがAppStoreでのフィーチャーです。日本・北米・カナダなど、各国のAppStoreトップで紹介してもらえたのがきっかけで、一気に火がつきました。

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※1,000万ダウンロードまでの推移。AppStoreとGooglePlayでフィーチャーされてから、月100~200万ダウンロードペースで伸びている。

どうしてAppleはBrainWarsをフィーチャーしてくれたのでしょうか?

高場:
ひとつは、Appleが気に入ってくれるようなゲームをつくれていたからかなと思います。Apple製品のように、デザインやUIも含めて、世界中の誰もが遊べるゲームを目指していたので。

具体的にはどんなところですか?

高場:
特にBrainWarsでは、シンプルなUIにこだわりました。テキストやムダな装飾などは、なるべくつけない。

例えば、Facebookってアイコンの下に「フレンド」というテキストが入っているんですけど、そこは書かなくてもわかるじゃないですか。そういうのは極限まで削っていますね。

AppStoreのフィーチャー以外では、どのように広まっているんでしょうか?

高場:
海外は特にTwitterで広まっていっていますね。スコアをシェアする機能(ハイスコア、誰に勝ちましたなど)がよくつかわれています。

今はストアでフィーチャーされていないんですけど、デイリーで3万ダウンロード弱、月100万ダウンロードというペースで増えていっています。


※対戦結果をシェアしている人が多い、こちらはインドネシア人vsインドネシア人。

他に、一気にクチコミなどでユーザーが増えることはありますか?

高場:
プレイヤーの「ゴースト」を記録して、ソーシャルに投稿できる機能をつけています。マリオカートのゴーストのような感じで擬似的に人と対戦できるわけですね。

この機能をつかって、マックスむらいさんがYoutubeで「ゴースト」を公開してくれた時は、かなりソーシャルやYoutubeコメントが盛り上がっていました。

有名人や芸能人がこうした「ゴースト」を公開してくれることで、今後も一気にクチコミでユーザーが伸びるタイミングがあるのではと考えています。

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※データを記録して疑似的に対戦ができる。対戦脳トレ「BrainWars」を遊んでみた!より

いま、どのくらい対戦されているのですか?

高場:
リアルタイムで2,000〜3,000対戦くらいされていますね。そのうち10%はフレンド同士の対戦です。曜日でみると土日に遊んでいる人が多いですね。

おもしろい「対戦の発生のしかた」はありますか?

高場:
ソーシャル上で「道場破り」みたいなのがあるのはおもしろいですね。

BrainWarsってプロフィールにTwitterアカウントなどを載せることができるので、トップランカーの人に「頼もう!おれと対戦してくれ」とTwitterで直接申し出ることができる。

八神颯さんという最強レベルのSランクユーザーがいるのですが、Dランクのユーザーが「おれのほうが強いはずだ」と彼に挑戦して、ボコボコにされているのを見ました。笑

ライトユーザーとヘビーユーザーの遊び方の違いはありますか?

高場:
やっぱり、隙間時間にやるユーザーはライトユーザーですね。 ヘビーユーザーはほとんど寝ないで必死にやってる人が多いです。

ヘビーユーザーについて特徴的なのは、全20種類以上ある種目(ゲーム)を全て完璧にしようと徹底的に練習するところです。弱点を克服して強みを伸ばす、まさしくスポーツのような感覚ですね。

余談ですが、トップ30位くらいのトップランカーの人たちは、アプリを閉じている休眠時間が75分なんです。というのもハート(体力)が全回復するのがちょうど75分だから。

BrainWarsのユーザーについて

BWはどんなユーザーがつかっているんでしょうか?

高場:
性別でいうと男性53%で女性47%ですね。年齢についてはFacebook連携のデータで見ると高校生〜大学生も多いですけど、20代~30歳前後のユーザーが一番多い

BWってドMかドSしかはまらないゲームなんです。何度も何度も負けて、それでも練習して強くなっていく、強くなっても上には上がいる。そんなストイックなゲームなので、感覚的にはスポーツに近い。

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※BrainWarsユーザーの性別と年齢比率グラフ。

国内と海外ユーザーを見ていて、違いを感じるところはありますか?

高場:
けっこうありますね。対戦中に感情をあらわすスタンプをつかえるんですけど、そこに国ごとの性格の違いがでるのがおもしろい。

たとえば、日本人は対戦がはじまったとき「ニコニコマーク」を絶対おすんです。「よろしく〜」みたいな感じですね。

あと日本人は負けた時に悲しいマークを押しますよね。それに対してアメリカ人は負けた時にも「いいね!マーク」を返してくれる人が多い、これは「グッジョブ!」と相手を讃えているんですね。

それと、中国人や韓国人は競争好きだからか、大勝しているときに「どや顔マーク」をつかう人が多いですね。「どうだ、みたか!」という感じだと思います。

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※編集部作成のイメージ図、あくまで傾向です。

アメリカのユーザー比率が一番高いとのことでしたが、するとランキング上位はアメリカ人ばっかり?

高場:
それがランキング上位は日本人が独占しているんですよ。やっぱり日本人のやり込み勢って世界的にみてもすごいんだなって実感しました。

なぜかというと、日本はコミュニティが出来ているのが強い。ニコ生で実況配信したり、Youtubeにスピードプレイ動画をアップしたり、リアルのオフ会が開かれていたりですね。

オンオフに関わらず、ユーザ間で攻略法を共有したりフレンド対戦をして、それぞれがお互いの能力を高め合う努力をしているんです。

あと驚いたのが、勝手に「スコア変換ツール」がつくられていたこと。スコアの仕組みやアルゴリズムが勝手に解析されているんです、しかも大体合っていてすごいなって。笑

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いま20種類くらいゲームが収録されていますが、そこで何か傾向はありますか?

高場:
男女で得意なゲームがわかれているのは感じます。右脳(見た目の直感型)をつかうゲームは女性、左脳(読んで思考する)をつかうゲームは男性が得意です。

具体的には「ダウトカラー」のような色認識ゲームは女性が得意で、計算ゲームは男性が得意。国ごとのゲームの得意不得意の傾向はあまりみられないですね。

ボツになったゲームはありますか?

高場:
あります、じゃんけんゲームですね。じゃんけんって、実は文化によって違うんです。各国で似たような概念の遊びはあるんですが、手の形が違ったりして世界共通ではないんですよ。

なので、じゃんけんは「日本人vs日本人」のフレンド対戦に限定して出るようにしています。

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※ミャンマーのじゃんけんがおもしろかったので貼っておきます。画像は日本アセアンセンターより

マネタイズについて

マネタイズについてはどうでしょうか?

高場:
マネタイズについては広告と課金を入れています。割合としては広告のほうが若干多いくらいです。

国別で言うと、収益性が高いのはアメリカと日本ですね。広告と課金のトータルでみるとアメリカが一番です。日米が二強という感じで、他の国はだいぶ落ちるイメージですね。

広告についてくわしく教えてもらえますか?

高場:
広告はフッターバナーとインタースティシャルをいれています。収益額の割合としてはインタースティシャルのほうが高いです。

インタースティシャルは「7分に1回」の表示頻度にしています。これは感覚的ではありますが「広告がですぎだな」と思われないくらいのバランスです。


※とのこと。

アドネットワークは何をつかっているんでしょうか?

高場:
iOSとAndroid共通で、AdMobのメディエーションツールを使って、nend、InMobi、AdMobを最適化してだしています。まだまだ国別の細かいチューニングはできていないですね。

中国に関しては現地のアドネットワークをつかいたかったのですが、管理画面がすべて中国語で、中国の銀行口座も必要だったので、あきらめました。

課金のほうはどうでしょうか?

高場:
課金(コイン消費)については7〜8割が「ハート回復」につかわれていますね。

課金ポイントはいくつかあって「ハートを回復するとき」「自分の好きな種目を選択するとき」、あと最近はじめた「アンロック課金」があります。

ただ、BrainWarsはトップレベルの課金者でも1週間に1,000円くらいしか課金していないんです。うすく広く課金されている感じで、ARPUはかなり低いアプリですね。(※ARPU=1ユーザーあたりの課金額)

「ゲーム選択」は意外に課金(コイン消費)されていないんですね?

高場:
「ゲーム選択」の課金については「苦手なゲームを回避するために課金してくれるかな」と思ったのですが、あまりうまくいかなかったですね。

というのも、20種類のゲームすべてを極めようとする人が多くて、想像以上に苦手なゲームをみんなが克服していた。それで、ぜんぜん課金されなかったんですよね。笑

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※アプリ内通貨の「コイン」はほとんどがハート回復(体力回復)につかわれている。

グロースハック的な話

ユーザー登録時に「Facebook登録」をおすすめしているように見えるのですが、これはどんな意図があるんでしょうか?

高場:
BrainWarsをはじめるとき、出来るだけFacebookアカウントでユーザー登録をしてもらいたい。理由としては、Facebookで登録してもらえれば友だちのデータがアプリに表示されるから。

そして、Facebookの友達がBWをはじめたときに「誰々がはじめたよ」と通知が飛ぶ仕組みになっていて、そこでクチコミやフレンド対戦が起こる可能性があるからです。

それで「おすすめ」というアイコンをつけたり、不安に思われないように「アプリが勝手にFacebookに投稿をすることはありません」と書いています。

そのおかげもあってか、全体の40%弱はFacebookアカウントで登録してくれています。

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他に工夫していることはありますか?

高場:
プッシュ通知をオンにしてもらえるように工夫しています。

BrainWarsでは「プッシュ通知をオンにしますか?」と聞く前に「このアプリは友だちとのやり取りにプッシュ通知を使用します」とメッセージを入れるようにしています。

つまり「プッシュ通知をオンにしたほうが便利だよ」と直前にワンクッション入れることで、スムーズにプッシュ通知を許可してもらえるようにしているということです。

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結果をだしているBrainWarsからみて、世界に向けてアプリを提供していくメリットを教えてください。

高場:
やっぱりスケールの大きさが一番です。いまや世界中にスマホが普及していて、「渋谷で数人でつくったゲーム」でも世界中の人に遊ばれる可能性がある。これはすごい時代だと思うんですよ。

僕らも最初から世界をみていたから「たった1年たらずで1,000万ダウンロード」というところまで、広告費もかけずに到達することができた。

もし、日本だけでだしていたら日本の比率が4%程度なので「1年でたった43万ダウンロード」という結果になっていたわけです。そう考えるとゾッとしますよね・・・!

最後に告知などがあればお願いします。

高場:
僕らは「日本発で世界でヒットするアプリ」をだすことに挑戦したいと考えています。日本からでも億単位でダウンロードされるアプリが絶対生まれると信じている。

そのために、9割以上がエンジニアの会社にしたいなと思っていて、その仲間をいま募集しています。

LINEさんから出資もいただいているので、2015年からはLINEゲームをつくることにもなっています。もし興味がある方がいたら、ぜひご連絡いただけたら嬉しいです。

採用情報:日本発全世界へ!世界を席巻するアプリを作るエンジニア募集!

取材協力:株式会社トランスリミット(BrainWars

編集後記

8ヶ月(240日)で1,000万ダウンロード達成ということは、月125万ダウンロード、1日41,666ダウンロードペースか、すさまじいな・・・!Techcrunchの記事によると既に「すごく小さい額ではあるが黒字」とのこと。

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。有料マガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。【配信提携】LINEニュース【過去連載】週アスPLUS、マックピープル。アプリの取材申請はコチラのページから。
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