ねこ系ゲームは売上10倍の法則、書籍「タッチパネルのゲームデザイン」を読んでみた。

2013年08月28日 |
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「タッチパネルのゲームデザイン」という本が面白かったので、
紹介したいと思います。

洋書の翻訳、著者はスコットロジャースさんという、
アメリカのゲームデザイナーが書いた本です。

アプリ開発者(特にゲームアプリ開発者)、
ゲームプロデューサー、UIデザイナーさんは参考になるのではないかと思います。

私はよく本を読んでいる(月20冊くらい)のですが、
内容も濃く、月間のNo.1か2に当たりと思える部類の本でした。

本記事では印象に残った部分を、
10こピックアップして紹介します。

1、恐るべし「ゲームデザイナーの錯覚」

ゲームクリエイターは時折、
「ゲームデザイナーの錯覚」と呼ぶ状態に陥る場合があります。

これは自分の仕事に没頭しすぎた結果、重要なことを見落とすこと。
例えば、開発者があまりに自分のゲームをプレイし続け、慣れきってしまったために、
明らかにひどい操作方法でも、ひどいと感じなくなりそのまま発売されてしまう。

「ゲームデザイナーの錯覚」は知らないうちに、
すべてのゲームデザイナーに忍び寄ってくるものです。
自分のゲームを1000回も遊び、もはや新しくも刺激的でもないと感じたときに。

これは確かにそうだなあと思いました、
当たり前と当たり前じゃないことの境目がどこかにいってしまう感じで、
アプリに限らずですね。

当サイトでも定期的にソーシャルでの反響や、アクセス解析の滞在時間などを見て、
出来るだけ記事について客観的に振り返り、
つまらない記事を書かないように心がけています。

2、タッチデバイスのゲームは短く、繰り返す。

・平均的なゲームプレイセッションの長さは2~5分
・ゲーム全体の長さは2〜3時間にするべき
・長さではなく深さに焦点を当ててゲームをつくること
・繰り返しを強調した内容にすること
・ゲームの随所に自然な休憩時間をいれること。

タブレットゲーマーが携帯デバイスで遊ぶゲーマーであることは忘れないでください。
映画館での開始前の待ち時間やATMの列に並びながら遊んでいるということです。

自分がスマホゲームをやるタイミングを振り返ってみると、
・電車の中
・食事中
・ちょっとした待ち時間

など、短いスキマ時間が、
積み重なっている気がします。

短いゲームを何度も繰り返す構成にするというのが大事。
ユーザビリティ的に良いという話でもありますが、
広告impも自然に上がるので、収益面での向上にもつながるのではと思います。

3、ユーザーを飽きさせないこと。

プレイヤーを遊ばせる一番の要素は、バラエティという名のスパイスです
ゲーマーはバラエティを好みます。何かが変わるのが大好きです。
新しいレベル、新しい敵、AIの変更、宝石の落下速度などです。
ゲームが少しずつ難しくなっていく中でも、うまくプレイしつづけるのは快感です。

たしかに「Candy Clash Saga」とかでいうと、
ちょっとずつレベルが上がっていくので、
プレイヤーのレベルも自然に上がっていくし、

超難しいステージの後は、簡単なステージがいくつか続くなど、
ストレスなく続けられました。

しかもレベル100以上まで進んでも、
どんどん新しいギミックが出てくるので、飽きないですね。

DL数を2倍に増やすのも良いですが、
一人のユーザーが2倍の時間遊ぶっていうのも大事。

4、プレイヤーは指先周りしか見えなくなる。

僕自身の研究の結果、プレイヤーが注視する場所は通常、
はじめは指先、次に隣接するエリア、最後に他の部分(画面の両脇)
と遷移することがわかりました。

基本的に画面がどれほど大きくても小さくても、
集中すればするほどプレイヤーの視野は狭くなっていきます。

その結果、プレイヤーは一度に画面全体を見られなくなります。

なるほど、これは考えたことありませんでした。
良いゲームやアプリをつくるには、
徹底的にユーザーの心理や行動を考えることが必要なのかもしれないですね。

5、成功事例を再現することは難しい。

タッチ操作のゲームをデザインするすべての人へのアドバイスがあります。
お願いですから成功モデルの参考に「Angrybirds」を使うのはやめてください。
確かに「Angrybirds」はよいゲームです。

だけど、市場での成果という点を除けば、
ものすごく、ずば抜けて素晴らしいというわけではありません。

そしてその成果はタイミングなどによる偶然の結果でもあるので、
繰り返せるものではないのです。
-Andy Ashcraft

ディズニーの「カーズ」のゲームをつくったデザイナーの言葉。

ガンホーの山本社長も似たようなことを言っていて、

「秘訣は、パズドラに縛られねぇ事です。
パズドラのことは忘れて自分達が創りたいものを創ればいいんだし」

(参照:ヒットの方程式「やっぱ、ない」–ガンホー森下社長が語った“開発讃歌”)

と話していました。

6、変な要素はひとつだけ!

「変のトライアングル」

ゲームには3つの側面がある。キャラクター、行動、世界観。
風変わりなものにして良いのはこのうちのひとつだけです。

気をつけないと変なものをたくさん入れすぎてしまう場合もある。
ユーザーを遠ざける危険をわざわざ冒す必要はありません。
安全にいきたいですよね、ならば変な要素は1つにしておきましょう。

独創的で珍しいゲームをつくりたくなってしまうこともあるが、
奇をてらいすぎるとうまくいかないことが多いという話。
独創的な要素は、メインの要素の1つだけにする。

思いつく変なヒットコンテンツといえば、、

キャラクターが「変」

シーマン、アルパカにいさん、せんとくん
seaman

行動が「変」

ふなっしー、ローラ
funasshi

世界観が「変」

地獄のミサワ、アンガールズ
misawa

て感じなのかなあ。

ぴったりあてはまってないのもある気がするけど、
たしかに「変」要素は1つくらいにしとけよってのは正しいかも。

7、「ねこ」を入れるだけで売上10倍!?

猫が登場するとどんなゲームもよくなるという科学的証拠があります。
あなたのゲームに猫を入れてみてください。

TouchArcadeのBrad Nicholsonによると、
「猫をゲームに入れると売上が1000%アップします本当です。猫は大人気なんです。」

これが一番面白かった。

にゃんこ大戦争、進撃のにゃんこ、つみねこ、にゃんこハザードなど
確かにアプリでもねこ系のヒットコンテンツは多い。

というかニコニコ動画やyoutubeとかでも、
ねこ動画多いし、ネット全般で猫は愛されていますよね。

売上10倍とか、AKB48のCMでも無理だ。
ねこ優秀すぎる。

8、有料ゲームは売れない。

2011年無料ゲームの65%がIn App Parchaseで利益をあげています。
前年の39%から大幅に伸びています。
ゲームに追加でお金を払っても良いと考えるユーザーは一定数います。

先日のGAMEFEATさんのイベントで聞いた話では、
52万DLのカジュアルゲー「超くりひろい」では、
全体の収益が400万円(課金20万円、広告収益380万円)くらいとのお話でした。

日本では今、無料アプリを提供して、
広告収益で回収するモデル(アプリ内課金なし)が主ですが、
アプリ内課金ってもっとチャレンジする余地がある気がする。

9、ヒットする続編をつくるコツ

続編に関するルールがあります。
僕は「70対30の法則」と呼んでいます。

素晴らしい続編は必ずゲームコンテンツの70%が最初のゲームと同じままです。
そして残り30%で新しい要素を提供するためにコンテンツを追加したり、変更しています。

1、前作でうまくいったもの(操作方法やカメラ戦闘システムなど)はすべてそのままに。
2、前作でうまくいかなかったものはすべて捨てる。
3、キャラクターや中心的要素は変更せず、冒険を前進させること。

もしゲームが成功していなくても決してあきらめてはいけません。
成功した「Angrybirds」はRovioが52番目に開発したゲームだって知っていましたか?

なるほど。
せっかくヒットしたのに、
その軸になった部分を削ってはいけないということですね。

10、今の時代はほんとうにチャンス!

この本で1つだけ抜き出して覚えるならぜひこれを覚えておいてください。
「オリジナルゲームをつくって売るのは、今が最も簡単です。」

現代の携帯デバイス向けゲーム開発者にはゲーム史はじまって以来の、
好条件がそろっています

以前よりずっと安くて強力なツールの選択肢が増え、
詳細な情報やチームを組んでくれそうな人材も探しやすくなりました。

アプリに限らずネットビジネスなどもですが、
ほとんどパソコン1つあれば起業できてしまう状況です、
たしかに今程ゲームづくりにめぐまれている環境はないですね。

10年前だったら絶対に無理なことが、
個人で実現できてしまう時代です。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

本書は「タッチパネルのゲームデザイン」という名前ですが、
ゲームデザインに限らず、

・どういう時にユーザーはお金を払うのか?
・タッチインターフェースに適した操作はなんなのか?
・ストーリー、キャラクター、アイコンのつくりかた

などなど、300ページ以上にわたって、
プロデュース全般について語られています。

ちなみに巻末の著者の写真。
なんでこんな顔してるんだろ。
scottrogers

翻訳書のため値段が2800円と高いので、実は買うのを躊躇しましたが、
結果的に読んで良かったと感じました。

気になった方はぜひ。

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