世界5,000万ユーザーを突破「TimeTree」が語る「ユーザーの課題」を軸にプロダクトを運営する方法。サブスク課金率2.5倍など3つのアプリ成功施策。

2023年12月18日 |
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※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2023年9月26日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/nacee676dd845

TimeTreeさんを取材しました。

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株式会社TimeTree  CPO 吉本 安寿さん、マーケティング/PdM 小川 秀星さん、データアナリスト/PdM 古賀 旺人さん

「TimeTree」について教えてください。

吉本:
予定の共有や相談ができる、カレンダーシェアアプリです。登録ユーザー数は、世界では5,000万人、日本では2,300万人に到達しています。

基本は家族や恋人といった「親密な間柄」で利用されることが多くて、家族は60%ほど、恋人は10%ほどが占めています。

1番課題として深いのは「家族の利用」で、とくにお子さんのいる家庭では子どもの予定を共有するため、予定作成数がとても多くなりますね。

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78億件の予定データが登録されている。

プロダクトを「ユーザーの課題」を軸に運営する。

吉本:
TimeTreeのプロダクトチームでは「ユーザーの課題」を起点にチームを構成しています。「ユーザーが困っていること」を中心に置いているんです。

例えば、TimeTreeの課題としては「夫婦のすれ違い」というものがあって。これを解決するチームをつくっているんですね。

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チームを「機能単位」でつくる方法もあると思いますが、そうすると「機能ごとの個別最適化」に陥りがちという感覚はあって。

やっぱり、プロダクトって1つの機能をすごく使ってもらうことよりも、ユーザーの課題を解決することがゴールじゃないですか。

なので、全体最適を考えると「課題単位」にして、機能を横断して問題を解決していくほうが、インパクトが最大化されるのではないかと。

課題ごとにチームをつくると「何のためにそれをつくるか?」ということに、頭の中が常にフォーカスされるのも利点です。

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課題解決度を「どう測定するのか?」

なぜ「ユーザー課題」に着目するようになったか?

吉本:
実際に、売上を上げたいみたいな「事業課題の視点」からスタートすると、あまりうまくいかないことが多かったんですよ。

例えば、以前に「Today」という、占いやニュースなどのコンテンツを表示する機能をつくったのですが、これは失敗に終わりました。

なぜ失敗したかというと、発想が「広告をもっと見てもらいたい」という、事業課題を起点につくってしまったからだと認識しています。

TimeTreeって、カレンダーを見に来る人がほとんどなのに、そのメイン価値を忘れてしまって、別のコンテンツを見せようとしてしまった。

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これはトンカツ屋でいうなら、お店が「もっと売上をあげたい」ということに躍起になりすぎて、ポテトサラダのようなサイドメニューを充実させすぎるようなものだと思います。

お客さんの本来の来店目的は「美味いトンカツ」を食べることです。なのにサイドメニューがありすぎて、トンカツに目がいかなくなってしまったら本末転倒です。

それと同じで、ユーザーはカレンダーで予定を管理したいからTimeTreeを使うわけで、Todayを見たいからアプリを開くわけではないんですよね。

これもユーザー課題から考えるべきで、課題を解いたあとに事業課題が解決される、という順序になるのが適切だと思います。

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「ユーザーの課題」から機能をつくるまでの流れ。

最近TimeTreeでは、ユーザーの課題が深いと判断して、「通常の予定」だけではなくて、「仮予定」を作成できる機能をつくりました。

はじまりとしては、ユーザーインタビューをすると、ダブルブッキングを避けるために「仮予定」を3つくらい登録して、確定したら1つだけ残すという方が結構いたんですよね。

なぜ仮予定を使うのかを聞くと「これをやらなかったら喧嘩になります!」みたいな強い思い入れの感情も感じ取れました。

またデータから、予定タイトルに(仮)を入れたことのある人を調べると、かなりの割合のユーザーが(仮)を使っていました。

そこで、予定作成時に「仮の予定」のトグルをオンにすると、予定タイトルに(仮)が自動的につくという機能をつくりました。

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※「仮予定」の作成機能は、記事公開時点で一部のユーザーへ段階的に提供している。

そこからは、出してみないと分からないので、最初は「最小限の機能だけ」で出して反応を見ていきます。

例えば、機能を使っている人が何%いるか。もともと予定に(仮)と入れていた人の比率と比べてどうか。そうした基準で判断します。

あとは指標への影響も見ます。仮予定を入れられるようになった結果、平均の予定作成数が増えれば、成功と言えるかもしれません。

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成功施策①:「予定作成ページで目に映る情報を絞ったら作成率アップ」

小川:
TimeTreeの予定作成画面で、全ての「入力項目」を表示するのではなくて、「任意の入力項目」(場所やURLなど)は隠すようにしたところ、週ベースでの予定作成率が10%ほど大きく改善されました。

理由としては、予定作成画面を開いたときに、項目がたくさん表示されていると、入力時の「心理的なハードル」が上がってしまうためかなと。

学びとしては、作成型タスクの機能の場合は、「ユーザーの目に映る情報」をなるべく少なくしたほうが、心理的な負担が減ってタスクの完了率が高まる可能性があることがわかりました。

また一部の方には、予定作成画面の「場所やURL」は任意の入力項目だということが、うまく伝わっていなかったのも理由でした。

タイトルなどの「必須項目」と並列して、場所やURLなどの「任意項目」も表記していたことで、全て必須項目だと思わせてしまったのかなと。

実際に、ユーザーさんから「予定作成の度に場所やURLを毎回入力するのは手間です」というフィードバックが多く寄せられていました。

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成功施策②:「タイトルの履歴を呼び出す機能で作成率アップ」

吉本:
予定作成画面で「タイトル」を押したときに、過去に作成した履歴を呼び出せるようにしたところ、平均の予定作成数が10%~20%上がりました。

やっていることは「予定の複製機能」に近いですが、複製元の予定を探す手間を省いて、より直感的に予定登録をできるようにした感じですね。

TimeTreeで予定を入れるときって、いきなり予定作成ボタンをタップするよりも「カレンダー内の日付」をタップしてから、予定を作成する人のほうが2倍以上は多いんですね。

つまり「予定を入れる」という行為は、日付を思い浮かべてからつくる人が多く、日付を選んだあとにサジェストしたのも良かったのかなと。

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成功施策③:「サブスクのCVRを改善した工夫」

小川:
サブスクプラン「TimeTreeプレミアム」を紹介するランディングページを改良したところ、課金率(CVR)を2.5倍に改善できました。

もともとは、価格や機能が最低限のっているだけだったのですが、それをガラッと変えてユーザーの課題に寄り添うLPにしました。

例えば、「こういう課題抱えていませんか?」と問いかけて、プレミアムに入るとこんな課題が解決できますよ、という訴求をしましたね。

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またポイントとしては、いきなり「How」から決めずに、表現の方向性である「What」を先に定めることもプロセスとして大事にしましたね。

フィットする訴求軸を見つけるために、様々なアプリを研究して訴求軸を7つに分類して、どのように訴求すべきかも議論しました。

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データアナリストに聞く「有効性の高いデータを発掘するコツ」

古賀:
TimeTreeに登録されている予定データは、分析に携わる一部の社内メンバーのみが扱うことができるデータです。

データ分析において私は、「泥臭く見まくること」を意識しています。量を見るとどこかで質に変わる感覚がありますね。いろんなセグメントで情報を出して自分の中に蓄積していっています。

例えば、新規ユーザーが「最初に登録する予定」が多いほどリテンションが高いというデータがわかったので、TimeTreeで「予定の登録数が多い人」の特徴を分析したことがあります。

ただ前提として、人間の予定数ってそこまで変わらないはずです。例えば、美容院に行く回数などに大差は出ないはずじゃないですか。

でも、登録される予定数には差分がある。これがなぜ生まれるのか分析すると、実は「タスクを予定として認識しているか」という差分があって。

具体的には、ゴミ捨てとか宅配が届くとか、細かいタスクをTimeTreeに登録している人は、依存度が高くなってリテンションが高まるようでした。

そうしたデータがわかると、タスクを予定としてサジェストするのもいいかもしれないですし、施策としての打ち手も見えてきますよね。

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あとTimeTreeは「家族での利用」が最も多いのですが、「恋人と利用するユーザー」もそこそこ多くて、アクティブ率も高いことがわかっています。

背景としては、家族よりも恋人のほうが離れて生活するケースが多いため、恋人同士のほうが「学校の試験がある」「この日はバイトがある」みたいな些細な予定を入れる傾向があるんですよね。

これも口頭でパッと予定を共有しにくい分、TimeTreeへの依存度が上がって、結果的にアクティブ率が高くなるのかなと。

このように、いろんなセグメントでデータを切ってみて、自分の中に特徴を蓄積していき、その中から共通項や繋がりを見つけています。

自律プロジェクトで「個人のセンスを活かす」

吉本:
TimeTreeには「自律プロジェクト」という、業務時間の10%であれば「好きなことに使ってもいい」という制度があります。

最近の例でいうと、ChatGPTとiPhoneのOCRを組み合わせて、写真や画像から予定を投稿する機能をエンジニアとつくりました。

他には、デザイナーが公式キャラクターをつくったり、オフィスにBGMを流せる仕組みをつくったりする人がいますね。

課題に直接は紐付かなくても、個人の感覚で「これをつくると面白いかも」というアイディアを形にできるのがメリットです。

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【取材協力】
株式会社TimeTree:https://timetreeapp.com/intl/ja/corporate
TimeTree:https://timetreeapp.com/intl/ja/

【告知】TimeTreeさんでは各職種で採用中。エンジニアや事業開発メンバーなど募集しているとのこと。ご興味があれば下記サイトをご覧ください。

https://timetreeapp.com/intl/ja/corporate/careers

※続きのマニアックな事例は4つほど、note購読者向けにまとめています。カレンダーの「招待率」を高める工夫、ユーザーインタビューの管理効率をAIで高める、翻訳の品質を高める方法、などご興味あればご覧ください。
https://markelabo.com/n/n65e37f7f2502

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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