中国で成功の秘密はナンパでローカライズ?世界100万ダウンロード間近の自撮りアプリ「セクシーミラー」インタビュー

2014年02月12日 |
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本日は、名古屋で活動されている「セクシーミラー」という自撮りアプリの開発者、大塚さんへのインタビュー記事をお送りします。

「セクシーミラー」は日本の個人開発アプリでは珍しいグローバルを視野に入れていて、なおかつ大きくダウンロードの結果を出されているアプリ。

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特にアジア・欧米での展開を考えられているアプリ開発者さんや、女性向けのアプリを企画されている方にとって、参考になるかと思います。

以下インタビュー内容をお送りします。

セクシーミラーは「未来のカメラアプリ」をイメージして開発。

セクシーミラーとはどのようなアプリでしょうか?

セクシーミラー自撮りに特化したカメラアプリで、女子を綺麗に撮ることに特化したフィルターとリアルタイムエフェクトが売りです。従来の自撮りアプリとの違いとしては、リアルタイムに美肌やデカ目、フィルターを確認することが出来るところです。

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ダウンロード数はどのくらい?

ダウンロード数は約95万です。2013年の7月で50万DLを達成しましたが、そこからずっと一日2,000DL弱くらいのペースで増えていっています。

収益モデルはどのようになっていますか?

最初はアプリ内課金(In-App Purchase)でしか売上がなくて広告収益がなかったのですが、今はアプリ内課金よりも広告収益のほうが多いという状況です。

広告に関しては、アイコン・バナー・テキスト・インタースティシャルを活用していて、特に最新バージョンではインタースティシャル広告(全画面広告)を入れたりと、広告表示も積極的に行っています。

インタースティシャルはある程度ユーザーがアプリの虜になってきたタイミングで表示しています、例えば、アイテムを選択したタイミングだったり、スロットを回した後のタイミングにだしたりです。アイコン型の広告も効果は良いですね。

課金と広告のバランスはどうでしょうか?

昔はAdMobでバナーを1つしか入れていなくて、1ダウンロードあたりの収益は、広告0.8円:アプリ内課金1円でした。

今の1ダウンロードあたりの収益は、広告5円:アプリ内課金1.5円くらいにはなっています。
やり方次第でだいぶ収益性が変わりましたね。

広告の収益性が5倍以上になっていますが、どのように改善したのでしょうか?

例えばひとつは、スロットをつくってユーザーの導線をつくりました。

スロットを10回くらい回しているとインタースティシャル広告(全画面広告)が出てきて、ユーザーが必ず見るようにしています。

「スロット回して、アイテム選んで、戻って」という流れにインタースティシャルを入れたんです。いまインタースティシャルが一番収益が高いですね。

スロットに関しては「アイテム課金にふれるきっかけをつくる」という意味もありますね、実際に導入前後での課金アイテムの収益性が1円⇒1.5円くらいまで向上しています。

(補足:スロットを回すと数多くのアイテムがランダムに組み合わされて適用される。試着までは無料。)
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なぜスロット機能を実装したのでしょうか?

まず「ほとんどのユーザーは受動的」という理由が大きいです。ほとんどの人は機械に言われるまま、指図されるままの方が動きやすい。

アナリティクスをみてアプリ内のユーザーの動きを分析してみても、上に置いてある数個のアイテムをみただけで終わるユーザーがほとんどで「あ、ユーザーって何も見ないんだ」ということがわかった。

そこで「ユーザーの導線」をつくるためにスロットを置きました。なぜスロットにしたかというと、世界共通でわかるUIという理由もあります。

あと女の子はランダム要素、くじが好きだから。おもしろいと思ったらずっと回し続ける。僕は元々パチンコ業界にいたので、それもよくわかっていた。

スロット機能もそうですが、セクシーミラーは非常にユニークで面白いですね。

そうですね、僕はほとんど他のアプリを参考にしないんです。

世の中のアプリはアート的にユニークに生まれてきたものと、シミュラークル[simulacre](誰かがつくった物の複製品)がほとんどを占めています。例えばカメラアプリでいうと、カメラで撮影してフィルター選んで…というインスタグラム形式になんだかんだ意識を受けていますよね。

僕は本当に自分がつくりたいもの、「未来にあるカメラアプリはなんだろう?」という意識でつくっています。そしたらこんな頭おかしいアプリができてしまった(笑)

自分がターゲットじゃないアプリつくるのって大変なことだと思うのですが。

僕はかわいい女の子が好きなので、かわいい女の子に喜んで使ってもらいたいという気持ちがあってそのへんのモチベーションはあります、趣味と実業を兼ねている。

女の子に試してもらってヒアリングはしますよ、何が欲しいのかとか聞いたり。ツイッターでアプリを使ってくれている子に声かけたりもします。すると「こんなのが欲しい」みたいなのを言ってくれる。

美肌は世界共通、グローバルと女性ニーズについて

最初にイギリスのAppStoreで11位になったそうですがその要因は?

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未だにわからないんです。Googleで検索して原因を探ったがテレビでも有名人でもないようでしたが、何かきっかけがあったんでしょうね。

急にセクシーミラーのページのアクセスが100倍くらいになって、なんじゃこりゃって。その時はアプリの評価がめちゃ酷評だったんですけど(笑)

あとこれは狙っているのですが、セクシーミラー(Sexy Mirror)という名前はポルノチックなイメージがあります、アプリ名に「sex」って入っていますし。これはやはり男も反応するキーワードなので、新着欄に並んでいると目につきやすいというのはあると思います。

最初から海外は意識してつくられていましたか?

はい、最初から北米を意識したデザインにしていました。例えば、ピンクといっても「北米のピンク」と「日本のピンク」は違うんです。

「北米のピンク」は海外のコスメサイトとか見ていても、LA SPLASH(コスメブランド)みたいなキラキラと派手な色が多くて。一方で「日本人のピンク」というとサクラっぽい薄いピンクですよね、やっぱり色の感覚が海外と日本人では違うんです。

あと文字は極力なくすようにしました、3歳~80歳までいかにつかえるか。
幼稚園児に使えるなら世界中の人が使えるだろうと。

いま(約100万DL)と50万DL時点での海外比率に変化はありましたか?

昔は日本が全然ダメでほぼ海外だったのですが、最近日本でのダウンロードが増えてきましたね。
日本の比率があがってきています。

日本でダウンロードが伸びたきっかけは実はNAVERまとめでした。「海外大人気カメラアプリ『セクシーミラー』の作者ツイートが泣ける」というNAVERまとめをきっかけにバイラルが発生したんです。ガジェット系のまとめをつくっている方が、まとめてくれたようなのですが・・・。

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それまで日本でまったくDLされなかったから、その時バイラルの力はすごいなとおもいましたね。
あと、たぶん日本人は「海外でウケた!」みたいなのが好きなんでしょうね、それは感じました。

自撮り系のキーワードニーズは日本では「自撮り」、世界では「Selfie(自撮り)」と非常に伸びています。

(日本は2010年~「自撮り」、世界では2013年~「selfie」の検索が急増 参照:Googleトレンド)
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そうですね、これは知っていましたよ。元嫁が香港人だったのですが、中華系の人のブログとかFacebookをみていると自撮りがめちゃくちゃ好きなんですね。アジア圏の人は日本人よりも自撮りをする、そこに潜在的なマーケットはあるとおもった。

だいぶ調査したのですが、補正系のアプリはやはりニーズが強い分、中国製のアプリが一番よくできているんです。日本のアプリはどれもいまいちだし、今の美肌・補正アプリはどれもめんどくさい。

それを見て「もっとおもしろいのがつくれるな」とおもったのが始まりですね。「自撮りに特化したカメラアプリ」なら世界でも個人で勝負できるという読みもあった。

中国製の美肌アプリはあるけど、リアルタイムで美肌とかデカ目にできるアプリってなくて。魔法の鏡みたいなイメージで「ミラー」と言う名前にしてカメラアプリではなくてミラーアプリとして差別化をはかっています。

中国でもダウンロードされていますか?

はい、中国語のアプリ名は「性感魔鏡」にしたのですが、そのアプリ名がうまくいってDLされましたね。

中国語のローカライズはしっかりやっています。中国マーケットが大きくなるのはわかっているので、中国語は1年くらい勉強しています。

「性感魔鏡」という名前はどのように決めたのですか?

これは何をやったかというとですね…!中国語を勉強して、中国語のソーシャルメディアをはじめたんです。

そこで日本にいる日本語ペラペラの中国人のお姉ちゃんをナンパして友だちになって、その女の子の感覚にあわせて中国語を完璧にローカライズしてもらって、というところまで徹底的にやった結果です。僕は、ちょっと頭がおかしいのでそこまでやってますよ(笑)

中国ではセクシーミラーはiPadで10位以内のところにいて定番アプリになっています、「性感魔鏡」という名前じゃなかったらうまくいかなかったと思いますね。実際に中国人に聞くと「名前に惹かれる」と言われます。

その他のアジア圏ではどうでしょうか?

最初は欧米でヒットしましたが、総合的には中華圏でのダウンロードが多いんです。中国語(簡体字)をつかう中国メインランドが一番多くて、次は台湾。

韓国は(iOSアプリでしかだしていないということもあり)全然ダメですね。DL自体はされているけど、韓国はサムスン帝国なのでAndroidがメイン。

あと、意外にも韓国ユーザーの課金額は中国並みに低い結果だったので、今後はローカライズしない方針です。中国語に関しては、しっかりローカライズするべきだと考えています。

「自撮り」の文化は国ごとに違いますか?

「美肌」は世界共通なのですが「デカ目」は日本だけです。「日本のかわいい」はロリ文化というか、アニメキャラのような幼児性を強く含んでいます。「目がデカいのがかわいい」という日本人特有の思い込みはあるでしょうね。欧米系の人から見ると気持ち悪く感じるようです。

一方で美肌は世界共通で、美肌のニーズはおそろしいくらいに強烈です。「キレイにとりたい、美しく見せたい」というのは女性の本能なのでしょうね。

日本人はやっぱり最強?課金やマネタイズについて

アプリ内課金で一番売れているのは?

アプリ内課金で一番売れているのはロゴを消すアイテム(300円)です。最初からそれは狙っていました、欲望の通り道に貯金箱置いているくらいのイメージですよ。

無料ユーザーからも「ロゴ外させろ」とクレームがきます。ただ無料ユーザーには宣伝してもらわないといけないので。一方で「広告を課金してまでして外す」というニーズはそこまでないみたいです、広告なんてあっても別に構わないと。

売上的には、外カメラが使えるようになったりフィルターがセットのスペシャルパック(600円)がメインです。

(補足:課金なしだと写真の右下に「Sexy Mirror」のロゴが入る。やはりロゴを消したいというニーズは強いようだ。)

その他、日本と海外ユーザーで特徴が出ているところはありますか?

興味深いのは課金の仕方ですね。日本人は「お得なパックを1つ買って終わり」という堅実な買い方をする。中国人、アメリカ人、アラブ人の富裕層はお金を全然気にせず全部買う人がいる。

中国語の先生に「アイテムの値段どう思う?」と聞いたら、「一般的な中国人の女の子には高すぎる、でも富裕層には安すぎるからどうせなら2万円くらいにしろ」と言われた(笑)

それくらい金銭感覚は二極化が進んでいて、全部のアイテム買うと今2,000円くらいですが、全解除の5,000円パックとかあったほうが結果的には儲かるのかもしれません。2,000円というと中国人の子の1日のアルバイト代よりも高いくらいなので、ちょっと高すぎる。中国人は見栄っ張りなので高い物が売れるというのはあるみたい。

それよりも広告モデルの方が儲かるので、今後はリワード広告を入れて「動画広告をみたらフィルター1こあげる」みたいな感じにもっていこうと考えていて、それを見越して今はあえて課金アイテムをたくさん置いています。

結局広告のほうが儲かりますね、今は1ダウンロードあたりの収益が、アプリ内課金1.5円に対して広告収益は5円なのでそういう時代なのかなと。セクシーミラーのユーザー層が若い女の子というのもあるが、課金ユーザーの率がここまで低いとは思わなかったです。

海外ではアドネットワークは現地のサービスを使うと良い?

思ったより微妙。
CPMとかみるとAdMobでいいんじゃないという感じ。

課金額で言うと日本人はやっぱりお金を使いますか?

日本人と中国人を比べると中国人は10倍課金しないです、断トツで日本人は課金します。やはり課金アイテムを買うのは先進国です。意外に高いのがロシアとかメキシコとかの発展途上国、理由は「金持ちしかiPhoneを持っていない」から。

あと、意外にレビューの内容を見ても南米ユーザーのほうが知的レベルが高い。日本のレビューは「盛れる!盛れる!」みたいな知的レベルで、中国も「金持ちしかiPhone持たない」と言うけど意外に似たような感じ。あと日本人は悪口を言う人が多いのも特徴ですかね。

セクシーミラーはレビュー評価高いですね?

レビューの評価めちゃくちゃ良いでしょ。ただ昔はすごいひどかったんです。

これに関しては「レビューを書いてくれたら100円のフィルターを1個あげる」という風にしたら、もうガラっと変わりましたね。結果的に、完璧にコントロールできるようになりました。

星1のレビューをつけてもアイテムはもらえる訳ですけど、良い評価ばかりつくようになった。これは、日本人だけじゃなくて世界共通でしたが、「たった100円で人間は態度が変わるんだな」というのがわかりました。それと、やっぱりユーザーは受動的なので自分からはレビュー書かないんですよね。

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ここまで情熱そそげるのは「好きだから」が大きいですか?

そうですね。最終的には勝ち残れるという確信と、アプリへの情熱や愛があれば勝てると思っているので、だから拡張も改良もし続けるし、過去のモノもあっさり壊す。

ある意味何かの分野で「究極」というもの、「究極にかんたん・使いやすいアプリ」が最後にのこるとおもう。死ぬ時に後悔ないように生きようと思っているので後悔ない作品というのをつくろうと、そういう勢いでやっています。

その他、いろいろ聞いてみた。

大塚さん(個人開発者の立場)から見て、今のアプリの業界の状況はどうですか?

数年くらい前ならもっと楽だったと思いますよね。いま正直クソみたいなコピーソーシャルゲームがたくさんあって、上位はリワードでお金の世界。ぼくはそれに未来はなくて、最終的には本物が勝つだろうと思っています。

そういうので成功している人もいるとおもうけど、作品として愛せるアプリが最後は儲かるとおもっています。

アプリ開発をこれまでやってきて感じたことは?

昔は「良いものつくれば売れる」とおもってたんですけど、それはダメですね。プロモーションやマーケティングが分かっていないと、アプリを知られることさえないというのがつくづくわかった、そこが最大の山ですよね。ただ、最後に残るのは本物だと思うので、良いものをつくろうと。

広告マネタイズについても最初は何も知らなかったんです、マネタイズはゲームの開発者に話を聞いて勉強になりましたね、「どこのアドネットワークが良い」とかも。横のつながりって重要だなと思いました。

まったく0から「世界に向けてアプリで成功したい」という人がいたとしてアドバイスするとしたら?

「あきらめるな」ですかね、あきらめたら終わり。

やっぱり国ごとに傾向とか感覚が違うので、いろんな国にでかけて国を見て、人とつきあってというのはすごい重要だと思います、僕は旅行が好きでいろんな国にでかけていて、その経験がアプリにも活きている。

セクシーミラーも日本人がつくっているアプリと思われないですよ、アイコンも日本ぽくないですし。「さすが海外のアプリ」とか書かれることもあります(笑)

日本の市場だけしか頭に無い人が多いとおもうのですが、どう感じますか?

それに関してはそう思いますね。ローカライズをちゃんとしてない人はいっぱいいる。

ただ、柵の中に居たらその外側を認識することは難しいですよ、世界をみたことがなければわからない。それはしょうがないこと。日本のアプリ市場は特殊で日本だけでも食っていける規模があるので、それはそれでいいと思いますけど、ぼくは日本だけというのは、最初から考えていないですね。

地球の裏側からレビューを書いてくれたり、南米やアフリカの知らない国で使ってくれたら嬉しいじゃないですか。

その他、何か告知などがありましたらぜひ。

メガネやマスクを売りたい会社さんがいたらコラボしたいです。実は今、セクシーミラーでメガネをつけると、アプリ上で値段がでてきて買えるというようなことを意識して育てています。メガネ試着して「これ良い!」って思った時に買えるようにしたい。

iPhone6とかが出たらもっとヌルヌル動くはずだし、現実的に「自撮りアプリで物が売れる」というマーケティングが可能になると思う。物販はAppleのアカウント上では出来ないので、通販ページに飛ぶようにしないといけないけど、できるだけ最短な手順で買えるようにしたい。

未来のネットでの物販は、WEBよりもアプリになっていくとおもいますし、
アフィリエイトでの提携かメガネメーカーとコラボでみたいなことをやってみたいです。

今後は、次回作つくるよりもセクシーミラーを育てていく予定ですか?

セクシーミラーを育てつつも新しいアプリもつくりたいですね、セクシーミラーにユーザーを誘導するための、機能特化のカメラアプリもつくりたいと考えています。

アイディアはたくさんあります、動画系も面白いですよね。顔認識を応用して、動画とると目線が指名手配みたいに隠れて犯罪ビデオ風な動画をつくれるみたいなアプリとかつくりたいですね。

取材協力:セクシーミラー 大塚崇さん

スロットで課金アイテムの収益性が1円⇒1.5円くらいまで向上。
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※イラストはイメージです。

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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