今回は、株式会社リンクキットの竹内さんに、「サムライディフェンダー」のヒットの裏側と、「Amazon Android アプリストアにアプリをだすメリット」についてお話を聞きました。
※本記事はアマゾン ジャパンより依頼をうけて執筆したPR記事です。
※株式会社リンクキット 代表取締役 竹内啓二さん
「サムライディフェンダー」200万ダウンロードまでの道のり。
「サムライディフェンダー」について教えて下さい。
竹内:
「サムライディフェンダー」は戦国時代を舞台にしたタワーディフェンスゲームです。リンクキットとしては初のタイトルで、開発期間としては約4ヶ月でつくりました。
いま、ダウンロード数でいうとどのくらいですか?
竹内:
2013年3月にリリースして、世界200万ダウンロードを突破したところです。国でいうと、日本・中国・アメリカの3つがメイン、続いて台湾などで遊ばれています。
もともと「グローバルで遊ばれるゲームをつくろう」というところから、「日本人が世界で勝負するならサムライだ」という発想でゲームを企画していました。
海外ではどのようにユーザーが伸びていったのでしょうか?
竹内:
実は、当初は日本語しか対応できていなかったのですが、台湾で人気がでました。台湾はAppStoreのトップ10にも入りましたし「さすが親日国」という感じです。
そこから、中国語と英語のローカライズ(翻訳)にも対応していきました。
日本っぽいデザインですけど、海外でも人気が出たんですね。
竹内:
そうですね。たしかに、日本風のデザインは、とくに欧米では「キッズデザイン」と思われてしまいがちですよね。
ただ、これは「好みの問題」です。マッチョで8頭身の「リアルデザイン」が好きな人もいれば、日本の文化に慣れていて「日本風のトゥーンデザインも好きだよ」という人もいる。
なので、日本っぽいデザインのままで出しても、遊んでくれる海外ユーザーが一定数はいるんです。
海外でユーザーを伸ばすためにやったことはありますか?
竹内:
お金をかけてやったことは、プレスリリースを配信したくらいです。結果としては、海外のレビューサイト5〜6媒体に取り上げてもらえました。
1サイトで紹介されると、100〜200ダウンロードくらい増えました。海外でもアプリレビューメディアは乱立しているからか、掲載されても莫大なインパクトはないようです。
中国ではどういうふうに伸びたのでしょうか?
竹内:
中国市場は、もう全然わからなかったので、現地のパブリッシャーと提携して、任せてしまいました。笑
一つわかったこととしては、中国って「Androidアプリストアが300くらいある」と言われていますけど、メイン10ストアだけおさえておけば大丈夫です。
200万ダウンロードまで、大きくユーザーが伸びたタイミングはありましたか?
竹内:
全体的に「ドカンと伸びた」というよりは「コツコツと積み上がった」という感じでしたね。「何か施策をうつとユーザーが伸びる」ということの繰り返しでした。
例えば、英語版をだすと海外ユーザーが伸びたり、Amazon Android アプリストアにリリースすると新規ユーザーが伸びたり。
オーガニックだけで、月に10万ダウンロードくらい増えていた時期もありましたが、最近は月3万ダウンロードほどに落ち着いてきています。
マネタイズについては、どんな感じですか?
竹内:
バランスでいうと、ざっくり「課金2:広告1」という感じです。課金がメインで、広告はリワードとバナーを入れています。
国でいうと、やはり日本のユーザーが、ダントツで課金してくれました。「課金総額において、日本を100とすると、20〜30がアメリカ、10〜15が台湾というイメージ。
日本って、世界でみると課金先進国なんですね。
竹内:
そうですね。「サムライ」でも日本の課金額が、他国に抜かれたことはないですよ。
あと、日本のユーザーはやりこみが凄い。日本人って「コツコツと突き抜ける」のが得意なんでしょうね。
僕もゲーマーではない日本人に、「これ遊んでみてよ」ってアプリを紹介したら、見事にハマってくれて。そしてそのまま、無課金で1,000面までクリアされてしまいました。笑
やっぱり「ゲームは楽しんでなんぼ」だと思いますし、もともと非課金でクリアできるくらいに、難易度もゆるくはしていたんですけどね。
ちなみに「1,000面をクリアしたユーザー」の比率を国別で見ると、60%近くが日本のユーザーなんですよ。こうしてデータで見ると、日本ユーザーのやりこみ具合に感服します。
「Amazonアプリストア」について
「サムライ」はAmazon Android アプリストアにも、アプリを公開していますが、調子はどうでしょうか?
竹内:
そうですね、「サムライディフェンダー」は、AppStore・GooglePlay・Amazon・Windowsと、4つのストアにアプリをだしています。
Amazonには2013年の10月に出したんですけど、アプリを公開してから、順調にダウンロードが伸びています。しかも日本がメインです。
なので、正直な感想としては「おー、すげえ!」でした。もともと「Amazonって、あまりユーザーがいないんじゃないの?」と思っていたのですが、これは間違いだったようです。
「広告をうった」とかではなくてですよね、どこからユーザーが来るんでしょうか?
竹内:
はい、普通にアプリを出しただけです。ユーザーは「新着アプリ」「新着ランキング」「フィーチャー枠」「レコメンド」の4つから来ているようです。
「レコメンド」というのは、Amazonの通販サイトと同じように「この商品を買った人はこんな商品も買っています」とオススメアプリが表示されるんです。
ほかに、Amazonに出してみて、ギャップを感じたところってありますか?
竹内:
あのですね、出す前は「辛口なレビューが増えそう」というのが超不安でした。なぜかというと、Amazonに出ていた、大手ゲームの評価が低かったんですよね。
だから、それを見てすごく怯えていました…。やっぱりユーザーにコテンパンに低評価をつけられると、メンタル的にしんどいじゃないですか。笑
それで、実際の結果はどうだったかというと、意外にそんなことはなくて、「サムライ」はいまも評価4以上はキープできています。(※4月24日現在レビュー数514件で、評価は4.6)
Amazonとほかの3つのストアも含めて比べて、課金率、課金額に差はでますか。
竹内:
不思議なことに差が出ていますね。課金率で見ると、AppStoreが1%以下、GooglePlayが約1.3%、Amazonが2.7%なんです。
純粋に数字で見るとAmazonの課金率は、GooglePlayの約2倍、AppStoreの約3倍、高い。
あとARPU(1ユーザーあたりの課金額)に関しても、AppStoreが8.6円、GooglePlayが13.2円、Amazonが24.0円という結果になりました。
なるほど。不思議ですけど、どうしてこうなるんですかね?
竹内:
正確にはわからないですけど、考えてみてひとつ思ったのは、Amazonユーザーが「ポチ慣れ」しているんじゃないかということ。
Amazonってクレカを登録している人がほとんどだと思いますし、書籍とかも日常的にワンクリックでポチるじゃないですか。それに慣れてるユーザーが多いのかな、という気がします。
あと「サムライディフェンダー」に関しては、Amazon版だけ難易度をすこし上げているステージがあって、その影響で「課金アイテムが買われやすくなっている」というのもあるはず。
同じゲームをだしているのに、ストアの特性などで課金率が変わるのは、おもしろいですよね。
Amazon Android アプリストアに公開するまではどうでしたか?
竹内:
特につまずくポイントはなかったです、Androidアプリさえあればすぐにリリース出来ます。デベロッパー登録料が無料なのも地味にありがたいですね。
あと、1つどうしてもわからないところがあって、問い合わせをしたこともあるんですけど、サポートからのレスもすぐ返ってきて、すぐに問題が解決できました。
うちもいろんなストアにアプリを出していますけど、上から目線だったり、たらい回しにされてモチベーションが下がることも少なくなくて。そういうことがないのはすごく大事。
今のところ、デベロッパーサポートに関しては、Amazonがナンバーワンだと思っています。まあ、これは体験しないと伝わらないと思いますけどね。
「Amazon Android アプリストア」にアプリをだしているデベロッパーは、さほど多くないように思えますけど、なぜだと思いますか?
竹内:
それはですね、恐らく「食わず嫌い」と「そもそも知らない」の2つの理由があると思います。
僕が開発者に「Amazonにアプリだしたら良かったよ!」って話をすると、返ってくるリアクションとしては「えー、意外!」と「Amazonにアプリ出せるんだ」の2パターンなんですよ。
つまり、そもそも知らない人も多いし、試している人も少ないわけです。「パズドラ」とか「白猫」とかの大手のアプリは、ウォッチしてるとみんなAmazonに出してますよね。
少し前に、とある開発会社の方とお話をしていたのですが、そこの会社は、Amazonコインで売上があがっていると話していました。(※Amazonコインとは、アプリ内アイテムや有料アプリが最大10%引で購入できる仮想通貨)
単純に、Amazonにも公開しておけば、下手に広告うつよりも、ユーザーの増加につながる可能性があるというのは良いですよね。まだ出したことがない方は、試してみるとおもしろいかもしれませんよ。
取材協力:アマゾン ジャパン株式会社、株式会社リンクキット
広告企画:アプリマーケティング研究所
編集後記
正直なところ、「Amazon Android アプリストアって、ユーザーがそんなにいないんじゃ?」と思っていたので、「出しただけでユーザーが伸びた」という話が出たのは予想外でした。
なお、Amazonのデベロッパー窓口は「日本人スタッフが、日本語でサポートしている」とのことなので、英語ができなくても大丈夫です。(もちろん、英語でもOKだろうけど)