※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年5月27日 )数値などは取材当時のものです。
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ナイルさんにAIの活用事例について聞きました。
ナイルさんでの「AIを活用した取り組み」について教えてください。
高橋:
ナイルでは、2023年3月に「GAI活用部」という社内Slackをスタートして、生成AIで業務プロセスを改善する様々な取り組みを行なってきました。
生成AIなどを活用した「社内向けAIアプリ」も数十個ほどあって、年間で4,000万円以上のコスト削減にも成功しています。
例えば、WebコンテンツのリライトにAIを活用したり、社内ルールの質問に回答するAIボットで社員の対応コストを下げたりしていますね。
社内には「Nyle Generative AI Lab」というR&D組織があったり、他社さんの業務プロセスを改善する「生成AIのコンサル」も提供しています。
AIでうまく生産性を改善できた「成功事例」を教えてください。
高橋:
車のサブスク「定額カルモくん」では、お客様からお申し込みがきた際に、「成約可能性スコア」をAIが分析していて、スコアの高い方から優先的にスタッフが対応することで生産性が改善しました。
このサービスでは、与信審査などを行なってから本お申し込みに進みます。月間数千件の申請がある中で、お客様の真剣度にも大きな開きがあって、営業の生産性を上げ切れていないことが課題でした。
そこで、お申し込み時にいただいた「デモグラフィック情報」をAIが分析して機械学習で「成約可能性スコア」を予測する仕組みを作りました。
一定の閾値を設けて「スコアの高い場合」には営業マンが対応する。また「スコアが低い場合」には一旦メールをお送りしてさらに興味がある場合は営業マンが対応する形にして、対応優先度を最適化したんです。
真剣度の高い方から優先して「営業リソース」を割く仕組みにしたことで、年間で4,000〜5,000万円の営業コスト(主に人件費)が最適化できました。
予想外だった発見としては、お申し込みのときに選択する「車種や車の色」と「成約可能性のスコア」の相関が、想像以上に大きかったことです。
なぜ車種や色かというと、サイト上で「デフォルトの車種や色」から動かしたという行動が、真剣度の高さを示すシグナルとして機能したのかなと。
デフォルト設定のまま、なんとなくお申し込みした方と、迷いながら真剣に検討した方を分ける、行動シグナルとしてAIが分析したのだと思います。
僕らは「競合と比較検討しているか」などが重要ではと予想したのですが、AIを活用したことで「想定外の発見」が色々ありましたね。
ほかには、都道府県も重要度が高かったです。都心よりも地方のお客様のほうが成約率が高くなるのは、車移動のニーズの高さが出たのかなと。
大浜:
この仕組みは「機械学習ベースのAI」と「生成AI」を組み合わせて実装しました。設計時にはChatGPTにもコードを書いてもらいましたね。
生成AIが得意なのって、前処理と言われる「データの修正」とか、機械学習ベースのAIが情報を読みやすくする「データのクリーニング」なんですよ。
そういう処理を生成AIに書いてもらって、最終的には機械学習ベースのAIで判定を行うといった、ハイブリッドの設計にしています。
私は、機械学習ベースのAIをずっとやってきたエンジニアですが、生成AIで開発速度が変わるのは驚きましたね。普通に実装すると1ヶ月はかかります。多くはデータ成形にかかる時間です。生成AIを使えば数日で実装できます。
強いて言うなら、今まで包丁でみじん切りにしていたのが、生成AIの登場でミキサーでみじん切りできるようになった、みたいな感じです。
弱点はもちろんあって、手作業でやったほうが綺麗な料理になるんですね。なので、後から手で書き直したりはしていますね。
ほかにはどのような事例がありますか?
工藤:
ほかに「定額カルモくん」で生産性を高めた工夫としては、AIに商談の通話履歴を要約してもらって「成績上位者のトーク」を分析したことです。
これは通話データを連携させると、AIがサマリーを生成して「商談フロー」を可視化する社内ツールをつくって、「どんな商談を最初にして、最後はどんな商談で成約したか」がわかるようにしているんですね。
このデータを使って「成約した商談」や「成績上位者の商談」を分析して、他のメンバーが参考にすることで営業効率を高めています。
通話は「Amazon Connect」で行っていて、AWSに蓄積された「通話のログ」をWhisperで書き起こして、ChatGPTのAPIで要約しています。
商談の分析からわかった発見があれば教えてください。
高橋:
商談サマリーから「成績上位メンバーの共通点」としてわかったのは、比較されたときに納得感のある「打ち返しトーク」が出来ていることでした。
例えば、お客様に「ローンと比較して高くない?」と言われたら、「サブスクだとこんなサポートメリットもありますよ。」とお伝えする感じです。
トッププレイヤーの「トーク内容」は様々でしたが、懸念や競合との比較に対しては、きちんと「納得感のあるトーク」が出来ていたんですね。
この分析を「全ての商談の音声」を聞いて行うのは大変です。AIによる商談サマリーを使えば、分析のプロセスもかなり時短できます。
この方法だと、複数の商談の流れを「線」で捉えやすいため、単体の商談を聞いただけではわからないことも分析しやすくなります。
その他の成功事例①:「社内AIチャットボット」
その他の成功事例②:「AIに質問しながらメール送信を自動化」
その他の成功事例③:「実践してわかったこと」
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【取材協力】
ナイル株式会社:https://nyle.co.jp/
定額カルモくん:https://carmo-kun.jp/
ナイル株式会社 高橋飛翔さん、中村紘子さん、石原翔太郎さん、大浜毅美さん、工藤択斗さん、伊藤真ニさん、広報の松中朱李さん
※ 続きの話は、noteマガジン購読者向けに「+αのトピックス」を4つほどまとめています。コストを大きく削減できたAIツール、広報の調査業務にAI活用してメディア露出が10倍に、研修にAIを活用した方法など、ご興味あればご覧ください。↓
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