「もうすぐ、売上の50%が海外になる」世界1,600万ダウンロードのキモカワにゃんこアプリ「にゃんこ大戦争」ゆるゆる運営で韓国と欧米にも進撃中。

2015年01月13日 |
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1,000万ダウンロード突破のゲームアプリ「にゃんこ大戦争」のポノスさんにお話を伺いました。ゆるキモのキャラはどのように生まれたのか、海外ユーザーがどのくらいまで伸びているのか?

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※ポノス株式会社 マネージャー 野澤勇太さん(左)、取締役 永谷朋行さん(右)、女性スタッフさん(真ん中)

にゃんこ大戦争について

ポノスについて教えてください。

永谷:
ポノスは社員41人(約1/3が海外出身)の京都のゲーム会社です。元々ガラケーのゲームをつくっていましたが、今はスマホのゲームアプリが収益的にもメインです。

ただ、ガラケー時代の「月額300円」のようなサービスも、未だにバカにならないくらい収益をあげていたりもしますね。

代表作の「にゃんこ大戦争」のダウンロード数はどのくらいですか?

永谷:
国内版は1,100〜1,200万ダウンロードです。最近は月10〜20万ダウンロード増というペースでだいぶ落ち着いてきてはいます。OS比率でいうと、iOSとAndroidでキレイに半々くらいですね。

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どのくらいの人数で運営されているんでしょうか?

永谷:
開発・運営サポート含めて、10人ほどで運営しています。というのも実は「にゃんこ大戦争」って問い合わせがほとんどないんですよ。

どちらかというと、お子さんからお手紙をたくさんいただくので、そこに対してグッズやイラストを送ったりということに、時間を割いていたりします。

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たしかに「にゃんこ大戦争」って他のソシャゲと違って、女性含めたライトユーザーに遊ばれている印象があります。

永谷:
ユーザー層でいうと「女性」「若年層」「お子さま」のファンは多いと感じます。なので、夏休み中はやっぱりMAUも増えますしね。

あと、イベントでブースを出すと、親子連れの方がすごく多い。お母さん方から「小学生の子どもがやってます」「子どもが遊んでるのをみてはじめました」とよく言われます。

グッズも出しているんでしたっけ?

永谷:
本を出版したり、文房具、ぬいぐるみ、一番くじ、ガシャポンなどのグッズは、外部の会社さんと提携してだしています。

ただ、これはビジネスではなくて、完全にPRの一環ですね。「たくさんの人の目に触れれば良いな」という意図で取り組んでいます。

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※にゃんこ大戦争グッズページより。

実は「ただのラクガキ」からはじまった企画。

「にゃんこ大戦争」はどのように生まれたのでしょうか?

永谷:
元々「にゃんこ大戦争」は、2010年にだしたガラケーのゲームだったんですよ。 それをスマホに移植したら、おかげさまで大ヒットという結果になりました。

ゲームの企画ってどんなふうに生まれたんでしょうか?

永谷:
ポノスのCEOがプロデューサーとしてつくったゲームなのですが、かなりラフにはじまった企画ですね。

ネコのキャラも元々はただのラクガキだったんです、それで「このネコで、ゲームつくってみよっか」という感じではじまりました。

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※みなさんご存知の通りキャラがめちゃくちゃゆるいタワーディフェンスゲーム。画像はAppBankより

ポノスさんって、そういうゆるい感じでゲームをつくることが多いんでしょうか?

野澤:
そうですね。ラフ絵を見せながら「思い描いているゲーム」をみんなに説明して、「やってみようか」という流れが多いです。いわゆる「企画書」もないですね。

永谷:
ポノスは「戦略的にこういう狙いがあって、ゲームをつくる」というよりも「作り手が楽しいと思えるゲームをつくろう」という文化が強い会社です。

ソーシャルゲーム会社のような「ARPUはどうだ」とか「KPIを達成しろ」というような会話も、実はほとんどしないんですよね。(※ARPU=1ユーザーあたりの課金額)

そういえば「にゃんこ大戦争」って非課金で遊べますよね、課金ゆるくないですか?

永谷:
めちゃくちゃゆるいです。年齢を見ていくと30代男性が圧倒的に課金してくれてはいますが、やっぱり若いユーザーが多いアプリなので。

経営陣としては「なんとかしたい・・・!」と思う瞬間もありますよ。でも、ポノスの作り手たちにも「課金しなきゃ遊べないゲームは悪だ」みたいなところがあって。笑

そこは無理には変えずに、ゆるく運営している感じですね。

野澤:
ガチャが入ったのも、サービス開始から1年ぐらい経ってからなんですよ。そういうゆるい運営だから、ここまで息が長く続いているのかなとも思いますね。

600万ダウンロードまではクチコミ、1,000万ダウンロードまではテレビCM。

ダウンロードが大きく伸びたタイミングはありましたか?

野澤:
2回ありました。ひとつめが2013年の8月に2.0にバージョンアップ※したタイミング。(※アップデートでステージやキャラを追加)

そしてもうひとつが、テレビCMです。2014年の春に(当時600万DLほど)テレビCMを実施したのですが、その効果もあって昨年度はユーザーが1,100〜1,200万ダウンロード(ほぼ倍増)まで伸びました。

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※小林幸子さんを起用したテレビCM。(Youtubeでも見られます)

テレビCMを成功させる、費用対効果を合わせていくには、何が重要だと感じましたか?

永谷:
タイミングが大事ですね。100〜200万ダウンロードの「知ってる人は知ってる」というタイミングでテレビCMをうつのは、すごく効果的だと思うんです。

「にゃんこ」の場合、600万ダウンロードのときに実施したので、タイミングはベストじゃなかった。ただ「休眠ユーザーが復活する」という効果はかなりあったと感じます。

600万ダウンロードまでは、どのようにユーザーが伸びていたのでしょうか?

永谷:
ほぼ口コミですね、600万ダウンロードまではプロモーションはしていないんです。

アンケートを実施してわかったのは「40〜60代の認知度は低い」と「学校のクラスで流行っている」ということでした。中・高・大学生の認知度はかなり高いですね。

なので、高校生から「文化祭の看板にキャラを使わせてくれませんか?」という連絡もありますよ。そういう時は、Photoshopのデータを送ってあげたりしています。笑

約2年運営してきて、こだわってきたところはどこでしょうか?

永谷:
「バランス調整」ですかね。実はプロデューサーが、彼のセンス1つでやっているのですが。

新しいキャラやステージを追加するときは、作家みたいに閉じこもって「ああでもない、こうでもない」って、一晩中ゲームを一人でやり続けていますね。

そういう職人技で成り立っているところは「うまく引き継げていけるのか?」と心配になることもありますけどね。

「にゃんこ大戦争」のMAUって、どのぐらいか教えていただけるものですか?

永谷:
正確に出てこないですが、MAUは300万(総ダウンロード数の30~40%)くらいです、数百万前半ですね。

「にゃんこ」ってDAUはめちゃくちゃ低いのですけど、MAUは高くて「アプリは消さずに、たまーに遊んでくれる」というゲームになっています。理由はわからないのですが、長く遊んでくれる人が多いのは、ありがたいことです。

(※MAU=マンスリー・アクティブ・ユーザー、DAU=デイリー・アクティブ・ユーザー)

「ケリ姫コラボ」のような、他ゲームとのコラボをよくやっていますが、これはどんな経緯で話が進むんでしょうか?

永谷:
ゲームのプロデューサー同士が飲みに行って「やることになりました」みたいな感じのノリが多いですかね。

コラボについては非常にうまくいっていますね。「ゲーム同士のカルチャーが合っているか?」は見極める必要がありますが、ユーザーも課金も増えますし、コラボはいいこと尽くしっていう感じです。

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※2014年4月に実施されたガンホーの「ケリ姫スイーツ」とのコラボ。(画像はコラボページより)

海外版について。

「にゃんこ大戦争」の海外版についてはどうでしょう?特に欧米で受け入れられているかが気になります。

永谷:
海外版はリリースから2ヶ月ほどですが、韓国版は300万ダウンロードを超えていて順調ですね。それで、実は欧米版も順調でもうすぐ200万ダウンロードに到達します。

収益もおかげさまで「もうすぐ、売上の半分が海外」というところまできていて、既に事業としても「出してよかったな」という感じになっていますね。

まだ中華圏はだしていないんですけど、そこのスタートが切れれば、たぶん国内と海外の売上比率が逆転すると思います。

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日本と海外のユーザーで「文化の違い」を感じることってありますか?

永谷:
日本に比べると海外ユーザーは課金しないですね、海外は「徹底的に無料で遊ぶ人」が多い。なので、とくに欧米版は「広告収入で成り立っている」というイメージです。

そのかわり、海外ユーザーは広告をぜんぜん気にしない。日本だとアプリに広告をだしすぎると、不評になることが多いじゃないですか、そこが大きな違いかな。

たぶん日本人の「テレビを見ている感覚」に近いのかもしれない。テレビにCMがいっぱい流れていても、日本人は慣れちゃっているので、特に不満を感じないじゃないですか。

なるほど、「広告に対しての感覚」がかなり違うんですね。

永谷:
そうですね、あと欧米版をだしたときに「このゲームは何のために提供してるんですか?」という問い合わせが多かったんです。

これってどういうことかというと、「あまりにアプリ内に広告が少なかったので、気持ち悪がられた」っていう話なんですよ。実際「薄気味悪い」みたいなレビューもあった。笑

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※あくまで一例をもとにしたイメージ図。

え、そこまで言われるんですね・・・!

永谷:
そうなんです。それで「そこまで言うなら・・」と広告を増やしてみたら「ああ、これは広告で儲けてるアプリらしい、安全だ」みたいになって落ち着きました。笑

実際、広告を増やしてもマイナスの影響はまったくでなくて、見事に収益性だけが改善されるという結果になりました。

我々からすると、広告を普通に入れたつもりだったんですけど、それくらい広告の認識に差があったということですね。

海外版は何か変えているところはあるのでしょうか?

永谷:
まったく変えてないですよ、キャラもそのままですし。

ただ、テキストのローカライズはこだわっていますね。例えば、関西っぽいギャグを「現地ではどう表現すべきか?」ということを、ネイティブのスタッフとトコトン議論しています。

キャラクターもそのままで、欧米もいけたんですね。

永谷:
大丈夫ではあったのですが、「人口の多さに助けられている」といったほうが正確かもしれませんね。

海外ユーザーは母数が多いので「にゃんこ大戦争のテイストが好きな人」が一定の割合いたことで、なんとかなっているという感じです。

海外でダウンロード伸びるときって、どういうタイミングがありますか?

野澤:
AppStoreやGooglePlayでの、フィーチャーが一番大きいですね。「にゃんこ」はAPRUが低いので、大きなプロモーションは行っていないです。

永谷:
あとは、海外アプリとのクロスプロモーション(バナーなどで相互に送客する)で、地道にユーザーを伸ばしています。

「日本のユーザーがほしいアプリ」ってすごく多いので提携先も見つけやすいですし、クロスプロモーションはひとつの集客戦略になっています。

よくゲーム業界では「1人のユーザーが遊ぶアプリはせいぜい3〜5本、その中に入らないとやっていけない」という話が出るのですが、

「にゃんこ」ってもともと月1回ぐらいしか遊んでない人が多いので、別のゲームにユーザーを流しても、ビジネス的には影響がないんですよね。

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「にゃんこ」が海外で受け入れられるかって、けっこう未知数だったと思いますが、海外にリリースする前に準備していたことはありますか?

永谷:
現地の調査は綿密にやりましたね。現地のゲーム会社さんや、gumiさんなど海外展開している日本の会社にも話を聞きにいったりして。

やっぱり未知数の部分も大きかったので、「もしうまくいかなかったらどうするか」というセカンドプランは、予めいくつか用意していました。

ほかに事前に調べたことはありますか?

永谷:
あと日本のメーカーが海外進出するときに何をやったかを研究しましたね。例えば「ソニーさんがインドに行ったときに何をしたか?」というようなことです。

というのも、ポノスって自分たちのことを「製造業」だと思ってるんですね。提供してるものが車じゃなくてたまたまゲームなんだと。メーカーの研究は、いろいろヒントも見つかったりして勉強になりましたね。

他に、海外でのアプリ運営で大事にしていることはありますか?

永谷:
2つあります、まず「カスタマーサポート」です。これは「問い合わせの早さ」ではなくて「総合的に満足できるかどうか」を大事にしています。

僕らが海外の製品を買うときも「ユーザーサポートちゃんと対応してくれるかな?」って気にするじゃないですか、そこは絶対不満が出ないようにしようと。

海外であっても「データは復旧できません」「返金できません」という、マニュアル通りの対応しかできないサポートはやっぱりよくないと考えています。

なるほど、もうひとつは何でしょう?

永谷:
もうひとつが「コミュニティをつくる」ということです。たとえば、日本でいうFacebookやTwitterのように、各国で流行ってるSNSや掲示板は違いますよね。

そういう「各国の人が当たり前につかっている場」には「にゃんこ大戦争」のアカウントをつくる。そして、ネイティブのスタッフが情報発信などをするようにしています。

韓国だとそうした「コミュニティ」は、どこが主流なんでしょうか?

永谷:
韓国は、まずカカオトークですね。あとは「hungryapp」「NaverCafe」などの掲示板(日本でいう2ちゃんねる的なサイト)は、PCでよく見られています。

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ポノスさんのように「これから、ゲームアプリで頑張りたい」という会社さんがいたら、どのようにアドバイスをしますか?

永谷:
まず「アプリ市場は、相当なレッド・オーシャン」ということを伝えたいですね。

そして「いいものをつくれば流行る」という時代は終わったし、逆に「マーケティングを上手にやれば、なんでも売れる」という時代でもない、両方のバランスが必要だということも。

あと、これは我々の話でもあるのですが、アプリって「資金力の勝負」になってきていますよね。でも「その流れにのるのは、やめよう」とよく話しています。

「世の中がこう、流行りがこう」みたいゲームをつくるんじゃなくて、自分たちのできる範囲で、最大限におもしろいものをつくるのが大事。まあ「無理しない」ということですね。

僕らも今、新作をつくっていますが、そりゃあオープニングアニメがあって、声優がたくさん出てきて、ガチャもガンガン回されるのが、理想なわけですよ。

けれど「そうじゃないゲーム」があっていいし、「そうじゃないゲームが好きな人たち」も絶対いるんです。

だから「我々のようなゲームを好きでいてくれる人たち」に、きちんと届けられるようにしようと、いつも考えていますね。

最後に告知などがあればお願いします。

永谷:
現在ポノスでは、エンジニアはじめ人材を募集しています。スマホゲームの会社って渋谷や六本木に集まっていますけど「京都でゆったり過ごせる」というのは、ポノスの特徴かもしれませんね、朝の電車も楽ですし。

野澤:
家賃も安いですしね、京都駅から3駅ぐらい離れれば、3DKで7万円ぐらいで住めます。もし興味がある方がいらっしゃれば、ぜひご検討ください。

ポノス採用ページ:
http://www.ponos.co.jp/pc/recruit/

取材協力:ポノス株式会社

編集後記

欧米や韓国でも好調というのは知りませんでした。ゆるキャラ、ゆる課金、ゆる運営(子どもに手紙をわざわざかいたり)で収益的にもロングヒットしているというのも、ソシャゲっぽくなくておもしろいですね。

最後に、ポノスさんのオフィスの写真のせて終わります。(iPhoneでふつうに撮った写真)

社内の様子
ponos_bar1

360度ガラス張りのスケルトン会議室。
ponos_kaigiroom

社内にバーがある。
ponos_office

まとめ。
nyanko_matome

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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