昨年11月に開催されたメタップスさん主催「Web × アプリ企業に聞く成功秘訣、顧客資産化の方法」より、nanapiさんの「WEBとアプリの違いについて」の講演をダイジェストでお届けします。
講演者:
株式会社nanapi 原田 和英さん
nanapiの集客について
nanapiのメディアのPV
「nanapi」のメディアは、WEB(nanapi)とアプリ(アンサーなど)で、それぞれ5,000万PV。
nanapiの人気記事。
nanapi で人気のある(PVの多い)記事は、Facebookの退会記事(累計1,000万PV)、料理レシピ、恋愛系の記事など。
nanapiへのアクセス流入元
nanapi(WEB)へのアクセスは6割が検索経由からきている。残り4割がソーシャル、アライアンス先のサイトなど。
なお、ユーザーの離脱率が高いコンテンツは「ユーザーに満足いただけていないコンテンツ」と判断して、記事を書き直すこともある。
nanapiのツイッター運用(フォロワー数、約24,000)
記事をツイッターに投稿する以外にも、「140文字」でハウツーを紹介したり、画像一枚でわかるカード型のコンテンツをつくっている。「プリンでつくるフレンチトースト」(イラスト画像)は数千リツイートされた。
nanapiのFacebook運用(いいね数、約94,000)
Facebookでは写真がとても重要、キレイな写真がたくさんLike(いいね)される。Twitterはバシバシ投稿してもいいが、Facebookはアルゴリズム的に数を絞って「質」を重視したほうが良い。
記事のサムネイル画像
nanapiの記事のサムネイル画像(サイト内のサムネイル画像)のクリック率(CTR)も地道に検証している。
意外にも、全体的に「地味な写真」のほうがクリックされやすい。パンケーキの画像は「キレイな写真(右)」よりも、「地味な写真(左)」の方がクリック率が高かった。
オムライスも、「地味な写真(左)」のほうがCTRが高かった。
「ラーメン次郎」のラーメンは「テキストなし写真(右)」のほうが、クリック率が1.3倍くらい高かった。
アンサーの集客について
「アンサー」について。
「アンサー」とは即レスが返ってくるコミュニケーションアプリ。
「(マシュマロの画像を投稿して)このマシュマロかわいい」「(お腹の写真をみせて)この腹筋どうですか」「歌を録音した音声をアップ」など非言語のコミュニケーションも活発。
アンサーの集客経路の比率
アンサーは6割が広告経由でのユーザー獲得。その他については、ソーシャルメディア、バイラル、ASOなど。
アンサーの広告出稿
アプリの広告を出稿するときには、リサーチが目的の場合もある。例えば「どの記事がうけるか?」「どんなユーザー層が多いのか?」「どの国でうけそうか?」などを調べる。
「Hello」という恋愛系アプリでは「20代向けがいいのか、既婚者向けがいいのか、恋人がいる人向けがいいのか」などを調べるために広告をうった。
nanapiで「座禅」の記事をだしたときは、期間限定でFacebook広告に出稿した。(「座禅」に興味がある人にターゲティングすれば、すごく刺さる記事だから)
Twitter広告にも出稿。
アンサーではTwitter広告も利用している。以下のような「キーワード」をつぶやいている人にアンサーのアプリの広告をだしている。中高生がつかうようなワードを選定している。
YouTuber広告は効果良。
「アンサー」で有名YouTuber「はじめしゃちょー」さんに動画でアンサーを紹介してもらったところ、34,000ダウンロードにつながった。
仮にCPI100円で計算すると340万円の広告効果。結果としても、とても満足している。
※現在、動画は72万回以上の再生がある。
アンサーのASO対策
App StoreやGoogle検索のキーワード対策。キーワードの選定については「プロダクトの親和性×ユーザーニーズ」がマッチしてないと意味がない。
検証をした結果、「アプリと関係の薄いキーワード」で対策しても、ランキングも上がらないし、ユーザーにも長くつかってもらえないことがわかった。アンサーの場合は以下のようなキーワードでASO対策している。
アンサーのソーシャルマーケティング
ニコニコ動画の有名人な歌い手「ぽこた」さんに、アンサー上の公開質問会に出演してもらった。
それにあわせて「ツイートしてくれたら、直筆サインチェキプレゼント」というキャンペーンを行ったところ400リツイート拡散され、効果もあった。
アンサーはどのようにシェアされるか。
「アンサー」ではTwitterやFacebookでのシェア以外にも、実は「LINEでのシェア」がかなり多い。
アンサーの分析1:ユーザーの生存率
「アンサー」では「自分でたてたスレにしか投稿しないユーザー」よりも「他ユーザーのスレにコメントしたユーザー」のほうが生存率が高い。そのため、KPIの中にもこの数値を組み込んでいる。
アンサーの分析2:ユーザーが退入会を繰り返す。
アンサーのユーザーはアプリの「退会」と「入会」を繰り返している(アプリを消したり、ダウンロードしたりを繰り返す)。そのため、ユーザーIDを見て分析をしてしまうと、正しいデータが取れない。
WEBとアプリの「ユーザー行動の違い」を検証。
「子育て大丈夫ねっと」のWEBとアプリの違い。
「子育て大丈夫ねっと」は、子育てに特化したハウツーサービス。アプリのほうが回遊率が2.8倍も高く、滞在時間も2倍以上高い。UUはアプリよりWEBが30倍以上多い。
「IGNITION」のWEBとアプリの違い。
IGNITIONではWEBよりアプリのほうが平均セッション率(起動率)が1.5倍高い。
そして、ユーザー獲得単価はアプリのほうが11.7倍も高い。つまり、WEBは「一元さん」が多く、アプリは「ファン」が多い。※「IGNITION」のアプリは、フルネイティブではなく、WEBビューアプリ。
サマリー(まとめ)
・WEBとアプリは対立する概念ではない。補完することも多い。
例:外部露出を増やすためのweb、ユーザーをプールするためのアプリ。
・サービスの性質によってWebとアプリを使い分ける必要がある。
例:ハウツーのプルはWeb、プッシュはアプリ。
・「Webとアプリの違い」は認識しておく必要がある(集客方法、解析、開発体制)
例:アプリの集客はSEOだと限界がある。
取材協力:株式会社nanapi、株式会社メタップス
編集後記
オムレツとパンケーキ画像のクリック率の話がおもしろかった。あと「FacebookやTwitter広告をアプリのリサーチに使う」というのも、なるほど。特に海外ユーザーのリアクションを見たいときに良さそう。