行動を喚起する「エンプティ画面」で連携率が1.4倍に大きく改善。1,470万人がつかう「マネーフォワード ME」が語るUI改善事例

2023年12月25日 |
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※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2023年9月28日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/nacee676dd845

家計簿アプリの「マネーフォワード ME」さんを取材しました。

株式会社マネーフォワード HOMEカンパニー HOME本部 プロダクトマネージャー 植竹 広佑さん

「マネーフォワード ME」について教えてください。

植竹:
「お金の見える化サービス」です。銀行や証券会社の口座・クレジットカード・ポイントを自動でまとめて、家計簿や資産の一覧を作成できます。

2012年にサービスを開始してから、アプリ+WEBの利用者数は1,470万人、サブスクのユーザー数は49万人に到達しています。

キャッシュレスの普及や、コロナ禍のお金に対する意識の高まりなどは、 サービスの成長と連動していて、そこに成長機会がありました。

ユーザーは、クチコミなど自然流入や、ストアで「家計簿」と検索する人、プロモーション(例:資産管理に興味がある人の媒体)などで増えています。

家計簿アプリのユーザーが「時間ができる時期」に大きく増えやすい理由。

植竹:
ユーザー数が増える時期でいうと「年末年始」は家計簿アプリは利用が増えやすいです。利用率やプレミアムの登録数で見てもそうですね。

要因としては2つあって。ひとつは新年の初まりなので「今年こそはちゃんとつけるぞ!」という感じで、意識を心機一転させる効果があること。

もうひとつは、年末年始は時間にも余裕ができる方も多いので、そのときに「家計を見直そう。環境を整えよう」という心理になりやすいのかなと。

似たような感じで、「台風が来ているとき」「連休中」「コロナ禍で在宅時間が増えるとき」って、家計簿に対する意識が強まりやすいんです。

つまり、この「時間が増える」というのは、家計簿アプリへの利用意識が上向くときの、大きなファクターになっているんですよね。

なぜそうなるのかというと、家計簿や家計管理って、社内でもダイエットに例えたりするのですけど、ダイエットに比べると準備が必要なんです。

ダイエットって「今日から運動しよう。食事を減らそう」と比較的すぐにスタートしやすいですが、家計管理はそうではないんですよね。

例えば、家計簿を用意しないといけない、アプリを入れて銀行口座の連携が必要など、最初の実行ハードルは高めなのかなと思います。

アプリの指標が改善した「2つの成功施策」

成功施策①:「エンプティステートで行動を喚起」

植竹:
明細情報の画面で、連携されていないときに「連携してください」と空の画面をただ表示するよりも、利用率の高いサービスへの導線をつくると、連携率が1.4倍くらいに改善しました。

具体的には、「よく使うサービスと連携してみよう」という感じで、連携数の多い銀行やカードを4つほど訴求しています。

そうすることで「このカード持ってる」と連携がイメージしやすくなって、連携率にも大きな影響を与えたのかなと。

マネーフォワード MEでは、家計や資産の「見える化」をしていくことが最もコアな価値なので、いかに連携していただくかはとても重要です。

最も重視している指標も「連携率」です。最初の1週間ほどで使い方も決まりやすいため、初期の連携率は満足度にも影響すると考えています。

成功施策②:「連携時に理解を得られる画面に」

植竹:
とある交通系ICカードと連携するときに、連携先の都合で「エラーが起こる条件」など画面で説明したところ、認証成功率が約1.45倍に上がりました。

具体的には、連携先の仕様として、「1日1回しか更新できない」という制約があったのですが、それを当初は画面で伝えていませんでした。

すると、ユーザー様が何回も更新すると「お待ちください」と出てしまい、「このサービス大丈夫?」と不安になる方が増えてしまいました。

ひとつに疑問がつくと、「いつも接続できない」「このサービス大丈夫か」という感じで、ネガティブな印象を持たれやすくなります。

それを変更後は、「こういう事情で、1日に1回の更新なんですよ。それ以上はごめんなさい。」という感じでお伝えするようにしました。

連携先サービスの事情であったとしても、自社サービス内でしっかり理解が得られる状態をつくることも、とても大事だなと学びました。

プロダクトの運営において「特徴的な取り組み」があればぜひ教えてください。

植竹:
ユーザー様をオフィスにお招きして交流する、「SHIP」というコミュニティイベントを定期開催していて、そこから運営のヒントなどを得ています。

オフィスに足を運んでくださる方々なので、「マネーフォワード MEを一緒に良くしていきたい」という熱量の高い方もとても多いですね。

中には「どうしてもこの要望を伝えたかったんです」と、エクセルに印刷した要望リストを持参してくれる方もいらっしゃいます。

軽食を食べながら2時間ほどユーザーと交流、最近は毎月開催している(写真は公式レポートより)

ユーザー様同士でも交流していただくため、例えば「土地を買うべきか?」といった、ユーザーインタビューでは中々聞けないようなリアルな悩みを、間近で聞けるというのもメリットです。

お金の話はセンシティブで聞きにくい部分もありますが、ユーザー様同士で話していただくと、リアルな会話が引き出されますね。

直接会ってお話しすることで、ユーザー様と社員の関係性も生まれやすく、その後も取材に協力してもらったり、意見を聞きやすくなったりします。

他に「リサーチの工夫」があれば教えてください。

植竹:
クイックにすぐ聞けるのと、社員だと本音も聞きやすいため、仮説づくりや仮説検証のときに「社員の意見」を活用したりもしますね。

具体的には、「こういう課題を感じている人がいたら教えてください」と、Slackに投稿して社員にインタビューをさせてもらうとか。

例えば、他社の家計簿アプリを利用している社員に、正直にその理由や背景を教えてもらったりすると、良いヒントが得られたりもします。

【取材協力】
株式会社マネーフォワード:https://corp.moneyforward.com/ 
マネーフォワード ME  :https://moneyforward.com/

【告知】マネーフォワードさんでは各職種で採用中。とくにエンジニアやコミュニケーションデザイナーなどを募集しているとのこと。ご興味があれば下記サイトからご覧ください。

https://hrmos.co/pages/moneyforward/jobs

※続きのマニアックな事例は3つほど、note購読者向けにまとめています。自社サービスへの「送客率」を高めた工夫、オンボーディングのセグメント施策で連携率が変化した話、などご興味あればご覧ください。

https://markelabo.com/n/nebef37898e99

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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