購入の8〜9割がスマホ経由、月150万円売る作家も登場。ハンドメイドマーケット「minne」アプリ運営で大事な問いは「真の目的はなんですか?」

2015年12月22日 |
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ハンドメイド作品(手作り作品)が買えるアプリ「minne」さんにお話を伺いました。トップクラスの出品者(作家)は、どのくらい稼いでいるの?

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※GMOペパボ株式会社 山本稔也さん(左)、阿部雅幸さん(中)、杉山寛さん(右)

「minne」について

「minne」について教えてください。

杉山:
ハンドメイドマーケットのサービスです。アプリのダウンロード数でいうと、415万ダウンロード(iOS 60%:Android 40%くらい)という状況です。

今のところユーザーの9割が女性で、20〜30代の女性が多いですね。

minne上で取引されている金額でいうと、月間で5.5億円の流通(2015年11月実績)、購入単価でいうと2,000円~5,000円くらいの価格帯が多い、という感じでしょうか。

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「minne」はWEB版もあると思いますが、「購入におけるPCとスマホの割合」だとどのくらいでしょうか?

杉山:
もうほとんどが、PCではなくスマホですね。スマホ(アプリ+WEB)という意味では、購入の8〜9割がスマホ経由です。とくにアプリの比率が、どんどん高まっています。

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そもそもどうして「minne」が生まれたんですか?

阿部:
元々「minne」は社内公募から生まれたサービスなんです。なぜハンドメイドマーケットのサービスを企画したかというと、ぼくが個人的に神社などで行われている「手づくり市」が好きだったからですね。

「手づくり市」ってすごくおもしろいんですよ。「お店では売ってないモノ」を見つけるおもしろさだったり、「作家さんの創造性」をモノを通じて、体感できる楽しさがあって。

そこから「手づくり作品を、もっと広げられたら良いな」と、はじまったのが「minne」でした。

実際「ハンドメイド作品」で気に入っているのは、どんなものですか?

阿部:
たとえば僕は、「minne」で買った「チョコレートのパスケース」が気に入っています。チョコレートってかわいいイメージですけど、これは男性がつかえるくらい、かっこよく出来ている。

こういうステキな「作品」を見ていると、ワクワクしてきませんか。そこから「作家さん」のファンにもなっていくんですよ。それが「minne」のおもしろさでもあるんです。

ユーザーさんの中には、これを「沼」と表現する(いろんな作品を延々と見てしまう)人もいます。「minne沼から抜け出せなくなった」なんて言ってくださっていて、光栄ですね。笑

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※チョコレートのパスケース(minneより)

作家さんについて

登録されている「作家さん」と「作品数」はどのくらいですか?

阿部:
「minne」に登録いただいている作家さんが17万人、作品数としては201万点が登録されています。作家さんの中には「モノを売るのが初めて」といった、普通の主婦の方も多いです。

一番売っている作家さんだと、どのくらいの売上がありますか?

阿部:
トップクラスですと、月150万円くらい売上がある方もいますね。「minne」で作品を売ることで、生計を立てている方もいらっしゃいます。

中には、まったく無名のところから、三越さんや伊勢丹さんから声がかかって、いまや人気作家という方も何名も出てきています。

「minne」では毎月のように、全国各地で物販イベントもやっているのですが、人気作家さんの売り場には、スタートと同時にファンが走ってきて、行列ができることもあるくらいです。

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作家さんをからめての、独自の取り組みは何かやっていますか?

阿部:
ちょうどいま「波佐見焼(はさみやき)」という長崎の伝統的な陶磁器とコラボして、minneの作家さんから募集したデザインの陶磁器を商品化する、という取り組みをしています。

これから実際に、全国の雑貨屋さんに並ぶんですけど、この企画のおもしろいところは売上の3%が、作家さんにバックされるシステムになっていることです。

作家さんが「ゼロから量産品の陶磁器をつくる」となると、製造や在庫の問題もありますけど、これはデザインするだけで商品がつくれて、ご自身の売上にもつながる仕組みになっています。

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※「波佐見焼(はさみやき)」とのコラボページ

アプリのUI/UXについて

アプリの運営において、大事だと感じることはなんでしょうか?

山本:
大事なのは「ユーザーの理解」だと思います。

たとえば新機能って「思い込み」でつくりがちじゃないですか。自分たちが「これは喜ばれるだろう」と思い込んで作ったものって、だいたいウケないんですよ。

だから「それって本当にユーザーが必要としているんだろうか」と考えることが大事で。

なるほど。

山本:
アプリのUI/UXについては、THE GUILDの深津(貴之)さんに入っていただいているのですが、考えるプロセスが身について、だいぶプロダクトの質が変わりました。

僕らもよく陥るんです。深津さんからも「真の目的はなんですか?」とよく言われます。その「真の目的がなんなのか」をちゃんと考えないといけない。

例えば以前、「カテゴリを増やしたい」と考えていたことがあって。これも「真の目的」がなんなのか、わからないまま進めてしまうと、ユーザーに必要のない機能になりがちです。

そのときの「真の目的」がなんだったかというと、「ユーザーに素敵な作品を見つけて欲しい」だったんですよね。最近は「真の目的に沿ってアプローチしていく」というのを常に意識できるようになりました。

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「アプリのタブの順番」とかにも意味があるんでしょうか。

山本:
そうですね。「アプリのタブ」については、人間は左から視線を動かすので、左から順番に「ユーザーのアプリ内での行動」にあわせて、タブを置くようにしています。

まずはじめに、ピックアップを受け身で見る。そして欲しいものがなかったら「自分から作品を探しにいく」(検索して、カテゴリから下る)、

それでも見つからなければ、過去に「お気に入り」に入れた作品だったり、その作家さんのページから探す、と回遊していく流れがあります。

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プロモーションについて

「minne」のプロモーションについて教えて下さい。

杉山:
WEB広告に関しては様々な媒体を使っています。「テレビCM」をオンエアしている時期は、テレビCMとWEB広告を併せてプランニングすることで、効果を最大化できると考えています。

まずCMで「こういうアプリがあるのか」と認知した人が、スマホ広告を目にしてインストールする、という流れです。

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※会員登録もシンプル。当初は「メアドに仮登録を送って〜」というフローだったが、テレビCM出稿にあたり、取りこぼしが最低限になるよう改善した。

「動画広告」はどうでしょうか?

杉山:
YouTubeの動画広告については、インストール単価(CPI)で見ると、良くなかったのですが、獲得ユーザーの定着率はとても良いですね。やはり「動画の訴求力」は強力です。

動画広告は媒体に合わせた「最適化」が必要だと感じます。例えば、YouTubeでは「5秒でスキップ」されてしまうので、最初の5秒でコアユーザー層を惹きつける要素を入れたり。

今後の展開などについて

「今後、解決していかなくては」と考えている課題はありますか?

杉山:
作家さんが「創作活動」に集中できるようにしたいですね。商品が売れるほど「配送作業」などが増えて、作家さんがものづくり自体に集中できなくなってしまっては、本末転倒なので。

阿部:
作家さんとしても、楽しくてはじめたのに、いつのまにか「もっとたくさんつくらなきゃ」が目的になっちゃうと幸せじゃないですよね。

山本:
僕、実際に作品をつくって「minne」で出品してみたんですよ。いやあ、大変でしたね。ものづくりもそうですけど、写真をキレイに撮ったり、キャッチコピー書いたり、配送の設定もしないといけない。

阿部:
あと、難しいなと思うのが「価格設定」ですかね。自分の作品に「値付け」するって難しくて。とくに日本人は遠慮してしまいがちだから。そういうところもフォローできたら良いですね。

これからよりサービスを伸ばすためには、何が必要だと感じますか?

山本:
まずユーザー側としては、「男性にも使ってもらうこと」ですかね。ハンドメイドって「アクセサリー」や「手芸」といった女性向けのイメージが強いので、その先入観をくつがえさないといけない。

そして、「アプリがつかえない作家」にも使ってもらうこと。

この前、ハンドメイドのイベントに、大きなリュックをしょった、おばあちゃんがいらっしゃって。なんだろうと思ったら「アプリの登録方法が、わからないから教えてくれ!」と。

結局、その場で「アプリの使い方」をレクチャーしました。そのおばあちゃん、熱いですよね。そういう「ものづくりに熱心だけど、アプリがつかえない人」が、たくさんいるはずです。

そうした方々にも、つかってもらえると、もっとおもしろくなるのではと考えています。

最後にメッセージなどあればお願いします。

阿部:
minneではスタッフを大募集中(採用ページ)です。「今期の利益をゼロにしてでもやるぞ」という気概でやっているので、おもしろい経験ができると思います。興味があればぜひご覧ください。

minne(iOS/Android
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取材協力:GMOペパボ株式会社

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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