本日は3つのマンガ系アプリのビジネスモデルについて書きたいと思います。
LINEマンガ、マンガボックス、comico・・・
マンガ系アプリが最近けっこうたくさんでています。
広告にお金つかっているっていうのも大きいと思いますが、ランキングでも上位にランキング入りしているものも多い。使ってみて分かったのですがそれぞれビジネスモデルが違うのが印象的です。
以下簡単に各アプリについてまとめてみました。
LINEマンガ(コマースモデル)
名前の通りLINEが出しているアプリ。
開発はディレクター1人と開発5人の6人ほどらしい。(参考)
ビジネスモデルとしてはストレートに電子書籍を販売するモデルで、
マンガ専門の電子書籍ショップという感じ。
アプリ内でコイン(仮想通貨)を購入して漫画を買います。
1コイン=1円で大体367円、420円の値段が多いので、値付けも通常の電子書籍価格でしょう。
ランキングもあるので「おもしろいマンガないかな〜」って探している人に便利。
ランキングはカテゴリ別でも見れるのも良いですね、
好きなジャンルが決まっている人は多いと思うので衝動買いする人も増えそうです。
立ち読み機能
「立ち読み機能」がついている漫画も多い。
あらすじ部分と最初の数ページが無料で読める機能。
これはたぶん、電子書籍の弱点をカバーするためのもの。
最初の数ページしか読めないというところからも、
「途中の巻から買いたいけど、中身が見えなくてわからないから買わない」
という機会損失をなくすための機能。
例えばドラゴンボールだったら『フリーザが「私の戦闘力は53万ですよ」って言っているシーンくらいから読みたい』と思った時に立ち読み機能をつかって見ていけば、大体察しがつくという感じ。
無料公開されたマンガが爆売れ。
おもしろいのが期間限定で無料で読める漫画の続きが有料で売れていること、
たとえば「天使なんかじゃない1巻」は1/1〜1/30で無料公開されているのですが、
総合ランキングの2位に「天使なんかじゃない2巻」、6位「天使なんかじゃない3巻」が入っています。
これは言うまでもなく、
無料で1巻を読んだら続きが読みたくなって・・・
2巻、3巻と多くの人が読み進めてしまったということです。
LINEマンガってAppStoreのトップセールス20位くらいに入っているので、売上は小さくないですし、その中で、ランキング2位3位に入ってきていると考えるとスゴイ。
青年漫画を電子書籍を10巻まで無料公開したところ11巻以降の売上が7倍になったという事例もどこかで見ました、
マンガとか電子書籍はフリーミアムモデルとの相性は良いんでしょうね。
そう考えるとビジネス書や小説の電子書籍も、
「冒頭の20ページは無料公開」とかにするのもアリかもしれません。
スタンプ付きマンガ
LINEならではのおもしろい所が「スタンプ付き」の漫画があること。
つまり好きな漫画キャラのスタンプが使えるとなれば、紙の漫画を既に持っていたとしても買ってしまう。
さらにLINE上でスタンプをつかったときに
「このベジータのスタンプどこで取ったの!?欲しい!」などの会話になる可能性もあると。
これはやっぱりLINEじゃないと出来ないことですし、
うまいなあと思いました。
マンガボックス(マンガ雑誌モデル)
最近テレビCMをガンガンうってダウンロード急上昇中のアプリ。
開始1ヶ月で200万DLを突破。モバゲーのDeNAが運営。
「金田一少年の事件簿」「進撃の巨人」などの人気マンガのスピンオフ作品などを連載。
「マンガボックス」という、ひとつのスマホマンガ雑誌をつくろうとしているようにみえます。
プッシュ通知があるしスマホで週刊誌っていうのは強そうだ。
マネタイズ方法については、(他にもあると思いますが)
ある程度、連載がたまってきたら電子書籍や単行本形式で販売するよう。
※「発売中のコミックス」というボタンが既にありますが、今のところは押せないようになっています。
今後、ココから単行本が買えるようにするみたいです。
世界展開を視野に入れている。
世界展開を視野に入れ、アプリは英語版にも対応しているらしい。(参考)
海外のランキングを見てみたが、現状では日本以外での目立った活躍はなし。というか漫画の翻訳自体もまだ未対応のようだった。
たしかにスマホの電子書籍なら流通コストもないし、世界展開というのはおもしろそう。
「続きが気になる!」の心理を利用した拡散施策
「シェアして次号分を先読み」というのも面白い。
これはソーシャルメディアにシェアすることと引き換えに1週先の話を見ることができる機能。
つまり「宣伝したら、特別に一足早く続きを読ませてあげよう」
ツイッターでよくシェアされているのを見かけます。
テレビCMと同様マンガのお決まりのセリフのパロディを入れたりして、
楽しくシェアできるようになっているところも工夫されています。
未来の人気作品の発掘にも積極的
アプリ内に「持ち込み大歓迎!」というバナーも掲載されていて、
大歓迎と書いてある通り、広く門は解放されているようです。
持ち込みによりマンガボックスの掲載可能性があるだけでなく、
編集者が徹底的に作品のアドバイスをしてくれるとのこと。
「まったく無名の漫画家がマンガボックスの連載でヒットして、
その後、紙の単行本からアニメ化にまで拡大し大成功を収める」
という事例もいつか出てくるのかもしれません。
comico(プラットフォームモデル)
LINE株式会社と分裂したNHNプレイアート(旧NHNJAPAN)が運営する、
2013年10月からスタートしたウェブコミックサービス。
PC向けサービスがベースにあってアプリでもリリースしている感じ。
スマホに最適化したフォーマット
スマホレイアウトに適したフォーマットになっていて、
下方向にスクロールするだけで読んでいくことが可能。基本的には白黒ではなくカラー。
(「さよならそばへ」6話より)
カラーじゃなくても良いような気もしますが、スクロールだけで読めるって言うのはなかなか良い。
(従来の紙媒体をベースにしていた漫画フォーマットはスマホで読むと、文字が小さかったり、見開きがページが読みづらかったりする)
漫画家版AKB48的な要素も?
有名漫画家のマンガではなくアマチュア漫画家のマンガが読める。
comicoでしか読めないオリジナルマンガというのがコンセプトのよう。
2013年12月からは一般からの投稿作品を受け付ける機能も実装。
一般作品は「チャレンジ作品」として掲載され、人気が上がったら「公式作品」になれる。
(「公式作品」になると月額約20万円の週刊連載原稿料がもらえるとのこと)
以下はアプリ内の「comicoとは?」の説明。
なんかAKBの漫画家バージョンみたいなイメージかな。
あなたの応援が作品を育てます。
お気に入り登録・評価・コメントでファンになった作品を応援しよう。
あなたの応援がお気に入り作品を支える力となります。
ヒット作が出ないと収益化は難しい?
ビジネスモデルとしては、おそらくこのたくさんのマンガの中からヒット作を発掘して、
単行本化なりグッズ化なりで収益をあげるようなモデルなのだと思う。
タレント事務所などと同様でごくごく一部の漫画家が、
大きな収益をあげるという構造になっていくのではないだろうか。
人気作品は同NHNの運営する「ハンゲーム」とのタイアップ企画なども実施予定とのこと。
comico上でヒットしたマンガをLINEスタンプで売るとかもあり得るのかも。
500万円の賞金を用意した作品投稿コンテンストなど、
積極的に漫画の発掘もしているみたいです。
まとめ
2013年からマンガ系アプリが続々登場で熱い、同じように見えてビジネスモデルが各社違う。
マンガボックスの「続きを読むならシェア」、LINEマンガの無料公開マンガが有料でもたくさん売れているなど、「続きが読みたい」心理をついている施策はうまくいっている印象。