評価金額が150億円のライブ配信アプリ「IRIAM」が語る「売上の話」をしない理由。サービス成長の秘訣は「観察とヒアリング」人の可能性が「キャラライブ」で開花する話

2022年09月15日 |
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※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2021年9月28日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n43f8f60fd6b1

キャラライブ配信アプリ「IRIAM」さんを取材しました。


※ 株式会社IRIAM 事業部長 まなべさん

「IRIAM」について教えてください。

まなべ:
一枚のイラストで、キャラクターになって、ライブ配信できるアプリです。AIの力でイラストが一枚あれば、誰でもキャラ配信ができます。

IRIAMでは、人間がキャラになることで、ありのままの「自分らしさ」を表現できる、新しい居場所をつくっています。

キャラアバターが「人間の可能性」を引き出す話

「観察とヒアリング」でプロダクトを磨き上げている話

IRIAMの運営では「どんなこと」を大事にしていますか?

まなべ:
とにかく「観察とヒアリング」を大切にしています。

IRIAMでは、年間200件以上はユーザーヒアリングを実施していて。以前は、会社で「オフ会」も積極的にやっていました。

やってみてわかったコツは、「ユーザーさん自身も意識していない話」を引き出すことかなと。これは本当に大事なことだと思っていて。

以前に、あるライバーさんに「どんな賞品がもらえるイベントに出たいですか?」と聞くと、「声優になりたい。CMに出たい」とお話しされていたんですよね。

ところが、話を深ぼってみると意外にも、彼女がこれまで一番うれしかったのは、イベントで「高級チョコ」をもらった体験だった、と言うんです。

それって、どういうことなんでしょうか…?

まなべ:
どういうことかというと、まず「高級なチョコ」がイベントの景品として、自宅に届いたときに、それを家族にあげたのだそうです。

そのときに、家族に「これどうしたの?」と聞かれて。「これは配信活動でリスナーさんに応援されて、手に入れたものだよ」と答えたと。

すると、ライブ配信のことはわからなくても、「高級なお菓子」の価値ならわかるから、家族からの見る目がすごく変わったのだそうです。

それまでは、家族に白い目でみられていた部分もあったようですが、価値のある活動をやっていると、伝わるようになって嬉しかったと。

なるほど、そういうことだったんですね…!

まなべ:
はい。彼女が「聞かれて答える言葉」と、話を深める中で「抱えていることに気づく課題」には、かなりの乖離があったんですよね。

やっぱり、課題をどう解決できるかは、言葉ではなくて「生活実態や行動」からしかわからないものだなと感じました。

そういうところを、きちんと洞察力を持って、ひとつひとつ深ぼっていくことが、とても大事だと考えています。

IRIAMの運営チームが売上の話をしない理由

ほかに「運営で大事にしていること」を教えてください。

まなべ:
売上の話をしないようにしています。コミュニティプラットフォームって、変数があまりに多すぎて、一つの数字をみても意味がないためです。

遅効指標というんですけど。例えば「継続率」をみてもそれに影響を与えるものって無限にあるんですよ。なので、結果として「売上や継続率」があるだけだという考え方をしています。

数字って強いですし、正しそうに見える。すると、こうすれば売上が上がると引っ張られてしまうので、わかりやすく「売上の話はしない」と。

数字をみないとすると、どのように優先度をつけたり、それが正しいかを、判定するのでしょうか?

まなべ:
サービス思想のようなものを、約8項目つくって「こんな姿を目指したい」と運営しています。これをバランスよく突き詰めています。

例えるなら「健康」に近いですかね。

健康ってざっくり「睡眠・運動・食事」じゃないですか。ただ、一つの指標をみて「体重や血圧だけ正常なら健康」とはならないですよね。

つまり、一つの数値を変化させるだけでは、ゴールに辿り着かないんです。プラットフォーム運営は「健康だね」とよく話します。

施策を打って、血圧は改善していても、実は何かが悪化してしまっていた、ということも本当によくあるんです。

人体の仕組みが複雑なように、プラットフォームって人がコミュニケーションするもので、ものすごく複雑だからそうなるんですね。

例えば「ひとつの指標」だけ追ってしまうと、どういう失敗が起こり得るのでしょうか?

まなべ:
以前に、継続率を上げるために、いいライバーさんに新規リスナーさんを、マッチングするロジックを組んだことがあって。

例えば、ライバーさんの中で、リスナーさんが常連になってくれる割合の高い方を数名ほどに絞って、上位に表示するロジックを組めば、リスナーさんの継続率がきっと上がるはずだと。これって一見正しそうじゃないですか。

でも実施してみると、ライバーさんからクレームが来てしまったんですね。わたしの配信、人がたくさん来て、ずっと自己紹介しかできないよと。

これは、リスナーさん側の体験だけを、考えてしまったことが原因でした。当たり前ですが、ライバーさんの体験も考えなくてはいけなかった。

ビタミンが体に良さそうだと言って、ビタミンばかり過剰にとっていたら、不健康になってしまったみたいな。最終的にはバランスなんです。

活躍しているライバーさんの「共通点」を教えてください。

まなべ:
ライブ配信のおもしろさは、「ナラティブ」にあると考えています。

ストーリーがつくられたフィクションの物語だとすると、ナラティブはいろんな人に参加してもらって自然発生していく物語、という感じです。

先程の人は「大号泣の初配信」からはじまりました。すると、リスナーさんは「今は立派だけど、初配信はやばかった。笑」と愛を込めて言い続ける。

そんなふうに、出来事ひとつひとつがコミュニティの物語をまとっていく、それがナラティブです。

物語がライバーさん中心に生まれる。リスナーさんもまた「物語の参加者」としてライバーさんを応援する。アイドルにも近いかもしれませんが、未完成でOKなんです。

物語を紡いでいけることが、ライバーさんにとって大切だと思います。

もともと「ZIZAI」の子会社だったIRIAM社は、評価額150億円でDeNAへ譲渡されました、なぜIRIAMはここまでの評価額がついたのでしょう?

まなべ:
2点あると考えています。1点目は将来性。プラットフォームのビジネスは、ずっと長期で積み上がっていくので、時間軸長めで続けていけます。

これには、市場の将来性という意味も含まれていて、具体的にはグローバル市場に打って出られる可能性がある、という点も評価いただきました。

2点目は、チームだと考えています。IRIAMを2年半でつくり上げたチームだという点は、嬉しいことに評価いただいていて。

実際、チームまるごとDeNAグループに移っているので、そこも含めて150億円という評価額をいただけたのかなと考えています。

そんなわけでDeNAさんからは、ユーザーのみなさまとつくりあげてきた、今のIRIAMの良さや、IRIAMのチームに大きな可能性を感じていただき、

IRIAMとしては、DeNAさんとより強い関係を結ぶことがIRIAMのためになると考え、今回のグループ加入に至りました。

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【取材協力】
株式会社IRIAM:https://www.live.iriam.com/company
IRIAM:https://www.live.iriam.com/
IRIAM まなべさん:@kou___nn

【告知】IRIAMさんでは採用も募集中。PdMやプランナーやエンジニア等、メンバーを探しているそうです。ご興味ある方は下記サイトよりどうぞ。
https://www.live.iriam.com/company

※続きのマニアックな事例を5つほど、note購読者向けにまとめています。IRIAMに「良い文化」をもたらした機能、コミュニティは「共通の物語」があると強くなる話、などご興味あればご覧ください。
https://markelabo.com/n/n43f8f60fd6b1

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