先日50万ユーザー突破のニュースもあり、
非常に注目を集めているGunosy代表の福島さんにお話を伺いました。
Gunosyについて
まず、あえてお聞きしたいのですがGunosyはどんなサービスですか?
あなたの興味を解析して、それにあったニュースを集めるというサービスです。
一言でいうと「あなただけの新聞」です。
Gunosyのサービス名の由来は?
「gunosis」がギリシャ語で知識という意味で、
そこからとりました。
今ユーザーどのくらい?
公開している数値は8月で50万ユーザーです。
それ以外は未公開です。
ユーザーの男女比・年齢層はどうですか?
大体、男性7:女性3ですね。
一番多いのは20-40代です。
「Gunosyは20代の人しか使っていないのでは」とよく言われますけど、
ボリュームで言えばむしろ30〜40代が一番多いです。
10代のユーザーは、実はほとんどいないです。
サービス初期のマーケティングについて
最初サービスリリースしたときは学生(個人)だったのですよね、そのときはプレスリリース送ったりとかしましたか?
はい、当時は学生です。
プレスリリースなどは全くやってないです。
最初の0⇒1000ユーザーになっていく段階は何をしましたか?
ツイッターで告知をつぶやいたところ、
それが拡散しユーザーが増えていきました。
最初に気を付けたことはありますか?
当たり前のことですけど、
最初Gunosyって名前を付ける段階でドメイン取られてないかとか。
同じ名前のサービスがないか確認しました。
「Gunosy」で、SEOで問題なく1位とれるなとか。
ということは最初のほうは口コミで伸びたのでしょうか?
そうですね、今も基本的には口コミなのですが、
2013年4月くらいまでは、ほぼ口コミで広がりました。
口コミは使うユーザーが増えるほど、
バイラルの速度があがっていきます、
ユーザーが10万人の時には、口コミで100万人にしかが伝わらないのが、
ユーザーが100万人になると1000万人に伝わるというように、加速度的に増えていきます。
最近は広告もうつようになりました。
アプリ内で配信されたニュースを”シェア”するとGunosyのニュースページがシェアされる。これみてユーザー増えそうだが最初からやっていた?
そうですね、このページのPVはものすごくトラフィックがあります。
最初からやってないです、途中からはじめました。
新規のユーザーもここから増えますし、
直接登録はしなくても「Gunosyってなんだっけ?」とユーザーが覚えてくれるのも、メリットです。
ここはけっこう大事なポイントだと思うので補足。
Gunosyアプリでニュースをシェアすると、ニュースページがシェアされる。
それをユーザーのフォロワーが見るとこでGunosyの宣伝につながる。
つまりGunosyアプリのユーザーが多くなってシェアするほど、
Gunosyの宣伝も一緒にやってくれる(勝手にユーザーが広告塔になる)という仕組み。
これが爆発的にユーザー伸びている軸になっている気がする。参考にしたい。
テレビの影響について
5月くらいに堀江さんがテレビでGunosyのこと話していましたが、影響有りましたか?
そうですね、「単発で」という意味ではユーザーが増えました。
すごい認知度は上がりましたね。
堀江さん「グノーシー」(ノにアクセント)って言ってました。
言ってました、朝生(朝まで生テレビ)でいってましたね。笑
実は寝ていて、見てなかったのですが。
朝生の日は、朝データを見たら数字がバグっていて…。
とにかく、アプリのDL数が伸びていて、
1日でとれるDL数が1時間で来ていました。
「Gunosy」は社内的にはどう呼んでいますか?
グノシー(グにアクセント)です。
アプリやWEBマーケティングについて
「グノシー」がグーグルで検索された回数を時系列で調べてきたのですが、案外webの検索数は伸びていない。アプリ(ユーザー)のグラフと検索数がリンクしない。それでユーザーが増えている導線ってどこなんだろう?って考えたときに、このGunosyのニュースページなんじゃないかなと。
そうですね。
ただ、グーグルの検索数は伸びていないですけど、
AppStore上の検索数はとても伸びているはず。
AppStore内のログは、
公開されていないのでわからないですけど…
Appstoreで、「グノシー」って検索するときに、
カタカナとかひらがなで検索する人がいるので、
itunesキーワードに入れてひっかかるようにはしています。
ひらがなで検索する人はかなり多いと思います。
Gunosyのグーグルでの検索回数の推移。
青が「gunosy」、赤が「グノシー」。ローマ字のほうが検索されている。
青の一番はね上がっているところが「朝生」(テレビ)で堀江さんがしゃべった時。
AndroidとiOSのアプリタイトルが違う。これはなぜでしょうか?
いろいろ試しています。
Android(GooglePlay)はすぐにアプリタイトル変えられるので検証しています。
特にアプリタイトルより、
スクリーンショットを細かく変えていますね。
アプリのタイトルだけでも、
意外にコンバージョン変わったりするので。
結局、アプリをDLするまでは、
「アプリの質」というのはあんまり関係ないです。
アプリをDLされる前の段階では、
アプリタイトル・スクリーンショット・レビュー、
アイコンがかわいい・かっこいいとかが重要です。
iOSとAndroidは、時間差でリリースされましたが調子はどうですか?ユーザーの質の違いは感じますか?
今iOSすごいユーザー伸びていて、
Androidはあまり伸びていないです、
最初iOSアプリをそのまま移植する形で、
Androidアプリをつくったのですけど、それだとダメだなと感じました。
Android向けに少しずつ変えていっています。
ユーザーの違いというかデバイス、osの特性で、
ユーザーが慣れている機能が違うので、
そこはちゃんと合わせてつくらないといけないと考えています。
広告・広報について
最近広告だされていますが、成功例はありますか?
一般的な話になってしまいますけど、
「バナーのクリエイティブで成果に影響がでる」ということですかね。
クリック率1%でも違いが出たら大きいですから。
その他、予算をかけてやっていることはありますか?
ちょっと前まで、
Facebookのモバイルアプリインストール広告をだしてました。
すごい効果よかったですよ。
ただ、最近ソーシャルゲームの会社が
出稿しだして単価が上がったのでやめちゃいました。
別の取材記事で、バナーの色も検証しているというのを見ました。その記事では「赤よりも緑が効果良い」って言ってました。
その辺もずっと検証しています。
「赤よりも緑が効果良い」は本当ですね。
割と一般論でみたいで、
pixivの人とかに話きいても「緑が一番良かった」って。
バナーとかボタンは緑が良いみたいです。
アプリレビューサイトなどへのリリースなど広報も行っている?
法人化してからはちゃんとやっています、
実質メールを送るくらいですし、
プレスリリースを打って記事になると、やはりそこから流入があります。
一番ユーザー数が大きく伸びたところは?
伸びた要因として一番大きいのは、
アプリをだしたタイミングです。
PCサービスとしてよりもアプリでだしたほうが、
獲得効率が圧倒的だというのは明らかです。
PCユーザーがアプリに流れた、というよりは新規が増えたのでしょうか?
新規ユーザーが増えました、
最初はPCユーザーが転換するだけかと思ったが、全然そんなことはなく。
アプリができる直前に「今度Gunosyがアプリになる!」とメディアで話題になっていたのはなぜ?
既存ファンがアプリを待ち望んでいて喜んでくれたようです。
Gunosyの初期ユーザーの中には、
ブロガーの方が情報集めるために使っていてくれて、
ブロガーのような情報発信する人が使っていたというのも大きかったですね。
彼らがユーザーをつれてきてくれるので。
Gunosyのサービス設計などについて
今はとりあえずユーザー増やしている段階?
そうです。
マネタイズとして考えているのはありますか?
広告ですね。
それ以上言いようがないですけど。
Gunosyの1日25記事というのは適当に決めたんですよね?突き詰めて「25」だったのかと思ったのでこれは意外でした。
適当です、笑
50ではないし10ではないし…くらいはありますが、
どうして25?って言われると「適当」です。
大体ほとんどのニュースアプリで、
20〜25記事くらいになっています。
それくらいがスマホでみられる限界なのかなと。
「25記事以上もっと見る」という機能もあえてつけない?
はい。より多くの情報を求めているユーザーもいるので、つけたいなとも思うが、
あくまで「情報がまとまっている」というのが価値だと思うので。
その機能をつけてしまうと、
ユーザーに目に見えない形でストレスがたまって、
使われなくなってしまうのではないかと。
最近「夕刊」を配信開始したが、どういう意図でしょうか?
意図としては、
アプリやスマホは最近になって出てきたもので、
「古い習慣を新しいもので置き換えたもの」がほとんど。
Gunosyの場合、「情報をあつめる」という意味で何かに例えると
新聞に近いなと思っていて、
(新聞は、決まった時間に届いて情報がまとめられている。)
新聞を使うシーンを考えたときに、
昼の14時に送ったところで働いているし、
22時におくってもプライベートモードで読まれない。
そうなると夕方に、
「夕刊」という名前で送るべきと考えました。
Gunosyは元々1日1回のニュース配信だったが、現在は朝刊と夕刊で配信されています。
アプリの中ではFacebookを優先して実装しているのはなぜ?ツイートボタンはなくてFacebookのいいね、シェア。
そうですね、
Facebookにはシェアとライクが両方あるからというのがひとつ。
もうひとつは、
「伸びているものに迎合する」 というのが鉄則だとおもうので、
そのようにしています。
アメリカだとFacebookが先にでてきてTwitterですけど、
日本だと逆でTwitterの後にFacebookが伸びている状況ですので。
現在のGunosyはFBいいねボタンがメインで実装されている。
いまのGunosyのUIはシンプルで良い使いやすいと思います!
人によっては前のほうが良かったという意見もあります。
UIを変えると、喜んでくれる人と文句言う人がいるので、
数字だけを見るようにしています。
いままで全体の色をグレーで、渋めの演出をしていたのですが、
明るめ(白)にして、毎日みても見やすい感じにしました。
ただ、色はあんまり関係ないですね。
それでDAUが何十%上がるかというとそんなことはないですし。
有名になるということ
いま有名になってきたと思いますが、運営者として言われて嬉しかったことはありますか。
普通に良いアプリだねっていわれるのが一番嬉しいです。
グノシー良いねって。
あまりアンチみたいのなさそうですけどね?
どうですかね、
アンチは、いるんじゃないですか。
巨大になっていくとアンチがつくものなので
逆にアンチつくくらいじゃないとダメかなって。
一回炎上ありましたよね、配信されているのは「はてぶ」で話題になった記事そのままじゃないかみたいな。
ありましたね。同じじゃないんですけどね…笑
「グノシーつまらないから使わない」みたいな、
本質的な批判はいいのですけど、明らかに事実と違うような批判は見ないです。
これまでにしんどい場面はありましたか?
20万人以上に使われてる推薦エンジンというと、
世界で見てもamazonくらいしか無いので、
既存の考え方では対応できない、
答えのない領域だと思うので、
「本当にこの方向性であっているのか?」
という部分は、つらくもあり、おもしろくもある。
他にも「スマホでニュースを見せるにはどうしたらいいの?」というのは、
どこも答えを出せていない状況で、各社が模索している。
他社のほうが答えを早く見つけているんじゃないかと、
不安になることもあり、楽しくもあり、
現実的には、楽しいことの100倍くらい、
辛くてキツいこともあります。
スマホとスマホの今後について
今スマホ伸びているタイミングで、Gunosyのようなニュースサービスとスマホは相性いいですよね?
相性良いですね。
最初はそこまで考えていなかったですね、
途中からスマホを意識しました。
いまGoogleもGooglenowを出していたり、流れとしては、ユーザー行動の文脈を踏まえたサービスが増えそうですよね。
そうです。
絶対そうなります。
スマホは入力に弱いデバイスなので、
入力を簡単にするのは重要です。
Googleだとタイピングじゃなくて、
音声検索、画像検索、Googlenowだったりを試している。
Facebookもモバイルからの投稿って、
写真投稿か、いいねするくらいだと思うのですよ。
もしくは短文ですね。ツイートみたいな。
Googlenowとは…
例えば予定を登録しておくと、目的地までの経路を勝手に調べてくれたり、現地の天気・付近のイベントを表示してくれたり、
ユーザーの行動の文脈を読み取って、情報提供してくれる仕組み。
Googlenowだけじゃなく、世の中はこういう流れになっていくと思う。
例えば、スマートウォッチ。体温とか脈拍に異変があると、適切な対処を提案してくれるとか。
参考リンク:「Google Now」で何ができる?
LINEのスタンプとかもそうですよね。
そうですね
スマホでLINEが伸びたのって、
「メッセージうたなくていい」というのがすごい大きいと思う。
入力がスタンプで簡単になった。
Gunosyは表向きはニュースサイトですが、裏側に膨大なデータがたまるじゃないですか。レシレコとかザイムとかもそうですけど、ビッグデータ的な価値があると思う。Gunosyも最初からそのデータ活用を狙っていた?
活用したいですね、
狙ってたというとかっこいいですけど、笑
狙ってたといえば狙っていたになるし、
本当に最初からそこの価値がわかっていたかというとそうでもなく。
漠然と「データ集めていくと強いな」というのは考えていて、
データのたまるサービスにしたいとは思っていました。
海外にグノシーみたいなサービスは存在するんですか?
ちょいちょい増え始めていますね、
最近はイスラエルとかアメリカとかで、
グノシーライクなサービスも出始めている。
2〜3年前にはZITEという、
グノシーっぽいサービスがCNNに買収されています。
アプリビジネスについて
アプリは今とても増えています。リリースして人気がでてランキング上がっても、すぐ下がってしまって、もう上がってこなくて終了パターンが多い。一つのサービスを育てていくにあたってアドバイスいただけますか?
習慣になるアプリ(サービス)をつくることですかね。
習慣になるものだとユーザーがたまっていくし、飽きたら終了となりにくく、
長く使ってもらえる。
ユーザーがたまっていくとデータがたまるので、
ユーザーにとって有益な機能が追加できる。
長く使われるアプリというのは、このサイクルを回している。
家計簿系アプリとかが増えているのも同じ理由で、
アプリと相性がよくて、どこにでも持ち運べて、スマホで写真撮影だけでできて、
使い始めると乗り換えにくい。Twitter、Facebookもこのパターン。
1発でおわっちゃう典型がカジュアルゲームです。
たまっていくものがないので飽きたら終わり。
カジュアルゲームの中でトップを極めたところで、
寿命は2〜3ヶ月。
カジュアルゲーム作っている方はそれをわかっていて、
矢継ぎ早に次のアプリをつくっていると思うので、
それはそれで回っているとは思いますが。
カジュアルゲームはマネタイズできないと言っているわけではなく、
一つのアプリ(サービス)を育てていくにはどうしたらいいか?という話題ですね。
最初サービスやアプリつくってユーザーが0のとき、何したら良いですか?
ぼくはツイッターつぶやいていただけですね。
フォロワーは1000人とかです。
やはり、サービスの鉄則として、
「伸びているものにのっかる」というのが大事だと思っています、
例えば、スマホは今伸びているので、スマホに最適化された何かをつくる。
Facebookが伸びているので、Facebookつかってサービスの価値を高める何かをつくるとか。
Gunosyはその2つにはまった。
おわりに
Gunosyが初事業なのにいろいろ詳しいですね?
この半年間やっているうちに、ですね。
最初は漠然と勘でやっていた部分が、
どういうふうにやると再現性がでるかなと考えるようになりました。
なんで伸びているの?を常に考えて、
「再現性をもたせる」という意識はしています、
なんとなくだと単発で終わっちゃいますので。
いまおいくつですか?
25歳です。
起業するとき不安でしたか?
ですよ!そういう意味では今も不安です。
この不安とはずっと戦い続けないといけないかなと。
当時の自分と同じような境遇の人がいたら「起業してみれば?」とアドバイスしますか。
あまり気軽なことはいえないですね。
やりたいことが小資本からはじめられることなら、
やればいいんじゃないの?とは思います。
Gunosyで今年の目標はありますか?
今年中に100万ユーザーは行きたいですね!
アプリストアのタイトルとか、スクリーンショットを入れ替えるとか、
「そこまでやるか」というほんと細かいところまでやっているのは驚きますし、見習わないとです。
記事中で紹介した「ユーザーが勝手にPRしてくれる仕組み」
が出来ているのは素晴らしいです、
ここが固まっているからこそ、
とにかく改善を繰り返して良いサービスを目指すということに集中できているのかもしれない。
筆者自身もGunosyユーザーなので、
今後の展開や成長スピードが楽しみです。
ニュースをレコメンドしてくれるアプリ。
ソーシャルのアカウントを自動解析して、
ユーザーの興味にあわせてニュース配信してくれます。
恐るべし、Gunosy砲
ちなみにGunosyで記事配信されると、
「Gunosy砲」と呼ばれる大量のアクセスが流れてきます。
先日公開したメタップスさんのセミナー記事も、ソーシャルで拡散されたため、
Gunosyで配信され、Gunosyから1500ほどのユーザーがアクセスしてくれました。
当サイトも何度かGunosy砲を受けましたが、
大体1500〜3000ほどのアクセスがあります。
Gunosyで配信される条件は、やはり「ソーシャルで広くシェアされる」に感じます。
個人的には、はてぶ30以上、いいね50以上、ツイッター50以上とかあれば配信されるレベルな気がしています。(あくまで感覚的な目安)
それだけたくさんの人がつかっている注目のサービスです。