半年の継続率が90%超。子どもオンライン英会話アプリ「GLOBAL CROWN」が語る、ユーザーの習慣を「自由と強制のバランス」でつくる話と、子どもが「好きな先生」を選べると離脱につながるワケ

2022年10月27日 |
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※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2021年5月28日 )数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/ndfdb637fcf88

オンライン英会話サービス「GLOBAL CROWN」さんにお話を伺いました。


※ 株式会社ハグカム CEO 道村 弥生さん(右)、CMO 石崎 勇充さん(左)

「GLOBAL CROWN(グローバルクラウン)」について教えてください。

道村:
子ども向けオンライン英会話サービスです。アクティブユーザー(生徒数)は2,300人を超えたところです。

GLOBAL CROWNは月額モデルなので、アクティブなユーザーというのは、「月1万円」は払ってくれる生徒数になります。

特徴は「長く続けてもらえる」ところ。半年の継続率は90%を超えていて、1年での継続率も80%を超えています。

メインとなるマンツーマン英会話の場合、1顧客あたりの平均単価としては、おおよそ月1.2万円。週2〜3回利用される生徒さんが多いです。

「GLOBAL CROWN」はどのように生まれたのでしょう。

道村:
もともと、サイバーエージェントのグループ会社として起業したのですが、約1年で追加出資が難しい状況になりました。

その後、どうしても教育事業が諦めきれず、改めて自分で起業することに。2015年10月に「GLOBAL CROWN」を公開しました。

ただ、最初の1年はお客さんが集まらず苦労しました。マーケティングなんて考えずにただサービスを出しただけ。本当に泣かず飛ばずでした。

貯金がある程度あったので、それで食いつなぎながら減っていく銀行口座をみて「やばいやばい」と思っていました。

どんな工夫で「半年後の継続率90%」を実現したか

「半年の継続率が90%」とのことですが、プロダクト継続率はどのように改善していますか?

道村:
みんなで「期間別での継続率」をみて、継続してもらうにはどうすべきか、先生や生徒の声を拾いながら改善しています。

例えば「6ヶ月後の継続率」が低かったら、6ヶ月後の生徒さんにアンケートをとって、満足・不満な点を洗い出して施策を打ちます。

独自で考案した「夢中メソッド」という、子どもが楽しく続けられる仕組みにも沿って改善するようにしています。

継続のために「プラスになった工夫」を教えてください。

道村:
最初のサービス設計でポイントだったのは「時間を固定すること」でした。

つまり、入会のときに「○曜日の○時から」と決めていただいて、その時間にアプリを開くと、先生が待っているようにしています。

初期に、テスト利用いただいたとき、ほとんどのママが「金曜日の19時で」と時間を決めてくることが、多かったんですよ。

たしかに、習いごとって「○曜日の○時」って決まってますよね。つまり、子どもの生活習慣って一定で、そこに入り込むのが大事だった。

ここは最初のターニングポイントで、社会人向けのオンライン英会話とは、大きく違ったサービス設計になりましたね。

上手な「自由と強制のバランス」が習慣をつくる

ほかにも「習慣化に効いたサービス設計」はありますか?

道村:
先生を固定しなかったこと。好きな先生を選べたほうが良さそうですけど、これ実は逆で「先生への依存」は習慣化にマイナスなんです。

なぜなら「この先生じゃないと嫌」となった瞬間に習慣が途切れるためで、先生よりも「英語が楽しい」となるのが理想だからです。

もちろん「この先生がいい」と感じるのは当然です。でもその先生が人気で予約を取れなかったら、それは辞めるキッカケにもなります。

石崎:
つまり、継続のために重要なのは「自由と強制のバランス」で、これをサービス側でもうまく舵をとる必要があるんですね。

完全に自由にしても継続しにくいですし、かといって強制しすぎるとお客様のストレスになってしまいます。

なるほど。先生が変わっても「レッスンの品質を下げない」ためにやっていることはありますか?

道村:
どの先生でも「高い品質」でレッスンを引き継げるように、生徒の情報共有システムを作っていて、これも継続率の改善につながりました。

先生のマイページ上で、この生徒はこの単語を何回やった、子どもの様子はこうだったとか、毎回レッスン記録を書いて引き継いでいます。

その内容は、親御さんにもメールで届けていて、時間がない方にも「今日はこんなことやったんだ」とわかるようにしています。

地方の塾向けのプランが売上増加のキッカケに

これまで「売上が伸びたキッカケ」があれば知りたいです。

石崎:
都内と地方ではニーズがすこし違っていて。2020年に「法人向けプラン」を本格的にはじめたことが、地方での売上増加につながりました。

背景としては、共働きの世帯が増えて、小学校で英語の授業がはじまった。すると、地方に「英語を習いたいニーズ」が出てきます。

そのときに親御さんはどうするか。オンライン英会話は調べないんですよ。それよりも「近くの学習塾にいく」という発想がとても強い。

そこでGLOBAL CROWNでは、オンライン英会話を「法人プラン」として、塾や学童に提供していて。そこが、この1年でかなり伸びました。

塾側としても「英会話」を教えられる先生がいなくて、バイリンガルの先生にアウトソースしたいニーズがあります。


※ 地方の単価感だと「マンツーマン月1万円」は難しく、グループレッスンがメイン(法人プランの70%を占める)になっているそう。

これまで「意外な結果になった施策」はありますか?

石崎:
ユーザーさんから、レッスンの「振替の回数」を増やして欲しい、という要望があったので、「最大5回→10回」に増やしたことがあって。

するとどうなったかというと、みなさん「振替」をつかわないんですよね。振替の利用回数をチェックしても全然変わっていない。

結局これって、何かあったときに「振替できるという安心感」が欲しかったということなのかなと思いました。

なので「振替回数」を増やしただけで、みんな満足して解決したんです。笑

ユーザーにとって「これは隠れた悩みだ」と感じるポイントがあれば教えてください。

道村:
収入はそこそこあっても「時間がない家庭」が多いこと。なので習いごとの「送り迎えが大変」というのは、実は隠れた大きい悩みです。

片道20分だとしても、1時間の習いごとを「待ってる時間」も考慮すると、なんだかんだ「親の2時間」が消費されます。

オンラインで「送り迎え」がないのが助かる、レッスン中に家事をやれて助かる、これは今でもよく言われますね。

お金を払っているのは親御さんなので、親御さんの「手間と精神的な負担」をどれだけ削減できるかも重要なんです。

石崎:
あと意外だったのは、申込者が「お母さんか、お父さんか」を見てみると、お母さんの登録が95%を占めていること。

もちろん、データを見る限りではありますが「財布を開くのはお母さん」という傾向はあるようです。

新規ユーザーが「申し込みたくなる仕掛け」などがあれば教えていただけますか?

石崎:
体験レッスンの受講後に、アプリの画面に「レッスンに満足しましたか?」ではなく「また受けたいですか?」と出すようにしています。

親が入会するかの判断って「子どもがまたやりたいか」で決まるからです。こうした工夫の積み重ねで、入会率を少しずつ改善していますね。

GLOBAL CROWN:https://www.global-crown.com/
ハグカム 道村さん(@chimu841)、石崎さん(@tiszk

【告知】ハグカムさんでは採用募集中。PdM、WEB/アプリエンジニアなど探しているそうです。ご興味ある方は下記サイトよりどうぞ。
https://www.hugcome.co.jp/recruit

※続きのマニアックな事例は5つほど、note購読者向けにまとめています。子どもの「長期の飽き」を緩和する施策、サポートコストを年220万円削減した話、夏休みの退会率を下げる工夫、などご興味あればご覧ください。
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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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