3/30に東京(新宿)で開催された、AppBank Fello主催のセミナー「DL数の少ないアプリで収益を増やす方法を学ぶ」の参加レポートをお送りします。
目次:
1、「100万DLと同じ収益を1/6のDL数で稼ぐ!放置ゲーム収益化のコツ」byCome-Come Cat
2、「複数アプリをリリースしていることによるシナジー効果」 byMarnishi
3、「AppbankFelloを導入するメリット」byユニコン
4、お悩み解決コーナー
Come-Come Catについて
Come-Come Catでは2人で開発をおこなっている。「脳力+ 支払い技術検定」(2011年)が100万DL、放置型営業シミュレーションゲームの「王国の道具屋さん2」は19万DL(iPhone、Android合計)
実は「王国の道具屋さん2」は「脳力+ 支払い技術検定」の1/6のダウンロード数だが、収益額としては同じくらい稼ぐことができた。
1ダウンロードあたりの収益性の単価目安としては、Come-Come Catの放置ゲームでは一番高くて50円/1ダウンロード程度。放置ゲーム以外のアプリは平均して5円/1ダウンロード程度。
放置ゲーム最大の敵は「飽き」
放置ゲームの敵は「飽き」、ほんとうに放置されっぱなしになってはいけない。ユーザーが飽きないように4つのキーワードを意識している。
1、つかみで楽しいと思ってもらう。
つかみの時点では、ユーザーが「気持ちいい、楽しい」と感じる点に徹底的に焦点をあてる。「王国の道具屋さん」ではお金をスワイプでチャリンチャリンと回収するのが気持ちいい。
放置ゲームは息が長いゲームなので、ゲーム開始直後のはテンポを良くして最初にガッチリユーザーの気持ちを掴むのが重要。
放置ゲームアプリの起動率としては2日目で約70%。以前出したアクションゲームの2日目の起動率は約40%、放置ゲームの方が継続率がずっと高い。
2、アチーブメントで「小さな目標」を
ユーザーがゲームを遊ぶ中での「小さな目標」を用意する。「王国の道具屋さん」の場合は、10万ゴールドを稼ぐと「ベテラン経営者になりました」など、アチーブメントを「称号」という形で実装している。
アチーブメントは少ない工数で実装可能なので、放置ゲームでは特におすすめ。iOSのGameCenterにもアチーブメント設定機能があるが、自前で実装するのが良い。理由は5割のユーザーはGameCenterをつかっていないため。(Come-Come Catのアプリの場合)
3、機能解放は少しずつ
放置ゲームに限らず、機能解放は徐々に行う方が良い。
まずはアプリの中でも一番コアな部分に絞って、慣れてきた頃に新しい機能を提供する。いっぺんに機能を提供してしまうとユーザーが混乱してしまったり、「このゲームはなんだか難しい、消しちゃおう」とアプリを削除する原因にもなりやすい。
4、ストーリー要素を入れる
放置ゲームは単純作業ばかりだとあきてしまう。ただ「薬草を10個あつめる」じゃなくて、薬草を10個あつめてお客さんに売ると、そのお客さんが「娘の病気がなおりました」とお礼を言ってくれるなど。
単純作業に、意味やストーリーをもたせることで、ユーザーに楽しく遊んでもらうことが出来る。
ローカル通知でアクティブ率を上げる。
「何かができました」「何かが集まりました」、というときにローカル通知(プッシュ通知)をおくっている。
また、気をつけているのは、アプリ内でプッシュ通知のON/OFFをすぐ切り替えられるようにしている、一般のユーザーにとってiPhoneの設定画面から通知をOFFにするのはハードルが高い作業。
デフォルト設定ではONにしているが、「アプリ内から簡単にON/OFFできます」とアナウンスをいれている。(「通知がたくさんくる」⇒「通知の消し方がわからない」⇒「アプリ削除」とならないように。)
また通知をした時には、気になるようにアイコンバッジをつけている。
アプリ内課金のコツ
アプリ内課金の種類
アプリ内課金は、消費型と非消費型の2種類ある。
・非消費型
1度だけ購入が可能なもの。「主人公の経験値が2倍になる」など。購入履歴がのこり、トラブルがあった際にもリスクは少ないため、はじめて課金を入れる人は、非消費型の課金を実装すると良い。
・消費型
「アプリ内通貨」や「スタミナ」など。不具合が起きた場合は、Appleからの返金対応に3~4日かかってしまうので、ユーザーを待たせてしまうリスクがある。
アプリ内課金の内訳
「王国の道具やさん2」は収入の4割はアプリ内課金、広告+アプリ内課金は、収益性が上がるのでおすすめ。
【収益の内訳】広告6割:アプリ内課金4割 ※iPhone版
【アプリ内課金の内訳】アプリ内通貨9.5割:広告解除0.5割 ※iPhone版
高価なアイテムは意外に売れる。
実は、一番売れているのは一番高価なアイテム。「再建!ボロボロ神社」でも「王国の道具屋さん」でもアプリ内通貨はセット売りをしていて、どちらも一番高価なメニューが売れている。
100円のメニューひとつではなくて、複数の値段を用意して、まとめ買いをするほどお得にすると良い。
「王国の道具屋さん1」のほうでは100円のメニューしか用意していなかったが、2で複数メニューにした結果、収益全体に対するアプリ内課金の売上が約6%上昇。「王国の道具やさん2」では、一番高い課金アイテムの売上がアプリ内課金の約8割を占めている。
まとめ
・ユーザーを飽きさせない。
・プッシュ通知で頻繁に起動させることで広告収入を増やすことができる。
・広告+課金で収益の向上が可能。
Marnishiについて
Marnishi(マーニシ)として2人でアプリ開発チームを運営している。
「俺の校長」「俺のカートだろ!」など、カジュアルゲームを多くリリースしている。マーニシの累計は、現在120万ダウンロードです。個人で携わったアプリ含めると累計160万ダウンロード。
かつて「棒人間ゲーム」をだせば売れた時代もあったが、2012年10月くらいから流れが変わってきた。お金がない個人開発者にとってはランキングを伸ばしづらくなっている。
今は人気ゲームジャンルの主流も変化していたり、例えば「脱出ゲーム」は突出して人気で、特に攻略サイトが力を入れているため、過剰にブームとなっているよう。
2012年に比べて、ブーストを使っているアプリもかなり増えた。ブーストアプリが多くなるのはAppStore上でユーザーが活発になるタイミング、週末・月末・期末(3・9月末)・連休・学生休み(春休みなど)、個人開発者はこの時期は避けてリリースをするのが賢明。
アクティブユーザーのベースが伸びているか?
アプリのアクティブユーザー数は山あり谷ありだが、谷の部分を意識すること。良いアプリをだしても毎回ヒットする訳ではない。
会社経営で自社の顧客や資産が積み上がっていくことが重要なように、自分たちのアプリのアクティブユーザーのベースを徐々につみあげていくことが重要。
(※画像はスライド資料を元に、編集部で作成したイメージ)
特にカジュアルゲームの場合、寿命も短いので、リリースして少したつと、アクティブユーザーはかなり減ってしまう。そうなる前に、すぐに次のアプリをだしていくスピード感は必要。
マーニシで出しているカジュアルゲーム「俺の○○」シリーズだと、寿命の短いアプリは2週間でアクティブ率が20%くらいまで落ちる。一旦落ちたアプリは自力で復活は困難、落ちて行くのみ。それまでに新作が出せたら、相乗効果で一瞬10%くらいは回復します。
自社広告による送客
トップ画面よりゲーム結果画面に配置
自社広告の設置場所としては、トップ画面よりもゲームの得点などが表示される結果画面(リザルト画面)に配置したほうがクリック率は高い。
実際にMarnishiのアプリで検証ところ、CTRが0.2%⇒0.5%と送客効果が2.5倍にあがった事例も。
(画像:iPhonePLUSより)
ジャンルはピンポイントで揃えること。
例えば、アクションゲーム⇒放置ゲームへの自社アプリからの送客はほとんど効果がない。「ジャンルの違い」というのは想像以上に高い壁があるので、同じゲームとはいえジャンルはピンポイントで揃えるのが吉。
これは今まで多くの周りの開発者にも聞いてみたが、間違いないはず。
新作アプリは目立たせて誘導する。
新作アプリなど、特に送客したいアプリについては目立たせて広告を配置することで、ユーザーをより多く送ることが出来る。
“NEW”とつけて広告を目立つ位置にピックアップして置くことで、CTR0.3%⇒0.6%に向上。
(画像:iPhonePLUSより)
特に新規リリース時は、初期のAppStoreのカテゴリランキングを伸ばすことが重要なので、できるだけユーザーを送り込んだほうがいい。
カテゴリーランキングに入るだけでも知られる機会は極端に増え、逆に入らないと伸びません。ランキングが伸びた分だけ集客効果があり、次のアプリへの集客にも影響します。
質問コーナー
Q、Marnishiのアプリは自社広告からの送客の割合はどのくらい?
全体の5%くらいのユーザーが自社アプリの広告経由からです。
Q、放置ゲームのDAUはどのくらい?
最近だした放置ゲームでいうと、ダウンロードが10,000程度で、DAUが8,000ほど。カジュアルアクションなどに比べて放置ゲームはかなりアクティブ率が高いジャンル。
Q、放置ゲームのeCPMはどのくらい?
うちの放置ゲームの場合、eCPMは100〜200円、インターステシャル広告に限ると、eCPM2000~3000円。
Q、カジュアルゲームで個人で生きていくには、最低で月に何本ペースで平均ダウンロード数あればいい?
カジュアルでも1万ダウンロードはほしいですね、それで月2本以上。リリース後のタイミングだけでも、カテゴリーランキングに常に入れるようになるとかなり変わってきます。
Q、1年前にだしたカジュアルゲームとかはどうしているか、アップデートすることある?
基本的には放置していますが、反応の良いものだけをメンテナンスしますね。基本的には、新しい発想で作り直す方が良いと思います。
Q、開発時間や企画の時間は一日のスケジュールでいうとどのくらい?
基本的に、寝ている以外は企画を考えたり開発業務を行っています。売れてないのにゴロゴロしていて儲かるわけが無いんですね、当たり前ですが。
新作アプリを出す事が最高のプロモーションと考えていますので、ユーザー数のベースを上げる為にはスピードが大事。
また開発を繰り返す事でノウハウを身につけ、次に次にと投映していきます。プロモーションや広告最適化も含め、全て同時進行で改善する毎日です。
Appbank felloとは
開発者支援ツール+全画面インタースティシャル型の広告ネットワーク。Appbankでアプリが紹介されるAppbankプラスや、プッシュ通知などの開発サポートツールを無料で使用可能。
AppBankプラス
Appbank上でアプリが紹介されるサービス。Appbank felloのSDKを導入して、リリースしたアプリに関しては適用される。
【iPhoneアプリの場合】
・お昼のアプリ無料セール情報に掲載
・AppBankのアプリ内の「ただいま無料[PR]」に掲載
・最もつかわれている無料アプリランキング50に掲載
【Androidアプリの場合】
・Androidアプリ「最も使われている無料アプリランキング50 」内の「注目の無料アプリ」に掲載。
平均500-1000DLくらいのダウンロードにつながる。(アプリによって数値はばらつきあり)
プッシュ通知
SDKの設置だけでプッシュ通知を実装可能。10日間起動していないユーザーだけにプッシュ通知を送信したり、何人が開いてくれたかの開封率も管理画面から見れる。
プッシュ通知の開封率が10%以上になっていた時間帯を収益したグラフ。朝8時、昼14時、夜の10時がプッシュ通知の効率が良い。90%以上のプッシュ通知は開封率が10%未満である。
(※補足:アプリ、プッシュ通知の文言や種類はバラバラの統計とのことなので参考値。)
ゲームによってアクティブ率・継続率は様々
たったの14日で継続率が10%以下になってしまうゲームもある一方で、継続率が20%を超えているゲームも存在している。ゲーム自体が面白いということが大前提だが、プッシュ通知などの仕組みで、こちらからアプリの起動を促すことも大事。
広告ネットワーク
(AppbankFello利用ユーザーで)eCPMの平均値が高いジャンルはカジュアルゲーム。カジュアルの平均eCPMは309円、ツールは172円、コミックも243円と高め。カジュアルの中でも細分化するとパズルが398円、アクションが329円。
(※補足:インタースティシャルと通常バナーのeCPMは単純に比較できないのは注意。)
メディアA:カジュアルゲーム
メディアB:攻略系アプリ※
メディアC:脱出ゲーム
メディアD:パズルゲーム
※攻略系アプリのユーザーはゲームマニアが多く、ゲーム広告効果が低くなるためeCPMが低くなるよう。
ABテスト機能
広告を表示するユーザーと表示しないユーザーの比率を設定ができる。一部のユーザーだけに広告表示のテストをしてみて、アクティブ率やアンインストール率が上がらないかを検証することができるようになっている。
AppbankFelloはこちらから⇒https://appbank.fello.net/
Q1、お金のない個人開発者ができるプロモーション。
Marnishi中西:
アプリレビューサイトへのレビュー依頼が一番効果がある。横のつながりをつくってTwitterでシェアしてもらうのも意外にバカにならない。初期のランキングにも影響与える。
comecomecat中尾:
ゲーム内でユーザーの満足度が高いタイミングでユーザーレビューをお願いする。クリアしたとき、レベルアップしたとき、もっとレビューしませんか?とか、Android版の「王国の道具屋さん2」ではクリア時にユーザーレビューの依頼をつけるだけでレビュー数が5倍になった。
最近だした新作では、ツイートをすると課金アイテムと同じ効果がもらえる仕様にしたところ、今までだしたどのアプリよりもツイート数が伸びた。
Q2、ちゃんとしたアプリをつくるのは個人だと厳しい、少ない資金でアプリをつくるとしたらどんなアプリで勝てますか?
Marnishi中西:
特に資金をかける必要はないとおもう。今だと脱出ゲームはランキングが伸びやすい。(前提としてクオリティは必要)
ただ、脱出ゲームは誤クリックもでやすく、広告収益の単価はそれほど高くない。
comecomecat中尾:
ひとつのジャンルに特化したほうがいい。「このジャンルといえばこの開発者」となったほうが、ノウハウも蓄積されるし、ファンもつきやすくブランディングしやすい。
Q3、最初からアプリを完全につくったほうがいい?アップデートで追加していったほうがいい?
Marnishi中西:
うちはリリース時のクオリティは徹底して上げるようにしている。
最初にくじけると、うまくいかないパターンが多いため、納得いかない部分があるなら、セルフリジェクトしてでもつくりなおすべき。反応が良かったらアップデートをかけていくのはもちろん良いこと。
comecomecat赤羽:
100万DLの「脳力+支払い技術検定」は一気にヒットしたわけではなくて、実は、最初の1ヶ月は鳴かず飛ばずだった。
ちょうどリリース1ヶ月後にアップデートして急に伸びていった。理由はアイコンを変えたというのが大きい。アップデートした結果ランキングが伸びることも十分ありえる。
mao(Appbank):
リリース時には、納得いくものをだしている。Appbankのアプリは、見た目を特に大事にしている。リリース時に記事などで告知するときに、「このアプリの見た目が好き、使ってみたい」と思わせたい。
アップデートに関しては、大幅な見た目の変更は行わず、「こんな機能がプラスであったらいいな」というコアな機能を補足するものを入れる。
rakuishi(Appbank):
プライベートでユーティリティアプリを7本くらいだしている。アップデート後にランキングが伸びることもある。
ユーザーから要望にあった機能を追加すると、「この機能追加してくれてありがとう」とツイートしてくれたり、ブログで書いてくれることがある。
Q4、アプリ開発にどのくらいの時間をかけていますか?
中西:
2週間くらい。簡単なカジュアルアクションは3日でつくることもある。(企画を考えている時間もあるので、あくまで開発に手をつけてからという意味。)
時間を短縮するためにやっていることとしては、まず基礎のテンプレートをつくって、後から使い回せるようにしている。
mao(Appbank):
ゲーム攻略系アプリは1ヶ月半。マックスむらいのアプリは1ヶ月くらい(iPhoneとAndroidで開発者一人ずつ)。
Q5、Appbankの「もっとも使われている無料アプリランキング」にランクインしたい、どのくらいのPVが必要なの?
Appbank:
PVだけではなく指標はいろいろあって、(Appbank networkの)広告表示数もそうだが、広告のクリック数、CTR(誤クリックが多いなどはだめ)など。
なので、単純に広告のリロード間隔を短くするだけで、広告の表示数を伸ばせば有利になるということはない。
ひとつお伝えできることとしては、新しく「Appbankネットワーク」に参加してくれた開発者のアプリに関しては、初回だけ、係数をかけてランキングに載りやすいよう、多少優遇している。
取材協力:Appbank株式会社、ユニコン株式会社、Marnishi、Come-Come Cat
編集後記
放置ゲームが1ダウンロードmax50円も出ることに驚き。あと放置ゲームつくるときは、課金メニューを入れるのと階段式メニューにするノウハウは「49人目の少女」でも同様だったし鉄板みたい。
Marnishi中西さんはストイックだった。Appbankさんって攻略アプリとかも結構つくっているのね。