11/7に東京(渋谷)で開催された、
CAメディアコンソーシアムさん主催のセミナー「Developer Night! ~無料アプリの“今”と“未来”~」に参加しました。
サイバーエージェント系のセミナー記事が2日続いておりますが、これはたまたまです。
本記事では参考になったポイントをまとめたいと思います。
mobageでどのようなプロモーションをやっているか、
広告費が高くてもだしたくなる広告枠などについてお話いただきました。
mobage側(広告主)の視点でのお話になっていますので、
「広告を出稿する側はこんなこと考えてるんだ」という目線でご覧ください。
※スライドの色が黄色いのは機器の不具合です。
mobageの広告費について
直近のデジタルプロモーション(ADNW、Facebookなどを中心)は90%以上スマホ。
広告の種類としてはバナータイプに50%以上広告費をかけている。
ブラウザゲームとアプリは半々くらいの割合で予算を割いている。
なぜバナーに多く出稿しているか?
1、メディアの属性によってターゲットが明確化できる
ゲームサイトだったらゲーム好きが見に来る。
ゲーム攻略サイトゲームで言うと課金をするユーザー。
2、効果の良いメディアのPDCA回せる
効果の良いメディアに予算を増やし、効果悪いメディアは辞められるれる。
ここに命をかけてやっている。
3、競合が多いから
競合が多いから、検索広告などのプル型だけでは会員は増えない。
他の競合サービスとmobageがどう違うのかというプッシュのアプローチをする必要がある。
バナーに出稿する際のイメージ
ある程度、ユーザー属性のきれた媒体を100くらいみつけて均等に配信。
しばらくするとユーザー獲得できている媒体と、そうでない媒体がわかる。
良い媒体に予算をかける。良い媒体では競合同士での入札合戦がはじまる。
ちなみに、FFのゲームのバナーは、
FFの世界観を出すときにバトルシーンをだしてあげると効果が良い。
バナー出稿で何を見ているのか?
1、CPI
CPI=クリック率とCVで決まる。
2、LTV
LTVの高いユーザーがいるメディアを見つける。
これは出すまでわからないのでとりあえず出して効果を検証する。
LTVは「ライフ・タイム・バリュー」、1人のユーザーがどのくらいお金使うのかっていう意味。
化粧品とか健康食品とかリピート性が高いビジネスだとLTVが高くなる。LTVってかなりコアな用語だと思うけどみんな知っているのかな?
効果の良い媒体悪い媒体
(mobageで)効果が良い媒体
ゲーム攻略媒体
ゲーム情報を能動的に求めているから。
攻略サイトを見に来る人というのは相当ゲームにのめり込んでいる人。
そこにゲームの広告を出してあげると、ユーザーが流れて来る可能性が高い。
カジュアルゲーム
CPIは低くとれるが、LTVは高くない。
カジュアルゲームユーザーは同じゲームを長く遊ばない。
mobageのゲームは1〜2年単位で同じゲームをやる人が多いので、
カジュアルゲームからのユーザーを連れてくるとLTVが低くなることがある。
ただ、CPIは安くとれるのでバランス次第。
攻略サイト見る人はやっぱゲーム好きだよね。
一方、カジュアルゲーユーザーはDLしてくれるけど、ライトユーザーだから飽きっぽいよね!と。
(mobageで)効果の悪い媒体
ユーテリティ系の媒体
例:電車の行き先を探す(目的意識をもっている、暇じゃなくサイトはゲームに振り向かない)
ブログ系媒体
例:女性が多いブログ(mobageは男性ユーザーが多い、女性系ブログはLTVが低くなる傾向)
乗り換え案内を調べてるような忙しい時にはゲームの広告に目が行きにくい。こういうユーザーのシチュエーションとか心理状況を考えるっていうのは重要な視点だと思う。
ムダクリックを誘発させる枠配置
「戻る」ボタンを押せない小さいアプリ、誤クリックが多くてCVしにくい。
効果を見ている広告主は気づいてストップ対象にする。
ここは勘違いしがちだけれど、誤クリック狙いの配置は結局損するから本当にやめたほうが良い。
ユーザーの満足度やストレスを代償に収益に変えていくような行為なので、もうすぐ地球が滅ばない限りナンセンス。Google adsense(GoogleのWEBサイトのアドネットワークみたいなもの)のガイドラインをみても、
ウェブサイトになじみすぎて広告とコンテンツの区別がつかなくなることは、ウェブサイトを
訪れたユーザーに非常に不親切で不適切な誘導となります。
また、極端にコンテンツに溶け込んだ広告は、かえって読みにくくなり、広告もコンテンツも読まれなくなってしまうことでしょう。
と書いてある。
ちゃんとコンテンツと広告は切り分けるのが良い。
他にもGoogle adsenseのガイドブックには、
・ブログやニュースでは記事下が最も効果的
・メニューやカテゴリの前後への配置も効果的
・フッターの下は効果が低い
などいろいろ書いてあるので読んでみると勉強になるかもです。
(WEBサイトをベースにしているけど、アプリにも通じるところは結構あると思う)
広告費が高くてもだしたくなるメディア
CPIとLTVのバランス。
CPIがどうやったらよくなるかというと「広告の枠の場所」が適切。
誤クリックじゃない能動的なクリックが前提。
LTV以外にもいろんな指標をみている。
ゲームを当日遊んでくれて、3日後も同じゲームを遊んでくれているかも見ている、
そこの確率が低いと課金率が落ちるので、どういう質のユーザーがいるのかをすごく見ている。
「ゲームリスト」は効果が良い。
例えば、AMoAdのアプリプロモーションは効果が良い、CVRが高い。
「ゲーム特集」のようなバナーを踏んでからくるので、ある程度ゲームに興味が有る人。
ゲームユーザーが多くいる媒体
攻略サイト、2ちゃんねる系(攻略スレッドがある)、
メディアの中にゲーム特集が組まれている。
QAコーナー
ツール系がゲームユーザーの獲得には難しいとのことだが、例外的に効果がある場合は?
電池を長持ちするアプリとかは効果が良かったです。
「この広告の配置のアプリは効果が良い」という広告枠は?
コンテンツと広告の境界線が見える広告配置。
広告の種類にも、
それぞれ特徴がある。
・レクタングル
320×50より訴求力があるので、クリックするときにゲームの理解力が高い。
よりユーザーがアクティブになりやすい。
・アイコン
情報が少ないので、ゲームの理解が薄いまま来る。けれどアイコンはCPIが低い。
「クリックの先の効果まで広告主はちゃんと見ている」ということは媒体側(アプリに広告を表示する側)としては忘れてはいけないよね。広告主が見ている以外にも、アドネットワーク側のシステム精度も上がっていくだろうし、つまり効果のでてない媒体は単価下げられるというのは当然の流れ。
まさに「アプリ工場」。おもしろカジュアルゲームを産業革命のごとくリリースしているグッディアさんに、
シロクの向山さんが質問をするというパート。シロクはプッシュ通知解析サービスなどをやっている会社。
ちなみに、本記事のタイトルにもなっている「アプリ工場」というフレーズは、
Goodiaさんのオフィシャルページからとりました。
Q、Goodiaについて
ユーザー比率:iOS60%、Android40%
アプリタイトル数:130アプリ(iOS70%、Android30%)
※Androidは参入が今年に入ってから。最初iOS中心だった。
一番DLされたアプリ:レジの達人
一番DLされたシリーズ物:鬼シリーズ、イライラシリーズ。
Q、レジの達人はなぜヒットした?
ノンプロモーションでリリース2日で1位になった。
自社アプリからの誘導も当時は出来なかったので、本当に何もしていない。
2012年の3月くらいにリリースした。
個人系カジュアルアプリがそのときがバブルだった。
人に言いたくなるネタ的なカジュアルゲームはすぐランキング上にいけた。
Q、ぱっとしなかったアプリは?
ヒーローのようなキャラクターのゲーム、
「なんとかマン」シリーズは失敗だった。
敗因としては、
Goodiaのユーザーはガッツり系ではなくて非ゲーマー層が多いので、
そこに対して「もろゲーム!」みたいなグラフィックは受け入れられなかった。
簡単そうにみえるアプリのほうが受け入れられるのかなと。
Q、Goodiaのチーム体制は?
開発が20名ちょっと。
デザイナー6:プログラマ4。
アプリは週2本リリースしている。
プログラマ1人がアプリを1本つくって、
それに対してデザイナーがデザインを提供しているイメージ。
今までの資産、テンプレ化したものが基盤になっているので、
昔よりクオリティ高く短期間でリリースようになっている。
Q、プロモーションの流れは?
1、自社アプリのユーザーにアプローチする
アプリ起動時のポップアップ、自社広告枠、アプリ一覧のウォール、
そしてエンディングのときにgifアニメででてくる広告、これはパフォーマンスが良い。
タイトルポップアップよりはエンディングのほうが効果いい。
2、ブースト系
今なかなか上位には入れない。
2〜3万DLブーストかけるというよりは、数千DL確保して25位以内付近にあげて、あとはアプリの内容おもしろさで勝負するイメージ。
Q、ブースト広告以外は?
やってない。
過去はいろいろ試したがいまいちだった。
カジュアルゲームなので出稿が難しい。
ヒマな人は「ヒマだから」ランキングを見るはず。
だからランキングが一番プロモーションできる場所だと思っている。
Q、ASO・レビューサイトへの申請・プレスリリースは?
プレスリリースはうっている、
レビューサイトは週2本ペースでつくっているので全く送れていない。
Q、タイトル画面とアプリ中の広告は?
理想としては、ゲーム内の広告は全くナシにしたい。
ゲーム前とゲーム後で収益化できるのがいいなと考えている。
Q、マネタイズする上で広告種類はどのくらい
ウォール、バナー、スプラッシュ、アイコンの4つ。
SDKは15個くらい入れている。
Q、広告の種類別の売上の割合は?
一時期、ウォール・アイコンタイプが出始めたときは効果が良かった。
その時は、ウォール・アイコンが売上の6割くらいを占めていた。
ウォールタイプとアイコン・バナーで最近は半々くらいになっている。
効果があったのはウォールとスプラッシュ。
だんだんユーザーが見慣れてくるとパフォーマンスが落ちてくるので、
見せ方をいろいろ変えている、やはり変えた後は収益性が高くなる。
Goodiaさんはブーストやっていたのか!それが一番びっくりしました。最初の着火だけするイメージなのだろうけど、カジュアルゲームの無料モデルでブースト広告うって取り返すって結構スゴイことだと思う。
すごく簡単に紹介をさせていただくと、
エムジェイガレイジは「江頭ジャマだカメラ」、ハロは「ボケて」、
ユナイテッドは「cocoPPa」、アプリカは「ホモォいじり」の会社です。
この4社、アプリ界のトップランカーがパネルディスカッション形式に質問に回答するというパート。
本記事では印象的なQAをピックアップしてお送りします。
Q、企画案を実際にアプリ化するかどうかの判断ポイントは?
副島:
例えばホモオいじり、
本屋にはBL(ボーイズラブ)のコーナーがある。けれどコミュニティがない。
そういった市場はチャンスがある。
カジュアルゲームをペラ1で企画する「ペラコン」という企画会議をよくやるが、
30秒で考えて100万DLいくものもあれば、あれだけ考えたのに・・・というのもある。
イセ:
3つ判断基準がある。
1、100万人が使うかどうか?
2、自分がつくる意味があるか?
3、不確定なところが残っているか、当たるかどうかわからないくらいが良い。
Q、これは失敗だったなというアプリ、エピソード
副島:
某国民的アイドルが坊主になった時に、
「坊主カメラ」というアプリをつくったところバズってヤフーニュースに載った。
しかし、株主から怒られた、
大人としてなんでもやっていい訳ではないなとかんじた。笑
石切山:
「江頭アプリ」シリーズは、中途半端なものだすとファンの反応が怖い。
ファンは「江頭さんのポーズと声」を望んでいるのでそれに注力するようにしている。
Q、ユーザーの声を集めたりはする?
千島:
レビューはもちろん、
TwitterやFacebookもチェックして直接連絡することもある。
Q、今後流行るアプリのジャンルは?
千島:
メルカリなどのスマホのCtoCコマース。
イセ:
女性向けアプリがまだ少ないので、女の子が使うもの。
石切山:
「江頭さん」や「うまいぼう」のアプリは実は女性ユーザーが多い。
「江頭カメラ」は女性が使ってバズっていた。
女子中高生に流行らないとヒットしないのではないか。
千島:
ココッパも実は99%が女性ユーザー。
マネタイズしづらいというのが課題。
Q、会社の中で部長に決定権があって面白い企画が通りにくい。社内でどのように企画を進めていけば良いか?(会場からの質問)
イセ:
企画がつまらないか、情熱足りないかの可能性も。
プロトタイプを勝手につくってしまうという方法もある。
副島:
稟議を通しやすい企画を書いたり、
モックをつくって「ココが面白いんです!」と訴えるのが早いのでは。
千島:
弊社はチーム5人の中で意思決定がなされたらやろうとなる。
このパートのゲストは経験豊富で実力のある方ばかりだけれど、パネルディスカッション形式になるとどうしても短い回答になってしまうのがちょっともったいない気がした。一人一人掘り下げて話が聞けたら、もっと面白い話がきけるはず。「坊主カメラ」の話はおもしろい、その株主はAKBのあの子のファンだったのだろか。
mobageでさえ完全にガラケーは下火な状況のようだ。