アプリストア内検索調査ツール「AppSEO」を運営されている、
スターガレージの杉山さんに、ASOについてのお話をうかがいました。
ASOというのは、AppStore Search Optimizationの略で、
SEOのアプリ版みたいなもので、
適切なキーワードで検索されたときに、
自分のアプリがでてくるようにしましょうという施策です。
今回は、AppStore(iOS)のASOのお話です。
読み方はASO(エーエスオー)です。アソーではありません。
ASO全般について
ASO施策は必須ですか?
必要なユーザーが検索でみつけられる導線を、
最低限確保しておくという意味で必須です。
アプリって、リリース直後だけ数1,000DLいくけど、
数ヶ月後には、「今日は0DLだった」ってあり得る話じゃないですか、
ASOを施策しておけば、
少しずつでもずっとDLが入り続けるし、
コスト自体がかからないので、
お金のないスタートアップでも対策が可能です。
ASOで重要な要素は何でしょうか?
タイトルと(itunes)キーワードです。
レビューの★の数も影響しているみたいですが、
星が多ければいいかというとそうではないので、
仮にお金を払ってレビューを書いてもらっても検索順位は上がらないかと。
それと、ASOというと「すごい大量にDL数が稼げる施策」というイメージがあるかもしれないが、
そうではなくて、「基本的にやっておくべき施策」のひとつ。
ユーザーにとっても親切です。
例えば、ある日テレビで紹介されることになったとして、
「ひらがなでひっかからない!」という事態になったときに、
キーワードを変更しようとすると、
Appleの審査が2週間くらいかかるので、
「審査待っている間にテレビ放送が終わってしまった」
みたいに、意外に笑えないものも多い。
最初からやっておくべきです。
タイトルとitunesキーワードの重要度は?
両方とも重み付けとしては同じくらい。
それと、紹介文の重みは軽くなっている気がしている。
実験的に、アプリの紹介文の末尾に、
ひらがな・カタカナ表記を入れてみたことがあったのですが、
結局、1週間待って検索にはひっかからなかった。
よく考えると、紹介文は審査が要らない箇所なので、
やはり影響がないのではないかと考えています。
ASO施策によって獲得したDL数はどのように計測すればいい?
直接の計測はできないので、
ABテストの要領でキーワードを変えていってDLの増減を計測します。
広告経由でのDL数がわかる場合は、
全体からの引き算で出すようにします。
検索が上がるタイミングはどのタイミング?
ASO施策をうった直後ですね、翌日とか。
圏外⇒5位のようなランクアップもありえます。
それと実は、DL数が増えると検索順位も上がるので、
例えば、広告かけている間はASOもブースト状態になるんです。
ランキングと同様に、
キーワードの検索順位にもスパイクができるアプリがあります。
このスパイクのタイミングは、
テレビとかレビューサイトで紹介されたタイミングで出来ていて、
DL数が増えた日に、キーワードの検索順位も上がっています。
ただAppStoreの通常ランキングと一緒で、
貯金がきかないので翌日には戻っていると。
検索結果はどのくらいの順位にまで入っておくべき?
25位以上のキーワードを見ておけば良いと思います、
ビッグワードであっても300位に入ったところで誰もみないですし。
リジェクトについて
アプリのジャンルによってもASO相性はありますか?
やはり、カジュアルゲームとは相性が悪いですね。
カジュアルゲーの最大のキーワードは「ヒマ」ですが競合が多すぎる。
「ホモォ」「アルパカ」などヒットアプリの一部をいれている会社もありますが、
本質から外れていますし、Appleの規約上でもリジェクト対象になりますね。
他にはどんなリジェクト有りますか?
一般名称のリジェクトもあります。
例えば、「数独」は登録商標ワードなので、
キーワードに含めるとリジェクト対象になります。
一方「ナンプレ」は商標じゃないので問題なかったり。
他にも「雑誌名」をキーワードに入れて、
リジェクトされたケースもあります。
事前に登録商標かどうか調べるようにしたほうがいいです。
方法としては、wikipediaや登録商標データベースで調べると良いかと思います。
あとは、©(コピーライト)が入っているか、
AppStoreで既にアプリタイトルが登録されていないか?、
あたりは確認したほうがいいかもしれないです。
リジェクトされるタイミングは?再審査のときが多い?
いきなり来ますね。
ただ、リジェクトの理由がある程度書いてあるので原因はわかります。
「キーワードがまずいよ」「タイトルにキーワード入れたらだめよ」とか。
過剰にキーワード入れちゃダメってことでしょうか?
Appleのスタンスとしては「タイトルはタイトル」。
サブタイトルも何もない。
パズドラだったら、
「パズル&ドラゴンズ」だけという形を望んでいる。
どうしてもASOをやろうとすると、
「パズル&ドラゴンズ-誰もが楽しめる簡単なパズルゲーム」
みたいな感じで書くのですが、
そこが担当者によってはリジェクトされてしまっているようです。
これは推測ですが、審査担当によって基準が微妙に違う、
という実態もあるのかもしれません。
意外にリジェクトされる時期が集中するんです。
連続で2~3件お客さんのアプリがリジェクトされたり、
翌週は、まったく無かったり。
リジェクトされた場合は、単純に再審査すれば良いのですよね?
そうです。
なので、最初の審査の時は、
アプリ名にキーワードを盛り込んで約110文字(225バイトまで入力可能)くらい使うように書く。
Appleからみて明らかに長すぎるという理由でリジェクトされるときもあるが、
ダメだったら、50文字のサブタイトルに削減するという手順でやっています。
ASOの効果について
効果はやはりあるのでしょうか?
効果はありますね。
私自身も創業前に無料でテスト的にコンサルをやらせてもらっていたときは、
本当にアプリストアで、キーワードで検索されるのか?と思っていた。
しかし結果的に、キーワードを洗い出して設定することで、
DLが増えるということがわかって、そこから仕事としてやりはじめた。
具体的にASOで効果が出た事例を教えていただけますか?
あるレシピアプリの事例で、
結果的にデイリーのDLが4倍に増えた例があります。
具体的には、
私がコンサルティングに入った時は、itunesキーワードの設定が適当な状態でした。
タイトルがそのまま入っていたり、100バイト入れられるのに5単語くらいしか入っていなかったので、
まず、キーワードを洗い出して設定しました。
その時のキーワードはどのように設定したのでしょうか?
最初に、アプリの担当者とブレストをして
アプリを使うユーザー(ペルソナ)がどういうキーワードで検索するか?
ということを考えました。
例えば、一人暮らしのOLさんがターゲットユーザーの、
レシピアプリだとします。
「会社が終わってから帰って料理を自分でつくるのめんどくさい。
レトルトでつくれないかな?」
そんなときに使ってもらいたいアプリだとすると、
「レトルト」「コンビニ」「ドラッグストア」
などのキーワードが出てきますので、それを設定します。
これって普通に考えると直接的には、
アプリに関係なさそうなキーワードですが、
結果的にDL数が上がりました。
この話は意外だった。アプリと直接は関係ないけど「間接的にそのユーザー層が検索しそうなキーワードを設定する」というのも効果が出るケースもあるようだ。これはApple的には問題ないのかな。
レシピアプリだったらシーズンごとに変えるとかはどうでしょう?冬は鍋とか。
そうですね。
時期によって検索されるキーワードがちがってくると思います。
今年の2月、急速に「レシピ」というキーワードで明治のアプリが上がった。
いまも上がってますね、4位です。
「レシピアプリ」っていっぱいありますが、
バレンタインのときは手作りチョコレシピとかがDLされるということ。
今も上がっているからなんともいえないけど、
DL数が伸びることでキーワード順位が上がることもある。
レシピアプリだったら冬は「鍋」「すき焼き」みたいな、
キーワードを入れておくのも面白いかもしれません。
(AppStoreでどの程度検索されるかわかりませんが)試しに「鍋」でAppStoreで検索してみたところ、
「キューピー3分クッキング」のレシピアプリがひっかかりました。
「すき焼き」はノーヒット。もしかしたら穴場かも(?)
例えば、レシピアプリなら季節ものの食べ物名、
カメラアプリは、季節イベント(ハロウィン、クリスマスなど)
シーズンによって需要の高まるキーワードを変更するのは有りな気がします。
(もちろんアプリの中に対応するコンテンツを入れた上で)
他には、効果事例はありますか?
会話型のシミュレーションゲームで、
デイリー1500DLが、デイリー1700DLになったアプリがあります。
選択肢をえらんでストーリーが進んでいくようなゲームです。
APPSEOについて
APPSEOについて教えてくれますか?
APPSEOは「アプリの生存率を高める」というのを、
コンセプトにつくったサービスです。
APPSEO:http://apps-seo.com/(※ツールは有料)
キーワードごとのランキングをチェックできたり、
競合アプリを探す機能(現在テスト版)もあります。
これはキーワードで、その順位ベースでひもづけているので、
キーワードの選定にもつかえます。
AppSEO内のデータベースを使って、
「競合アプリがどんなキーワードで300位以内にランキングされているか?」も調べられるので、
これを使いながらキーワードを増やす方法もあります。(※注:この機能は現在、準備中とのこと。)
実はこのサービスを作る前にアプリビジネスをやっている人に100人以上にヒアリングしたのですが、
アプリのプロモーションには「お金をかけたくない」「時間もかけたくない」」というニーズが強かった。
ほとんど手間をかけずに、
ダウンロードが入ってくるというのを実現したいですね。
まとめ
ありがとうございました。
ASOは1位2位じゃないと意味がない?「緊急地震速報」から学ぶAppStoreの検索結果クリック率という記事を以前に書きましたが、
アプリをAppStoreの検索で探す人も多いと思うので、
最低限のASOは行っておくのが好ましいと思います。
(効果が測定しづらいので手さぐりにはなってしまいますが)
本記事のまとめ
・ペルソナを設定して、ユーザーが検索しそうなキーワードを設定することでDL数UP。
・ASOにもブーストがかかる。リワード広告の前にはitunesキーワード等の設定の見直しが必要かも。
・ASOにて重要なのはタイトルとキーワード。
・デイリーDL数が4倍になった事例も。
・登録商標ワード、競合アプリ名はNG。
・キーワード入りのサブタイトルを入れるとリジェクトされることも。
YouTubeの場合
上の画像は、youtubeのAppStoreの説明文(ディスクリプション)です。
説明文に「動画」というキーワードが何回か入っていますが、
「動画」で検索しても全然ひっかかりません。
そして、youtubeはアプリ名、itunesキーワード(たぶん)に、
「動画」というキーワードを入れていない。
総合力で考えると、youtubeが「動画」というキーワードで1位にふさわしいはずで、
説明文の中のキーワードがアプリと関連性があっても影響していない状況を考えると、
影響が薄いというよりは、影響なし(無視されている)というのに近いと感じます。
パズドラの場合
こちらはパズドラのAppStoreの説明文(ディスクリプション)
「モンスター」というキーワードはパズドラのアプリとも関連性が深いキーワードですが、
「モンスター」で検索しても全然ひっかからないです。
売上やDL数が圧倒的なパズドラであってもこうなので、
これは説明文内のキーワードは「検索順位に影響なし」で間違いないと思います。