※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2022年3月30日)数値などは取材当時のものです。
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カジュアル面談プラットフォーム「Meety」さんを取材しました。
※株式会社Meety 代表取締役 中村 拓哉さん。3児の父。はじめは2名で運営スタート。エンジニアと中村さんだけだったので、ビジネスサイドは全て1人で回していた。
Meety(ミーティー)について教えてください。
中村:
「カジュアル面談を”もっとカジュアル”に」をコンセプトに掲げるカジュアル面談プラットフォームです。2020年10月にリリース、現在の月間アクティブユーザー数(MAU)は7万人を突破しています。
月2,200件以上のマッチングがあり、「採用につながった」「雑談してたら副業が決まった」など、たくさんの出会いが生まれています。
候補者ファーストで、最も気軽に企業とのコミュニケーションがとれる、「キャリアのウィンドウショッピング」ができる場所を目指しています。
Meetyのユーザーはどう増えていったのか?
「サービスの立ち上げ期」にやったことを教えてください。
中村:
初期にやったのは「特集コンテンツ」でした。発信力が高くて誰もが「一度は話したい」と思える人にDMで声をかけて、特集を組んでいきました。
特集って登録ハードルが低いんです。「○○さんMeetyに登録してください」というよりも、「○○さんをスゴイ人として特集させてくれませんか?」とお願いするほうが、参加してもらいやすいと思うんですね。
それで、例えば「データサイエンティスト特集」のような、特集企画を月に2〜3本実施することで、初期のコンテンツを蓄積していきました。
その状態で、Meetyに訪れたユーザーには、「こんなスゴイ人とカジュアル面談できるんだ!」というユーザー体験を提供できます。
このような形で、CtoCプラットフォームの、初期の「ニワトリタマゴ問題」を突破していきました。
※重要なのは「わかりやすい実績」をつくることだった。ひとつ事例ができると「こんな感じでつくります」と伝えるだけでも、特集の承認率が上がっていった。
そこから、ユーザー数が「伸びるキッカケ」になったのは、どのような施策だったのでしょう?
中村:
成長の起点になったのは、Meetyに会社のページをつくって、ひとつの会社を特集する「ウラ凸」をはじめたことでした。
これは窓口を用意していなかったのに、企業からのDMが殺到して、すぐに「3ヶ月後まで予約でいっぱい」という状態になってしまいました。
企業を特集することで、人数分のコンテンツがたくさん生まれて、それが社員の方に一斉にSNSでシェアされることで、SNSにMeetyのコンテンツが、だんだん溢れていくようになりました。
成功した要因は「リファラル採用」の文脈にうまくハマったことです。企業には「リファラル採用をしたい。でも現場を巻き込めていない」という課題があったんですね。
例えば、エンジニアは「コードを書きたい」と思っている。企業は「採用に力を貸してほしい」と思っている。そこをつなぐのが「ウラ凸」という企画だったのだと思います。
そして、掲載されると他の会社からの「あれ、うちの会社もやりたいです」という問い合わせが連鎖して、次々にコンテンツが生まれました。
初期のコアユーザーが「サービスの文化」をつくる
サービスの運営で「とくに初期に大事にしていたこと」があれば教えてもらえますか?
中村:
はじめは、非効率であっても「グロースしないことをやろう」と、ユーザーの方にサプライズを届けることを、地道に続けていました。
プラットフォームの雰囲気を形成するのは「初期のコアユーザー」です。
コアユーザーが、サービスの思想にあった「良いコンテンツ」を出してくれれば、それが次のユーザーにもラーニングされます。
コアユーザーへの丁寧な対応は、その後の「サービスの民度」にもすごく影響しますし、他の色々なところにも影響します。
例えば、アンケートの協力率、SNSのクチコミ数、応援したいと思ってくれる人の数。これらは「盛り上がってる感」の形成にもつながります。
僕はAirbnbというプロダクトが好きで、Airbnbのように候補者のほうを向いて、安心して使えるサービスを目指したい、と考えていました。
とくに、コロナ禍に生まれたサービスなので、人とのつながりが薄くなっていく中で、温かみを感じられるサービスに、絶対にしたいなと。
それもあって、Meetyのカラーも、採用サービスとしては異質な「ピンク」にしていて、温かさを感じられるように意識しました。
グロースサイクルに効いた「複数のユースケース」を持つ層
Meetyでは「どのような流れ」でユーザー数が増えているのでしょうか?
中村:
Meetyのグロースサイクルは、新しいコンテンツがつくられて、それがSNSやnoteでシェアされることで、会員登録が増えていく、というものです。
なので、出発点である「コンテンツ数」という指標を、どれだけ跳ねさせられるかが、会員登録や申し込みにも直結してきます。
どのような「ユーザー層」を集めると、ユーザー登録につながりましたか?
中村:
例えば、初期は「VC特集」というコンテンツが人気で、1日に数百件のカジュアル面談の申し込みが入って、登録ユーザーも伸びました。
VCの方って、利用用途がたくさんあるんです。投資先の採用支援をしたい、起業家を発掘したい、キャピタリストを採用したい、みたいな感じで。
用途が複数あるということは、コンテンツも複数つくられます。
エンジニアやプロダクトマネージャーもそうです。自社の採用もしたいし、雑談もしたいし、同業と情報交換もしたい。用途が複数あるんです。
「有名企業がつかってくれたこともグロースに貢献」
中村:
僕は、Speeeという会社で人事をやっていたのですが、Wantedlyを導入したキッカケになったのは「メルカリがやっていたから」だったんです。
メルカリさんは採用がうまくいっている。それなら僕らもやらないと。感度の高い「ロールモデル」に引っ張られてはじめたわけですね。
当時はWantedlyが流行りはじめた時期で、「こんなのスタートアップしかつかわないよ」と言われていましたが、今ではここまで浸透しています。
なので、そうした「有名企業からの着火を狙う」というのはポイントで、Meetyでも最初から意識していました。
Meetyの運営をしていて「意外だったこと」があれば教えてください。
中村:
Meetyで、たくさんの申し込みにつながったのは「データアナリスト特集」のような、専門性の高い特集だったことです。
なぜかというと、希少性の高い職種の方は、社内に相談できる方が少なく、悩みがあったときに「社外の同業者」に相談するためだと思います。
加えて、エンジニアなどの職種は「この言語の習熟度がこれくらい」など、比較的「課題の定量化」がしやすいんですよね。
そういう「課題の定量化」がしやすい職種って、SNSにコミュニティがあるんですよ。だから、そこでのバイラルがMeetyの反響につながるのかなと。
逆に営業のような職種だと、「この案件をどうクロージングすべきか」みたいな話は、ケースバイケースで、定量化しにくいのだと思います。
Meetyで「ユーザー体験」を改善できた事例があれば教えてください。
中村:
Meetyの申し込みボタンの文言を、「気になる」から「話したい」という形に変更したところ、マッチングの精度を高められました。
もともと、僕らは「気になる」を気軽に押してほしいと考えていましたが、ユーザーの声を聞くと、想像以上に真剣に考えてから「気になる」ボタンを押していました。
動作としては「ボタンを押す」だけですが、まずURLを保存して悩んでから後日ようやく申し込む、といった方がとても多かったんです。
やっぱり、自分のキャリアに関わることなので、ライトに決められないし、相手の時間も奪うからと、気持ち的には気軽に押せていなかった。
それを見て「一定の熱量」を持って、申し込んでいただくほうが、良いマッチングになると判断して、気軽にしすぎないようにしました。
具体的には、想いを伝えていただけるよう「話したい」というボタン文言に変えて、「何に興味があるのか」も選択する形式にしました。
これによって、申し込み率は変わらずに(徐々に上昇中)、お互いの動機を明確にすることができて、より「精度の高いマッチング」を演出することができたと、考えています。
Meetyを運営していて「意外な結果」になったデータがあれば教えてください。
中村:
意外な結果になったのは、社長のような「立場が上の人」だからといって、Meetyに「多くの申し込み」が入るわけではなかったことです。
企業目線だと、つい「弊社の代表が登場!」と言いたくなりますが、候補者目線での「申し込みしやすさ」を考えると、たしかに「偉い人」である必要ってないですよね。
例えば、転職1年目の方のほうが、「ぶっちゃけ入社してみてどうですか?」みたいな話も、聞きやすいと思うんですよ。
実際に、Meetyの特集でも、有名人がたくさん並んでいたにもかかわらず、外部への露出が少ない「若手の方」への申し込みが、1番多かったことがありました。
なので、やっぱり「候補者の目線」から考えてどうか、コミュニケーションとして適切なのかを、考えたほうがいいのだと思います。
最後に、中村さんがMeetyの事業戦略として「大事にしていること」を教えてください。
中村:
中長期で見たときに「何が競合優位性になりそうか」を考えています。
Meetyって「機能」はぶっちゃけ普通ですよね。ただのマッチングなので。もはや雰囲気でしかないけど、このような「雰囲気」は大切なんです。
僕らは、「このシーンならMeetyだよね」という利用用途の想起と、ここが「候補者にとって一番安心できる場所だよね」というブランド、これこそが最大の競合サービスへの障壁になると考えています。
あとは、人事の方からいただくのは「現場が楽しんで採用に協力してくれるようになった」という声なんですよ。リファラル採用が加速したと。
そういう体験ができると、それを止める必要ってないので、採用プロセスに食い込んでいく構造も、Meetyならではの崩しにくい価値だと思います。
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【取材協力】
株式会社Meety
Meety:https://meety.net/
CEO 中村さん:@3kkabi
【告知】Meetyを一度体験してみたい方、中村さんに「Meetyの現場の話」を聞いてみたい方は、下記ページより中村さんが「カジュアル面談」を設定してくれるそうです、ご興味あればぜひ。
https://meety.net/matches/rVHKXmvGOujD
※ 以降は、マニアックな事例を5つほどnote 購読者向けにまとめています。「企業内バイラル」の起点になった施策、KPI改善に貢献した「トップページの工夫」、などご興味あればご覧ください、などご興味あればご覧ください。
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