共同購入ではなく「シェア買い」40万DLのカウシェの口コミを促進したワーディングのこだわりと設計、アプリの成長に貢献した「グループ当選」の施策。

2022年07月18日 |

※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2022年1月17日) 数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/ne61ff7766a70

シェア買いアプリの「カウシェ」さんを取材しました。


株式会社カウシェ 取締役 COO 前本 航太さん

「カウシェ」について教えてください。

前本:
1人だと買い物できない「シェア買い」アプリです。友人や家族など2人以上で「シェア買い」することで、お得に商品を購入できます。

2020年の9月に公開して、2022年1月現在、アプリは40万ダウンロード。月の購入回数は平均3回、ユーザーの50%が翌週もリピートしています。


※中国で成長している共同購入ECの「Pinduoduo」のモデルを参考にしたそう

カウシェはどのように生まれたのか?

前本:
カウシェとしての事業アイディアが、固まったのは2020年の7月でした。

はじめは、Shopifyのアプリに「共同購入の機能」を持たせるものがあったので、WEB版を1週間くらいでつくってみたんですよ。

それで、わかりにくい点などを調査して、2ヶ月後にアプリを公開しました。売れるかわからないけど出してみよう。出して改善しようと。

はじめは「シェア買い」が出来るだけ。購入履歴や検索もない。共同購入が日本でウケるかわからない。そんな状態で公開しました。

商品は「食品飲料」に絞っていました。購入頻度が一定高くないと、一瞬でカウシェを忘れられてしまうので、そこも考慮してカテゴリを決めました。

想定ターゲットに「刺さるもの」を用意した

前本:
結論としては当たり前なのですが、「誰に」を想像しながら、「何がほしいのか」をヒアリングしながら整える。お客様が「ほしいもの」をちゃんと揃えたところ、売上が伸びていきました。

シェア買いの期限は「24時間」だったので、ストーリーの「24時間表示」や「募集の投稿ハードルの低さ」とも相性がよかったです。

言葉を「今っぽくキャッチー」にすることが大事だった

前本:
カウシェでの購入体験を「シェア買い」という言葉で、キャッチーに表現できたのは、振り返ってみるとよかったと考えています。

実は、リリース前は「共同購入」という言葉を使おうとしたのですが、調査してみると「共同購入」という言葉のイメージが、あまりよくないことに気づきました。

例えば、過去に「共同購入サービス」で悪い体験をしてしまった、ニュースなどで悪い印象が残っている、といったケースがあったんですね。

また、日本では生協さんの印象が強く、共同購入はまとめて1箇所に配送されて、個別にピックアップするもの、という印象がついていた。

それだと、カウシェの体験を表現できないし、印象としても「古いもの」になってしまう。そこで、なにか「新しい言葉」にスイッチしたほうがいいだろうと考えました。

前本:
そこで、「共同購入」を同じような意味で言い換えできないかなと、色々と考えているうちに、たどり着いたのが「シェア買い」だったんです。

キッカケは、コストコのファンが非公式に、コストコに大きな容量の商品を買いに行って、みんなで分けて帰ることを「シェア買い」と呼んでいると、知ったことでした。

それを見て、カウシェの体験にマッチしていて、響きも良いということで、そこから「カウシェでシェア買い」というワードが決まりました。

前本:
カウシェは「ユーザーの投稿」が大事なサービスです。なので、お客様が発しやすい言葉・掛けやすい言葉を、つかわないといけないと考えました。

そう考えたときに「共同購入しよう」だと、なんだか言いにくいですよね。それが「シェア買いしよう」だと、今っぽくなりますし音も良くなります。

不思議なことに「シェア買い」というワーディングに変えると、まったく違った存在のようにも感じます。

実際に、メディアさんにも「コロナ禍でオフラインの買い物ができない中『シェア買い』で新体験ができる」と、かなり取り上げていただきました。

これが「共同購入」だったら、そうならなかったかもしれません。やってることは一緒ですが、言葉から「新しさ」を感じにくいのだと思います。

リリース時からSNSシェア時に「#カウシェでシェア買い」というタグが入るようにもした

「シェア買い」をどのように普及させていったか?

前本:
カウシェの「ユーザー数の増加」に貢献したのは、毎週木曜日にやっている抽選のキャンペーンです。

これは「シェア買い」のフローを無料で体験していただいて、シェア買いに成功したグループから、抽選で10グループに商品(ハーゲンダッツなど)が当たるという企画です。

この施策の大きなメリットは、お得さへの「感度の高い人」に、カウシェでのシェア買いをまずは体験してもらえる、ということです。

そして、シェア買いを成功させて、抽選に参加するには「拡散」をしないといけないので、それを起点に必然的に「SNSでの口コミ」が増えて、新規ユーザーの増加にもつながります。

カウシェの最大の強みは「シェア買い」によるバイラルの仕掛けですが、最初はお客様が少ないと、バイラルのループが小さすぎるんですよ。

なので、最初にドカっと増やす仕掛けが必要でした。このループがどんどん大きくなることで、40万ダウンロードまで到達しました。

グループ単位の当選のほうが「会話と熱量が増える」

前本:
はじめは、「人単位」で当選するようにしていたのですが、途中から「グループ単位」で当選するようにしたところ、より盛り上がりを作れました。

グループ当選にしたほうが、当選したときに「当たった、やった!」という会話が起きて、コミュニケーションや喜びの総量が増えるためです。

人単位の当選だと、自分が当たっても他の人が当たったかわからないので、会話が発生しにくいんですよね。

実際にユーザーインタビューをすると、ご家族や保育園のママ友などの、「リアルな関係の人」とシェア買いをする方も多くて。

なので、グループ単位で当たるようにして、みんなで集まって喜びを共有できたほうが、体験として気持ち良いはずだ、と判断しました。

カウシェのユーザーが「ハマる心理」とはなにか?

前本:
ユーザーインタビューで見えてきた価値観としては、これは少し雑な括り方かもしれませんが、「時間よりもお金のほうが大切」という価値観です。

東京で働いていると「時間ってお金で買うものだよね」と考える人も多い気がしますが、これは日本全体からするとマイナーな意見かなと。

10分かけて遠いスーパーに行く。数十円でも安く野菜を買う。そうした行動をとる方はとても多く、これがマジョリティの感覚だと思います。

そして、話を聞いてわかってきたのは「お得な買い物をしている自分」に、自己肯定感を高く持っている方が多かったこと。

例えば「わたし、今日も節約上手だ」「いい買い物ができて気持ちがいい」こうした達成感に自己肯定感を感じていただける人が多く、これがカウシェとしての「継続のキー」にもなっていたんですよ。

つまり、シェア買いは「シェアしないと買えない」わけですが、この一手間を乗り越えて「お得をゲットすること」に満足を感じる人が多い。

もちろん「お得をゲットする」が主な目的なのですが、最初から安いのではなく、シェアするから安くなる。お得さを自分の力で手に入れる。これが、自己肯定感につながる買い物体験につながっていたんです。


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【取材協力】
株式会社カウシェ:https://about.kauche.com/
カウシェ:https://kauche.com/
COO 前本さん:@ktmaemoto

【告知】カウシェさんでは採用も募集中。エンジニア、PdM、事業開発など募集しています。日本発のシェア買いアプリの運営に可能性を感じた方は、下記のサイトよりどうぞ
https://enjoy-working.kauche.com/

※続きの、マニアックな話はnote購読者向けにまとめています。カウシェのGMV(売上)に貢献した施策、LINEコミュニティをつくるコツ、アプリの前に「WEB版」で検証した話、などご興味あればご覧ください。
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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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