60本つくって初ヒット。未経験から1年半で8,000万ダウンロード。ハイパーカジュアルの「New Story」が語る、広告費1万円から「雪だるま式」にアプリを伸ばした手法

2021年11月11日 |

※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです。
https://markelabo.com/n/n250d9b6b8503

ハイパーカジュアルで世界8,000万DL、New Storyさんにお話を伺いました。

※本記事はユニティ・テクノロジーズ・ジャパンより、依頼を受けて執筆したPR記事です。

※ 株式会社New Story CEO INさん(右)、TAKUさん(中央)、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン 森嶋 大樹さん(左)

New Storyさんについて教えてください。

IN:
2020年の3月に創業した会社です。世界に向けてハイパーカジュアルゲームを6名で開発していて、約500日で累計8,000万ダウンロードされています。

主なタイトルとしては、「Draw Happy Life」が3,000万ダウンロードで、Draw Happyシリーズが「全体の約70%」を占めています。

ハイパーカジュアルゲームは、最初は「どういう流れ」ではじめたのでしょうか?

IN:
僕らは、未経験からはじめたので、自社で全て用意するのは無理だと思い、はじめはパブリッシャーさんと組んでゲームを出そうとしました。

ところが、パブリッシャーさんから出してもらうには、継続率などの基準をクリアする必要があるのですが、審査に全然通らなかったんです。

もちろん実力不足でした。ただ「不合格」と結果が返ってきても、ユーザー体験も想像できないので、どうしていいかわからなくなってしまいました。

なるほど。そこからは何をしたのでしょうか?

3,000万DLのタイトルがどう生まれたか?

そこから、どのように「ヒットタイトル」が生まれていったのでしょうか。

IN:
数ヶ月間の「筋トレ」を続けていくうちに、あるとき「Draw Happy Life」という「描いて救うゲーム」が生まれました。

はじめはアイディアをメモに描いたんです。人が「暑い!」と言っていて、雲を描いたら太陽が隠れてハッピー、みたいな。

TAKU:
そのアイディアを検証するために、プロトタイプを経てアプリをつくって、テストで広告を出してみたら、ものすごく反応がよかったんです。

というのも、ユーザーがゲームを周回していたんですよ。最初は10ステージしかなかったにも関わらず、繰り返しあそぶユーザーが多かった。

10ステージ終わると、ループするようにしたのですが、平均15〜20ステージあそばれていて、ハマっていることがデータに表れていました。

ハイパーカジュアルって「多額の広告費」が必要だと思うのですが、どのように広告を出稿しましたか?

IN:
たしかに、ハイパーカジュアルは広告費用がかかります。数千万円〜数億円の広告費をかける点は、上位プレイヤーに共通しています。

僕らはどうしたかというと、はじめは1万円を広告に出して「さあどうなる」とやりました。そして「1,000円儲かった、やったね」みたいな。

それで、その1,000円をまた広告に出す。すると複利でだんだん大きくなる。これを繰り返して「雪だるま式」に伸ばしていきました。

基本は、この繰り返しで「Draw Happy Life」は3,000万ダウンロードまで到達しました。これは約60本目につくったアプリでした。

そこから「累計8,000万ダウンロード」に到達するまでに「ここは転換点だった」と思うことはありますか?

IN:
Draw Happyを「シリーズ化」したタイトルが伸びたことは、「これは事業が軌道にのったかも」と思えるキッカケになりました。

例えば、「Draw Happy Puzzle」は1,300万ダウンロード、「Draw Happy Police」は1,200万ダウンロードに到達しています。

描くというコンセプトはそのままに、テーマを変えたアプリを出すことで、違うユーザー層を捉えられたのだと思います。

また、他ジャンルが立ち上がって、一本で終わらずに「複数の売上の波」をつくれたことも、よかったと思っています。

例えば、放置系の「Idre Draw Earth」や、ミニゲームを集めたアソート系の「Prank Life」などがうまく伸びました。

ゲームの改善で見るべきポイント

改善するときに「よく見る指標」を教えてください。

IN:
各ステージのクリア率はよく見ますね。どのステージで離脱が起きているかを分析して、ドロップポイントを消していく感じです。

もし、前半に離脱率が高めのステージ、後半に離脱率が低めのステージがあったら、その二つを並び替えれば、離脱率が改善される可能性が高い。

このように、ステージの「削除や入れ替え」を繰り返すだけでも、継続率を大きく改善できるケースがあります。

あと、クリア率の高いステージは「ウケの良い広告」になる可能性があるので、広告に出して反応率をみると、良い広告をつくりやすいです。

初期の「広告の検証方法」はどのようなことを抑えるといいでしょうか?

IN:
初期の検証フェーズでは、「Unity Ads」がおすすめです。僕らも検証のときには「Unity Ads」を必ずつかいます。

なぜ検証に適しているかというと、初動がわかりやすいからです。1インストールのコストをコントロールしつつ、パッと検証ができます。

例えば、「予算1万円で1インストール30円で」と設定すると、30円でピクリともしないものがあったり、どーんと伸びるものが見つかります。

明らかに「伸びるアプリ」は手応えが違います。「Draw Happy Life」は、はじめのころから「費用対効果が2倍」になりました。

ポイントは、アメリカやiOSなどに限定せずに、全世界で配信することです。極端ですが、インストールあたり1円で出稿しても、新興国でユーザーが集まったりもしますね。

効果の高い「動画広告」をつくるコツはありますか?

IN:
広告をつくるときは、気になる(~0秒)→理解できる(〜3秒)→気持ちが動く(~30秒)、という3ステップを満たすことが大事だと思います。

これが実現できると、広告を最後までみる視聴完了率が高くなりやすくて、動画広告の効果も高くなると感じます。

IN:
「Draw Happy Life」では、プレイアブル広告(操作してあそべる広告)をつくったことも、ユーザー数が伸びるキッカケになりました。

通常の動画広告では、1日に広告費が「数万円分」しか広がらなかったのが、プレイアブル広告にしたら「数十万円分」は露出するようになりました。

改善するときの「優先度」はどう立てていますか?

TAKU:
やっぱり、インパクトの大きいところから、優先することが大事ですね。

具体的に、インパクトを測る方法としては、「接触の早さ×頻度の高さ」が重なるところから進めるのがいいと思います。

印象的な結果になった施策があれば教えてください。

IN:
Draw Happyシリーズの、ダウンロード数上位3タイトルは、すべてメインのキャラクターが、「金髪の美女」になっているんですよね。

過去10タイトル以上リリースしていますが、メインキャラが「金髪の美女」以外だと、アプリのダウンロード数がなぜか伸びなくて。

なので、アイコンをABテストしても、金髪の女性やハンバーガーのアイコンは、効果が高くなる傾向がデータとして出ています。

ハリウッド映画などで「金髪美女=セクシー」という印象がついていたり、人間の三大欲求に近いテーマは、効果が高いのかもしれません。

ABテストで「気をつけるべきポイント」はありますか?

TAKU:
アプリ内の、ABテストは「検証の速さ」も大事かなと思っています。

例えば、Firebaseの「Remote Config」という機能を使うと、毎回ストアのリリースを通さなくても、ABテストで改善サイクルが回せます。

ストアにリリースすると、2〜3日は最低かかりますが、ABテストを回すだけだったら、コンソール上で即日改善できて便利です。

ABテストは気軽にできるのもいいですね。必死に開発してリリースして結果が良くないと、精神的なダメージが大きいので。笑

世界に向けてアプリを出すときに「意識していること」を教えてください。

IN:
世界中の人に「伝わること」は意識していますね。New Storyのゲームに、よく絵文字が登場するのは「感情表現の共通記号」だからです。

絵文字はどの国の人のスマホにも入っていますよね。だから、アプリや広告でつかったときにも、「共通認識」が得られやすいんですよ。

アプリの改善で「成功/失敗」した5つの施策

1、アプリの「レビュー数」を2倍に伸ばした施策

IN:
Androidアプリの中で、ユーザーがレビューを直接かけるようにしたところ、Google Playのレビュー数が2倍くらいに増えました。

それまでは、一旦ストアに飛んでもらってから、レビューをつけてもらわないといけなかったのを、アプリ内から簡単にかけるように変更した感じです。

とにかく数が増えたのと、評価も若干上がったので、これはオススメです。

2、パフォーマンスを改善したら「収益性が1.2倍に」

TAKU:
「Idle Draw Earth」では、Androidアプリのパフォーマンスを改善した結果、大きく伸びるキッカケになりました。

アプリが固まる「応答なし」の発生率(ANR)を、1.3%から半分に改善したところ、1ユーザーあたりの売上が1.2倍になったんです。

世界にはとても利用者の多い、スペックが低めのAndroid端末でもアプリが落ちにくくなって、プレイ時間が伸びたのだと思います。

改善策としては、はじめに画像を読み込みすぎて、ゲームのロードが遅くなっていたので、ステージごとに分散して、読み込むようにしました。

3、ゲームを「リッチ化」したら数値が悪化した

IN:
画面がリッチになるほど、ユーザーは喜んでくれると思って、アニメーションをつけてみたら、むしろ反応が悪化してしまったんですよ。

例えば、ハートを動かしたり、汗をタラタラ垂らしたり、動きをつけてみたのですけど、反応がよくなかったので、結局やめてしまいました。

結果は残念でしたが、リッチ化が大事なのではなくて、本当にコアな体験を追求することが大切なのだと気づけました。

4、短時間で「たのしい瞬間」を増やすと継続する

IN:
ゲームの寿命を伸ばそうと、コンテンツを出し惜しみするよりも、短時間で「たのしい瞬間」を増やしたほうが、継続率は上がりやすいです。

例えば、問題を解くともらえるアイテムを、渡すタイミングを10問→5問に変更したところ、ユーザーの継続率が1%アップしました。

ハイパーカジュアルゲームは、電車移動や休憩など、5〜15分のスキマ時間であそばれるので、短期の「楽しさ・嬉しさ」が求められるのかなと。

5、「筋トレ期間」にやってよかった広告の分析

TAKU:
上位のアプリを見かけたら、Facebookの「広告ライブラリ」で検索して、広告クリエイティブを見ながら議論することです。

広告で訴求している内容と、ゲームの中身を比べたときに、「重なっているところ」と「重なっていないところ」をみると学びがあるんですよ。

重なっていた場合は、どこをゲームの「訴求ポイント」として打ち出しているかがわかるので、ゲームのつくり方の部分で気づきがあります。

重ならない場合は、ゲームと広告の訴求をあえて分けてることになるので、どこに引き込む要素があるかという、広告表現の学びがあります。

Unityから見た「ハイパーカジュアル市場」

Unityさんの目線でみると「ハイパーカジュアル市場」の状況はどうですか?

森嶋:
2021年の、ハイパーカジュアルの「出稿・マネタイズ」は、様々な国に対象が広がってきています。収益が「分散化」しているんですね。

実際に、ハイパーカジュアルの「国別の収益構成比」を見ると、最大市場のアメリカで「60%前後」になっています。

つまり、アメリカ以外の国々を、プロモーションの対象にしない場合は、「全体の40%」の収益機会を失うことになってしまいます。

森嶋:
現在は、とくにAndroidで「収益の分散化」が起きているので、世界を対象にした「ユーザ獲得・マネタイズ」が必須になっています。

以前は、「テストはiOSでアメリカを対象に、本格的な出稿をアメリカといくつかの主要国で」というのが定石でした。

それが、iOS14.5に伴うルール変更があって以降、Androidで様々な国でテストをして、様々な国でマネタイズするケースが主流です。

ハイパーカジュアルのトップデベロッパーは、この変化をうまく捉えていて、「前年比で2倍以上」の収益規模になっているデベロッパーも多数います。

「Unity」からのお知らせ。
お問い合わせ:広告出稿・マネタイズに関しては、以下宛先にお気軽にご質問・ご相談ください。
unityads-support-jp@unity3d.com

Unity:広告出稿・マネタイズ
https://unity.com/ja/solutions/mobile-business

また、ハイパーカジュアルゲームを含む、開発に関連した情報発信を、以下の場で行っております。ぜひご登録・ご視聴ください。

note「Unity Japan」:Unityに関連するあらゆるトピックを広くご紹介
YouTube「Unity Japan」:ほぼ毎週YouTube Liveで「Unityステーション」として開発Tipsなどをご紹介
note「ハイパーカジュアルゲームナイト」:ハイパーカジュアルゲーム開発に関連する情報をご紹介

取材協力:株式会社New Story、ユニティ・テクノロジーズ・ ジャパン株式会社
広告企画:アプリマーケティング研究所

アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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